駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇花組『ベルサイユのばら』

2014年06月29日 | 観劇記/タイトルは行
 中日劇場、2014年6月27日ソワレ。

 時は18世紀末、栄華を誇ったブルボン王朝は翳りを見せ始め、王妃マリー・アントワネット(蘭乃はな)の浪費による国庫の疲弊は深刻な事態に陥っていた。重税に喘ぎ各地で暴動を起こす民衆と宮廷の関係は日増しに緊迫の度合いを深め、国家の軍隊が民衆に向かって武力を行使するのも時間の問題であった。さらに宮廷はもうひとつ由々しき問題を抱えていた。アントワネットとスウェーデンの伯爵ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン(明日海りお)との道ならぬ恋である…
 原作/池田理代子、脚本・演出/植田紳爾、演出/谷正純。花組新トップスター明日海りおのプレお披露目公演、「フェルゼンとマリー・アントワネット編」。全2幕。

 基本的にはえりあゆの雪「フェルゼン編」を踏襲している感じでしたね。あゆっちアントワネットにもこれくらい出番を作ってあげてほしかったです…さらに上手く構成しなおして宙全ツ版に生かしてください、お願いしますよ!
 プロローグは小公子小公女から。カノちゃんさすがに顔が小さくて可愛いな。
 パペットで仮面舞踏会を再現するのは別にそんなにおもしろいアイデアではないと思います、もういいです。てかやるならちゃんとやってほしいよこの三人の出会いの場面は…蘭ちゃんは美しい。
 そこからフェルゼン登場、みりおも美しい。でも貴族Aのだいもんばっかり見てましたすみません。

 しかし何故みつるはルイ16世(高翔みずき)役ではダメだったのでしょうか。専科に組替えする餞としてド・ブロイ元帥(華形ひかる)という新しい役を作ってあげたつもりなのかもしれませんが、これが既存の貴族の台詞をちょっとずつ寄せ集めてしゃべらされるような役で立ち位置も意味不明なキャラクターで、軍服がやたら豪華なことがかえって悪目立ちする残念なことになっています。
 冒頭のユリカーテン前場面は雪組版ではニワニワが絶品の台詞回しでなんとか成立させていただけに、今回はつらかった…らいらいもブイエ将軍(夕霧らい)のニンじゃないと思うんだよねー。
 さおたさんの国王はよかったです。だからこそみつるにやらせてもよかったと思うし、なんなら農民の回想台詞で済ませている処刑の場面を新たにやらせてもよかったと思うのですよ…

 さてベルサイユ宮殿、深夜の見回り場面。デカいデカいと聞いてはいましたがキキちゃんのオスカル(芹香斗亜)はホントにデカかった…やはりちょっといろいろ問題な配置だったのではあるまいか…
 あとジェローデル(鳳真由)は何故リボンをつけることにしちゃったの? 旅装時はともかく、キャラクターに決められた髪形ってものがあるはずでは…貴族っぽくてよかったけれど、オスカルへの求婚とか「身を引きましょう」とかがない状態でのこの役は、なんだか意味不明で便利使いされて見えるところがありますね、不憫…宙全ツはあっきーかなあ…心配。
 オスカルはフェルゼンが潜んでいることがわかったからこそアンドレ(望海風斗)を先に行かせたのかと思ったのですが、違うんですね。遠近法がおかしな背景から現われるみりおフェルゼン…ヘンすぎてつらい。
 でもボート場面が復活したことは素晴らしい! 原作漫画にはない場面ですがフェルマリ編の華でありふたりの恋を描く貴重な場面です。雪組ではこれもやらずにすぐ別れ話にした老害演出家に呪いあれ。
 しかしここの蘭ちゃんは私にはなんだか…でした。というか意外と植田歌舞伎が似合わないのか? もしかしたらもっとリアルなお芝居をさせた方がいいタイプなのでは…なので『エリザベート』には歌はともかく期待がちょっと高まりました。しかしここは二幕のことを考えてやや浮かれた作りにしているのだとしてもなんかハートが伝わってこない気がしてしまいました。残念。
 続く国王のお散歩場面、コンパクトにやってもらえればあるべきいい場面だと思います。国王夫妻のねじれた関係と、王妃とフェルゼンの不倫の理由が語られる訳ですからね。
 しかしオスカルがフェルゼンを事前に諌めているのだから、メルシー伯爵(英真なおき)の説教場面はカットしてもいいのではなかろうか…ジュンコさんとみりおの芝居のよさもあってだいぶストレスが軽減されていましたが、とはいえ台詞の非論理性ははなはだしく耐え難いです。でもどうやら老害演出家のお気に入りの場面っぽいですよね、少しも早くなくしてもらいたいよ…

