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駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『やなぎにツバメは』

2025年03月21日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 紀伊國屋ホール、2025年3月19日18時。

 美栄子(大竹しのぶ)、洋輝(段田安則)、佑美(木野花)の3人は、20年ほど前、美栄子の母ツバメが経営する「カラオケスナックつばめ」で知り合った。若いころは家具メーカーの正社員として働いていた美栄子だが、夜は母親の店を手伝うため、日中の仕事をパートにするしかなかった。そんな美栄子にとって、店の常連で歳が近い洋輝と佑美はかけがえのない友人であり、3人にとって店は特別な場所だった。ツバメの葬儀の夜、洋輝の息子・修斗(林遣都)、美栄子の娘・花恋(松岡茉優)も集い…
 作/横山拓也、演出/寺十吾。全1幕。

 キャストは他に、美栄子の別れた夫で花恋の父親の賢吾/浅野和之。こんな6人の男女の、みっともない人たちのみっともなさをてらいなく表現した、おかしくてせつなくて泣けてくる100分のお芝居でした。
 実は加藤拓也と混同してチケットを取ったのですが(笑)、まあこのキャストなら行きますよね…さすがの演技でした。
 大竹しのぶは、私は大女優役みたいなのをやられると鼻白んじゃうんですけど、こういうどこか少女性を残したような、わりと普通のおばさん、みたいな役だと本当にチャーミングだしナチュラルだしで、安心して観ていられました。松岡茉優はテレビドラマではよく見てきましたが、舞台では初めて観たかな? でも舞台もいいんですね、すごくよかったです。あとはみんな手練れのメンツで、安心感しかなかったです。林遣都のポンコツキャラもホント今どきの青年っぽい…!
 私は大人組の年にはまだ5年ほど年季が足りないかなと思うのですが、いずれにせよシルバーでないシニアなんて全然枯れてないし老け込んでないし達観もできてなくて…ってのがすごくわかるし、愛おしかったです。私は観ていて、本当になんとなく、洋輝は佑美が好きなのでは…と感じたので、そう展開する後半はホントおかしいやら悲しいやらでした。声出して笑ったし、隣と前の席がたまたま空いていたこともあって、舞台の美栄子に向かってつっこむように「それはナイ」みたいに手を振っちゃいましたもんね…! 
 梅に鶯、柳に燕。絵になるもの、似合いのものの喩えですが、むしろ破れ鍋に綴じ蓋というか、禍福はあざなえる縄のごとしというか…母親を見送り、娘を嫁に出し、しかし恋には破れたヒロイン、というお話になりますが、別れた夫に抱いていた長年のわだかまりは解けたかもしれないので、やっと普通の友達程度にはなれるのかもしれないし、親友ふたりが夫婦になっても友情は変わらないだろうから、まだまだこの先も楽しいし、あるいはいろいろあって大変だったりもするかもしれないけど、それが人生だよ、というようなあたたかさがある、優しい舞台になっていたかなと思いました。
 しかしホント浅野和之と段田安則の舞台に外れはないよ…! 楽しく観ました。







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立春歌舞伎特別公演

2025年02月17日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 大阪松竹座、2025年2月14日16時15分(夜の部)、2月15日11時(昼の部)。

 昼の部は『本朝廿四孝』の十種香、『恋飛脚大和往来』の封印切、『幸助餅』の三本立て。
 夜の部は『義経千本桜』の鼓ターンで、序幕は大内の場、堀川御所の場、同掘外の場、二幕目が道行初音旅、大詰が川連法眼館の場、奥庭の場。

