日生劇場、2017年5月26日18時。
1920年代、アメリカ。ニック・キャラウェイ(田代万里生)は証券会社に就職し、中西部からニューヨーク・ロングアイランドにある新興住宅地・ウェストエッグに引っ越してきたばかり。隣はギャツビー(井上芳雄)という謎の紳士の大邸宅で、夜ごと豪華絢爛なパーティーが開かれていた。招待状をもらったニックはパーティーに足を踏み入れてみるが…
原作/F・スコット・フィッツジェラルド、音楽/リチャード・オベラッカー、脚本・演出/小池修一郎、音楽監督/太田健、振付/桜木涼介、美術・映像/松井るみ。1991年に宝塚歌劇雪組で上演、2008年月組では二幕ものに改変、そこから作曲家を変えての上演。全二幕。
私はカリンチョさんには間に合っていなくて、アサコのときの感想はこちら、去年の内くん主演のものの感想はこちら。
原作小説は大昔に読んだ記憶がある…けれど、この過去記事を読むと挫折したままなのかもしれません、あやふやですみません。ディカプリオの映画はまあまあ楽しく観た記憶があります。総じて、私はお話としてわりと好きなんですよね。というかとても通俗的なメロドラマだと思っています。
だから、今考えると、やはり宝塚歌劇でやるとジェイがカッコよくなりすぎちゃって、別物になってしまうのではないかなあ、と思いました。そういう意味で、外部で男優が普通にやった方がいい話なんじゃないかと思いました。今回、初手から芳雄くんのジェイは胡散臭いし万里生くんニックもそう感じていることを隠していない芝居をちゃんとしているので、あ、正しいなと思いました。
正しくないのは、芳雄くんは男優さんであって宝塚歌劇のトップスターさんじゃないのにただカッコいいだけのナンバーを歌わせたり、今回は宝塚歌劇じゃないのに別格スターのために書いたようなナンバーやほぼモブの若手組子のアピール&サービスのために書かれたようなナンバーをいちいちやることです。それは作品として意味がない、と私は思いました。
そもそもある種の教養のうちみたいによく知られた話なんだから、もっとさっさとストーリーを進めるか、少なくともせめてもっと芝居をしてもらいたい、と私は思いました。でもこのあたりはどうなんでしょう? 例えば宝塚歌劇をまったく観ない、普通のミュージカル・ファンに方にとっては、普通の作品に見えるのかなあ? あるいはこれくらいたくさん歌が聞きたいと思うものなのかなあ? でも、間延びしてません? 冗長じゃありません?
特にラストの一曲がいらない気がした、というか演出として激しく間違っている気がしました。つまりイケコはこのジェイという男をもしかしてカッコいいと思ってこの作品をずっとずっとやっているのか?という素朴な疑問が湧いちゃったんですよね…
違うよ、カッコ悪い勘違い男だよ、今で言ったらストーカーだよ、これは愛ではなくて偏執だよ狂気なんだよ、でもそれも含めてせつないし、普遍的だし、そういう意味でいいお話なんだよね…って視点があるべきなのではないの?
デイジーにしても、ある意味中途半端にお金持ちの家に生まれただけの、そしてとんでもない美人に生まれただけの、中身はすごく賢くもすごくお馬鹿さんにもなれなかったごく普通の女の子で、結婚して妊娠して出産して娘の母になってしまったごく普通の女で、女神でも聖女でもないし魔女でも悪女でもない。そのありきたりさ、でもそこにはまってしまう男がいる…というだけの話なワケでさ。
そういう視点がないまま、ただ酔ったように、主役男優が朗々と歌い上げるのを男性脚本家が嬉々として演出してうっとりしてるんだとしたら、それを想像するだけで女は引くよね、という気はしました。
だからそろそろこの話、女性演出家で観たいなー。あともっといいデイジーで観たいなー。イヤねねちゃんはそりゃ可愛かったですよ、でももっとゴージャス美女タイプの女優で観てみたい気がするし、もうちょっとだけ知性もあってずるさも弱さもあるところが芝居でできる演技力のある女優さんで観てみたいワケですよ。
その意味で、私はまた違う座組でこの作品がかかればまた観にいくんだろうな、そして「ケッ」とか言い続けるんだろうな…(笑)
芳雄くんファンはまた違う見方をしているのかもしれませんし、ねねちゃんにもっとファム・ファタールのイメージが見られる方もまた違う感じ方をしているのかもしれません。ここはいつも私の一方的な感想の場ですみません(^^;)。
あきちゃん、りりこがさすがに印象的でした。コロちゃんもいいスパイスでした。まりもはちょっと物足りなかったかな…
そうそう、観に行った回の客席が星組祭りで、私は来月に宝塚ファン歴24周年を迎えるとかなんですけど、記憶にある限り初めて(何しろ私は忘れっぽいので)生徒さんのお隣に座りましたよ…! 平静を保ち知らんぷりするのが大変でした(笑)。イヤ私はこういうとき必ずスカすタイプなんですけれどね。そもそも近すぎるからジロジロなんて見られないってのもありますが、気配だけでも感じられる頭の小ささと、脚が長すぎて窮屈そうな感じが激ラブリーでした(*^o^*)。いい経験になりました…!