 ジャルジェ夫人(梅咲衣舞)のイブちゃんがが意外にもしっとりと上手い! オルタンス(花奈澪)のなみおが意外にもしっとりとしてイイ!
 ベルナール(大河凛)はがりんちゃん、優しげでよかったかな。ロザリー(花乃まりあ)はしっかりしてそうでこれもいい感じ。しかし「マスコット」発言はまだ残っていました。少しも早く以下同文。
 お別れ場面を挟んでまたカーテン前、貴族たちの中ではくみちゃん、ユキちゃんがさすがに美しくて声もよくて目立ちました。
 一幕ラストは宮殿の大広間。うーん、えりたんの方が説得力あったかなあ…すみませんが私は実はみりおのことは好きでも嫌いでもなくて、実は今回あまり真ん中力とかスター性を感じなかったんですよね。まあちょっと『ベルばら』に疲れてしまっていたのかもしれませんが…心配していたほど悪くもなかったけど、可もなく不可もない印象しかなかったのでした、すみません。

 二幕はマイナー曲調の小公子小公女からスウェーデン花祭りへ。だいキキにバイトさせなきゃいけないくらいなんだったらこの場面いらなくない? 下級生のためのダンス場面ってほどのものじゃないじゃん…というかバイトさせなきゃ出番がなくてマズい、みたいな構成になっていること事態がマズいんですよ…
 期待していたソフィア(桜咲彩花)がまた普通だったな、残念。
 パリ市街はまたバイト祭り。まあここは仕方ないかな…
 でもそれでもうすぐ橋の場面ですよ、「今宵一夜」がナシですよ。雪組でも特出のときには毒殺場面がなくて、それでも話はまたつながらなくもないですが、今宵一夜がないとオスカルがフェルゼンからアンドレへいつ心を移したのかさっぱりわからないじゃないですか。せめてジェローデルの台詞に足したら?
 というか、不要な場面を削ったら今宵一夜の分の時間くらい作れるでしょう。主役ふたりに関係ない場面とはいえもはや宝塚の『ベルばら』と言ったらこれが白眉なのではないの?
 というか、スターの配置がとか比重がどうのこうのとか言うならいっそ、アンドレをなくしたらよかったと思います。それなら今宵一夜がないのも仕方がないと納得できます。『ベルサイユのばら』ではマリー・アントワネット、フェルゼン、オスカル、アンドレの四人が主要キャラクターだと思いますが、百歩譲るならアンドレは一段落としてもいいと思うのです。これは同じ年に生まれ、仮面舞踏会で運命の出会いをした三人をめぐる物語なのですから。
 だからアンドレをなくしてオスカルをだいもんにして仮面舞踏会での三人の出会いからきちんとやってなんならオスカルの女装場面もやって、アントワネットとの友情と別離も描いて、でもアンドレの存在は台詞で語りバスティーユで散り牢獄と断頭台で終わる…とつなげれば、かなり上手い原作のダイジェストになると思うのです。長い原作のどこをどう切るかには果断が必要でしょう。でも今宵一夜カットはナイ!

 チュイルリー宮殿での場面が復活したのは嬉しいです。母性あふれるあゆっちアントワネットにこの場面をやらせなかった老害演出家に呪いあれ。
 しかし子供を取り上げられるくだりは何故原作どおりにやってくれないの? 公安委員たちがよってたかってアントワネットを殴り足蹴にするのは観ていて不愉快ですし、高貴な身分の女性に彼らが手を上げるなんておかしいんじゃないかなあ。アントワネットがかわいそうなのは殴られるからじゃなくて子供を取り上げられたからでしょ、そしてそれは彼女が彼らの子供を失わせる原因になっていたからでしょ? No More原作改悪!
 フェルゼンの歌を挟んで再びパリ、またまた意味不明場面が新登場。どうやらヴァレンヌ事件にあたるらしい脱出計画をド・ブロイとベルナールが計画していてロザリーが止めるやりとり、まったくもってなっていません。
 まずこの時点で国王はすでに処刑されたことになっているのでしょうか? でもだとしたら脱出させるべきなのは王妃ではなく王太子です、王統を継ぐのは彼なのですから。王妃は外国人の嫁にすぎません。あとベルナールを「偉い人が頭下げて頼んできたから主旨を曲げて助けてあげよう」なんてことで行動するアタマ悪い男にしないでくださいお願いだから! 宙全ツにあったらマジ呪う!!
 雪組で増えた国境警備隊との謎のやりとりがなくなったのはめでたいです。二度と復活させないでいただきたい。馬車のフェルゼンに短鞭ではなく追い鞭を持たせる日は決してこないのでしょうか…あれで馬の尻に届くと思っている労害演出家はマジで脳味噌が溶けているに違いありません。