 團子ちゃんの女形が見たくて、そして初めてのハコに行ってみたくて、いそいそとチケットを取りました。夜の部は1階とちり席どセンターの一等席、昼の部はケチって2階中通路すぐ後ろほぼどセンターの二等席にしましたが、正解でした。
 まあどこでも観やすそうな客席で、階段もあるけれど細いエスカレーターで客席階まで上がる構造はややアレでしたが、ロビーその他そこそこの広さがあり、いい劇場ですね。トイレもそれなりに回転していました。そして外観がとにかく素敵でした! 夜に行ったときは位置をよく把握していませんでしたが、翌朝行ったらかの「かに道楽」がすぐ近くにあることに気づき、道頓堀にも気づいてグリコ看板も眺めてきました。このあたりは大学生のころに観光として来たことはあるけれど、以後はただ混んでいるだけのどこにでもある繁華街、という印象だったので、なんばをゆっくりすることもなく、さっと地下鉄で移動してしまいました…
 昼過ぎののぞみで出かけて、まず夜の部を観ました。『義経~』は二世竹田出雲、三好松洛、並木千柳合作の全五段の人形浄瑠璃で、1747年大阪竹本座初演。翌年には歌舞伎に移されたそうです。源平合戦の後日譚で、戦死したはずの平家の武将を生きていたとしてその後を描く筋と、初音の鼓の皮に張られた親狐を慕い、義経の家臣・佐藤忠信に化けた狐の筋の、ふたつに大別されるそうです。
 きちんと観たことはありませんでしたが、学校の日本史で学んだり大河ドラマで見たり『平家物語』は一応読んだことがあったりで(あとテレビ人形劇も見ました)、なんとなくの史実の知識はあるつもりでした。というか二幕目は去年、春秋座で團子ちゃんの素踊りで観た「吉野山」ですよね。その前後の物語が観られるんだな、とワクテカでした。とりあえずお話が知りたい派の素人なもんで、通しが好きなんですよ…これで今度の歌舞伎座の全通し?版も観やすくなるのかな、楽しみです。
 初音の鼓とは、桓武天皇が雨乞いをしたおりに、大和国に棲む千年の功を得た雌雄の狐の生き皮を使って作られたものだそうで、今回はそれが内裏の宝蔵からしずしずと出されるところから始まりました。義経は中村扇雀、弁慶は中村亀鶴、鼓を渡す藤原朝方は市川青虎。
 しかしド古典の台詞は何故あんなにゆっくり語られるのか…? 昔の人のしゃべりはスローモーだったという解釈なの? それともお弁当したりしながらのんびり観るものだったから、あまりシャキシャキ進まない方がいいとされていたということなの? 義太夫ともども音律を聴いて楽しむ音楽のようなものだから、ということ? ド素人の私には単純に不自然に思えて、いつも鼻白むのでした…イヤホンガイドが嫌いなので半分ほども聞き取れてはいませんが、意味というかお話の流れはわからなくはないので、とりあえずおとなしく観ました。てか昼夜観ると、同じセットを使い回しているんだな、ということにのちに気づくのでした(笑)。
 第二場、義経の館である堀川御所の座敷。幕がさーっと開いたらピンクのべべ着てお姫様ポーズの團子ちゃん卿の君がセンターにいて、思わず「かっわ!!!」と声漏らしましたすみません…
 卿の君は義経の正妻で、夫君の心労を思ってご自身も気が晴れないご様子。それをお慰めするべく、義経の愛妾・静御前(市川笑也)が例の「♪しずやしず…」を踊っています。居並ぶ腰元たちもほのぼの見守り、ひとりの殿御にふたりの女性なれど仲良くて良き、みたいなことを言うのですが、ほんまかいなと思わないこともない…(^^;)でも笑也さんがすっきり美しいので許してしまう(笑)。
 そこへ頼朝の使者・秩父庄司重忠(市川中車)がやってきて、まあ要するにアレコレ因縁をつけ出す。最後には卿の君が平大納言時忠の娘であることを持ち出し、それを北の方に迎えたことへの申し開きを要求する。と、卿の君は義経の潔白を示すため、自ら飛び出ていって胸元ガッと開けて乳の下に懐剣をグサリ! ぎょえーーーそんな展開!?と驚きつつも、覗けた赤い襦袢に悶絶する私…本当の下着としての色なのか、出血を表現したものなのか? そしてはらりと乱れる君の前髪…ヤダ素敵…!(ヒドい)
 重忠が「でかした娘!」とか言うんで、出たよこういう忠義とかなんとかのために犠牲にされた生命を称える歌舞伎あるある…!と思っていたら、なんと卿の君は時忠の養女で、実の親はこの重忠とのこと。えええーーーそういう設定!? てか実の親子が実の父娘を演じるて…「あっぱれ娘」と再び言われて、これまた物語のために女が死ぬパターンではあるのだけれど、泣かせることは間違いないのでぐぬぬ…となりました。
 重忠が介錯し、その生首を鎌倉殿への申し立てに使うことに。出たよまたも生首…とこのとき思いましたが、その後すぐに十作分ほどの生首を見ることになろうとは、このときはよもや思わず。
 鎌倉方が攻め込んできて弁慶の大立ち回り。攻め寄る軍兵の首を次々引っこ抜き、襟元から赤い風呂敷出して広げてブシャーッてな鮮血が表現されるのが妙にコミカルで、生首は用水桶みたいなのにホイホイ投げ込まれるし、最後に箍が外れて真っ赤な本水と生首がゴロゴロ転がり出る演出だったりしたらどうしよう…とかドキドキしました(笑)。凄惨なバトルシーンもエンタメに変える歌舞伎の懐の深さよ…!
 で、最初の幕間。新大阪駅のエキマルシェで買ってきた喜八洲のみたらし団子をいただきました。イヤしかし卿の君、出てきたと思ったらあっという間に自害まで走り抜けて退場する、エリザのルドルフみたいなお役だったな…
 二幕目は源九郎狐が中村虎之介、静御前はここから中村壱太郎。團子ちゃんの素踊りでもこの旅装外して…とか付けて…みたいなの、やってたなーといろいろ思い出しました。
 逸見藤太(中村鴈治郎)と追っ手たちがドタドタ出てきて大騒ぎしていって…というのは以前観たものにはなかったので、コミカルパートとして楽しかったです。ラストは、これもぶっ返りというんでしょうか? 虎之介くんが狐の本性を表す白いお衣装にダーンと早替わりして軽快に花道を去って行き、拍手、拍手…! ホントにエンタメ!!
 大詰からの忠信/源九郎狐は中村獅童。義経に静の安否を尋ねられて、会っていないのでわからない、みたいなことを答えるしかない様子を見て、そうだよね静と会っていたのは虎之介くんだからね! 別人だね!! みたいな気持ちになりました(笑)。引っ込んですぐ早変わりしての二役、これも歌舞伎あるあるですよね。
 その虎之介くんは駿河次郎になっていて、團子ちゃんの亀井六郎とともに忠信を詮議する役回り。團子ちゃんは初の赤っ面役。勇ましさを表しているんだろうけど、床をドカドカ鳴らす登場や大音声、学校なら帰りの会で学級委員の女子に「廊下は静に歩きましょう」って怒られるヤツ…!とニマニマしてしまいました。
 そこへ静ともうひとりの忠信が現れて…忠信が狐であることが明かされて…引っ込んだと思ったら白い毛皮のお衣装になってパッと出てくるアレを初めて生で観ました。イヤお客は喜ぶよね! 親子の別れを悲しんで鼓が鳴らなくなる、という展開は知りませんでした。鼓は狐に下賜されて、ワンコのように喜んで去る狐…
 奥庭。横川覚範(中村鴈治郎)、実は平家の残党・能登守教経が攻め込んできたところに、全員揃ってビシッと決めて、この続きはまた別のお話…みたいな感じでおしまい。華やかで大満足、というところでしょうか。團子ちゃんの黄色いタータがキュートでした、これも勇ましさの記号なのかな…
 あ、一本ものには必ずあるものなのかな? 大薩摩(東武線久大夫、三味線は東武線松)が今回もあって、私はこれがクライマックス前の盛り上げみたいで大好きなので、嬉しかったです。

