明治座、2019年9月24日12時。
昭和34年。日韓併合後の釜山の街で生まれ育ち、夫婦となった海野俊之(博多華丸)と千代子(酒井美紀)は、第二次世界大戦後に命からがら日本に引き揚げ、博多で食料品店「ふくのや」を営んでいた。青春時代に釜山の市場で食べた思い出の味を博多で再現しようと明太子作りに奮闘しながら、従業員たちや町の人々らと貧しくも賑やかな日々を送っていたが…
原案/川原健、企画原案・監修/江口カン、脚本・演出/東憲司。ふくや創業者夫妻をモデルに2013年に製作されたテレビドラマをもとに、2015年博多座で初演。2019年に「未来永劫編」として再び博多座で再演されたものの続演。全2幕。
博多座からの続演も納得で、明治座って博多座と似ていていいですよね。あんなふうに街中にはないし客席までの導線も一階分多くて微妙だけれど、ロビーの売店の賑わいとか、観客の年齢層の高さや着物姿の女性の多いこと、ストプレもミュージカルもやらないこたないけど演歌歌手の座長公演が似合う空気、花道と、こういう劇場の在り方もいいよな、と久々に来てしみじみ楽しみました。
お芝居も、斬新さとかはまるでない、紙芝居形式なんだけれど、それこそ上手く花道が使われていたし、緞帳をスクリーンにして映像を使うのなんかは楽しかったし、ちゃんと盆が回っての舞台変換もありましたし、なんなら大空さんパートはちゃんとミュージカルでした。楽しかったです。
辛子明太子がこうしてできたものだとは知らなかったので単純に勉強になりましたし、いわゆる戦後の細腕繁盛記ものというか人情ものというかで本当にベタベタな芝居なんだけれど、よくできているしおもしろいし笑って泣けました。古いとかではなく、永遠の、不朽の真実が描かれていました。家族とか、人情とか、努力とか、信頼とか、希望とか、幸福とか、平和ということです。改めて、大事にしていかなければいけないことだよな、と思いました。ことさらに言わなければならない時代になりつつあることがむしろ悔しいです。
さて、ところで大空さんはいわゆるマドンナ枠なんだと思うんですが、どういう起用だったんでしょう(オイ)。イヤなんかもっとわかりやすく若くて美人な女優さんでなくてよかったのかしら、私はファンだから十分可愛く見えるし実際本当にラブリーでキュートで良かったと思うんだけれど、もっとわかりやすくネームバリューのある美人女優にやらせるような役だったのではないのかしらん、とちょっとモゾモゾしました。顔とか薄すぎるやろ、とモンペなので心配で…いや宝塚歌劇とか全然知らない観客のみなさまにも「なんぞかわええおなご先生やったな」とくらい思ってもらえていればいいのですが。
ただ、なんせ明治座ってでかいので、単なる美貌みたいなビジュアルに頼ることなく、全身で、そして芝居できちんと「可愛らしさ」を表現できる女優、となるとやはり意外に宝塚歌劇の元トップスターってのは適任だったのかもしれません。そんな大空さんの技と、そもそもちゃんとある(オイ)可愛らしさを堪能できて、楽しい観劇になりました。なんせ三つ折りソックスですよ赤ジャージにリュックですよ、グレーのツーピースは音校生の制服かと思いましたよ! そしてちゃんと歌えていた(オイ)味のある「ケ・セラ・セラ」…チャーミングでした、みんなで歌いたくなりました。歌うことの幸せ、喜びをちゃんと伝えていて、客席丸ごと巻き込んで抱きしめていたと思います。とてもとてもよかったです。
ラストが意外や『20世紀号に乗って』みたいだったのにもウケました(笑)。ラインナップも素敵だったなあ。いい座組の素敵な公演でした。いろんな世界を見せてくれる大空さんに感謝です。OGを追っかけ続けるのは難儀なことも多いけれど、やはりなるべくいろいろなものを観ていろいろなところに出かけていろいろ吸収したい、より良い人間になりたい…と改めて思ったのでした。
