駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

辻村深月『傲慢と善良』(朝日新聞出版)

2019年07月31日 | 乱読記/書名か行
 婚約者が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は彼女の「過去」と向き合うことになる…

 帯の惹句には「圧倒的恋愛小説」とありましたが、オースティンの『高慢と偏見』に準えられているので、結婚小説というか、結婚を現代日本で表現するとなると要するに婚活小説になるというか、な内容だったかと思います。ザラザラと怖くおもしろく読みました。あるあるだな、と思えて。
 ただ、後半はなー…物語の展開に都合良く妊娠を使うような小説を「妊娠小説」と呼ぶことはもう常識になったかなと思いますが、それでいうとこれは「震災小説」だな、と私は感じました。こういうことも実際にあるだろうけれど、でも、読んでいて物語に震災が都合良く使われている気がしてしまったのです。まあこうでもしないとオチがつけられなかったのかもしれませんが…
 これはあくまで婚活小説であって結婚小説ではないので、「てかそもそもあなたたちの考える結婚って何? そんなにまでしてする価値あるものなの?」という話を持ち出しても仕方ないのかもしれませんが、このオチでいいのかなーと私は思わないではいられませんでした。個人の感想です。


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宝塚歌劇宙組『オーシャンズ11』

2019年07月22日 | 観劇記/タイトルあ行
 宝塚大劇場、2019年4月19日15時(初日)、20日11時、15時、21日11時、28日15時、29日11時、5月3日13時、18日11時、19日11時、25日11時、26日15時(前楽)、27日13時(千秋楽)。
 東京宝塚劇場、6月14日15時半、16日11時(組総見)、7月2日18時半、13日11時、17日18時半(会総見)、21日11時(前楽)、15時半(大楽)。

 服役中の天才詐欺師ダニー・オーシャン(真風涼帆)が晴れて仮釈放となるその日、ダニーの妻テス(星風まどか)の弁護士が離婚届を手に面会に訪れた。テスはラスヴェガスのホテル王テリー・ベネディクト(桜木みなと)が新たに建設するホテルのショースターに抜擢され、デビューまでにダニーと別れる気だという。しかもテスはベネディクトの新しい恋人だと噂されていた。今でもテスを愛しているダニーは衝撃を受けつつも、ある壮大な計画を思いつく…
 脚本・演出/小池修一郎、作曲・編曲/太田健、編曲/青木朝子。同名のハリウッド映画をミュージカル化し2011年に星組で初演、2013年に花組で再演したものの三演。全2幕。

 星組版の感想はこちら、花組版の感想はこちら、外部感の感想はこちら
 初日雑感はこちら、中入り雑感はこちら、大劇場千秋楽雑感はこちら

 演目に関する感想は散々語ってきたので、以下は簡単に、生徒について。

 ダニーのゆりかちゃん。とにかくスーツ姿が素敵でしたよね。本当に本当に男役に向いたガタイの良さ、男臭さ、貴重ですね。フェアリータイプの中性的なトップスターも素敵ですし、アイドルタイプも超実力派もとにかくいろいろ並ぶと楽しいと思いますが、今やクラシカルと言ってもいいくらいな、こういうザッツ・男(そしてもちろんリアル男性なんかより何億倍もカッコいい)なトップスターって、やっぱりシンプルに素敵だと思います。
 私は『WSS』トニーとか『黒い瞳』ニコライとかの坊ちゃん坊ちゃんしたゆりかちゃんも好きなんですが(というか宝塚歌劇の白い主人公にありがちなこういうタイプの坊ちゃんキャラがまさしくキャラクターとして私は好みでツボなんですけれど)、ダニーを観ると、やはりこれくらいオトナでちょいワル、みたいな方がニンだし似合うかな、と思いました。一方で、それにしては根は人が良さそうな感じがにじみ出ちゃってるかな、とも感じたので、次はなんかもっと作り込んだ、ハリーの暗いハードボイルドな作品みたいなのをやるといいんじゃないかなあ、とも思います。博多座公演は『銀の狼』とかどうかしらん? なら私、毎週末飛行機乗ってダブルして通いますけど。地方公演向きの演目ではないなとは思いますが、私は好きだし再演希望! 似合うと思っています。
 『オーシャンズ11』は、まあ私が作品として結局のところ買っていないというのもありますが、イケコが「大人のファンタジー」としてやりたがっていて、要するに芝居としてはライトに作っているということだと思うんですけれど、何かの劇評でチエちゃんやまゆたんといった歴代ダニーには作中に描かれてはいないけれど詐欺師になった暗いバックボーンがありそうに見えたけれどゆりかちゃんダニーはナチュラルに詐欺師で迷いなく楽しく罪悪感なく犯罪者として生きてそうに見える、みたいなのがあって、そういうよく言えばスマートだけど悪く言えば浅いというか、なのは宙組の特徴なのではないかと私は考えていて、そしてこの作品に関してはダニーのそのライトな生き様がモヤる原因なのだしテスやめとけその男は犯罪者だぞとベネディクトばりに言いたくなるわけで、その不満は結局千秋楽まで観ても払拭されなかったのでした。あくまで脚本・演出の問題であって、まったくもって生徒の責任ではありませんけれどね。
 むしろゆりかちゃんのニンとして、まどかに「もうダメよ、改心して?」って言われたら素直に足洗って植林ボランティアとかの体力勝負の仕事とかやりそうなので(いつかのタカスペの『王家』パロの、ピラミッド作りの左官工?とかいかにもしそうな職人ふうツナギ姿、絶品だったよねアレこそがゆりかちゃんの真髄だよね…! え? 違います??)、だから大丈夫、と脳内フォローをして自分をむりやり納得させていましたけれどね…
 だいもん同様ぼちぼち禅譲の時を迎えているであろうと思えるトップスターさんなだけに、この先の作品ひとつひとつが大事だし、さらに当たり役と言える、かつ上出来なものが巡ってきてほしいなと願っています。
 フィナーレの、娘役に囲まれたところでのカタカナ英語の歌はもはや愛しさしかありませんでした。娘役ちゃんチェックに忙しくてあまり真ん中が見えてなくてすみませんでしたが、たまにどセンターとかに座るとホントいろいろいただきました、ごちそうさまでした。歌も本当に安定したし、あとは組としてマジでBショーが観たいなー、久々すぎるよなー。ダンサーではないのでゆりかちゃん自身は踊りや場面を選ぶタイプですが、組としてはまだまだいろいろできると思うんですよねー。てかホント偏りすぎだからダイスケはしばらくもういいからマジで! 劇団さん、よろしくお願いいたします。

