自由劇場、2022年9月24日12時。
寒い2月のニューヨーク。古いアパートの最上階に新婚のポール・ブラッター(加藤和樹)とコリー・ブラッター(高田夏帆)が引っ越してきた。エレベーターはなく、天窓には穴が開き、暖房も壊れ、家具も届いていない。夜には雪が降るらしい。アパートには変わった住人がたくさんいるようで、コリーはここでの生活を気に入り楽しんでいるが、真面目な弁護士のポールはなじめずにいた。ある日コリーは、母親であるバンクス夫人(戸田恵子)との食事に屋根裏部屋に住む変わり者のヴィクター・ヴェラスコ(松尾貴史)を誘うが…
作/ニール・サイモン、翻訳/福田響志、演出/元吉庸泰。1963年ブロードウェイ初演、全3幕。
タイトルは知っていましたが観たことがない演目だったので、チケットを取ってみました。ところで私って自由劇場に行くのが初めてだったのかしらん…? 素敵なハコでした。
しかしヒロイン女優の名を知らないなあ、と開演前にプログラムをめくったら、これが初舞台とあって、それで先入観を持ってしまったのがよくなかったのかもしれませんが…なんか声が高いというか、ずっと裏声の女優さんなんですよ。別にそういう声質の役者さんがいてもいいとは思うんですけれど、舞台で台詞を聞かせる発声になっているかというと怪しくて…それで、なんか、私は全然嫌になってしまったのでした。
でもこれって、コリーがほぼ主人公の作品ですよね? このハイパーポジティブハイテンションなキャラの妻に振り回される、繊細で神経質で生真面目な常識人の夫…が主人公というよりは、コリーがパワーと愛嬌と魅力を放ち観客が彼女を好きになってこそ、の作品な気がしました。やっていることは、ニール・サイモンあるあるのワン・シチュエーションの会話劇で、特別な事件が起きるわけでもない、新婚夫婦の喧嘩とちょっとした成長、みたいなだけのお話ですからね。なので、私はこのコリーでは全然ダメだったのでした…
そもそも、ホテルで6日間のハネムーンを経てからの引っ越し、新婚生活だったようですが、なれそめとかは語られないんですよね。プチ・エスタブリッシュなニューヨーカーのカップルってほぼ大学の同級生で卒業後そのまま結婚してしまうことが多いイメージなのですが、このふたりはどうだったのでしょうか。喧嘩になると明らかになりますが、共通点が全然ないカップルで、何故、どうして、どこを好きになり、なんで結婚しようと思ったの…?って気しかしなかったので。まあ、所詮痴話喧嘩なんだし、愛があれば2月のニューヨークでも愛する人と公演を裸足で散歩できるはずだ、というだけのお話なので、細かいことをつっこむのは野暮なのかもしれませんが…でもその痴話喧嘩も会話の妙というよりは単なる酔っ払いの八つ当たりから始まったようでもあり、犬も食わないというよりは観客もちょっとあきれて他人事…といった空気が漂っていた気がしたので…うーむむむ。
あと、翻訳にあまり感心しませんでした。コリーの服装とかもそうでしたが、特に1963年という設定ではないのかもしれませんが、でも戯曲は60年前のもので舞台設定も当時のものなはずで、なのにこの10年くらいの新しめの言葉がけっこう使われていて、いわゆる若者言葉としての表現だとしても私は引っかかりました。レトロというかクラシカルな芝居なんだし、言葉もクラシカルでいいのでは? あと、コリーがやたら語尾「じゃん」でしゃべるのも神奈川県出身者としてやや気に障ったのです。
違う訳、演出、役者でまた観てみたいな…戸田恵子はさすがでした。ちゃんとソファが濡れてる芝居をして笑いを取っていたのに、続く松尾貴史はスルーだったのはなんなんだ…しょんぼり。おしまい。
寒い2月のニューヨーク。古いアパートの最上階に新婚のポール・ブラッター(加藤和樹)とコリー・ブラッター(高田夏帆)が引っ越してきた。エレベーターはなく、天窓には穴が開き、暖房も壊れ、家具も届いていない。夜には雪が降るらしい。アパートには変わった住人がたくさんいるようで、コリーはここでの生活を気に入り楽しんでいるが、真面目な弁護士のポールはなじめずにいた。ある日コリーは、母親であるバンクス夫人(戸田恵子)との食事に屋根裏部屋に住む変わり者のヴィクター・ヴェラスコ(松尾貴史)を誘うが…
作/ニール・サイモン、翻訳/福田響志、演出/元吉庸泰。1963年ブロードウェイ初演、全3幕。
タイトルは知っていましたが観たことがない演目だったので、チケットを取ってみました。ところで私って自由劇場に行くのが初めてだったのかしらん…? 素敵なハコでした。
しかしヒロイン女優の名を知らないなあ、と開演前にプログラムをめくったら、これが初舞台とあって、それで先入観を持ってしまったのがよくなかったのかもしれませんが…なんか声が高いというか、ずっと裏声の女優さんなんですよ。別にそういう声質の役者さんがいてもいいとは思うんですけれど、舞台で台詞を聞かせる発声になっているかというと怪しくて…それで、なんか、私は全然嫌になってしまったのでした。
でもこれって、コリーがほぼ主人公の作品ですよね? このハイパーポジティブハイテンションなキャラの妻に振り回される、繊細で神経質で生真面目な常識人の夫…が主人公というよりは、コリーがパワーと愛嬌と魅力を放ち観客が彼女を好きになってこそ、の作品な気がしました。やっていることは、ニール・サイモンあるあるのワン・シチュエーションの会話劇で、特別な事件が起きるわけでもない、新婚夫婦の喧嘩とちょっとした成長、みたいなだけのお話ですからね。なので、私はこのコリーでは全然ダメだったのでした…
そもそも、ホテルで6日間のハネムーンを経てからの引っ越し、新婚生活だったようですが、なれそめとかは語られないんですよね。プチ・エスタブリッシュなニューヨーカーのカップルってほぼ大学の同級生で卒業後そのまま結婚してしまうことが多いイメージなのですが、このふたりはどうだったのでしょうか。喧嘩になると明らかになりますが、共通点が全然ないカップルで、何故、どうして、どこを好きになり、なんで結婚しようと思ったの…?って気しかしなかったので。まあ、所詮痴話喧嘩なんだし、愛があれば2月のニューヨークでも愛する人と公演を裸足で散歩できるはずだ、というだけのお話なので、細かいことをつっこむのは野暮なのかもしれませんが…でもその痴話喧嘩も会話の妙というよりは単なる酔っ払いの八つ当たりから始まったようでもあり、犬も食わないというよりは観客もちょっとあきれて他人事…といった空気が漂っていた気がしたので…うーむむむ。
あと、翻訳にあまり感心しませんでした。コリーの服装とかもそうでしたが、特に1963年という設定ではないのかもしれませんが、でも戯曲は60年前のもので舞台設定も当時のものなはずで、なのにこの10年くらいの新しめの言葉がけっこう使われていて、いわゆる若者言葉としての表現だとしても私は引っかかりました。レトロというかクラシカルな芝居なんだし、言葉もクラシカルでいいのでは? あと、コリーがやたら語尾「じゃん」でしゃべるのも神奈川県出身者としてやや気に障ったのです。
違う訳、演出、役者でまた観てみたいな…戸田恵子はさすがでした。ちゃんとソファが濡れてる芝居をして笑いを取っていたのに、続く松尾貴史はスルーだったのはなんなんだ…しょんぼり。おしまい。