 牢獄場面はさすがによかったのだけれど、蘭ちゃんが気品と気迫あふれる芝居をしていただけに、立ったままスープをすするお行儀の悪さがことに気に障りました。このくだり、原作ままでいいんじゃないかなあ。
 それとメルシー伯爵が来ると朝鳥が鳴くのはなんなの朝になったってことなの? さっき夕食のスープをすすったのに? あの効果音、必要??
 フェルゼンを止めるロザリーが太ももに腕を回すのってなんかいやらしくないですかね? 腰のあたりをひっぱるんじゃダメなの??
 でも断頭台はよかった! 階段数が少ないために壁に映った光がギロチンの刃のようで、泣けました! セリ下がるみりおも美しい、立ち去る蘭ちゃんの背中も美しい!

 フィナーレの「愛の柩」のデュエダンはえりあゆとまったく同じ振りでも雰囲気がまったく違っていておもしろかったです。新トップコンビのプレお披露目、おめでとう! オマージュも素敵でした、だいもんしか見ていませんでしたが。
 ユキちゃんのカゲソロとエトワールは絶品でした。新公エリザやらせてあげたいなあ。
 というワケで宙全ツが『ベルばら』苦行のラストだと信じたい…客入りがよかろうがやはりこればっかりやってるのは問題ですよ、しかも改訂が全然なってないんだもん…
 神様、もっとちゃんとした『ベルばら』が観たいです…(ToT)


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

2014年06月29日 | 観劇記/タイトルか行
 シアタークリエ、2014年6月25日マチネ。

 物語の舞台は1960年代のアメリカ、そして世界中のあらゆる都市。マイアミ国際空港でFBI捜査官のカール・ハンラティ(今井清隆)はある男を追い詰めていた。男の名はフランク・アバグネイルJr.(松岡充)、16歳から21歳になるまでに250億ドル異常を稼ぎ出した天才詐欺師だ。空港の客を前に、フランクJr.はまるでテレビ・ショーのように自身の人生を語り始める…
 脚本/テレンス・マクナリー、音楽・編曲/マーク・シャイマン、歌詞/スコット・ウィットマン&マーク・シャイマン、翻訳・訳詞・演出/荻田浩一、振付/港ゆりか、美術/島次郎。実話を元にした同名のアメリカ映画を原作にしたミュージカル、2011年ブロードウェイ初演。全2幕。

 フランク・ママであるポーラ(彩吹真央)のユミコとヒロイン・ブレンダ(新妻聖子、菊地美香のダブルキャスト)の聖子ちゃん目当てで行きましたが、スタイリッシュで楽しい舞台でした。
 舞台の平場にオケ入れて、奥に階段作って、ショー・ステージみたいな構造で、がっつり芝居というよりたくさんの楽曲で事実は小説より奇なりを地でいく主人公の半生を楽しく華やかに見せるレビューでした。
 松岡くんは歌詞がやや聞き取りづらいのが難ですが歌は上手く、このキャラクターにもぴったり。かなり出番の多い役で大変だったと思いますが鮮やかでした。
 今井さんは確か代役だったのではなかったでしたっけ? 圧倒的存在感で歌い踊りこれまた役にぴったりでした。
 二幕まで出番のないブレンダは大曲「Fly,fly away」でそれまでをひっくり返すようなポジションで、芝居っ気たっぷりに心こめて歌い、しかし割れたりがなったりすることが決してない抜群の歌唱力にシビれましたし泣かされました。
 ユミコはフランスからうっかりお嫁に来てしまった娘さんがそのまま母親になった感じのキャラクターで、一幕のてれんとしたホームワンピも二幕のマダムなドレスも素晴らしいスタイルで課的に着こなしていてさすがでした。
 ハンラティの部下三人がもっとスリー・アミーゴーズっぽく機能するとよりおもしろかったのかな。もっと癖のあるお衣装を着せてもおもしろかったかも。三人とも芸達者なのに埋もれがちでキャラの立たせ方もあいまいで残念。
 総じてアンサンブルがよく活躍していて、その意味でも楽しいショーでした。現実には本当はもっといろいろあるのかもしれないけれど、まずはハートウォーミングなオチと締め方にも感心しました。おもしろかったです!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宝塚歌劇宙組『ベルサイユのばら』

2014年06月29日 | 観劇記/タイトルは行
 宝塚大劇場、2014年6月1日ソワレ。
 東京宝塚劇場、2014年6月24日ソワレ。

 1755年フランス、ベルサイユ宮殿にほど近い貴族の屋敷にひとりの女児が誕生した。その名はオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(凰稀かなめ)。代々フランス王家を守る役目を担ってきたジャルジェ伯爵家の六女として生を受けたオスカルは、跡継ぎたる男児誕生を待ち望んでいたジャルジェ将軍(汝鳥礼)の意向により男子として育てられることになる…
 原作/池田理代子、脚本・演出/植田紳爾、演出/谷正純。1974年初演の作品の新たなる「オスカル編」。全2幕。