 テスのまどかにゃん、大健闘だったと思いますがそんなふうには言いたくない、だってできると思っていたしもっとできるよ、話が許せば離婚届にサインもらってダニー捨てて次に行くカッコいい女が演じられるよ、それが天下の星風まどかですよ。そういうホンを誰か書いてください。
 丸顔なのもあって可愛い系に思われがちだけど本質はそっちにはないトップ娘役さんで、いい感じにステップアップしてきていると思います。さらに大輪の花を咲かせてほしいです。 ただし今回でせーこちゃんとかもあちゃんとかが卒業しちゃうので、一時は路線も務めた上級生娘役が組にいてちゃんと下級生にいろいろ教えることは大事だと思うんだけれどそういう継承ができているのかなとか、まどかの勉強の場が限られてしまっていそうなところが心配です。というのはフィナーレのデュエダンが、私はちょっと不満だったというのがあって。せめてスリット入れろよ脚出させろよもっとセクシーにやれよまかまどダニテスの良さがわかってねーなスタッフ!というのもあるけれど、髪型と髪飾りはもっと研究できたと思うんですよね。特に髪飾りはどれもかなり小さく地味に見えました。シックにモダンにしたかったのかもしれないけれど寂しく見えたし、もっとゴージャスに盛っていかないとゆりかちゃんと身長差が出すぎて、それこそよりロリっぽく見えちゃうんで損かなと感じたなのです。私はトップコンビの身長差に萌えるというのがあまりなくて、身長差があった方がリアル男女に見える、ということで一般的には支持があるんだろうけれど、私はトップコンビが理想的な男女の恋愛ドラマを演じることと現実の男女に見えるかどうかは別の話だと思っているし、現実にもたとえばフィギュアスケートのアイスダンスのカップルのような、男女の身長差があまりない方が同等っぽくて好みなので、要するにまどかも本当はそんなに小柄じゃないはずなのにゆりかちゃんの隣だととにかく小さく見えがちなのでとにかくがんばってより大きく見せてほしい、その方がきっとずっと似合う、と言いたいということのです。
 この先、まどかの大器に見合ういいヒロイン役が来ることを祈ってます。二十歳のころのまどかテスはやや幼くていろいろ騙されちゃったのかもしれないけれど、このあとはダニーを手のひらでうまく転がして更生させて、自分のところのNPOでバリバリこき使いそう(笑)。そういう期待の妄想ができる、希有なトップ娘役さんだとと思います。好き!

 ラスティーキキちゃん。私は申し訳ないけれどキキちゃんという生徒さんに全然萌えが湧かないのだけれど、ぼちぼちできあがってきたスターさんだと思いますし、そこからしたらファンのまかキキ萌えに応えるための今回の配役ってのはもちろんアリなのかもしれませんが、しかしやはり絶対的に役不足で、ちゃんとがつんとベネディクトをやらせるべきだったんでないの?と思っています。でも劇団はずんちゃんが好きなんでよね…ともあれみりおの後任に呼ばれるようなこともなくて、それは私はよかったんじゃないのかなーと思うので(どこでもいいから早くトップ姿が見たい、というファンももちろんいらっしゃるでしょうが)、あとは良き時を待つのみ、みたいになっている感じでしょうかね。来年は宙組は全ツはあるんでしたっけ? もう主演で回れるよね。
 当人もお茶会で言っていましたが、ラスティーってダニーの一の相棒ってだけのキャラで、まあ枠としてはダニーと同じ天才詐欺師ってことなのかもしれませんが、イカサマディーラーとか天才マジシャンとか天才ハッカーとか天才掏摸とかの特徴がないわけで、しどころがない役なんですよね。元の映画のイメージをもう忘れてしまいましたが…それはちょっと苦労しても仕方なかったかもしれませんよね。もちろん当人は工夫して、ひょうひょうとしてチャラくしかし腹に一物ありそうなキャラを上手く作っていてホント上手いな、とは思ったのですが。しかしとなると彼は本当にポーラを幸せにしてくれるんかいな、とまたモヤりの原因になるキャラでもありました。外部版から増やした「オーシャンズ10」を追加したり、星や花では別のキャラがやっていた場面をもらったりといろいろしていましたが、たとえばそんな小手先のテコ入れはせず、ラスティーはそれこそうちあたりにやらせておいてキキちゃんはベネディクトをやる、とかの構成もありえたんじゃないの?と思ったりもしましたね。まかあきには鉱脈があったと思うのは欲目なのか…というのはまた別の問題だとするとしても、です。
 ま、愛ちゃんが抜けてさらにあきりくも抜けて、まかキキずん体制でいいトリオを築いていってさらに次の体制へ…と目指していくべきなのでしょうから、がんばっていっていただきたいです。十分な花と実力のある、なんの問題もないスターさんだと思っています。ただ萌えない自分が悪い、だから書くことがあんまなくてすまん!(^^;)

 ベネディクトずんちゃんは立派でしたよ、だからこそ「夢を売る男」に新曲を用意してくれなかった劇団を私は一生恨みねちねち言い続けていきたいです。あえて言いますが愛ちゃんを出してでもベネディクトをやらせたかった、というか番手を上げたかったんだろうに何故そこで手を抜くんだ、理解できん。そういう中途半端がいい結果になったことなどこれまで一度もなかったと、劇団が何故歴史から学べないのかまったく謎です。
 私はこの先の組替え発表は特にないと思っていて、何かと話題の95とか97とかもこのまま行くと思っていて(やるなら100でしょう。でももう102で行くことにしたのかもしれない…)、要するに宙組は十代目にして初めて生え抜きのトップスターを出す、というレールがもう敷かれているんだと思っているんですけれど(というか劇団が必死に敷いている、と言ってもいいですが)、だったらもっと手を尽くせよ、と言いたいのです。ぶっちゃけずんちゃんは宙組では小さく見える、という意外はなんの問題もない、なんでもできる立派なスターさんだと思いますし、私はずん茶には行けていないのですがわりとやる気のあるガツガツしたタイプだとも聞くしそれはとてもいいことだと思っているので、本当になんとか結実させたいと思っているのですよ。なのにまだまだ不安にさせられるこの状況はなんなんだ…次の全ツは儲け役かなとも思うので、ぜひがんばってきていただきたいです。やはり役と作品に恵まれないとファンって増えないと思うので。期待しています。

