北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

道路が悪くて救急車が…

2017-01-26 23:45:46 | Weblog

 

 昨年の秋に、道内の各開発建設部、同町総合振興局建設管理部を訪問して予算関係の要望活動を行った時の事。

 要望に行った人たちからの報告で、ある建設管理部の副局長さんが、「うちの管内に、『道路が悪いために、救急車内での処置ができなくて困っている。道路をしっかりと維持修繕してほしい』と言った首長さんがいた」という情報がありました。

 首長さんもたくさんいる中で、「道路を整備してほしい」とか「除雪をちゃんとしてほしい」といった要望を語る方は多いのですが、「道路が傷んでいるのをなんとかしてほしい」という要望をする方というのはほとんど耳にしたことがないので、とても興味深く思ったのです。

 年が明けて少し落ち着いた今、こうした「道路が悪くて困っている」という情報について収集活動をしようということで、この首長さんがどなたなのかを調べて、たどりついた先方にインタビューの申し込みをし、本日行ってきました。

 快く執務室に迎え入れていただいて、こちらの主旨をお話しし、首長さんが「道路の維持修繕をしてほしい」という要望をした、その背景についてお伺いをしました。

 
 私の方から、「首長さんが、ピンポイントで道路の修繕をちゃんとしてほしい、と言う方は初めてなんです」と言うと、「そうですかね。確かにいろいろな要望書でも、『道路の適切な管理』とは書いてありますが、私も口頭の補足で道路の修繕をちゃんとしてほしい、と言ったということなんですがね」

「漏れ聞こえたところでは、救急車内での処置ができない、と言う風に伝わってきていますが」
「確かにそういう言い方が一番インパクトがあると思いますが、それ以外にも地域を回っていると、『とにかく道路を直してほしい』という要望が強いんです。それは一つには"わだち"の問題です。

「"わだち"ですか」
「はい。当地域には、道道しかなくてそれが大型コンテナ車などの重車両の通過交通になっています。またはずれにはダム工事をしている箇所があって、それもまた"わだち"の原因になっています」

「それが地域の問題なのですか」
「ええ。冒頭の救急車で言うと、最近の救急車は車内で電子機器や高度な医療機器が積んであって、医師と連絡を取りながら車内でできる限りの処置をしながら病院に運びます。当地域には中核医療施設がないので、近傍の中核都市の病院まで搬送しなくてはなりませんが、道路がわだちや横断クラックのために揺れるとそうした機材も満足に使えません。
 それにわだちでは、初冬に掘れたところに水がたまるとブラックアイスバーンになって、揺れるだけではなくて滑りやすくもなります。
 そのことで人が亡くなったとかいうことではありませんが、地域の医療水準が満足に機能していないと言えるのだと思います」

「なるほど」
「それに、農業者からの道路に対する声としては、最近の大型農業車両の問題があります。最近のトラクターは、背も高いしとてもスピードが出ます。しかしサスペンションがエアタイプなので、横断管などの道路の構造物との境の段差の衝撃や、わだちで左右に大きく揺れるととっても危険なんです」


 ここで以前警察へ行ってみた時の話をしてみました。
「先日道警の交通事故のご担当者を訪ねて、いろいろと話を聞いたのですが、警察には『道路の状態が悪いために事故になった』という記録や統計はないんですね。警察の関心は、第一原因者がどのような理由で事故になったか、ということにありました。誰もが事故を起こすわけではないので、当然事故を起こした人に何らかの原因がある、という事なのだと思いますが」

「警察としてはそうでしょうね。道路が悪ければゆっくり慎重に走れば事故にはならなかったはずだ、ということでしょう。しかし道路が悪いために、緊急車両のスピードを出せず、農業を始め地域の経済も効率的にならないのです。道路が本来の機能をちゃんと発揮してくれれば良いだけなのに、それが果たされないために、地域の住民から多くの不満や要望が出されているという現実がここにあるんです」

「それを首長としては関係機関に伝えなくてはいけない、と」
「そのとおりです。私一人の思い付きではなく、地域全体からそういう声があるという事をもっと伝えていきたいと思います」


          ◆ 


 こうして話を掘り下げてゆくと、地域ならではの産業環境や、道路交通環境など様々な背景があることがわかります。

 それらはある意味、地域事情ということになるのかもしれませんが、そうした声を丹念に拾ってみると、道路が悪くて困っているという事例はもっと拾えそうに思いました。

 これからもこうしたインタビュー活動をさらに続けていきたいと思います。

 なお、この内容は、今後内容を精査・充実させたうえで、当舗装事業協会の機関誌の原稿として掲載する予定です。お楽しみに。

コメント
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