 大劇場でBパターンを、東宝でAパターンを観ました。
 ほぼ新規となっている一幕がことに苦痛でした。製作発表で植田先生が「オスカルの誕生場面からやります」と言ったときにそんなことよりやるべき場面はたくさんあるだろう、と多くの人が思ったと思いますがそんな思いは届かなかった訳で、またも飛ばしたペガ子に関してもそんなことより以下同文、だった訳で…
 唯一、三部会場面には期待していたのですが、またしても改悪でした。何故、原作漫画のとおりにやらないのか? だったら新たな場面なんか作ってくれなくていいです、改悪され凌辱される原作パートが増えるだけです。だったら触らないで、ほっておいて!
 キャラクターの感情が綺麗に流れていないし、会話は行き違っているし理屈が通っていないし、観ていて本当に気持ちが悪いです。混乱するし共感できないし困惑する。何が進んでいるのか皆目わかりません。
 まだ宝塚歌劇観劇歴の浅い同伴後輩が、「よくあんな脈絡のない、支離滅裂な台詞を覚えられるな、宝塚の生徒って本当にすごいな、と思いました」と本気で感心していたのが印象的でした。まったく同感です。生徒にはまったく罪はなく、むしろ健闘しているのですが、しかし台詞は覚えづらかったろうと思いますし、何よりあの脚本ではいゆる役作りができなかったのでは? 普通に考えるとこう言われてこう返すこの人アタマおかしい、となってしまう役の感情を作って演じなくてはならないなんて、疲れるだろうなあ…まあこっちもがんばって補完したり脳内で上書きしたりしてなんとかつなげて観ているんですけれどね…
 こんな無用なストレスを観客に与える演目、なかなかないです。老害演出家には本当に少しも早く引退していただきたい。「少しも早く」が「少しでも早く」になったからってなんの意味もない。というか今に至ればそれはむしろ改悪です、「少しも早く」には味があったしゆかしさがあった。そのままでいいところはたくさんあるし、すべてを原作どおりにしろと言っているのでもないのです。ただおかしいところを直してくれて言っているだけなのです。全国ツアー版に期待します。また裏切られるであろうと思いつつも期待し観に行くことはやめないし、どこがどうおかしいのか訴えることもやめません。ここで書くだけでなく送りつけてますから!

 というワケで気が遠くなる第一幕、楽しいのはプロローグだけかなー。
 そらくんの小公子(和希そら)、カワイイ! 小公女はそろそろもう少し下級生に下ろしてもいいのではないか、とちょっと思いました。Wトリオも特に娘役メンバーが変わり映えしないし、宙組プロデューサーは本当に若手を育てるのが下手だと思います。ファンとして不安。
 一応二番手であろうところのまぁ様と別格二番手であろうところのキタさんでアンドレ(朝夏まなと、緒月遠麻)を役替わりしていることもあり、続くプロローグの士官Sも役替わり。むむう。すみませんあっきーしか見ていません。でもやはりまぁ様に華があったなあ、でも単に好みなだけかもしれませんすみません。
 テルは大階段に板付きで登場、ザッツ・主役!という感じでいいですね。バラの淑女Aではれーれの娘役力とタラちゃんの麗しさが目を引きました。ゆうりちゃんは美しい、せーこは落ち着いていて上品。なので今回、あおいちゃんとかえつ姉はワリ食ってるよね…
 バラの淑女Sのみりおんはもちろん達者で愛らしい。なんでもできるんだからもっとやらせてあげてくださいよ、と心底思います…