 さて、ではあとはグループで、まずはイレブンメンバーから。
 ソールすっしぃさん、素晴らしかったですよね。すっしぃさんの演技はいつも的確で、組長としてもすごく頼れるんだろうなとことあるごとに感じます。ソロがないから拍手が入らなかったのは残念でしたが、誰かが切ってたら競馬場で馬券外す場面に入っていたかもしれませんね(笑)。アドリブ毎回お疲れ様でした、愛あるピックアップもありがとうございました。
 ソロがないから拍手が入れられなくて残念、というならルーベンりんきらもそうなんだけど、ここは入れようがなかったかな(笑)。ダニーの虎との絡みが好きでした。というか「いくら欲しい? 額を言え」、言ってみてー!
 鷹揚なおじさまっぷりが素敵でしたが、どんな家族構成設定なのかしら…想像して勝手にときめいています。かなこ茶によれば袖ではだんだんハロルドに馴染んできてオネエ化してる、ってのもおかしかったです。でもまた『SANCTUARY』みたいな二の線色悪みたいなお役も観たいスターさんです。
 退団同期となったバシャーりくには、万感。一見お調子者そう、でも優しくて気が遣えて真面目で…ってニンが出たバシャーだったかなと思います。「FATE CITY」のニューヨーク証券マンみたいなスーツ姿が大好物だったのに、いつもシンメでほとんど見られなくて残念でした。また別の日記(笑)の方でも熱く深く語りたく思いますが、新しく始めること、期待しています。ご卒業おめでとうございました。
 ライナスそらもホントさすがで、そらもベネディクトだってやれちゃうんですよ今さら少年役とかかえって難しいんですよでもできちゃうのがそらなんですよさすがですよ! しかしこれが4番手扱いでそのあともえこ、こってぃって流れは正直どう考えても苦しい…ずんちゃんのあとはまたよそからトップが来る組になりますよ、ホント勘弁してほしいです。
 イエンあきも、上手いですよね達者ですよね。でも同期にそらがいたり新公主演していないことを考えるとこの先は脇に使われるばかりかなと思うとなかなか厳しいですよね…おじさん役者は上にまたいるしさあ。そういう固定した使い方しかしないからさあ劇団って。ショーでももっと活躍できると思うんだけど、なんせ組にショー運がないので不安です。 
 リヴィングストンもえこは少し前から押し出せてこれるようになった気がしていて、期待しています。なんせ歌が上手いからあのラップの歌もちゃんと聴かせてかつ踊れる、強い。性格的に優しそうなところだけが心配ですよ…
 モロイ兄弟はきよちゃんとこってぃ。似てない兄弟だけどちゃんと息を合わせていて、こたこた動くチームの末っ子キャラをちゃんと作っていて感心しました。大きく育ってほしいです。

 ベネディクト・セブンはまずはベスもあちゃん。前回のバウがはっちゃけていてとてもよかったんですけれど、だからこそのご卒業かと思うと寂しいですね。悪役ソング他、歌って踊るときのシャープな身のこなし、コケてみせるときの上げた脚の高さやその引っ込め方の素早さなど、いつも見とれていました。でもそのボスはやめておけベス…!(笑) 大楽ではカジノ客何人かにハグされたりしていて、愛されっぷりを感じました。まどかが慕っている様子が見えたのも微笑ましかったです。お幸せに…
 テーラーさお、上手いよね達者ですよね。もうちょっと芝居できる要素が脚本にあれば、ボスに対する屈託なんかも上手く演じてくれそうだったけどなあ…このあたりがこれからの芝居を支える層だと思いますが、信頼しかありません。
 チャールズりお、これまた上手い。叩き上げっぽいテーラーと違っていかにも二世弁護士みたいな風情なのもよかったです。美穂お姉様のサロンコン、楽しみだなー!
 ブルーザーりっつ、小芝居が楽しかったです。しかし口臭がひどいってことなのかなあれは、宝塚歌劇ではなかなか珍しい気もしましたが、今まではやっていなかったんだっけ…? でもホントはりっつダニー、わんたラスティーとかわんたダニー、りっつベネディクトの新公とかが観たかったよなと思います。禊ぎは済んだはずだろう99期、もっと起用してくださいよ…(ToT)
 ボブわんた、ちゃんと肉体派のボディガードのキャラを作っていて好感を持ちました。ディックどってぃ、こちらは見た目がボディガードってタイプじゃないだけに逆にちゃんとへっぽこぶりを作っていて、こちらも好感度高かったです。観られていないけど3ジュエルズとのラブはどうなったのかな(笑)、向こうは完全にビジネスだと思いますけれどね。

 エル・チョクロにいってまずはテレサきゃのん、手堅い。てかジョーと怪しい設定だってマジですか?
 リカルドまっぷー、これまた手堅い。でもこの人も老け役だけの人じゃないんだけどなー。あと、これは生徒とは関係がないことですが、こういう店って結局ステージのショーダンサーの売春の上がりで食っているんじゃないのか、そこに孫娘を働かせてるってどうなんだ、それとも買春は犯罪でも売春は女の権利だという考え方でラスティーも承知しているのか、はモヤりました。あと豆の相場の失敗だろうとなんだろうと借金は借金なので、金庫破りとかしないでちゃんと返済してください。夢を見る権利は誰にでもありますが、借金を返す義務も誰にでもあると私は思うよ…
 ジョーまりな、ちょいちょい起用されてきたようで私は嬉しい。うちもいなくなることですし、こういう二枚目はこの先貴重かもしれませんよ…
 ポーラららたん、「ププッピドゥ」は国宝認定でお願いいたします。スタイルの良さを味わえるお洋服、どれも素敵でした。靴もよかった。ガールズはここちゃんのダンス、キャラリンの美貌、ひろこちゃんのコケティッシュさ、さらちゃんのキュートさに見入り、夢風咲也花ちゃんの顔が好みでいつもガン見、なのでラストが栞菜ひまりちゃん、という識別でしたすんません。てかこのお衣装のエッチさはけっこうギリギリだと思うぞ。不快ではない、セクシーでいいんだけど、でもなあ…

