青山劇場、2005年11月8日ソワレ。
1960年代のある年の9月21日、アメリカのとあるスラム街。スキッド・ロウ通りにある倒産寸前の花屋「ムシュニク・フローリスト」の店先に、ハエトリ草に似たへんてこで珍しい花が置かれた。その花はお客を呼び寄せ、見る見るうちに店を繁盛させた。店員のシーモア(山本耕史)はあこがれの同僚オードリー(上原多香子)にちなんで、その花を「オードリーⅡ」と名づけ、一生懸命世話するが…台本・作詞/ハワード・アシュマン、音楽/アラン・メンケン、パペットデザイン/マーティン・P・ロビンソン、翻訳/常田景子、訳詞/梶真知子、演出/吉川徹。1960年のロジャー・コーマン監督の映画を元に1982年オフ・ブロードウェイ初演、1986年にはフランク・オズ監督でミュージカル映画化。2002年の新演出版を元にした「日本ゴージャス版」。
以前一度観ていて、妙に楽しかった記憶がありました。
なのに今回はまだ初日から間がないためか劇場が大きすぎるのか、客席が温まっていない感じで、ちょっとさびしかったなー。もっと笑いが起きていい舞台だと思うんですけれどねー。
以前観ているのは多分95年の博品館劇場のもの。シーモアが岸田智史、オードリーが日向薫、オリンが今村ねずみだったそうです。今村ねずみが出ていたのと主題歌をうっすら覚えている気がします…99年にはアートスフィアでシーモアが西川貴教、オードリーが風花舞、オリンが谷原章介というキャストで公演されているんだそうですが、コレ観たかったなー。なんで当時アンテナに引っ掛からなかったんだろう…ユウコのためだけに観に行っていてもおかしくないんですが。
ホントいうともっとちゃんとした(笑)大作っぽいものの方が好みなくせして、この作品はやっぱり妙に好きですね。
ブラックというよりペーソスがある感じ、シュールでアイロニカルというよりはやはりどうにもユーモラス、というところが、なんかいいのかもしれません。それともちろん音楽がいいです。暑苦しすぎない、ホットなロック。サントラ欲しいなー。今回はアンサンブルも詞もよく聴き取りやすく乗りやすく、楽しかったです。
「こういう気弱な感じの役、久しぶりなんですよ」
とパンフレットで語る山本耕史は、私は『リンダリンダ』以来すっかりひいきなんですが、今回もすごくよかったです。でっかい黒縁メガネでハンサムな顔がきちんと拝めなかったことだけが残念。
でもこの人はテレビで観る印象より大柄で、舞台俳優にすごく向いている気がしました。「自分は発散型の役者だと思うから、久しぶりにやると正直ちょっと物足りなさは感じますね」と語りつつも、それ以上にやりすぎることなく、変に作りすぎることもなく、気弱で純粋なシーモアを実に上手く表現していたと思いました。もちろん歌もあいかわらずいいです。
初舞台の上原多香子は、最初のシーンが衣装のせいなのかすごく貧相に見えて、モンローのパロディなんだからもうちょっとボリュームないとなー、やっぱつらいのかなー、とひやひやさせられました。最初に彼女も歌う「ダウンタウン」は声がアンサンブルに埋もれてしまっていたし、しなしなしたオードリーらしい身のこなしが板についていない感じでしたし。でもその後は持ち直しましたねー。「どこか緑の街で」はちゃんと聞かせてくれました。オードリーとして自分に求められていることをちゃんと理解していて、がんばってやっている感じはまだまだ「ヨシヨシ」レベルかもしれませんが、味もある気はするので、いい舞台女優さんになってくれるとうれしいです。美人すぎるんでテレビ女優は意外と向かないのでは? どうかな? あとストッキングの色をどうにかしてくれ。
サディストの歯医者オリンは03年に解散したリュシフェルの元リード・ヴォーカル越中睦で、これまたえらいハンサムなのにキレた演技を存分にやってくれて感心しました。ムシュニクは小堺一機。こちらも最初は病み上がりで声がつらいのかな?と思いきや、ダンスシーンもノリノリだし、実に達者でした。
そしてアンサンブル(浦嶋りんこ、Tina、尾藤桃子)が本当によかったです。実際今回のキャストは主役クラスも歌えるメンバーだったからよかったけれど、そうとも限らないケースも多いので、実は要所はアンサンブルが歌うという構成はミュージカル作劇上正しいんじゃないでしょうか。
ちなみにずっと男性が当てることが多かったオードリーーⅡの声は和田アキ子。録音でしたが…
小さいカンパニーの舞台だし、もう少し小さい劇場でやってもいいのかな、ということだけが残念でした。