 で、まずはジャルジェ家の居間。大劇場プログラムで「春」となっていたのは東宝版では修正されたのでしょうか。オスカルの誕生日はクリスマスですよ、今にもツリーが飾ってありますよ。それともクリスマスから年明けまで含めて「新春」ってアレなのか?
 で、娘役ちゃんたちの出番を作るためにこういう場面が必要だ、というのはわからないでもありません。でもだったらジャンヌとかポリニャックとかシャルロットを出せばいいんですよ、なんといってもアントワネットを出せばいいんですよ。何度も言いますが『ベルサイユのばら』のタイトルロールたる「ベルサイユのばら」とはマリー・アントワネットのことです。この先どんなに素晴らしく出来のいい「オスカル編」が作られたとしてもアントワネットが出ていないという一点において私は絶対にこれを認めません。
 オスカルの一生にフィーチャーして新演目を作るにしても、オスカルの周りにいる女性キャラクターで重要なのは姉たちではまったくない。彼女たちは原作漫画でも名前すら出てこないのですから。かつて宝塚版では記号にしかすぎませんが彼女たちに名前を与えてきました。それを今回なくした、それくらいどうでもいいキャラクターであると認めつつ何故その役に貴重な娘役陣を配すのか? 侮辱です、横暴です。他の女性キャラクターを使ってオスカルとの関係性を描いてこその「オスカル編」でしょうが!
 確かにここのホームドラマにほのぼのとした笑いは客席からも起きていますが、一方でつらい子役の学芸会的空気に対する失笑も起きているのですよ。つらすぎる…
 「♪兄弟が生まれる」と歌っているだけで「妹が欲しい」などとは言っていない娘たちに対して「妹が欲しいだと! 女なんかいらん!」とか怒り狂って乱入してくるジャルジェ将軍にも萎えます。というかそろそろゆうちゃんさんに飽きました…ジャルジェ将軍を演じるにはお年を召しすぎましたし体型が丸くなりすぎました。原作漫画どおりのロマンスグレーの素敵中年紳士が見たいです…
 男として育てる、と語らせるのはいいんだけど何故神様との勝負を一方的に始めさせるの? キャラクターをストーリーテラーとして使うのは作劇場アリなんだけど、なんでもかんでも語らせるのはおもしろくないし、脚本家のアタマの悪さをさらけ出すだけですよ? 一幕のジャルジェ将軍の活躍(?)っぷりははっきり言って異常です。

 もんち演じる小オスカル(星吹彩翔。「少年時代」となっているのも東宝版では修正されたんでしょうね!?!?!)の場面もひどい。14歳が木刀ならいざしらず木の枝まんまの棒切れで訓練なんかするか! ここの原作場面はそんなの持ってないじゃん、何故変更するの? そんな子供にどんな特別扱いしても王太子妃の近衛士官なんか任せられませんよ。それにオスカルは部下が欲しいとか早く大人になりたいとか騒ぐおこさまな性格のキャラクターではありません。この場面で何が描きたいんだ労害演出家は? だったら宝塚オリジナルですが以前からある、小オスカルと小アンドレが剣の稽古して木の向こう通ったら大人になって出てきて…をやった方が100万倍いいです。
 そもそも二番手格のキャラクターとなるはずのアンドレの扱いが一幕でこうも低いのは何故なの? 二番手格スターのまぁ様がジェローデル(七海ひろき、朝夏まなと)を演じるパターンもあるのでオスカルの周りの男性キャラクターをなるべく同格に、という悲しい配慮なのか? だったらアラン(緒月遠麻、七海ひろき)にだってもっといい、もっとやるべき原作の名場面がありますよ?
 それからアントワネットを出さないためにトップ娘役にロザリー(実咲凛音)をやらせていますが、だったらベルナール(蓮水ゆうや)の黒い騎士エピソードをやるべきですよ。オスカルとの縁も浅からぬものがあるのに…ぶつぶつ…

 衛兵隊の場面は「なんだその格好は!」と言われるわりにまったくきちんとした格好をしていた衛兵隊士たちの演出に不満タラタラでしたが、東宝ではこの台詞を変更するのではなく衛兵隊士の服装や髪を乱れさせました。正しいぞもっとやれ、というか早くやれ。そもそも今までは荒くれ格好でやってきただろう、何故変えた? 改悪No Thank Youですマジでいらない。
 アルマン(愛月ひかる)の愛ちゃんがよかったのはもちろん、ヴェール(蒼羽りく)のりくくんもカッコよかったなあ。愛ちゃんの単独バウ主演で差がつけられちゃったけれど、がんばってほしいなあ。
 でもここのブイエ将軍(寿つかさ)とのやりとりはまたちまちま手が入ってますますワケわからなくなっている気がしました。オスカルの上官はブイエなのではないの? ブイエはオスカルの頭越しにオスカルの部下に命令できないのだとしても、オスカルには命令できるのだし、そのオスカルが命令に従わないのは軍人としてありえないんだからここのやりとりはおかしいですよね? どちらに正義があるかとかそういうことじゃないんですよ、そもそも軍隊に正義なんかないのは正気の人間ならみんなわかってるので。オスカルをアタマの悪いキャラクターみたいに見せかねないこのくだり、改善できないならカットしてほしいんですけどマジで。
 あと「茶坊主」、フランス人が言う言葉かとかいうことより、使い方として間違っていますよね? もうヤダ…
 続くロザリーと画家(風羽玲亜)、ル・ルー(すみれ乃麗)やオスカルの姉娘たちとのカーテン場面がまたしんどい。セットチェンジやスターのお衣装替え時間のために必要なのだとしてもつらい、脚本・演出の芸がなさすぎる。