 昼の部の『本朝廿四孝』は近松半二らによる全五段の時代浄瑠璃で、1766年大坂竹本座初演。四か月後には歌舞伎になったそうです。竹田、上杉両家の争いを主題とした物語だそうで、「十種香」の通称で知られる今回の演目はその四段目とのこと。このあとの「狐火」とともに上演の多い人気狂言だそうです。三大赤姫のひとつ、八重垣姫は30年ぶり(!)の扇雀さん、腰元・濡衣(すごい名前ですが、たまたまなのか…)が壱太郎さん、武田勝頼が虎之介くん。今度は親子が恋人役ですよ…
 扇雀さんはさすがに声が若い娘には聞こえなかったので、それこそ長男に譲ってやっても…と思わなくもなかったですが、大名家のお姫様の品格、を出すにはこれくらいのキャリアが要るものなのかもしれません。
 これも、死んだと思われた勝頼は実は子供のころに取り替えられていた偽者で…みたいな設定なのですが、双子じゃないんだからそっくりに成長することはないのでは、とはつっこみたかったです。ともあれ八重垣姫は許嫁の絵姿とそっくり、と騒ぎ、また偽者の勝頼の恋人だった濡衣も心乱れて…みたいな感じでしょうか。うん、虎之介くんの美麗な武者ぶりに胸とどろくのは仕方ないやね(笑)。
 長尾謙信(中村鴈治郎)が白須賀六郎(市川團子)を勝頼征伐に差し向ける。またドタドタやってきて颯爽と去る團子ちゃん…お声が凜々しく、素敵でした。八重垣姫と濡衣が謙信にすがりついて、幕。いいところまでやってパッと切る、歌舞伎あるあるよ…!
 最初の幕間で、ロビーで買った一口いなり弁当をぺろりといただき、舞台写真が出ていてので注文。次の幕間で受け取れてお支払い、というスタイルでした。團子ちゃんばかり5枚ほど購入。
 続く「封印切」は、宝塚歌劇の『心中・恋の大和路』を始め、さすがにいろいろ観ています。大坂で実際に起きた事件をもとに、近松門左衛門が書いた『冥途の飛脚』とその改作『傾城三度笠』を素材にした人形浄瑠璃『けいせい恋飛脚』が生まれ、それが歌舞伎化されたもの。1796年初演。「新口村」と並び、独立して上演されることが多い場面ですね。亀屋忠兵衛/獅童、梅川/壱太郎、槌屋治右衛門/中車、井筒屋おえん/扇雀、丹波屋八右衛門/鴈治郎で大阪で観る上方和事の代表作、趣深かったです…!
 てかさー、忠兵衛ってホントなんやねんって男なんだけど、獅童さんにまたしなしなやられると腹立つやらおかしいやら情けないやらで…梅川もビシッと言ったり!とか思うのですが…おえんさんや槌屋の大人チームがちゃんとしていて頼もしく、また八右衛門がもう憎たらしくてほんまに友達なんか!?とキレそうになり、なかなかに感情を揺さぶられました。しかしすごい話ではあるよ…
 ラストの「幸助餅」は1915年京都谷座で初演された、創作喜劇みたいなものだったんでしょうか。長く松竹新喜劇で受け継がれ、2005年歌舞伎化とのこと。なんというか、推し活の悲劇みたいなものが題材のお話でした。贔屓の相撲取り・雷(中車)に入れあげて身代を傾かせかけた大黒屋幸助(鴈治郎)が、雷に嘘の愛想づかしをされて一念発起して商売を再興し、雷の真意もわかってめでたしめでたし、みたいな人情劇。女房おきみの青虎さん、女郎屋に売り飛ばされかける娘のお袖の虎之介くん、その女郎屋三ツ扇屋の女将・お柳の笑三郎さんがそれぞれ素敵で、途中ヒヤヒヤさせられつつもよかったよかった、となって大満足の締めくくりでした。もちろん鴈治郎さんの愛嬌は素晴らしい…! そして昼夜通してうっかり中車パパに惚れそうになりました(笑)。
 でも先日、勘九郎さんが関取だかヤクザだかで恩返しをしていたような…お相撲さんは義に篤いというイメージがあるのかな?とか思っていたのですが、江戸時代だと女児は遊女、男児は相撲部屋に口減らしで売られ、そういう苦労人は義理人情に篤くなる…というイメージがあるのではないか、とのちにお友達に解説していただきました。なぁるほどねえぇ。せつない…

 昼の部はバラエティに富んだ幕の内弁当みたいな三本立てで、夜はしっとり一本もの、という、よく考えられたプログラムに思えました。昼の部の團子ちゃんの出番は一瞬でしたが、どうせだし昼夜観よう、と手配してよかったです。全然くわしくないなりに、いろいろつながり出して楽しかったし、なるべく機会を捉えてさらにいろいろ観ていくと、いつかさらにもっといろいろとつながるんでしょうしね。
 例えば来月の南座はついでの関係もあって今のところ桜プログラムしか観ない予定なのですが、来週文楽の『妹背山婦女庭訓』第三部を観るので、となるとこれを歌舞伎で観たら…となって松プログラムも気になってくるかもしれないんですよね。沼だわ…
 6月の博多座も、他に旅行の予定があるから日和ろうかな…とかも思いましたが、街もハコもホント楽しいし、行ったら絶対おもしろいわけで、やっぱり観ておこうかなあ、とぐすぐず考えたりし出しているのでした…ホント、困った趣味に手を出してしまったものです!

