まだもわっと生ぬるい空気が漂う朝でしたが、出がけに白い虫がふわふわ飛んでいるのが見えました。
(雪虫かな?)
そろそろ冬が近そうです。
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この季節になると思い出すのが、札幌にいた中学校一年生の秋に始めた夕刊だけの新聞配達。
中学生になってから急に天文が好きになって、天体望遠鏡が欲しくて欲しくて、親の許しを得て始めたのが夕刊だけの新聞配達でした。
道内での部数を誇る地方新聞だけに部数は多く、200部を超える新聞を雪降る前は自転車で、雪が降ってからはタスキで抱えて配って歩いたものです。
お店の方に、最初の一週間付き従って配る家を教えてもらったのですが、今日から一人で配るとなった日に、帰ってきたときに一部余っていることに気が付きました。
配る部数は事前にちゃんと数えて配っていたので、どこかで配る家を忘れてしまったに違いありません。
(まいったなあ…)
初めてのことなので失敗はつきもの、とこのまま忘れたことにして帰ってしまおうか、と思いました。
クレームが入れば次から気を付ければいいか…と。
しかし、やはりそうはならないと思い返し、もう一度歩けば思い出すかもしれない、と、配達の道順を再び歩き始めました。
全体で一時間くらいかかる工程です。だんだん暗くもなってきました。
(ここは配った…、ここも…)
そうやって配った家を思い出しながら歩き続けたところ、1/4くらいのところで、配り忘れていた家に気が付きました。
(ああ、そうだ、ここだ!ここに入れなかったんだ、良かった!)
幼心に、(失敗した)と困ってしまったことと、結果的に思い出せてちゃんと夕刊を配達することができて、とにかくほっとしたことを今でも鮮明に覚えています。
ほんの小遣い稼ぎで始めたアルバイトのつもりだったのが、実は責任が重いということを身を持って味わった日でした。
翌年の春には転校して札幌を離れたので、6か月ほどのアルバイト期間でしたが、とても得るものは多くて、弟と妹と犬を連れて配達をしてたりして爆笑の思い出も数多い思い出です。
今でも当時新聞配達をしたエリアを車で通ったりすることがあるのですが、蘇るのは懐かしくって甘酸っぱい青春の記憶。
この季節、暗くなってくると東の空から牡牛座の散会星団「すばる」がキラキラと輝きながら上ってきます。
枕草子にも「星はすばる」と書かれたその美しさは、子供の私にも見とれるほどの美しさでした。
子供の時ほど、良いものを見て良い経験をすべきだと経験からそう思います。
200部の夕刊を一か月配り歩いて、当時の月給は4千円(笑)
もう43年前の思い出です。