 そして国民会議の会議場が封鎖されているくだりの新場面。誰がどこの立場で何を言っていて何をしようとしているのかまったく理屈が通っていなくて唖然…ロベスピエール(澄輝さやと)をひたすら愛しく見守ることしか楽しみが見出せません。またまた乱入してくるブイエ将軍とまたまた不毛なやりとりが展開されるし…
 あとダグー大佐(凛城きら)は期待していただけに私の印象にはそんなに残らずに残念でした。雪全ツのまなはるが出色だったなあ。

 オスカルを叱責するジャルジェ将軍に対しアンドレが反抗するくだりも今回初めて加わったわけですが、せっかくの名場面もあの謎のポーズで台無しです…何故原作どおりの体勢ではいけないの? 舞台でやるには地味すぎるということなら離れた位置でナイフをかざすんでもいいよ、でもあのポーズはナイ。
 肖像画のことは…もういいです。でもとりあえず馬の肩はあそこではないから翼が肩甲骨から生えるのだとすればペガサスの翼はあそこにあるべきではないし、馬に乗る人が脚をあんな位置に置くことはありえません。乗り手の安全性を考えているのでしょうが遊園地の動物の乗り物に乗っているかのようで泣けましたよ感動の涙じゃないんだよ…
 テルのいい笑顔は輝くばかりで、さすがだなあとそこには感動しました。それでこそスターだ! だからこそもっといいホンを与えてやってくれ劇団!!

 第二幕プロローグ、マイナー曲調の小公子小公女の歌も好きです。
 衛兵隊士とオスカルとのやりとりはオスカルの軍人らしからぬ反抗っぷりが尾を引いて部下たちにまで疑心暗鬼を生む始末。ひどいわー。
 そこでオスカルとジェローデルの結婚話を聞かされる形になってアンドレが毒殺に及ぶ流れなのはまあスムーズかな。前回くらいからなくなったオスカルの「そんなに思いつめていたのか…」が今回もないままだったのには一安心。もう封印してください、二度と復活させないで!
 続くカーテン前場面も下級生たちの出番のためとはいえ、衛兵隊士のその家族たちが何をどう心配しているのか混乱していて観ていてとにかく気持ちが悪いです。東宝ではここにアランの謎の告白が加わっていますがサッパリ意味がわかりません…
 アンドレの目の悪さがアランたちに知られる場面、恥ずかしい匍匐前進のくだりがなくなったのは数少ない改善点のひとつです。男たちの熱い芝居はよかったわ。
 アランに新曲を増やすのはいいんだけれど、オスカルは「白ばら」なのに何故「蒼きバラ」と歌わせるの? あと「Pale Rose」は英語読みならペール・ローズ、フランス語読みならパール・ロゼでは? 何故「パール・ローズ」と歌わせるの??

 ロザリーがオスカルを訪ねてくる場面はこの間の月組版から増えたんでしたっけ? 無理やりだよね…夜が遅かろうがなんだろうがそう頻繁には会えない相手を「話は後だ、まずはお帰り」とか言ってさっさと帰そうとするのはおかしいじゃん、その「後」っていつなんだよ無責任だなオスカル、ってなっちゃうでしょ? こんな台詞書くなよホント…
 ちなみにここのテルみりにはカップル感も百合ユリしさも姉妹感も感じなかったなあ…寂しいなあ…
 いわゆる「今宵一夜」はまぁ様アンドレ相手のテルの方が色っぽかったと思いました。というか色気ありすぎてオスカル処女じゃナイ感すらあった(笑)。歌い終わった後にくたっと倒れる感じがヤラしくてねえ、誘ってる誘ってる!って感じでねえ、そらまぁ様も惹き寄せられるよねえ、って感じで…イヤよかった全力で褒めてます。ふたりセットだとやはり雪特出のチエテル版がよかったとは思うのですが、今回もサッと締まる幕が憎かったね!

 パリ市街に入ってからのオスカルの台詞もいつまでたってもきれいに流れるよう改善されないのが本当に不満なのですが、生徒の熱演はさすがでいつもじんわりさせられます。その前か、確かちゃぴロザリーが言わされていた「お母さんたちは気をつけて」みたいな台詞がなくなったのも数少ない改善点です。二度と復活以下同文。
 雪全ツでジェローデルがオスカルを平手打ちするのがなくなった改善が今回も踏襲されていて一安心。二度と復活以下同文。
 アンドレ絶命の際にオスカルを押しとどめているジェローデルは、黒子に対するタイプもいると思うのですが、カイちゃんはアンドレの歌が聞こえていて状況を察していて無念…!みたいな芝居をしていて、胸つかれました。
 そこからのテルの「シトワイヤン!」の、一度低く潜ってまた上昇させるイントネーションがすごく好き。「行こう!」で拍手を入れるのって歌舞伎チックで私はいつも少し気恥ずかしく感じでしまうのですが、テルオスカルだと自然に手が叩けます。
 でも天国は…馬車はなくてもいいけどアンドレが待っていてくれてもよかったんじゃないですかね…新曲はいい歌詞ですけれどね…しょぼん。