 ところで、ひとつおもしろいことがありました。
 私はひとり観劇のときはわりとスンッとしているというか、話しかけられたりかまってほしくないオーラを出しているタイプだと思うので、お隣の見ず知らずの方から話しかけられてちょっと歓談する…みたいな経験がほぼないのですが、今回は夜の部の最初の幕間に、お隣のおじさまに話しかけられました。真横だしよく見ていませんが、おじさん呼ばわりしつつ同年代くらいだったかもしれません、すみません。でもなんか、教えたがりの困ったおじさんとかでは全然なくて、もちろんナンパでもなくて、普通に標準語で「ここ、観やすいですねえ」みたいに実にフランクに話しかけられたので、こちらもフツーに受け答えしてしまったのですが、意外に、と言ったら失礼かもしれませんが、その交流がとても楽しかったのでした。
 夜の部の席は1階席の前後左右ちょうどまん真ん中、みたいな位置で、左手を見ればものすごく首をねじらなくても花道もひととおり観られるし、前列との段差もあって視界に人の頭が被ることもなく、とても快適だったのです。そして何故かこの1列だけが妙に空席が多かった…私は発売初日にネットで買ったのに、隣は二席空いていたようで(逆隣も一席座った先がまた空いていました…)、おじさまは昨日、別のチケットを買いに来たついでに、いいところが余っていたのでここをたまたま買ってみた、と語っていました。なんと…予約されたけど決済されなかった、とかの席だったのでしょうか?
 大阪の方で、昼の部はもう観たとのことで、でもチラシも番附もお持ちでなくて、「静御前は壱太郎じゃなかったでしたっけ…でも今は…」「笑也さんですね、壱太郎さんはこのあとからでは」「ああそうか、で、もうひとりのお姫様は…」「自害した正室は團子さんですね、私は彼を観たくて東京から来ました」「へー…」みたいな。で、一緒に私の番附の配役を眺めたりして。忠信はこのあとも虎之介と獅童なんですね、とか、チケットは普段はネットで買うんですか?とか、まあたいした話じゃないんですけどなんとなく世間話ができて、楽しかったのでした。
 最後まですごく楽しく見終えた終演後に、でも親の皮を張られた鼓をもらって子狐が喜ぶ、というのはどうにもシュールに思える、みたいなことを言ったら、「でも、位牌をもらうようなものなんじゃないですかね」と言われて、なるほど!と腑に落ちたりもしたのでした。勉強になりました、ありがたかったです。

 また、いろいろな楽しい出会いに恵まれるといいな、と思います。行ったことのないハコはまだまだあるので、チャンスを見つけて出かけていきたいです!









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『ラブ・ネバー・ダイ』

2025年02月09日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 日生劇場、2025年2月5日18時半。

 前回観たときの感想はこちら
 直近で四季の『オペラ座の怪人』を観たときの感想はこちら
 この日はファントム/橋本さとし、クリスティーヌ/真彩希帆、ラウル/田代万里生、メグ・ジリー/星風まどか、マダム・ジリー/香寿たつき、グスタフ/後藤海喜哉。

 前回観たときに、楽曲はともかく話がなんだかなー、な印象があったので、上演の報にも沸き立たなかったのですが、やはりきぃちゃんとまどかは観たい…とチケットを探して、無事におけぴでお譲りいただきました、ありがたや。
 1階後方下手、視界や音響は特に問題なし。こんなに装置がぐわんぐわん動くんだっけ?と驚き、楽しみました。ずっと歌っていて話が全然進まない、まさしくオペラなので、のんびり美術を眺める暇もあろうというものです。
 そして、十年後の話であること、ラウルがギャンブルで借金を作っていること、その返済に当てる小金を稼ぎにクリスティーヌがパリからアメリカまで歌いに来たこと(しかしアメリカ人はなんでこんなにコニー・アイランドを愛しているのか…としまえんとかとは何かが違うのか…?)、可愛いグスタフという息子が生まれていること…は覚えていたので、わりとすんなり話に入っていけました。
 何度も語っていますが、クリスティーヌとファントムとの間にあったものがなんなのか、というのは議論の余地があるというか、人によって解釈ないし好みが違うというか…な問題だと思います。音楽の師として尊敬していた、亡き父を重ねて慕っていた…から、異形の者への同情や憐憫、そして異性としての肉欲も含めた恋情…なのかどうか、という問題です。で、この話では、月のない夜にふたりは一夜の過ちを犯し(とクリスティーヌは解釈しているように私には思えました)、グスタフが生まれた…ということになっています。前回はまっさらで観たので「えええぇそれはちょっと…」となってその後もなかなかノリきれないままに終わった気がするのですが、今回はそれは大丈夫でした。ただ、きぃちゃんクリスティーヌが、荒れるラウルとの結婚生活に疲れ、ファントムとの再会にも驚き怯え後悔しているように見えて、要するに基本的にずっと不幸せそうでずっと暗くしょんもりした表情をしているので、それが寂しくて残念だったなー、と思ったりしました。やっぱきぃちゃんは大きな口開けてぱあーっと笑っていてなんぼでしょう!
 クリスティーヌにとってファントムは、音楽、芸術に関してはベスト・パートナーなんだろうし、再会の驚きがおちついたら、そりゃ生きていてくれたことは嬉しいし再会できたことも嬉しい。けれどやはりラウルとなんとかやりくりして過ごしてきた十年間の結婚生活というものはあるわけで、いくら息子の実の父親だろうとそれはそれこれはこれ…となるのは自然なことでしょう。このクリスティーヌは、私にはファントムを愛しているようには見えなかったし、なのでなおさらファントムの執着、怨念が恐ろしく、醜く、哀れに感じられるのでした。もっと言えばしょうもないな、と思いますよね。十年かけて何ひとつ成長も変化もしていない男…フツーに嫌でしょう!
 ラウルにしても、本当のところ芸術のこととかよくわからないし、クリスティーヌを十全に幸せにできていない、というような負い目やコンプレックスがあって、ギャンブルや酒や女に逃げているわけですんが、これまた情けなくしょうもないことではあります。別に人は自分で勝手に幸せになるもので、配偶者に何もかもしてもらおうなんて考えませんよ大人なんだから。彼はくだらない男のプライドにとらわれて、勝手に自縄自縛、自暴自棄になっているだけなのです。
 でも、こっちの方が立て直す余地があるんだと思うんですよね。仮にも十年続けてきた結婚生活というものは、それくらいの重みを持つんだと思います。たとえ息子が痔分の子供でないと知っても、十年間親子として暮らしてきたし情愛はあって、ラウルはそのショックを乗り越えてグスタフをきちんと養育していくことでしょう。
 つまり何が言いたいかというと、やはり前回の感想と同じで、誰か死ななきゃケリがつかないならファントムおまえが死ね、って話だし、いやヒロインが死ぬ方が盛り上がるんですよそれが物語の常套ってもんでしょうというなら、ファントムにも後追い自殺させるべきだったと思います。命は命でしか購えないのではないでしょうか…
 だってさんざん大騒ぎして男が息子を手に入れる話、って考えると、ものっすごい醜悪だな、と思うんですよ。女をなんだと思ってるんだ、と言いたい。
 グスタフは母親から音楽の才を受け継いでいるかもしれないし、今はそのボーイソプラノは天使の歌声かもしれないけれど、やがて失われます。ファントムの作曲した至上の名曲を歌ってくれる歌姫はもういない。ならフアントムにだって生きている意味はないでしょう、死ねばいい、ってトートでなくても言いたくなりますよ…
 ホント、「ケッ」って話だぜ、というのが今回の私の感想の結論です。また惹かれるキャストでやってももう観ない、もう十分です。音楽はいいと思うけれど、私はそこまで芸術の素養がないので…というか音楽よりお話が好きなタイプなんです、すみません。
 純粋な台詞がほとんどない、ホントにオペラばりのミュージカルで、不安定な音程も多い楽曲で、けれどキャストはさすがの上手さでした。それは本当に楽しませていただきました。
 そして『ニュージーズ』もピカピカでよかったけれど、今回もよかったよまどかにゃん! やっぱりこの役はもうちょっと年上の、「おばさんが水着着てそれも脱ぐようなショーやっちゃって痛々しい」と見える女優がやるべきだとは思いますが、それはそれとしてまどかのメグは、そこまでは痛々しくないけれどやはり芸より色気を売っているのだ、というのがちゃんと出せていたと思うし、だけど当人はそのことに気づかないフリをして日々楽しくショーをやっているつもりでいて、少しずつでも上手くなっている、いつかファントムが自分を認め愛してくれると思い込むようにしている、実は危ないところを綱渡りしているダメな少女のような女性…って感じが出ていて、とてもよかったです。
 クリスティーヌとの再会を喜ぶくだりなんかも、キャッキャウフフしていて可愛いんだけど、どこか不穏さが漂う…みたいな塩梅がとてもいいと思いました。だからキーッとなったときにグスタフを連れ出しちゃう残酷さがあるのにも納得です。このあと、遠いどこかで、今度こそ母娘ともにファントムの呪縛から逃れて、幸せになってくれ…と願わないではいられません。てかいるよもっと他にいい男が! ちゃんと周り見て!! 私はまどかの胸ばっか観てました、すみません…