 チーム・ダイアナ(笑)にいくとこれまた今回でご卒業のせーこ、今日がお誕生日だそうですねおめでとうございます。おもしろキャラになりすぎない案配がギリギリでよかったかなと思いました。千秋楽は登場場面に何度も拍手が入ったんだけれど、フィナーレの娘役群舞に出ていないのでその分もね、と何度も拍手しました。
 ドロシーのエビちゃんに「これでも痩せたんです!」と言わせる暴挙、恐ろしい…てかあそこのマジックどうなってるの…
 それを言うハロルドかなこ、いわゆるオネエキャラにしていろいろ稼いできましたよねー。難ある声もこの役だとかえっていい。ダイアナのフォローアドリブは毎回優しかったし、毎回ちゃんとおもしろいからやがてマイクで拾われるようになったんだからたいしたものです。ジョルジュアタックも毎回素晴らしくて、大楽ではついにチューを奪ったわけですが、しかしむりやりはいかんという想いも私の一方ではあって…大逆転でバシャーの方からノリノリで迫るオチ、とかもおもしろかったかもしれません、と今思いつきました。
 エディゆいちぃもなあ、なんかもったいないんだよなあ、それこそいいショーでもっと使われてくれないかなあ…
 マイクあーちゃん、本当はイレブンに入りたかったろうけれど、歌上手大活躍でよかったかと思います。ただキャラはよくわからなかったかな…
 ルビーせとぅー、サファイアまいあ、エメラルドしじゅっちゃんは揃って濃く、パンチある美声を重ねて素晴らしいスパイスになっていました。ここの4人がちゃんと歌が上手いというのも意外にないことなので、頼もしかったです。しかし新公はテスまいあが観たかった、ということは何度でも言っておきます。

 あとはウッズ夫妻? これまた手堅い。なっつ、ナベさん、さよちゃん、ほまちゃんなんかも大活躍でしたね。ディーラーではナニーロくんとなつくん派の私です。顔が好き。
 ヤング・テスの夢白ちゃん、お茶飲み会すごく楽しかったです。いい娘役さんになりそうで、期待大。私の好みからすると細すぎるんだけれど、やはり華がありますよね。でもフィナーレはそんなにピックアップせんでいい、と思いました。大事にすべき娘役ちゃんはもっといるし、もっとゆっくりきちんと育ててほしいです。とはいえカレーちゃんの二人目に、とかあるのかな…(><)

 珍しく東西ともに新公が観られず、残念でした。
 個人的には贔屓の退団公演としていい意味でも悪い意味でもちょうどよく、結果的にはまあありがたかったかなと思っています。ホント偉そうですみません。
 新生宙組にも期待しています。『追憶のバルセロナ』好きですし、梅芸初日から行っちゃいますからね! そして「なんでいそうなところにいないんだろう? 裏に出てるんだったっけ?」って思うところまでが卒業公演です(嘘)。引き続きよろしくお願いいたします。










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ラストお手紙渡しを終えて。~カウントダウン澄輝日記

2019年07月21日 | 澄輝日記
 私は出待ちが嫌いで(長くて疲れるから、というしょーもない理由で、なのですが)初日とか千秋楽とか何かのイベントがあるとかでないとまず行かないのですが(なのでたまに行くとガード常連の会員さんたちにレアポケモン並みに驚かれるのですが)、今日はさすがに最後だし、と行ってきまして、先ほど帰宅してひとっ風呂浴びたところです。平日1回公演の出待ち時間は仕事してるし2回公演の出待ちは遅い時間すぎてイヤだけど、土日なら夜といってもまあ普通の時間に終わるだろうし…という程度でのこのこ出かけてきたわけですが(普段の土日の夜はどこかのお茶会に行っていることが多いのです)、明日はいよいよ千秋楽でお手紙は入りも出も回収でしょうから、お手紙を手渡しできるのはこれが本当に最後の最後だったのだな、と、言われて初めて気づく体たらくでした。
 片手で持つにはどんなに指を大きく開いてももういっぱいいっぱいだよあふれるよ、という量のお手紙をもらって、普段あまり使わないお手紙バッグに大事そうにしまって、いつもと変わらぬ優しくものんきそうな笑顔でニコニコと、でもさすがにときおり言葉につまるように訥々と語る様子を見ていて、本当に心が温まり、じんわりし、ちょっとうるうるして、しんみりさみしさも感じつつも、それでも元気に帰宅しました。明日もあるし、みんなの熱い想いは確かに伝わっている、と思えたからです。
 私は公演の感想だろうが日々の日記だろうが愛と妄想のポエムだろうがなんでもテキトーに書けるタイプで(笑)、日々のお手紙はさんざん楽しく書いてきましたが、関西組でお稽古待ちが中心の方は、公演については書けないので苦労しているのかもな、とかは思いますね。ともあれみんな、書くことないの暑いの寒いの脚が痛いのと言いつつも、結局は楽しくて幸せで入り出待ちに通ってしまうんですよね。それは贔屓の顔が見られるからであり声が聞けるからであり想いが直接伝えられるからです。たとえ時間としては短くても確かに交流があるし、お手紙はちゃんと読まれている気配があって、つながれている、負担になっていない、想いは届いていると信じられる…それが嬉しくて、幸せで、雨の日も風の日も、万難を排して、行ける人は行ってしまうのでしょう。
