「道展」を見てきました。
今年は第88回だそうで、北海道を代表する美術公募展の一つです。
道展が開かれるともう秋も深いという季節の風物詩ですが、今年は、日本画21点、油彩149点、水彩30点、版画18点、彫刻18点、工芸28点の合計264点が入選し、札幌市民ギャラリーで11月3日まで開催中です。
鑑賞中に写真撮影をしている人がちらほら見えたので、受付の方に「写真を撮影してもよろしいのでしょうか?」と訊ねてみたところ、「他のお客様の迷惑にならなければ結構です」とのこと。
こういうことは写真撮影が駄目なものだと思っていただけに、感心すると同時に、これを悪意を持って利用する人もいないでしょうし、逆に美術ファンへの良いサービスだと思いました。
高校時代に銅板による金属工芸をしていたこともあって、創作活動にはずっと関心がありました。
「芸術はよくわからん」という人もいますが、分かる分からないよりも作品を見てなにかを感じて、「好き」だとか「嫌いだ」ということも含めて、自分の心が動くことを楽しめればよいのだと思います。
会場には各所に「鑑賞のしおり」という解説シートが置かれていて、ピックアップされた作品と作者自身の言葉が紹介されていますが、読んでしまうとかえってそれに引っ張られるということもあります。
素直な自分の心のゆらぎを楽しむのが良いのではないでしょうか。
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【北海道美術協会賞「ここにいたい」】
【芽吹きを思わせるあしらい】
今回の作品の中で私が一番気になって素敵だと思ったのは、北海道美術協会賞を受賞した札幌の佐藤あゆみさんの「ここにいたい」と題された工芸作品です。
細い針金を使って大きな円盤を作り、中心部には植物が木の芽が芽吹いたような小さな葉っぱが開いています。
入ったところで入り口正面に置かれていることもありますが、私としては非常に印象の強い作品でした。
また今回非常に面白く感じたのが、アニメチックな画風が評価されて入賞する作品があったこと。
このような画風が入選する時代になったのかと、ある種の感動がありました。
【アニメチックな画風がありました】
さらに、今年で7回目となる15歳から21歳以下の公募展"U21"も、若い学生さんたちの感性がほとばしるようで好感が持てました。
こういう子供たちの中から未来の芸術家が育ってゆくことを期待したいところです。
【若い世代の活躍に期待】
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ところでこの道展、札幌での展覧会を終えた後は道内のいくつかの都市で移動展が開催されます。
しかし受賞作品のすべてが回っていくわけではなく、限られた作品の鑑賞にとどまります。入賞した全ての作品を観られる札幌にいることはやはり幸せだということになります。
こんなこと一つでも感じる、地方にいるということのハンデ。
図録や目録では感じきれない、作品から来るオーラを現物を見ることで感じてほしいものです。
展覧会は11月3日まで札幌市民ギャラリーにて
ホームページからは割引券がダウンロードできますので、利用をお勧めします。
【道展ホームページ】 http://doten.jp/index.html