 前回あまりなかったグッズが今回はいろいろ作られているようで、私もまどかのアクスタは買いましたが、人気があるならそれはそれで何よりです。役替わりの味わいの違いなんかもあるのでしょうが、私はこれで打ち止めです。千秋楽まで、どうぞご安全に…!







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『ワイルド・グレイ』

2025年01月29日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 新国立劇場小劇場、2025年1月24日19時。

 慣習と規範に縛られた19世紀末のロンドン。小説『ドリアン・グレイの肖像』はあまりにも背徳的な世界観を描き、出版されるとたちまち英国社会に衝撃を与えた。その1年後、作者である文学界の異端児オスカー・ワイルド(この日は立石俊樹)は大英博物館で美術鑑賞を楽しんでいた。傍らには友人であり支持者でもあるロバート・ロス(福士誠治)がいる。そこでワイルドを待ち受けていたのが美しい青年貴族アルフレット・ダグラス(東島京)、通称ボジーだった。その容姿はドリアンそのもので、ワイルドは心奪われるが…
 脚本/イ・ジヒョン、音楽/イ・ボムジェ、翻訳/石川樹里、演出・上演台本・訳詞/根本宗子、訳詞/保科由里子。2021年韓国初演、全1幕のミュージカル。

 不思議なタイトルだな、と思います。損をしているとも思う。どうしても「ワイルドなグレイってナニ? ドリアン・グレイってワイルドでもなんでもなくない??」ってなりません? 『ワイルド/グレイ』とかならまだイメージしやすかったかも。ただ、ワイルドはドリアン・グレイを自分になぞらえて書いたのかもしれませんが、作中ではボジーが「ドリアンは僕だ」みたいなことを言っているので、この表記だとそぐわない…かな? それともこれはワイルドとボジーを表すタイトルなのでしょうか…?
 私はこれはロスの物語だと感じたのですが(カテコの最後に福士くんだけがひとり残ってお辞儀して締めたし)、でも確かにカップルだったのはロスではないふたりなので、そのふたりがタイトルロールとなっているのはある意味で正しいのかもしれません…うぅーむ。
 私はワイルドとボジーのことは知っていましたが、ロスについてはこの作品で初めて知りました。とても興味深い人物だと思ったし、福士くんが好きだというのもあるけれど、彼に肩入れして観てしまったところはあると思うので、それでより「よくわからんタイトルだ…」と感じてしまったのかもしれません。
 ワイルドの最初の同性の恋人で、でも関係は長くは続かず、その後は疎遠な時期が長くあって、でもまた交流が戻ってワイルドの理解者、マネージャー、プロデューサーみたいなこともしているような、実直な年下の友人…というようなところがロスの役回りです。福士くんは実際にはこの3人の中で一番年長だろうけれど、ちゃんと「おちついて見える青年」みたいな演技が出来ていると思いました。そして立石くんのワイルドはちゃんと「若く見えるけどおじさんで、ただとにかく華があり綺麗な男であり奇才である」という感じを上手く出して見せていました。そして後藤大からキャスト変更になった東島くんは、リアル二十歳…! わがままで甘えたで自意識とコンプレックスをこじらせていて、父親に虐待を受けて育ったこともあって愛に飢えた、ボンボンの美少年…というのを実に見事に演じていたと思いました。歌も芝居も上手い3人の男優の愛憎劇、おもしろくないわけはないですね…! ちなみに演奏のピアノ、バイオリン、チェロは3人とも女性でした。こういうのも良きですね。ただ演奏者もダブルキャストのようだったので、こちらもちゃんと掲示して欲しかったかな。ちなみにもう一組のキャストはロス/平間壮一、ワイルド/広瀬友祐、ボジー/福山康平でした。根本さんはこれが初ミュージカルだそうですが、『宝飾時計』はとても良くて印象的でした。またひとり、注目すべき演出家を発見してしまいましたよ…!
 で、しかし、よかったんだけれど、とてもよかったんだけれど、でも私のテハンノのミュージカルのイメージそのもので、ほぼずっと歌っているんですよね。周りの役にも役者をつけてもうちょっと芝居を足して、なんならストプレで観たいかな、とちょっと感じてしまいました。歌ってエモーショナルだけれど理屈から遠のくし、私はそれでどうもわかったようなわからないような気にさせられてしまうので…歌詞の意味を追うのって、台詞を聞くよりずっと疲れるんだな、とも感じました。聞き取れないから大変、とかいうことではなくて、歌は上手いんだけどその上手さに流されちゃって歌詞を追えなくなっちゃうと、それで話が進んでしまうのでついていけなくなってしまう…というようなことです。それではもったいない、とても業の深いモチーフ、物語だったので、もっとじっくり観たかった、というか…