 ファンクラブとか入り出待ち、そのガードといったシステムは昔はもっとフランクで、おそらくはユリちゃんの人気が驚異的だったころ、平成初期の時代に今の形に近く整えられたのでしょう。そのときは熱狂的な一般ファンが生徒に突進しちゃったりして、いろいろトラブルもあったんですよね。だからそのころから、ファンクラブ会員が生徒と一般ファンの間に入り生徒をガードする、しかし一般ファンの視界を遮らないよう生徒が楽屋口に来たときにはしゃがむ、ガードは生徒にお手紙を手渡しできるが一般ファンはギャラリーするのみ、というスタイルができたのだと聞いています。
 トップスターにこそ劇場の警備員さんが付き添ったりしますが、それ以外は特に何もないので、ムラはともかく日比谷なんて日本有数の繁華街の一角で酔っ払いとかあつかましい観光客とかがけっこういて、本当にガードだけで生徒の安全を守れているのかけっこうヒヤヒヤする事態も見ているとよくあるのですが、今のところは、良心と良識と性善説とに任されてなんとか成立している、ギリギリの楽園かな、と思います。AKBなんかが生まれるはるか以前から(AKBは宝塚歌劇団の在り方も参考にして作られたところがあるそうですが)彼女たちは「会いに行けるアイドル」(正確には「会いに行けるフェアリー」、かな)だったわけで、それはできればこの先も長く続いてほしいな、と改めて思いました。
 劇団はギャラリー写真を個人で楽しむ分には容認する姿勢ですが、ギャラリーさんが撮影した写真をツイッターなどのSNSにあげること自体はグレーなんじゃないかなと個人的には考えています。ファンクラブ会員はガードには入れますがギャラリーは禁止されています。だから贔屓の画像が欲しくてそっと保存することはあると思うし、ぶっちゃけ私はしています。美意識としてリツイートは絶対にしませんけれどね。でも生徒はタレントでもあるので、いい宣伝になっている部分もあると思います。お茶会のレポートツイートと同じですね。
 ただしギャラリーが写真をブログに上げてアフィリエイトで稼ぐとか、プリントをメルカリで売って儲けるとかは生徒と劇団の肖像権とパブリシティ権の侵害です。犯罪です。通報され告発され処罰されます。生徒と劇団に愛があるならそんなことはやめていただきたいですし、愛なんかないよ単なるビジネスだよと言うなら違法です犯罪です逮捕される前にやめてくださいとしか言えません。
 アイコンやヘッダー画像に生徒の画像を使用するのも違法です。スカイステージの画面のスクリーンショットを上げること、劇団の刊行物を撮影して上げることも違法です。生徒と劇団の正当な売り上げを侵害し、彼女たちを痩せ衰えさせることになります。ファンならやめていただきたいです。
 オフに劇場に観劇に来た姿を撮影するのもNGでしょう。少なくとも、大劇場1-1扉の前で群がって待ってスマホを掲げる姿は醜悪です。贔屓にそんな姿を見られて恥ずかしくないですか? 贔屓が悲しそうな顔をして視線を逸らすのを見て心苦しくないですか?
 清く正しく美しく、そして朗らかに。それは生徒だけに求められるものではなく、ファンにも同様に求められるべきものでしょう。そうして守り耕し慈しみ育てていかないと、この花園はとりあえず百年はなんとか保ってこられたけれど、気を抜くとすぐに駄目になってしまうものだと思うのです。脆弱だから、というより、それほど貴重で繊細で豊穣なものだ、ということです。
 先日、楽屋口内を撮影した動画を上げたり、ギャラリーやガードを冷笑するような記事を上げてプチ炎上したOGがいましたが、同様に愛と節度と良識を持っていただきたいです。初めてファンレターをもらったとき、彼女は嬉しくはなかったのでしょうか? 入り待ちをしたいといわれたとき、誇らしくなかったのでしょうか? それがあったなら、そんなことはできないはずだと思うのですが…
 私の贔屓は、私が知る限りわずか4人しかガードがいない日も、今日のようについに何ブロックにも渡って何列にもガードが並んだ日も、変わらず、よほどの大雨の日以外は(そして最近は警報が出るような荒天ではすぐ入り出待ちそのものが中止になるようになったので、私が知る限りではわずかに二度?)回収にせず、お手紙をひとりずつから直接受け取ってくれました。それを負担に思う様子はなく、ありがたがってくれているようでした。お手紙の内容を楽しく読んでいるようでした。ファンとのそういうつながりが、関わりが、確かにあったのです。幸せな日々でした。他のどの生徒さんとファンとの間にも、この空間と時間を守っていきたいです。
 私の贔屓は明日この花園を卒業します。卒業のその後も、この花園がもう百年でも二百年でも変わらず美しくあれますように、私も一ファンとして努めたいです。贔屓もきっとそれを願っているはずです。彼女の幸せのためにも、私はそうしたい。
 私は観劇は続けますし、引き続き全演目観劇を目指しますし、遠征もどこへでも行くつもりです。でももう同じ演目を10回も20回も観ることはないでしょう。ホイホイお手紙書いて案内もらってあちこちお茶会に出かけますし、生徒さんからチケットを買いたいので取り次ぎ目当てでファンクラブに入ることはあるかもしれませんが、でも、ガードはもうしないんじゃないかな、とも思っています。
 あれはね、やっぱり、特別なものです。ごくごく特別な愛情がないとやれないものです。
 「明日の日比谷の天気は…曇りか(あくび)」とルーベンさんふうにつぶやいて、梅雨明けはならずともお天気がなんとか保つことを祈って、ソーラーロイヤルプリンスのパワーを信じて、明日一日がんばってきたいと思います。と書いているうちに日が変わってしまった、お手紙書いて支度して寝なくては…
 良き一日になりますように。みなさまも祈っていただけたら嬉しいです。おやすみなさい。