昭和34年。日韓併合後の釜山の街で生まれ育ち、夫婦となった海野俊之(博多華丸)と千代子(酒井美紀)は、第二次世界大戦後に命からがら日本に引き揚げ、博多で食料品店「ふくのや」を営んでいた。青春時代に釜山の市場で食べた思い出の味を博多で再現しようと明太子作りに奮闘しながら、従業員たちや町の人々らと貧しくも賑やかな日々を送っていたが…
原案/川原健、企画原案・監修/江口カン、脚本・演出/東憲司。ふくや創業者夫妻をモデルに2013年に製作されたテレビドラマをもとに、2015年博多座で初演。2019年に「未来永劫編」として再び博多座で再演されたものの続演。全2幕。
博多座からの続演も納得で、明治座って博多座と似ていていいですよね。あんなふうに街中にはないし客席までの導線も一階分多くて微妙だけれど、ロビーの売店の賑わいとか、観客の年齢層の高さや着物姿の女性の多いこと、ストプレもミュージカルもやらないこたないけど演歌歌手の座長公演が似合う空気、花道と、こういう劇場の在り方もいいよな、と久々に来てしみじみ楽しみました。
お芝居も、斬新さとかはまるでない、紙芝居形式なんだけれど、それこそ上手く花道が使われていたし、緞帳をスクリーンにして映像を使うのなんかは楽しかったし、ちゃんと盆が回っての舞台変換もありましたし、なんなら大空さんパートはちゃんとミュージカルでした。楽しかったです。
辛子明太子がこうしてできたものだとは知らなかったので単純に勉強になりましたし、いわゆる戦後の細腕繁盛記ものというか人情ものというかで本当にベタベタな芝居なんだけれど、よくできているしおもしろいし笑って泣けました。古いとかではなく、永遠の、不朽の真実が描かれていました。家族とか、人情とか、努力とか、信頼とか、希望とか、幸福とか、平和ということです。改めて、大事にしていかなければいけないことだよな、と思いました。ことさらに言わなければならない時代になりつつあることがむしろ悔しいです。
さて、ところで大空さんはいわゆるマドンナ枠なんだと思うんですが、どういう起用だったんでしょう(オイ)。イヤなんかもっとわかりやすく若くて美人な女優さんでなくてよかったのかしら、私はファンだから十分可愛く見えるし実際本当にラブリーでキュートで良かったと思うんだけれど、もっとわかりやすくネームバリューのある美人女優にやらせるような役だったのではないのかしらん、とちょっとモゾモゾしました。顔とか薄すぎるやろ、とモンペなので心配で…いや宝塚歌劇とか全然知らない観客のみなさまにも「なんぞかわええおなご先生やったな」とくらい思ってもらえていればいいのですが。
ただ、なんせ明治座ってでかいので、単なる美貌みたいなビジュアルに頼ることなく、全身で、そして芝居できちんと「可愛らしさ」を表現できる女優、となるとやはり意外に宝塚歌劇の元トップスターってのは適任だったのかもしれません。そんな大空さんの技と、そもそもちゃんとある(オイ)可愛らしさを堪能できて、楽しい観劇になりました。なんせ三つ折りソックスですよ赤ジャージにリュックですよ、グレーのツーピースは音校生の制服かと思いましたよ! そしてちゃんと歌えていた(オイ)味のある「ケ・セラ・セラ」…チャーミングでした、みんなで歌いたくなりました。歌うことの幸せ、喜びをちゃんと伝えていて、客席丸ごと巻き込んで抱きしめていたと思います。とてもとてもよかったです。
ラストが意外や『20世紀号に乗って』みたいだったのにもウケました(笑)。ラインナップも素敵だったなあ。いい座組の素敵な公演でした。いろんな世界を見せてくれる大空さんに感謝です。OGを追っかけ続けるのは難儀なことも多いけれど、やはりなるべくいろいろなものを観ていろいろなところに出かけていろいろ吸収したい、より良い人間になりたい…と改めて思ったのでした。