 それと、3人がみんな上手いので、なんかナマモノ萌えしている気がするというか、2,5BLみたいなものを観ている気にさせられるというか…なおちつかなさも感じました。実在の人物を扱っているのでその意味で十分にナマモノだし、BLというよりは実在の同性愛者の話なのでそのまんまなワケですが…なのでなんとなく、この物語は漫画で読みたいな、など考えてしまいました。少なくともその方が私は受け取りやすそう、と思ってしまったのです。舞台で観ると、上手いんだけど、いいんだけど、なんか小っ恥ずかしいというか…な気がしちゃったんですよね。別にキスシーンもないし、過剰にエロティックなこともなく、むしろドライなくらいな雰囲気だったと思うのですが、ね…
 そんな不思議な観劇でした。でも、よかったです。刺さっている人が続出しているように見えるのもわかります。そらこじれるよな、というこの関係性…関係性萌えの人にはたまらない作品でしょう。
 裁判の顛末はだいたいのところは知っていたつもりでしたが、確かにこうして見るとワイルドはボジー親子の喧嘩に巻き込まれただけにも見えますね。気の毒ではある…でも、より多く愛した者が負けるのだ、という真理があるからなあぁ。そしてロスは舞台を降りて一番近いところで見る観客になることを選んだのだから、これ以上できることはなかったのですよ。せつないけど、仕方ない…業ですね。
 そうそう、『ドリアン~』と同等くらいに『サロメ』も扱われていたのに、こちらはタイトルには出ないんだなあ、など思ったりもしました。
 もう一組のキャストだと、また感じが違ったんでしょうね。おもしろい企画だとも思いました。『スリル・ミー』ふう? 高崎の大楽まで、どうぞ盛り上がりますように…










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『RUNWAY』

2024年12月30日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 KATT神奈川芸術劇場、2024年12月27日13時。

 宝塚歌劇110周年となる年に、100周年時の各組トップスターと卒業生計26名が集い織り成すスペシャル・エンターテインメント・ステージ。
 構成・演出/稲葉太地、音楽/長谷川雄大、高橋恵、振付/川崎悦子、原田薫、三井聡、大野幸人、若央りさ、装置/國包洋子、衣裳/十川ヒロコ、アンサンブル衣裳/大西理子。95分の全1幕。

 もちろんまゆたんもまさおもえりたんもちえちゃんもテルも観てました、みっちゃんもねねちゃんもひらめちゃんもれいちゃんも、るうさんからぶーけちゃんまで、全員思い出の舞台が語れます。それでも最初に企画を聞いたときには、そんなには惹かれませんでした。梅芸とタカラヅカ・ライブ・ネクスト(まだあったのか!)が仕掛けるOG公演って、観れば楽しいは楽しいんだけれど、なんというか思い出やファン心理を利用されているというか、ある種の搾取を感じて、積極的にはその祭りに参加したくない…という気持ちが私にはあるのです。芸能活動を続けているOGならその演目として観に行きたいのであって、OGであることのみに意義があるだけの公演なら、むしろ現役を観て応援する方に有限なりソースを割きたいかな、みたいな…
 ただ、はるこのところにチケットがお願いできたので、年末の平日だし取れるだろう、ととりあえず頼んでみたんですよ。そうしたらまさかのお断りで、ますますならいいや、と思っていたら、追加案内が来て、ダメもとと思いつつ再度申し込んだら今度はあっさり取れて…で、いざ梅芸公演が始まったらファンみんながみんな沸いていて、なのでまあまあ楽しみに出かけました。ケチってA席にしたら三階てっぺんでしたが、KAATの三階席は梅芸ほど舞台が遠くないし、ほぼセンターのお席をいただけて大変観やすく、コスパが良くてありがたかったです。
 で、エモエモのエモでした。まずはなんと言ってもいいメンツを集めたよな、という感慨がありました。トップ5人は当時もいろいろあったけど今もいろいろあって状況は様々だろうに、揃えないと意味がないですしね…みんなよく都合つけてくれたなあぁ。まさおとちえちゃんは組生え抜きで、あとは組替え経験があるからどこかで関わり合っていて、まゆえりは同期だし、ちえねねテルは星組でトップトリオだったわけですしね。さらに当時は専科で、その後ちえちゃんのあとの星組を継いだみっちゃんがいてくれて、つい最近やめたばかりの、むしろ110周年トップのれいちゃんがいて。ねねちゃんは100周年時のまさしくトップ娘役でしたが、ひらめの就任はそれよりずっとあとで、でもやっぱり組替え経験者なのであちこちと関わりがあるし…それがホントにバランス良く配分された、楽しく美しい公演に仕上がっていました。
 しかも単なるカラオケ公演になっていなくて、ダンスががっちりあるスタイリッシュなショーになっていたのが素晴らしいですよね。8年ぶりの舞台復帰となったまゆたんでなくとも、お芝居やミュージカルやテレビドラマに出ているだけではOGはこういうショー、ダンスってなかなかやらなくなっちゃうものだと思うのです。でもみんなさすがスイッチが入るのか、鮮やかでバリバリ動けていてたいしたものでした。もちろんアラが出ない細かい配慮がいろいろされていたように思えたのもツボでしたし、その上で「こんな組み合わせが観られるなんて!」みたいなエモがありました。そらみんな楽しいよネ!

 スタートはともに2番手退団した別格スターのあきらと愛ちゃんから。アンサンブルのみんなより少し飾りが多い黒のパンツスーツで、カッコ良く。並び出すアンサンブルもみんなちょっとずつデザインの違う黒のパンツスーツで、でも元男役も元娘役も揃いで、ロングヘアもいればショートヘアもいる、でもみんなバリッとカッコいいハンサムウーマンで、端から観ていってもみんなちゃんと顔がわかる! 芸名と愛称がすぐ言える! 胸アツなメンツでした。個人的には過去イチ顔が好きな(イヤ舞台姿や人となりも好きでお茶会行ったし会販の写真集も今でも大事に愛蔵していますが)ひびきちを久々に観られて嬉しかったです!
 で、メインメンバーは学年順でも就任順でもない、でもよく考えられた順番にひとりずつ出てきてポーズを決めて、まさしく「ランウェイ」。基本的には黒に組カラーが差し色になったお衣装での登場でしたが、ねねちゃんがでっかいピンクのリボンを付けていたためか(コレがまた素晴らしくザッツ・ネネユメサキなお衣装で、そら花組カラーのピンクを譲るしかない!ってなもんなんでした)、まゆたんはかなり赤に近いピンクで、みっちゃんも赤だったかな? 専科の色って白じゃなかったっけ、まあ微妙ですよね。そしてれいちゃんは水色でした。でもとにかくみんな綺麗! カッコいい!!
 まゆたんは、私はインスタは見ていましたけど結婚だの出産だの育児だのが大変なのか痩せちゃって、こういう顔立ちだと老けて見えるか貧相に見えるようになっているのでは…など案じていたのですが、失礼しましたお見それしました、発光していましたよ美しかったですよ! さすがのトップ・オブ・トップぶりだったと思います。まゆえりが最上級生としていて、でも在任期間6年の大トップだったちえがいて、でも100周年記念公演を任されたまさおもいて、それからするとちょっと控えめにしているテルがやっぱりスタイルがひときわ素晴らしくてゴージャスで、本当にバランスが良くて個性が違っていて、いい並びだったと思います。私が観た回はトークのキレっぷりがさほどでもなかったのですが、テル以外みんな関西人だそうでまあまあ毎回激しかったと聞きますね(笑)。当時は特出その他イベントもいろいろあったしタカスペももちろんあったし、フツーに交流があってみんな仲が良かったんでしょうしね。そういう空気がにじみ出ていました。
 それぞれが所属した組の名が歌詞に入ったオリジナル主題歌のあとは、まゆたんセンターの「I Gotcha」。オサのものとかが有名だと思うんですけれど、こういう芸風というか楽曲の扱い方、場面の作り方ってホントにザッツ花男!って思います。ここでまゆたんの両サイドでちえちゃんとれいちゃんが踊るという豪華さに、早くも目が潰れそうでした…!
 次がねねひらめセンターでバックが元娘役ズラリ、な「Bye Bye Blackbird」なのもたぎりました! からのまさおとえりたんがセンターを争い合うという小芝居付きの「El Cumbanchero」で、まあよくある振りというかコンセプトなんだけどこれは観ていてあまり気持ちがいいものではない気が私はしました。ふたりは上手くコミカルにやっていましたけどね、でもトップスターの座ってこうやって争うものではないからね…続くシャンソンメドレーもみっちゃんとえりたんとひらめ、さらにあきら愛ちゃんでセンター争いを続けながら歌い継ぐような場面だったので、なおさらそう思いました。
 からの「アシナヨ」がちえねねテルってのはもう、往時の星担号泣案件では…ちえちゃんは別に歌がことさら上手いわけではないと思うんだけれど、低音が聞かせるし、テルの歌の癖とかも懐かしすぎました…! 大河ドラマにしっとり出ていた人が! 今! こんなにゴージャスな舞台でこんなにノーブルに輝いてる!(笑)
 「ナイタンデー」はあきらと愛ちゃんで、アンサンブル全員が小粋に踊って。るうさんとみっきーにソロが一節あったので、ここもまた別格なのだな、と思うなどしました。続く「Unchain My Heart」はまさおとれいちゃんでこれまた素敵でした! まさおはフツーに歌が上手くてロックでパンチがあって、今やギャルな海外セレブマダムなはずなのにホントすごいよ…! ただ、まさおが歌ってれいちゃんが踊る、でもよかったかもしれない、とはちらりと思いました。なんせただ腕を上げるだけの振りみたいなのでも、並んでやると明らかにれいちゃんが魅せてくるのでね…
「Voila」は傘を持つえりたんと白いケープをはおるテルの、叙情的で雰囲気ある場面になっていて良きでした。そしてまゆたん、みっちゃんにねねちゃんが加わる「Too Darn Hot」ってのがまたよかったし、さらに「El Tango de Roxanne」のタンゴ! まさおの歌がちえれいを踊らせるのよギャー!!てなもんでした。
 日替わりトークコーナーを挟んで、組ごとのショーメドレーがまた熱かった! まゆたんセンターの「MUGEN DREAM」にバックは元花組子のあきら、しーちゃん、ほってぃでそらみんな嬉しかろうよ!とこちらもたぎるし、まさおの「TAKARAZUKA花詩集100!!」ではバックがるうさん、ひびきち、はーちゃん! えりたんの「My Dream TAKARAZUKA」にあゆみちゃんとひーこ、たわしにぶーけたん! ちえちゃんの「パッショネイト!」ドコドン、にねねちゃん、みっきー、はるこ、あんるちゃん! そして吐くほど観たテルの「フェニタカ」に愛ちゃん、かける、あきも、わんた! 愛ちゃんがここに元宙組子として出てくれて、爆泣きしましたよ私…!! みっちゃんの「エンタテ」、れいちゃんの現役感バリバリの「クルビ」! ねねちゃんの「セ・マニフィーク」はバックが全員男役、ひらめの「Fire Fiver!!」ドコドン、は全員娘役なのも、ですよね!って感じでした。そしてえりたんの「コンタカ」からのまゆえりの「CONGA!!」…まゆたんが歌い選りたんが踊る、号泣案件でした…!
 そしてプチ『オーシャンズ11』メドレーも熱かった! 星、花、宙組でやっているんでどこかで関わっている人が多いんですよね。まゆたんとちえちゃん、みっちゃんにねねちゃんにれいちゃん。ちえちゃんダニーからのまゆたんダニーへ歌い継ぐ「愛した日々に偽りはない」も胸アツすぎました…!
 ラストは全員で「青い星の上で」…星組の歌かもしれないけれど、コロナ渦でみんなで歌われる曲になりましたよね。ここは全員が白と金のお衣装になっていました。ねねちゃんとひらめだけがドレス。美しい構成でした…!
 大楽の配信も見ましたが、金テープが飛んで紙吹雪が舞って、バンドさんのサプライズもあって、ハッシュタグ付きで感想ツイート(ポスト、などとは言いません)がタイムラインにわんさと並んで、こういう感じも懐かしいし楽しかったです。やはり財産だよな、と思います。カテコにあった劇団への感謝とエールの言葉を、経営陣は深く受け止めてほしいと思います、本当に…!

 ランウェイとは、退団後それぞれが歩んできた道、そしてまたここから歩んでいく未来へつながる道、そうしたものを表しているんだそうです。結婚したり出産したり、小さなお芝居からグランドミュージカルまで、いろいろなお仕事があり生き様があるけれど、みんな輝いていて美しい、みんな価値がある…そんな元気がもらえました。いい公演だったと思います。いい観劇納めになりました。
 来年もたくさんの素敵な出会いに恵まれますように…!!!

※※※

 というわけで今年の観劇回数は153回でした。
 数え始めたこの15年間で最多だった去年から30回減り、コロナ渦直後の21年並みの回数となりました。ま、お金と時間が有限なので、もう一声減らして100回程度にしたいものではあります。
 宝塚歌劇では、なんといっても『BLUFF』だったかなあ。まあ再演ですし、別箱で小品でしたけれど、オリジナルだし、ハイ・クオリティだったと思います。本公演は…まあ『アルカンシェル』も『RRR』も嫌いじゃなかったけど、うーん…という感じだったかなあ。『ドン・ジュアン』も『BIG FISH』も海外ミュージカルでしたしね。
 外部だと『Tootsie』『オデッサ』『ハイロー戦国』『インヘリタンス』『王様と私』『サイボーグ009』『ナビレラ』『雨とベンツと国道と私』EMK『ベルばら』『9to5』『ピローマン』『ニュージーズ』『テーバイ』『ロボット』なんかがそれぞれ印象的でした。
 あとはナウシカ歌舞伎からこちら、つらつら勉強中の歌舞伎。『ヤマトタケル』から『天守物語』まで、ますます團子ちゃんのファンになった1年でした。ド古典はまだ全然わからないのですが…『朧の森に棲む鬼』は博多座まで観に行くので、そこで感想を書く予定です。
 来年の観劇始めは宙組大劇場公演の予定で、『SIX』は来日版も日本キャスト版も観ますし、みはるあやかマグコンなんて今から泣く気しかしないものも控えていますし、初めて人形浄瑠璃文楽(どう書くのが正解なのかもわからない…)に行くことにもなっています。初めてと言えば大阪松竹座に初めて行く予定にしていますし、『ミセン』『イリュージョニスト』『フランケンシュタイン』『1789』などのチケットが取れています。ラブネバボニクラが取れていなくて悩み中…キンキーも行きたいと思っています! 楽しみなのはかりんさんバウとらいとバウ。月組の『ガイズ~』はマジで大きく手を入れてくれることを祈っています…!
 東京はハコがなくて大変な年となりそうですが、どうぞ健康第一、安全第一で、観客のお財布に優しい、内容に似つかわしい料金で、良き演目がたくさん上演され、エンターテインメントの華が大きく咲きますよう、祈っています。

 今年はなんと言ってもソウルロンドン旅行が楽しかったですし、来年もどこか行けるうちにどんどん出かけていきたいです。
 仕事は、今の職場と業務に飽きていて、異動か担当替えを希望していたのですがどちらも叶わず…来年は何かいい刺激がもらえるといいなあ。
 謎の発熱があったりしましたが、基本的にはずっと健康で過ごせてよかったです。ジェルネイルのアレルギーなのか、指先が痒くなって皮が剥けるのは経過観察中。今年ラストネイルをヘマフリーで施術してもらったので、それで症状が出なければ…! また、暮れに突然右目がかすんですわ網膜剥離か?と焦った症状はその後ぐっと改善して、飛蚊症がやや残るくらいで済んでいます。超強度の近視で眼圧も高めなため、緑内障予防の点眼をずっとしていますが、このままなんとか視界をキープしたいものです。それはと別に、そろそろオペラグラスを新調したいな…
 人間ドックでも特にどこも引っかかりませんが、もう少し痩せなさい運動しなさい、とは毎度言われています。始めたピラティスは2年目に入りましたが、ヌルくて特に運動にも筋トレにもなっていないと思います…でも筋は伸びている気がして気持ちがいいので、懲りずに通い続けたいです。あと毎年言っている気がするけど社交ダンス教室通いを再開したい…! えいや!って申し込んじゃえばいいんでしょうけどね…
 まゆえりは十年後のショーではちゃんちゃんこならぬ赤いドレスを着ててっぺんに立つつもりだそうですが(笑。十年後なら還暦にはまだ間があるはずなのに…)、私も五年後の還暦は赤いドレスか赤姫の格好でもして、ひとりウェディング・フォトならぬひとり還暦フォトを撮りたいと思っています。それまでには、もう少し、痩せたいですね…
 天に星、地に花、人には愛を。災害のない、戦争のない世を願っています。自分ができることは微力でもしたいです。
 今年一年、ありがとうございました。良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いいたします、懲りずに読みに来てくださり、コメントなどいただけたら幸いです…!







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