1920年代、アメリカ。ニック・キャラウェイ(田代万里生)は証券会社に就職し、中西部からニューヨーク・ロングアイランドにある新興住宅地・ウェストエッグに引っ越してきたばかり。隣はギャツビー(井上芳雄)という謎の紳士の大邸宅で、夜ごと豪華絢爛なパーティーが開かれていた。招待状をもらったニックはパーティーに足を踏み入れてみるが…
原作/F・スコット・フィッツジェラルド、音楽/リチャード・オベラッカー、脚本・演出/小池修一郎、音楽監督/太田健、振付/桜木涼介、美術・映像/松井るみ。1991年に宝塚歌劇雪組で上演、2008年月組では二幕ものに改変、そこから作曲家を変えての上演。全二幕。
私はカリンチョさんには間に合っていなくて、アサコのときの感想はこちら、去年の内くん主演のものの感想はこちら。
原作小説は大昔に読んだ記憶がある…けれど、この過去記事を読むと挫折したままなのかもしれません、あやふやですみません。ディカプリオの映画はまあまあ楽しく観た記憶があります。総じて、私はお話としてわりと好きなんですよね。というかとても通俗的なメロドラマだと思っています。
だから、今考えると、やはり宝塚歌劇でやるとジェイがカッコよくなりすぎちゃって、別物になってしまうのではないかなあ、と思いました。そういう意味で、外部で男優が普通にやった方がいい話なんじゃないかと思いました。今回、初手から芳雄くんのジェイは胡散臭いし万里生くんニックもそう感じていることを隠していない芝居をちゃんとしているので、あ、正しいなと思いました。
正しくないのは、芳雄くんは男優さんであって宝塚歌劇のトップスターさんじゃないのにただカッコいいだけのナンバーを歌わせたり、今回は宝塚歌劇じゃないのに別格スターのために書いたようなナンバーやほぼモブの若手組子のアピール&サービスのために書かれたようなナンバーをいちいちやることです。それは作品として意味がない、と私は思いました。
そもそもある種の教養のうちみたいによく知られた話なんだから、もっとさっさとストーリーを進めるか、少なくともせめてもっと芝居をしてもらいたい、と私は思いました。でもこのあたりはどうなんでしょう? 例えば宝塚歌劇をまったく観ない、普通のミュージカル・ファンに方にとっては、普通の作品に見えるのかなあ? あるいはこれくらいたくさん歌が聞きたいと思うものなのかなあ? でも、間延びしてません? 冗長じゃありません?
特にラストの一曲がいらない気がした、というか演出として激しく間違っている気がしました。つまりイケコはこのジェイという男をもしかしてカッコいいと思ってこの作品をずっとずっとやっているのか?という素朴な疑問が湧いちゃったんですよね…
違うよ、カッコ悪い勘違い男だよ、今で言ったらストーカーだよ、これは愛ではなくて偏執だよ狂気なんだよ、でもそれも含めてせつないし、普遍的だし、そういう意味でいいお話なんだよね…って視点があるべきなのではないの?
デイジーにしても、ある意味中途半端にお金持ちの家に生まれただけの、そしてとんでもない美人に生まれただけの、中身はすごく賢くもすごくお馬鹿さんにもなれなかったごく普通の女の子で、結婚して妊娠して出産して娘の母になってしまったごく普通の女で、女神でも聖女でもないし魔女でも悪女でもない。そのありきたりさ、でもそこにはまってしまう男がいる…というだけの話なワケでさ。
そういう視点がないまま、ただ酔ったように、主役男優が朗々と歌い上げるのを男性脚本家が嬉々として演出してうっとりしてるんだとしたら、それを想像するだけで女は引くよね、という気はしました。
だからそろそろこの話、女性演出家で観たいなー。あともっといいデイジーで観たいなー。イヤねねちゃんはそりゃ可愛かったですよ、でももっとゴージャス美女タイプの女優で観てみたい気がするし、もうちょっとだけ知性もあってずるさも弱さもあるところが芝居でできる演技力のある女優さんで観てみたいワケですよ。
その意味で、私はまた違う座組でこの作品がかかればまた観にいくんだろうな、そして「ケッ」とか言い続けるんだろうな…(笑)
芳雄くんファンはまた違う見方をしているのかもしれませんし、ねねちゃんにもっとファム・ファタールのイメージが見られる方もまた違う感じ方をしているのかもしれません。ここはいつも私の一方的な感想の場ですみません(^^;)。
あきちゃん、りりこがさすがに印象的でした。コロちゃんもいいスパイスでした。まりもはちょっと物足りなかったかな…
そうそう、観に行った回の客席が星組祭りで、私は来月に宝塚ファン歴24周年を迎えるとかなんですけど、記憶にある限り初めて(何しろ私は忘れっぽいので)生徒さんのお隣に座りましたよ…! 平静を保ち知らんぷりするのが大変でした(笑)。イヤ私はこういうとき必ずスカすタイプなんですけれどね。そもそも近すぎるからジロジロなんて見られないってのもありますが、気配だけでも感じられる頭の小ささと、脚が長すぎて窮屈そうな感じが激ラブリーでした(*^o^*)。いい経験になりました…!