 フィナーレはテルが全編オスカル仕様、つまり男役芸完全封印というのが賛否両論あったようですが、東宝Bパターンの黒燕尾は男役でいきそうだというじゃないですか! えーそれも見たかった!! 確かに「薔薇のタンゴ」は原点回帰で初演のオスカル・バージョンで、というのはおもしろかったと思いますが、男役をまったく一公演見られないのも寂しいですからね…
 キタさんまぁ様と踊るデートリッヒみたいなテルの女役も妖しい魅力でよかったのですが。
 エトワールはみりおん。こういう扱われ方は本当に不憫です…

 というわけで以下ざっと生徒について。
 テルは本当にリアルオスカルで美しさと三次元化能力の素晴らしさが圧倒的でした。「愛の巡礼」のあとだったかな? 下手花道にハケるときに身を抱くようにしてマントを抱きつけて、その手がそっと頬の涙を拭う仕草をするのがいじらしかったです。サヨナラ公演にやりがいのある素晴らしい役が来ることに期待!
 みりおんは実力を発揮する場が与えられないのが本当に不憫。全ツに期待。去就はどうなるのでしょう…
 まぁ様はアンドレもジェローデルもよかったわ、美しいわ華があるわ好きだわ。歌はさらにがんばっていただきたいわ。
 キタさんはアランの方がよかったかなあ、地味なアンドレに思えました。
 逆にカイちゃんはジェローデルの方がよく思えました。アランの荒々しさがなかった気がします。なんにせよ歌はもっともっとがんばってほしいです。そろそろバウ単独主演とか背負わされますよね? 頼むよ!
 ちーちゃんも熱演でしたね、スチールが素敵だったなあ。ロベスピエールも脇の上級生がやる老け役路線になっていなくてよかったです。
 ともあれ全ツをラストに宙組に植田担をやめさせてあげてくださいよ、ショーをやって下級生を育てないと本当にマズいって!
 型芝居を学んだところでやる次の本公演に本当に期待しています。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の言葉

2014年06月21日 | MY箴言集
共に同じ望みを掲げ、共に苦労をする仲間がいれば、もうそれだけで人生は幸福だ。

        朝井まかて『すかたん』(講談社)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『オーシャンズ11』

2014年06月21日 | 観劇記/タイトルあ行
 シアターオーブ、2014年6月16日マチネ。

 4年間服役していた天才詐欺師ダニー・オーシャン(香取慎吾)が仮釈放となるその日、妻テス(観月ありさ)の弁護士が離婚届を手に面会に訪れた。テスはラスヴェガスのホテル王テリー・ベネディクト(橋本さとし)の元で歌手としてスタートし、ダニーとは別れる気であるという。テスはベネディクトの新しい恋人だとも噂されており、今でもテスを愛しているダニーは衝撃を受けつつ、ある壮大な計画を思い描く…
 脚本・演出/小池修一郎、作曲・編曲・音楽監督/太田健、美術/松井るみ、振付/桜木涼介、YUSUKE、衣裳/有村淳。2001年公開の同名のアメリカ映画を2011年宝塚歌劇星組でミュージカル化、13年花組にて再演、その新バージョン。全2幕。