1960年代のある年の9月21日、アメリカのとあるスラム街。スキッド・ロウ通りにある倒産寸前の花屋「ムシュニク・フローリスト」の店先に、ハエトリ草に似たへんてこで珍しい花が置かれた。その花はお客を呼び寄せ、見る見るうちに店を繁盛させた。店員のシーモア(山本耕史)はあこがれの同僚オードリー(上原多香子)にちなんで、その花を「オードリーⅡ」と名づけ、一生懸命世話するが…台本・作詞/ハワード・アシュマン、音楽/アラン・メンケン、パペットデザイン/マーティン・P・ロビンソン、翻訳/常田景子、訳詞/梶真知子、演出/吉川徹。1960年のロジャー・コーマン監督の映画を元に1982年オフ・ブロードウェイ初演、1986年にはフランク・オズ監督でミュージカル映画化。2002年の新演出版を元にした「日本ゴージャス版」。
以前一度観ていて、妙に楽しかった記憶がありました。
なのに今回はまだ初日から間がないためか劇場が大きすぎるのか、客席が温まっていない感じで、ちょっとさびしかったなー。もっと笑いが起きていい舞台だと思うんですけれどねー。
以前観ているのは多分95年の博品館劇場のもの。シーモアが岸田智史、オードリーが日向薫、オリンが今村ねずみだったそうです。今村ねずみが出ていたのと主題歌をうっすら覚えている気がします…99年にはアートスフィアでシーモアが西川貴教、オードリーが風花舞、オリンが谷原章介というキャストで公演されているんだそうですが、コレ観たかったなー。なんで当時アンテナに引っ掛からなかったんだろう…ユウコのためだけに観に行っていてもおかしくないんですが。
ホントいうともっとちゃんとした(笑)大作っぽいものの方が好みなくせして、この作品はやっぱり妙に好きですね。
ブラックというよりペーソスがある感じ、シュールでアイロニカルというよりはやはりどうにもユーモラス、というところが、なんかいいのかもしれません。それともちろん音楽がいいです。暑苦しすぎない、ホットなロック。サントラ欲しいなー。今回はアンサンブルも詞もよく聴き取りやすく乗りやすく、楽しかったです。
「こういう気弱な感じの役、久しぶりなんですよ」
とパンフレットで語る山本耕史は、私は『リンダリンダ』以来すっかりひいきなんですが、今回もすごくよかったです。でっかい黒縁メガネでハンサムな顔がきちんと拝めなかったことだけが残念。
でもこの人はテレビで観る印象より大柄で、舞台俳優にすごく向いている気がしました。「自分は発散型の役者だと思うから、久しぶりにやると正直ちょっと物足りなさは感じますね」と語りつつも、それ以上にやりすぎることなく、変に作りすぎることもなく、気弱で純粋なシーモアを実に上手く表現していたと思いました。もちろん歌もあいかわらずいいです。
初舞台の上原多香子は、最初のシーンが衣装のせいなのかすごく貧相に見えて、モンローのパロディなんだからもうちょっとボリュームないとなー、やっぱつらいのかなー、とひやひやさせられました。最初に彼女も歌う「ダウンタウン」は声がアンサンブルに埋もれてしまっていたし、しなしなしたオードリーらしい身のこなしが板についていない感じでしたし。でもその後は持ち直しましたねー。「どこか緑の街で」はちゃんと聞かせてくれました。オードリーとして自分に求められていることをちゃんと理解していて、がんばってやっている感じはまだまだ「ヨシヨシ」レベルかもしれませんが、味もある気はするので、いい舞台女優さんになってくれるとうれしいです。美人すぎるんでテレビ女優は意外と向かないのでは? どうかな? あとストッキングの色をどうにかしてくれ。
サディストの歯医者オリンは03年に解散したリュシフェルの元リード・ヴォーカル越中睦で、これまたえらいハンサムなのにキレた演技を存分にやってくれて感心しました。ムシュニクは小堺一機。こちらも最初は病み上がりで声がつらいのかな?と思いきや、ダンスシーンもノリノリだし、実に達者でした。
そしてアンサンブル(浦嶋りんこ、Tina、尾藤桃子)が本当によかったです。実際今回のキャストは主役クラスも歌えるメンバーだったからよかったけれど、そうとも限らないケースも多いので、実は要所はアンサンブルが歌うという構成はミュージカル作劇上正しいんじゃないでしょうか。
ちなみにずっと男性が当てることが多かったオードリーーⅡの声は和田アキ子。録音でしたが…
小さいカンパニーの舞台だし、もう少し小さい劇場でやってもいいのかな、ということだけが残念でした。