往年の名スラッガーにして読売巨人軍の常勝監督川上哲治さんが亡くなりました。
私は巨人軍の監督としてしか知りませんが、九連覇の頃の巨人は確かに強かったし、良いところで打ったON砲にも憧れたものです。
また一人、伝説の人が過去になりました。
◆
NHKの「歴史ヒストリア」という番組で、札幌農学校のお雇い外国人教師であったクラーク先生の物語りが放送されました。
武士から農民へならざるを得なかった武士の子弟のやるせなさからか、当初はクラーク先生も辟易するようなやんちゃな子供が多く、入学してすぐに退学させられた学生も数名いたとか。
それが、クラーク先生の熱意溢れる教育にほだされて次第に感化され、最高の師と弟子になった札幌農学校第一期生。
わずか8か月の札幌滞在の後、島松での別れの際には学生一人一人に握手をしてくれたのですが、学生は誰ひとり顔を上げることができなかった、と言います。
共に過ごした時間は短くとも、与える影響の強さには関係はありません。
離日後も学生と英語での文通をしたといいますが、それほど慕われたのには、大いなる人間的な魅力があったのでしょう。
川上哲治さんにしても、クラーク博士にしても、その人たちと同じ時間をリアルタイムに過ごしていることの幸せは後から分かってくるのかもしれません。
流行で言えば、鉄腕アトムに鉄人28号、巨人の星、カーペンターズやピンクレディー、山口百恵にサンダーバードなど、今振り返ると懐かしいけれど当時はそれをリアルタイムで共に過ごして楽しんでいた時期がありました。
今は今として楽しんだほうが良い。
後から振り返って、「ああ、そうだったんだ」と知るのはもったいない。
そうやって時代について行くのは結構疲れることかもしれませんが、人生なんて日々思い出を作る作業にほかなりません。
エピソードと笑える失敗談と思い出こそが今を生きる私たちの一番の財産のように思います。
さて、今を一所懸命に生きて行きましょう。