 …「私の贔屓」の連発はウザかったかもしれません、すみません。感傷的なのだとご容赦ください。私の他にもたくさんのファンがいる、れっきとしたスターさんです。みんなの王子さまです。
 彼女と、宙組子と、ファンのみなさますべてが幸せな一日をすごせますように。



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ラスト会総見を終えて…からの、献杯。~カウントダウン澄輝日記

2019年07月20日 | 澄輝日記
 7月17日18時半公演が、ラスト会総見でした。他にも総見の会はあったようであちこちの拍手が熱く、楽しかったです。まどかテスが珍しく歌でカマしたり、舞台側はいよいよちょっと疲れが出てきたかなという気もしなくもありませんでしたが、客席側はいよいよ煮詰まってきて熱く激しく常に集中して観ている印象でした。普通のファンがいなさそうな空気、というか(笑)。イヤ、たまたまここが友会で当たったから来ただけで特に組ファンでも退団者ファンでもない、という方ももちろんいらしたとは思うんですけれどね。
 私は抽選でほぼほぼどセンター、しかも会席の中ではまあまあ前方席を引き当てました。ありがたや。パレードなら上手が、とかフィナーレなら下手が、とかあるでしょうけれど、やっぱりセンターっていいですね。ゆりかちゃんもキキちゃんもビシッといいウィンクやら視線やらを飛ばしてくれていたのが、私みたいにそこはちょっと気を抜いていても(オイ)ちゃんと感じられましたもん(ホントすみません)、ホントありがたいお席でした。とにかく全体が観やすいし、カジノ客の下級生チェックなども引き続き楽しく、堪能しまくりました。そうそう、大劇場千秋楽のお席からの眺めとほぼほぼ同じだったんですよね、それもまた感慨深かったです。
 しかして、やらかしてくれる人ですよねホント…!
「FATE CITY」は変わらずカッコ良かったですよ最高でしたよ、ホント色気とオスみがたまりませんでしたよ。てかココどういう設定の気分で踊っているんでしょうかね? 肉眼ではあまり見られていないんですけれど、りくの生真面目証券マンみたいスーツ姿も大好物なんですけど、要するに男はみんなギャンブルが好き、っつーしょーもないプロローグなのかなもしかして…とか今さらに思ったりして。うーんだからやはりこの演目そのものはそろそろ無理が来ているのであと月と雪でやろうとかしないでいいですからねマジでコレで封印でいいんですからねイケコちゃゃんと聞いてねマジで???
 脱線しましたがプロローグは変わらず素敵でした。あきりくの引っ込みと再登場に拍手が入りましたしね、これも胸アツでした。
 ぶっちゃけうちの会員さんのどなたかが意を決して切ったんだと思うんですけれど(会からの指示などはありませんでした)、それが本当に見事だったんですよね。別にいわゆる爆竹拍手っていうんじゃなくて、でもいいタイミングでいい勢いと音量で毅然として入るから、みんなが続きやすいんです。それでちゃんと大きなムーブメントにつながっていました、これホント大事。中途半端にパラパラとしかならなくて立ち消え、みたいなのは寂しすぎますからね。やるからにはやる! 絶対に成り立たせる!! という気合いを感じて、ただオペラグラスを覗いていただけの私は本当に感動しました。働かずにすみません…
 で、なのにやらかすご当人ですよツアコンさん旗持ってませんでしたよグー引率でしたよ!(笑)
 確かスーツからあのナゾのツナギへの早替わり(というか着替えてなくてプロローグのスーツの上にあのお衣装を着ているんだそうですが、それでアレってどんだけ細いのホント!?)はせーことかが手伝ってくれていると聞いたし、なら小道具を用意し忘れるなんて絶対になさそうなんだけれどなあ…? いったいどんなアクシデントだったんでしょうね?? ともあれツアコンさんは手のひらをヒラヒラさせることもなく、かといって旗を持っているというていでもない謎のグー姿のままららたんの記念自撮りにも収まり、そして明るく撤収していったのでした…まあザワつきましたよね会席は(笑)。てか周りのホテルマン役の生徒たちもどうかと思ったろうね(^^;)。
 まあしかし気を取り直して、フランクさんの「カードこそ我が人生」は、さらに磨きがかかっていて絶品だったのでした。というか気のせいかもしれませんが、ピンスポが明るくなるのが早かった気がします、そうならありがたや。
 当日券に並んでいた方が非常階段から発声練習が聞こえた、とつぶやいていらっしゃるのを見かけましたが、日々さらに高みを目指し、理想の「澄輝さやと」の完成を目指して、未だ研究し鍛錬し研磨し続けて、そうして舞台に出ているんだと思います。「♪みんな失くす」のあとの「…(吐息)」みたいなのには、どうしたそんな色気どこから手に入れた!?と仰天しましたが、でももしかして失くしたのは旗なのかな…(笑)
 あとは、お芝居ではお芝居の目をしているので会席に視線が飛んでくるようなことはそんなにはないよな、と思っていたのですが、「JUMP!」ではいつも以上に上を見て、こちらはそこまで二階席てっぺんではなかったんですけれど、でもとにかく会席をバッチリ見てくれた気がしました。てか指差し正面からくらった心地でした、ごちそうさまでした。
 パラディソ就職場面からのハケ際の「へっ、存外チョロいな」みたいな笑みはワルさ増し増しでしたよね。絶品!
 二幕のソールの演技指導は、なんか懐かしい感じの、イヤ今なんか筋トレアニメとか流行ってるから一周回って新しいのかもしれないけれど、クネクネ妙な動きしつつの「お客様、あなたのパーソナル・トレーナーです!」みたいなものだったんですけれど、なのでネタ的にピックアップはうちじゃないなと思いました(笑)。そうしたら単独指名はルーベンで、実はりんきらのところも会総見だったそうなんですが、太っちょのおじさまがビシッとポーズを決めて見せたあと「レッツ・ダイエット!」と言い放ったものだから、ホント馬鹿ウケしました。絶対すっしぃさんに事前にネタ聞いてたでしょ仕込んでたでしょ!!!(笑)
 ディーラー摘発場面では、一時はそれでボブディックにバレないのはおかしいやろという感じにライナスとのアイコンタクトがあからさまで、実はいい人というか低年齢化しすぎていた気がしましたが(単に中の人が出がちだっただけ?)、最近は少し軌道修正されたのか、セーフ!となっても真顔に戻るのが早くなり、プロみが増した気がしました。これもいい。
 ところでトクスペか何かでりくが、バシャーは今回のミッションが成功してもマジシャン協会からの追放は是正されないしマジシャンには戻れないんですよ、とせつなげに語っていたのが印象的で、りくの役作りからするとバシャーのアイデンティティはマジシャンであることにあるんだろうなと思えて、じんわりせつなくなりました。ダニーはテスの心を取り戻せて万々歳かもしれないし、たとえばモロイ兄弟は自作映画の資金を手に入れられたとかルーベンはベネディクトの鼻をあかせて気がせいせいしたとかいろいろ成果があったと言えるメンバーがいる一方で、大金が手に入ったとはいえ本当に欲しいものが得られたわけではない、というキャラクターもいるのだな、ということに改めて気づかされました。
 フランクもそのひとりですよね。身から出た錆とはいえラスヴェガスではブラックリストに載っていてもうこの地でディーラーの職には就けない、地方の場末のカジノで不機嫌にカードを捌くしかない。けれど本当はいつだって、ラスヴェガスの大きな舞台で花形ディーラーとして大きな勝負をやっていたかったのでしょう。
 その夢がこのミッションでは叶わないことを、あらかじめ彼はわかっていて、それでもダニーのために参加したのです。ああ萌える。ダニフラって過去どんな関係だったんでしょうね。天才詐欺師とイカサマディーラーとして組んで一山当てたことがある…という程度が公式設定かと思いますが、たとえば『WSS』のトニリフのように幼なじみだったりして、ちっちゃなころから悪ガキでつるんでたんだったりして、そこからダニーはテスに出会いフランクも最初の結婚をし、お互いちょっと疎遠になって、ダニーは刑務所へ、フランクはヴェガスを追われて離婚して、そして再会…だったりなんかしちゃったりなんかしたりして! なんならダニラスなんかよりずっと古い仲なんだったりして!! ああ萌える。
 でももしかしたらフランクは、これで生きがいとか人生の醍醐味ってのは大舞台での大勝負だけじゃないんだな、とやっと気づけたのかもしれません。勝負ごとのスリルから離れても、ヴェガスではない土地に暮らしても、彼が幸せでいられることを切に願ってやみません。それは中の人がこの花苑を出てフェアリーでなくなって地元に帰ったりなんたりしても変わらず幸せでいてくれますように、と願うのと同じことです。

 さて、フィナーレはタイヘンでした。ずんちゃんが前髪を下ろしていて大変よろしかったことは知覚できました、でも見えてませんでした脳は認識してませんでしたごめん。なんせ贔屓しか見られない身体になっているんですよ!
 「FEVER」でなんか手のひらを広げてからくるりんとして何かをつかむような振りするところで、噛みつくようなウィンク! 「スウィングしなけりゃ意味ないね」になってからの上目遣いみたいな会席への視線飛ばし! 銀橋に出てきてからの、上手側から斜め上に向けて流すようなウィンク! さらに本舞台への戻り際の上手の付け根でターンしながらのウィンクと盛大な投げCHU!!! これには思わず「Fooooooow!!!」って声出しました私、周りの席の方ごめんなさい。でもホント鮮やかだったんですよ、仮にも研15ってのはダテじゃなかったんですよやるときゃやるんですよやったらできる子なんですよ! 生え抜き宙組男役スター最上級生の技と気概と色気パンチ力を見せつけましたよね!!
 なのにね…パレードでお辞儀して、ひときわ大きい拍手をもらって、そこから上手袖に引っ込むときに、会席を見上げて投げかけてきてくれた微笑みがね、もう天使のような、なんてレベルじゃないの、あれはもう菩薩ですよ仏様ですよお釈迦様ですよ、このあたりの違いをよくわかっていない不信心者ですみませんがとにかく単なるニッコリとかじゃないの、もうホント慈愛の笑みとしか言いようがない、あたたかで、優しげで、愛しそうで、せつなげで…すみません、マジ泣きました。
 ラインナップ後、まず真ん中に寄って出てくるところからもう上を見すぎなのがまた、本当に微笑ましかったです。ありがたや。

 出待ちも含めて、本当に楽しい一夜になりました。
 この日はやっと少し日差しも覗いて、夜は満月でした。帰宅してから、寝る前にカーテンを閉じるときに、ベランダに出て煌々とした明かりを眺めてみました。
「月が綺麗ですね」というのは「I love you」なのだとかなんだとかという話はともかくとして、そういう「好き」という気持ちを素直に認めて、公式に伝えたくて、身内として応援したくて、四年半ほど前の私はえいやっと意を決してファンクラブに入ったのだな、としみじみ思いました。入会するまではウダウダ悩んだこともヘンにテレて自分の気持ちを上手く認められないこともあったけれど、『NW!』の発表が本当に本当に嬉しくて、もっと我がことのように喜ぶには身内になるしかない、とすでに取り寄せてはあった入会案内書にいそいそと書き込んだのでした。
 別にファンクラブがすべてではないし、ファン活動は人それぞれです。離れた土地にお住まいだとかお仕事や家庭の事情がいろいろあるとかで、入り出待ちにも行けないし観劇にもそんなに行けないから取次を頼めない、だから入会にはメリットがない、と考える方ももちろんいるでしょう。それからしたら、大劇場はともかく日比谷には電車で30分のところに住んでいて独身で可処分所得があってある程度融通がつく仕事で入り出も観劇もしようと思えばしたいだけできる私は恵まれていて、ありがたい限りです。おかげさまでしたいようにできていますけれど、だからって偉いとかそれが愛のデカさだとかは全然考えていません。思っているだけでは伝わらないかな、とは思いますが、お手紙は届くし絶対に読まれています。遠くからでも生徒さんの力になれることはたくさんあるはずです。
 実際は名前だけでも、なんと言ってもまずは会の人数が生徒さんのためにはなるんだと思いますし、悩んでいるなら入ってほしいなと思いますが、まあ入会金も年会費もかかるしいろいろな考え方がありますからお節介は焼きません。と言いつつ何人かナンパしましたし入ってくれたときは嬉しかったですけれど。負担になっていなければいいな、会活動を楽しんでくれていたらいいな、と思います。
 私は、今までずっと幸せでした。楽しいこと、嬉しいことがたくさんたくさんありました。感謝しかありません。お稽古待ちでも公演中でも、入り出や劇場に行けば誰かしら顔見知りに会ってなんてことない話ができた…という日々が終わってしまうのはとても寂しいことですが、消えないご縁もあるかもしれないし、少なくとも私は観劇し続けるつもりですしこことかつぶやきとかは続ける、というか絶対にやめられないでしょうから(笑)、ゆるくでもつながれていければいいなと思っています。

 やっと梅雨寒がなくなって蒸し暑くなり、でもすっきり梅雨明け、とまでは間に合わないかもしれないけれど、日曜日はソーラーロイヤルプリンスがなんとかしてくれるのではないかしらん。
 期日前投票もすませてスッキリしましたし、残り、走り抜けます!!!


***


…とここで昨日のうちにあげておきたかったんですけれど推敲したかったし、そうこうするうちにスカステニュースのゲストコーナーと柴田先生の訃報があったので、追記。
 結局のところなんの役が一番好きだったかなあ、ということを考え出すと本当にキリがなくて。オリジナル当て書きのありがたさを思うと『WMW』のネッドとか『神々の土地』のコンスタンチンなんでしょうけれど、それぞれ作家の性癖というかそれぞれの澄輝ドリームを感じる役だと個人的にはすごく感じていて、作家と語ってみたいよでもそんなこたできないからいずれもっと深く考えてみたいよ…とか思って棚上げ。
 キャラクターとしてダントツに好みなのは『バレンシアの熱い花』のロドリーゴで、ヤンさんも褒めてくださっていましたが本当に理想のロドリーゴ像だったと思います。柴田先生に捧げます…
 あとは『WSS』のリフ。私にはヤンキー萌えがなくむしろ優等生好きなので、国際フォーラム版では明らかにトニーにシンパシーを感じて観ていてトニリフに1ミリたりとも滾りませんでしたが(ずんちゃんのテクニック、実力は素晴らしかったと思っています。ただ、ゆりかちゃんとの学年差が埋まっていなかったというか、関係性が描けていなかった、とは残念ながら感じたのです。別にまかあきも全然距離近かないんだけどね実はね!)、梅芸版のトニリフはタイヘンでしたよね。あっきーが再演を望んでいた作品だったことは知っていましたし、こんなに大きな役がもらえて、それは本当に嬉しかったです。かつ、中の人が好きであれば当然その役はより素敵に見えるわけで、こんなリーターシップや荒々しさも表現できるんだ!という発見があり、とにかくオーラと魅力にあふれたチャーミングな役で、観劇が毎回楽しかったです。
 それから『エリザベート』のルドルフかな。これまた再三言っていますが私は演目的にはモヤっていて好きな作品かと問われれば微妙なのですが、それこそずんそらもえこあたりで回すだろうと思っていたルドルフ役にまさか呼ばれるとはと本当に仰天しましたし、でも激烈に嬉しかったです。この先もずっと役替わりの名前に残り続けられる、宝塚歌劇の歴史に刻まれたってってことですしね。お稽古は本当に大変だったようなことを今となってはよく語りますが、当時は格別そんなふうには見えなかったし、いつもどおり、ゆるゆるとにこにこと、恬淡としていた姿しか記憶にありません。でもホント意外にも熱く激しく凜々しい皇太子姿で、よかったなあ…
 でもでも、意外なところでやはり『王妃の館』のまこちゃんも捨てがたい、と思うのですよ! 配役も意外でしたが、総じて作品が綺麗に仕上がったことも意外でしたし(オイ)、ハッピーエンドのコメディって貴重なので、一幕ものであるという点でもなんなら私は『オーシャンズ11』より高く評価したいくらいです。
 それはともかく、相手役のクレヨンがりくだったというのも本当によかったんだと思います。何かというあの大劇場初日の拍手ね、でもあれはホント客席の総意でしたからね! 幸せだったなあ…ゲストコーナーで変わらずイチャイチャベタベタしてくれるあきりくが本当に好きです。これは寿退団と言われても仕方あるまい(笑)。まあそれは冗談にしても、ふたりは組の中でのスターとしての立ち位置が意外に違いながらも、絡むことが多く助け合い励まし合い支えにし合ってきたんじゃないのかな、と思うと、同時退団は寂しいですがこれもまたご縁…と思います。ああ、あきりくのトニリフだったらどんなに私の性癖に刺さったことか…!
 残り4回、事故なく、元気に、楽しく、完走してくれますように。私もお友達たちもみんな元気に走り抜けられますように。こんな夜更かししててアレですが、がんばりますので見守っていていただけたら嬉しいです。

 いつか柴田先生メモリアルコンサートが開催されたら、出演してあの甘く優しく素敵だった「瞳の中の宝石」を、もう一度聴かせていただきたいです。私にとっての柴田ロマンについては、また別に暑苦しく語りたいと思います。おつきあいいただけましたら幸いです。




 


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『美しく青く』

2019年07月14日 | 観劇記/タイトルあ行
 シアターコクーン、2019年7月12日19時。

 山を背負い、海を抱く町。都市のきらびやかさとは無縁のその町は、人慣れした野生の猿が田畑の作物や人家の食べ物を狙って荒らし、ときには人間まで襲う危害に悩んでいた。青木保(向井理)ら町の男たちは猿害対策のための自警団を結成し、日々不毛な争いを繰り返していたが…
 作・演出/赤堀雅秋、美術/土岐研一、照明/杉本公亮。全一幕。

 劇団THE SHAMPOO HATの作品を観たことがなかったのですが、こういう作風なんでしょうか。「ミニマムな、市井の人々のありふれた生活、その機微をいかに丁寧にすくい取り、舞台上で最構築するか」に腐心してきた作家さんだそうですね。
 でも、好みだけで言えば私はこういうタイプの作品は苦手です。映像か、小説でならいいと思うのだけれど、舞台でやる意味をあまり感じないし、舞台ってその場で生身の役者が演じるものだから当然生っぽいので、その現実そのままのリアリティにイライラさせられてしまうのです。そのリアルなおかしみやせつなさに眼目を置いているのだろうとわかるのだけれど、私は心が狭いので、笑えなくて、イラついたりムカついたりしてしまうんですね。現実のことは現実でやっているんだから、舞台ではもっと違うものを観たい、と思うタイプなのです。映像チックに場面を切って、暗転の間に本舞台の転換をするために役者を客席登場させて照明もそっちに強く当ててそこを舞台にして…というのも、ほぼすべての場面転換がそれで煩わしいし、観にくく感じました。まあ見えなくても話はわかる、という芝居をしているんですけれどね。
 役者は上手いし、笑うしかない情けない状況が続くし、話はまとまらないしまとまりかけるととんでもないことが起きる、ウソ臭いようでわりと現実ってそういうところあるよね…みたいなの、すごくわかるんですけれどね。
 でも、オチがとても良かったです。というか私の好みでした。だから救われました。つまりオチだけが綺麗で、物語的で、リアルにはない綺麗さだったからです。
 これは震災8年後の、津波の被害があった町の物語であり、工事途中の防潮堤が海の眺めを遮っている町の物語です。けれどラストシーンで保と直子(田中麗奈)の夫婦はその防潮堤の上に登って静かに海を眺めていて、そのままゆっくり手をつなぎ合う。わかりやすい。
 おそらく彼らの娘のマナミは「愛海」と書くのでしょう。直子は妊娠しているのでしょう。そう思わせられる、ラストらしいラストでした。
 猿害は解決されていないし、片岡さん(平田満)の順子さん(秋山菜津子)への恋は実らないし、節子さん(銀粉蝶)の認知症も回復することはない。東京へ行った美紀(横山由依)が幸せになっているとも限らない。そういうものです。それでも世の中は続いていく。海と空はそこに美しく青くある。そしておそらく新しい命が生まれてくる…美しい「物語」でした。そこに至る、過程の表現の手段が好みでなかっただけで。もう何本か観てみたいなと思いました。

 向井理は、最近自分が観た舞台では田中圭とか高橋一生とかもそうだったんだけれど、こういう普通の男を演じさせたときの破壊力が本当に素晴らしいですね。普通の男って要するに、ちょっとダメだったりかなりアレだったりするってことです。演技力があってそういう駄目さ、卑怯な感じなんかのリアリティを出すのが抜群に上手い。そして適度にハンサムなのが最高にイラついて、いい。当然ですが褒めてるんです。
 そして田中麗奈はこれまた普通に上手い。適度に美人だけど適度に疲れている生活者としての女をちゃんと演じてみせていました。ラストシーンについては後ろ姿だし私の想像でしたかないけれど、カテコで彼女はちょっとお腹を突き出すような歩き方をわざとしているように見えました。本来あそこはすでに役ではない部分なんでしょうけれど、とてもいいなと思いました。
 コクーンにかかった赤堀芝居に皆勤賞の大倉孝二、そら上手いよね知ってる。大東駿介は私は舞台で初めて観たかも、でも上手いですね。というか下手な役者がまったくいない座組でしたね。元AKBの横山由依も、全然「東京に出そうな女子」に見えないところがすごかったです。わざとなんだろうけれど全然美人じゃなくて驚いたくらいでした。いい女優さんになりそうですね。
 あと、役者として出ている赤堀さんがすごくいい味を出していて、こういうキャラクターを作家自身がやりたくなる、やっちゃった方が早いと考えちゃうのはちょっとわかる気がしました。でも、単にファンだから秋元菜津子を妻に配役したってのはずるいわあ(笑)。

 向井くん目当ての、普段演劇を観なさそうな観客も多そうで、どう響いたのか、あるいは全然響かなかったのか、それはちょっと聞いてみたいなと思いました。
 開演前に今年のベタなJ-POPがロビーや客席に流れていたのも、効果的だったと思います。そういうのは本当に上手いなと思いました。またひとつ、いい勉強になりました。



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