 星組版の感想はこちら、花組版の感想はこちら
 どちらも2回ずつくらいしか観ていませんし、まあ楽しかったな程度の感想しかなかったのですが、ラスティー役の山本耕史のファンだし、ダイアナ(霧矢大夢)をきりやんがやるというのでいそいそと出かけました。
 暗い中セリ上がったダニーの姿に、ああそういえばオケピから銀橋に出たんだっけ、まんまやるんだなと思い、囚人服がもこもこだったので引き抜いてスーツになるのねとワクワクし、なっても拍手が入らないのでああ宝塚とは違うのねと思い、振り付けが違うオープニングもバリバリ踊る男優陣がカッコよくてああいいじゃん!と盛り上がり、やっとシメに拍手が入れられて満足し…
 で、結局はぶーぶー言うハメになりました。
 比較して観てしまうのがいけないのかもしれません。しかしあえて言いますが私は星組版も花組版もそんなに入れ込んで観ませんでしたし、そういう意味では冷静に観られているつもりです。
 その上で言う、主役ふたりがひどい。
 シンゴちゃんはプログラムで、当初は宝塚版を強く意識しすぎたそうで(これがなくてももともとファンだもんね? よく日比谷でお見かけします)、男役みたいにカッコよくやろうとがんばりすきで苦労した、でもヘンに作らなくてもそもそも男なんだから、ということに気づいてからは楽になった…みたいなことを語っているのですが、役は作らなくちゃ役にはならないんですよ。あなたがただ舞台に立ってもそれはただのカトリシンゴでしかなくて、ファンにはそれでいいのかもしれませんが、演目を観に来ている人にとってはただのトウが立った青年ないしなんかもっさりした中年男にしか見えません。ダニーに見えない。そんなのダニーじゃない。
 歌は上手かったですよ? でも音程がきちんと取れている歌が聞けたからってハートが伝わらなきゃ意味がない。役が役の感情を歌っているからミュージカルの歌には意味があるんだよ? でなきゃ突然歌い出すワケないでしょ? カトリシンゴの歌が聞きたいならSMAPのコンソートに行くよ、カトリシンゴが見たいならテレビを見るよ。でも私たちはダニーとテスの物語が観たくて劇場に行ってるの! ダニーになって見せてくださいよ。
 シンゴちゃんのダニーは笑いもしません。クールでニヒルなキャラクターってこと?と思うと別にそうでもなさそうで、ただなんとなくめんどくさそうに動いているだけで、本気でやっているように見えませんでした。この人ホントに妻のことが好きなの? ライバルに妬いてるの? 自分の技量にプライドがあるの? 仲間のことを大事に思っているの?とハテナマークが私の脳内に飛び交いました。真情が見えない、性格が見えない、キャラクターとして魅力がわからない。物語の主人公としては完全に失敗していると私は思いました。
 演じること、まったく別の人格になりきることが楽しくないのなら役者なんかやらずにタレントでいればいいと思います。残念ながら私はショースターとしての魅力も感じなかったけれど、それは私に見る目がないせいなのかもしれません。
 でもとにかくこれだけは言う。ダニーじゃなかったし、主人公失格でした。
 観月ありさの在り方は、また違ったかな。シンゴちゃんはあれでいいんだと思ってやっている感じだったけれど、観月ありさは単に下手なだけ、スキルがないだけ、キャリアがないだけ…というふうに見えました。
 タカラジェンヌを見慣れている目にもびっくりの顔の小ささなんだけれど、でもじゃあものすごくスタイルがいいかと言うとそんなことはなくて、まず姿勢が悪くて立ち居振る舞いの訓練ができていないからどこからどう見ても美しい!という身体が作れていないし、そもそも身体が絞れていない。あんなに足が長いのに何故あんなにヒールが低い靴を履くの? 綺麗じゃないじゃん! 相手する男優はみんなそこそこタッパがあるし、たとえ女優の方が背が高くてもちゃんと女に見えますよ宝塚の男役と娘役じゃないんだから。ヒロインには綺麗でいる義務があるんです、そのことに対しなんの努力もしていないように見えることにまず腹が立つ。テレビで美人だろうがそんな無防備にノー・テクニックで板に立って間が持つもんじゃないんだよ舞台ってのは! イヤ出たことないから知らないんだけどね、それでもね。
 たとえばアンサンブルのスリー・ジュエルズ、エメラルド(真瀬はるか)にいまっちがいましたが、正直路線とも言い切れないうちにやめちゃったOGですよ。でも全然訓練ができていた。いつ見てもどこから見てもキュートでセクシーで可愛らしく、キビキビと動いていて気持ちがよかった。普通にヒロインができますよ。舞台役者ってこういうことだと思います。
 歌は上手かった。ねねちゃんより蘭ちゃんより断然上手かった。でも何度も言うけれどあなたの歌が聞きたいならCD買いますよ、違うのテスの歌を聴きたいのよ、テスの想いを歌に乗せてほしいのよ。それがミュージカル女優の仕事です。
 テレビや映画などの映像の役者が舞台にチャレンジしたがることは最近多いけれど、そして私もいくつか観ていますが、こんなにもすごい失敗例はなかなかないな…というくらいあきれました。
 もしも原作映画をまったく知らず、ヤマコーやさとっさんが出るから、小池先生の作品だからというだけで観たミュージカル・ファンがいたら、あきれたと思います。というかなんの話かわからなかったんじゃないかな? ダニーは詐欺師なんだかよくわからないし、ダニーとテスとベネディクトの三角関係のラブストーリーだとも思えなかったのではないでしょうか。そんな恋心が表れていませんでしたからね。
 ああ、つらかったわ…

 というワケで山本くんは上手いしさとっさんもいい仇役っぷりでした。きりやんは完全に役不足ですね。楽しそうにやっていて圧巻でした。坂元さんもフランク莉奈ちゃんもさすがでした。
 以上終了。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする