駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇雪組『伯爵令嬢』

2014年10月26日 | 観劇記/タイトルは行
 日生劇場、2014年10月15日ソワレ、23日ソワレ、24日マチネ。

 19世紀末のパリ。公爵家に生まれながら、自らが信じる正義のため、真実の報道を使命としたアラン・ド・オルレアン(早霧せいな)はル・ジュールナル新聞社を設立し、若き新聞王と呼ばれていた。しかしジュールなる新聞に不正を暴かれた父が自ら命を絶ったことでアランを憎むフランソワ(夢乃聖夏)はいつか復讐を果たそうと彼を執拗に追い続けていた。ある日ブルターニュを訪れたアランは、偶然立ち寄った孤児院でコリンヌ(咲妃みゆ)という少女と出会うが…
 原作/細川智栄子あんと芙~みん、脚本・演出/生田大和、作曲・編曲/太田健。1979年から84年に連載された少女漫画を舞台化した、新生雪組トップコンビのプレお披露目公演。全2幕。

 原作漫画の感想はこちら
 いやあ、いいお式でした。で、二次会は? そんな気分にされられる、まさしくチギみゆ結婚披露宴参列体験と言える幸せな観劇でした。とにかく観終わった後の多幸感がたまりません。これこそエンターテインメントが、宝塚歌劇が世に与えるべきもののひとつでしょう。
 私は個人的には、志は果たされ愛は成就したが恋人は死して還らない…みたいな悲劇に涙してスッキリするタイプの観劇の方が好みなのですが(^^;)、それでもこういうラブラブハッピーで少々のご都合主義などものともしない、正義は果たされ愛は勝つ!みたいな一大娯楽作品はもっともっと高く評価されるべきだと考えています。だって理想ってそういうことだし、人々がこれを観てなかなかそうはなっていない現実をそういうふうにただしていこう、って奮い立つ、そういうきっかけになるのがフィクションの役割だと思うのですよ。ただの夢物語でいいってことじゃない。これが理想だなんてテレて認められない向きもあるでしょうが、もっと素直になるべきなんですよ。だからみなさん参列しましょう、まだあと少し公演していますよ! そしてマジで来年の博多座はこれでいいんじゃないでしょうか。フランソワやリシャール(彩凪翔)の演じ手が変わったりしたらまた感じが変わって楽しいと思うなあ。全ツでもいい。とにかく広く世に観られるべき作品だと思います。
 そういう意味では、生まれてなかったでしょ?という頃の大昔の少女漫画を原作に持ってきて、かつ宝塚歌劇らしく男性キャラクターにきちんとフィーチャーして構成しなおした生田先生の手腕は本当に素晴らしい。やっぱり原作があった方がいいんじゃ…というのはこの際言うまい。とにかくテレず臆せずこれでもか!とやる姿勢が素晴らしい。
 そしてそれをやりすぎなのでは、と観客を引かせることなく、イヤミなくテレなく体現して見せた新トップコンビが素晴らしい。ああ、本当にいいところにお嫁にいってよかったね俺たちのゆうみ…!と感慨もひとしおです。
 次期トップ娘役就任とセットでの組替え、というのは近年ではまりもや蘭ちゃん、みりおんなんかもそうでした。事前にまったく接点がない相手と周りのお膳立てでめあわされる感じが本当に昔風ですが、こんなに上手くいくケース、かつ新婚感が漂うケースは珍しいかもしれません。
 きりまりは息ぴったりのダンサーコンビになり、双方の性格からして新婚カップルというよりはアスリートの先輩後輩、師弟みたいになっていて、それはそれでさわやかで愛らしかったです。
 蘭ちゃんは娘役スキルが高くて誰にでも上手く添え、結果的に相手を三人持つことになっても大輪の花を咲かせて今卒業していこうとしています。
 みりおんは残留が決まったので、これからかな。相手を選ばないという意味では欄ちゃんに近いタイプだと思うし、とにかくまずは彼女の力量が存分に発揮できる役に巡り会ってほしいと思います。というかアイーダさせないなら劇団ホント馬鹿。
 それでいうとゆうみちゃんはみりおの相手役という目もあったろうしこのまま月組にいてたまきち待ちだってできたでしょう。でもチギちゃんでよかった、ホントよかった。
 そしてチギちゃんもいい相手役に来てもらえて本当によかったと思うのです。芝居心はあるタイプだと思う、でもなんと言っても特技・美貌で歌はアレレ、ダンスは普通、そして背がちょっとね…となると、相手役を選ぶし組のトップスターとしてのあり方もなかなか難しいものがあったと思うのです。
 でもゆうみちゃんとセットで真ん中に立つなら、みんながみんな全力で支え愛し慈しむと思うのです。チギちゃんが本当にてらいなくゆうみちゃんを受け入れ可愛がり、テレもせずがんばってみせてくれるから、みんなが守りたくなる、支えたくなる、輝かせてあげたくなる。そういう求心力を持ったトップコンビが生まれたと思います。
 宝塚歌劇は演目を鑑賞すると同時にスターの活躍を見るところであり、団体芸としての組の輝きやパワーを楽しむものだから、この先の雪組が本当に楽しみです。ボン・ボヤージュ! ましてさらにだいもんが来るんだぜ、れいこが育ってるんだぜ、タイヘンだあ!!

 というワケでタイヘンよいともみん、タイヘンよいナギショー、タイヘンよいきんぐ、タイヘンよいまなはるを観ました。大ちゃんは確かに、ロンサール伯爵はマドレーヌ夫人(美穂圭子)の父親ではなく夫にしてもよかったかもしれません。バイト貴族が素敵だっただけにね。カリも使われていてよかったと思うなあ。
 やりすぎを心配されるアンナの有沙瞳ちゃんですが、私はそんなふうには感じなかったな。ちゃんとお姫様系もできると思います、普通に育ててください。
 ヒメやあゆみちゃん、カレン姉さんがきちんと仕事して、ユキエちゃんはちょっともったいなかったけど、他に若手も役名をもらってみんながんばっていて、とてもよかったと思いました。
 オルレアン公爵(夏美よう)の比重を原作より増やしたのもアランを主人公として立たせるためによかったと思いましたが、歌はなくてもよかったかな…なんてね。

 話はスピーディーですが雑だったり乱暴な感じはなく、若い観客にはこれくらいの方が眠い『ベルばら』なんかより100倍いいだろうし、韓ドラの超展開に慣れている熟年層あたりにもウケている感じでよかったと思います。転換もスムーズでわざとらしい役者の出入りやお衣装替え時間稼ぎがない感じ。
 キャラクターがきちんと立てられていて主要キャラクターにはきちんと歌わせていて、ちゃんと収拾して着地してフィナーレまでついて、素晴らしかったと思います。

 脚本的に引っかかったのは数点だけ、かな。ブルターニュの孤児院が後半「施設」と呼ばれるところは統一してほしいと思いましたし、オルレアン公爵の過去の悪事についてはもっと簡潔に説明してほしかったです。予習のために原作漫画を読んだだけだったのできちんと覚えていないのですが、「テロリスト」ってのは原作にあった表現かなあ? どうも最近の流行の言葉に感じました。あの時代の少女漫画ならむしろ「アナーキスト」を使っていたのでは? なんにせよ支援者である公爵がテロリストと表現するのはいかにもおかしい。反政府派とかにすべきでは?
 あとこの、大義の前に小さな悪事は見過ごせるのか、みたいなテーマはけっこうデリケートな問題なので扱いに繊細であってほしいのですが、それでいうと冒頭の北部鉄道社長とアランとのやりとりはいかにもまずかったと思います。ここは再演があればぜひ修正していただきたい。まあたいていの観客は流して聞くところだと思いますけれどね。
 ここでジュリアン(央雅光希)が言っていることは字面だけだとけっこうあたりまえでまっとうなことなのですよ。政府に命じられて鉄道を敷く、そのために土地を買い上げたってだけなんですから。鉄道ができれば周りの暮らしも便利になるし喜ばれる、という側面は見過ごせないものです。
 でもダメでしょ? ここはジュリアンの悪事をアランが暴いて、ジュリアンが逆恨みするって場面でしょ? だからジュリアンはもっと明らかに悪いことをしていなくてはなりません。安い値で買い叩いたとか住民を脅して追い出した、程度ではぬるいと思う。もっとひどいことをやっていて、もっとずるく儲けていて人のことなんか考えてなくてむしろ虫けらみたいに思っていて、もっと泣かされた人がいて、その真実を明かし正義を求め新聞を通じて悪を告発し糾弾している正義のヒーロー、にアランを見せなくてはいけない流れです。セリフをもっと工夫してほしい。
 さらに、逆恨みや報復、妨害を恐れるシモン(叶ゆうり)に対して「受けて立つ」と凛々しく答えるアランですが、ジュリアンは自殺を選んでしまいます。それに対する葛藤をどう描くかはまた非常にデリケートな問題だと思います。正義と人命とどちらが重いかって話なんですからね。ジャーナリズムの責任の重さに怖れを抱いたり、でも死んで逃げるのではなく生きて償ってほしかったと怒ったり、もっと描きようがあったと思います。少なくともジュリアンが死んで当然だと思っていたり、その死を他人事のようにしか感じてなくて自責の一片も見せないような人間にアランが見えないよう細心の注意を持って演出していただきたいです。
 そうだ、あと、コリンヌがプロポーズを受諾したとき、それを受けてプロポーズ自体を保留にしたことがわかりづらかったと思いました。コリンヌがリシャールと想い合っていることを鑑みて、リシャールの目が治ったら改めてプロポーズする、孤児院のために無理やりいやいや来てもらっても嬉しくない、待つけど絶対に自分に惚れさせてみせるよ、くらいのことをきちんとセリフで言わせないと、何がどう棚上げになったのかわからないなと思いました。
 コリンヌの就職のところもちょっと言葉が足りなかったかな。「アランの新聞社でカメラマンとして働かせてくれるってこと!?」みたいなダイレクトな台詞があってもよかったと思いました。
 それくらいかな。

 あとはもう…壁ドンも杖グイもあすなろ抱きも二度抱きも素晴らしかったし、ぶっちゃけセックスすることを「結婚する」「お嫁さんになる」と表現する世界観での押し倒しと寸止め場面も素晴らしすぎましたね。出色の一幕幕切れだったと思います。
 キザなプロポーズも素晴らしい、ギャラリーがん無視で熱いキスしちゃうのも素晴らしい、原作から足された結婚式で終わるのも素晴らしい。抱き寄せられてるのにさらに顔を寄せちゃうコリンヌが可愛すぎる。きゃはっ!みたく抱きつくのがかまととギリギリなのに可愛いなんて奇跡的すぎる、それを「はっはっは」と笑って迎えるのが馬鹿っぽいギリギリなのにきゅんきゅんするなんて奇跡的すぎる!
 幸福感満載のフィナーレのデュエダンがまた素晴らしい。かーわーいーいーーーーー!!!!!

 というワケで、今週うっかり再参列していたら笑ってください…オー・ルヴォワール。
 てか言いたいよね「ウイ」って!!!

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Musical Guild q.『THE SECRET GARDEN』

2014年10月26日 | 観劇記/タイトルさ行
 野方区民ホール、2014年10月22日ソワレ(初日)。
 20××年、ついに秘密保護法違反の逮捕者が出た。メディアの取材合戦にもかかわらず、検察・警察は秘密保護法を盾に事件の内容を一切明らかにしない。裁判当日、姿を現した被告人はなんと普通の市民9人! 原発に勤務する青年とその幼なじみ、そして町内会の面々だ。無罪を主張する弁護側と組織的犯行を主張する検察とが真っ向から対立。彼らはいったいどんな「秘密」に触れたのか…?
 作・演出/田中広喜、作曲・アレンジ/小澤時史、振付/山本真実。全1幕。

 秘密保護法をモチーフにしたオリジナル・ミュージカルで、昼間は会社員などをしながら年一回の公演を行っているセミプロ劇団での上演…と聞いてどんなものかなと思いつつ出かけたのですが、おもしろくて仰天しましたしうっかり泣きました。その上でいろいろ考えさせられました。
 まず、近未来…というよりほぼ現代の日本を舞台にしていて、かつ場面のほとんどが裁判所だったりしても、いわやるミュージカルのお作法をちゃんと押さえた作りになっていて、転換や役者の出し入れもちゃんとしていてまったく飽きさせずスムーズだったことに感心しました。歌詞もセリフもとてもわかりやすく聞き取りやすかったです。詩的で印象的なものもありましたし。
 ただ役者の歌唱力はピンキリ、というよりは私にはやや不満なものが多く…スナック勤務の綾乃役の伊藤紫央里だけが飛びぬけて上手かったけれど、あとは訓練が足りていない感じだな、と思ってしまいました。実際にはただの素人が舞台に上がってもあんなふうに演技したり歌えたりしないってわかっています。彼らはセミプロでも十分訓練を重ねているとわかっている。それでもプロとは違うんだろうな、と考えてしまうのは私の心の狭さです、すみません。
 でも演技力もやはり役者によってかなり差があったように感じました。セリフの口舌の良さとかとはまた別に、表情の作り方というかなりきり方というか。現代劇だけにみんなナチュラルでそれはいいんだけれど、だからこそ一枚作りこんだ上でヒロインやっています、という態の森崎みずきが観ていて私は一番ラクでした。
 つまり舞台は観客の目の前で実際に生身の役者が演じて見せる生ものなんだけれど、そこに描かれる世界はたとえ現代ものであろうとある種のファンタジーであってほしい、そしてその中からリアリティを感じ取って鑑賞する楽しみ方を私は求めているのだな、と改めて再確認したのです。だからファンタジーを成立させられるだけの力量が欲しいし、普通すぎたり下手だったり自然すぎたり生すぎたりすると興醒めして鼻白むのでした。
 それでも役者はそれぞれちゃんと芝居をしていてそれぞれの位置を確立していて、そして物語は盛りだくさんででも盛り込みすぎてはいなくて、本当によくできていました。女弁護士と女検事のユリユリしい場面とかあったしな!(私の邪眼です)

 「秘密」が原発関連のものであることは、当初はどうかなと思っていました。秘密保護法に反対であることと原発に反対であることとはまったくイコールではないと思うので、物語の流れとして上手くいかないんじゃないかな、と思えたので。
 でもこれもいい意味で裏切られたというか杞憂となったというか、さらに大きな、「暴走する国家」への不安と警鐘、みたいなものに上手くまとめられていたと思うので、よかったと思いました。
 弁護士にも検事にも押されておたおたしコミカルな役回りを担っていた裁判官が最後に英断を下す流れもよかったです。
 そして被告人の一部が有罪判決を受ける結末もよかった。この法律下ではそういう判決を下すしかないからです。でも裁判を通して真実が明らかになり、この法律の方がおかしく危ういのだということがさらされた。だから法律を変えるべきなのである、という結論です。
 被告人の一部は正しいと信じて正しいことをしました。そのために罰を受けることもある。でもそれは引き受けるべき罰なのかもしれないし、少なくとも引き受けることを覚悟して及んだ行動なのだから罰ではないし勲章ですらある…そんな潔さ、美しさに、泣きました。
 おもしろい観劇経験となりました。誘っていただけて感謝しています。
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『ブレス・オブ・ライフ』

2014年10月19日 | 観劇記/タイトルは行
 新国立劇場、2014年10月17日ソワレ。

 イギリスのワイト島にあるテラスハウス。その家の住人であるマデリン(若村麻由美)の元をフランシス(久世星佳)が訪れる。専業主婦だったフランシスは今では流行作家になり、夫・マーティンの長年の不倫相手だったキャリアウーマンのマデリンとの回想録を書きたくて訪れたのだ。当の夫は若い女とすでにシアトルで暮らしている。ひとりの男を愛したふたりの女の、夜を徹した対話とは…
 作/デイヴィッド・ヘア、翻訳/鴇澤麻由子、演出/蓬莱竜太、美術/伊藤雅子。2002年ロンドン初演、全2幕。

 ふたり芝居なので90分くらいの一幕ものかなと思っていましたが、休憩込みたっぷり2時間半の二幕のお芝居でした。お話は一夜のもののようだったので、どこで一幕を終えるのかなと思いましたが、なかなかおもしろい終わり方でした。
 初演はマデリンがマギー・スミス、フランシスをジュディ・デンチが演じたそうですが、それからすると今回のキャストはかなり若く、50代の設定に下げたそうです。でもアラフォーに見えたな、下手したらアラサーにも見えると思う。女優さんの実年齢はちょうどいいのかもしれないけれど、やはり綺麗で若く見えるものだから、そのニュアンスの差はかなりあるのではないかなあ、と思いました。
 たとえば夏木マリとか原田美枝子とか、余貴美子とかあたりの、もう一声上の世代の女優さん同士でもおもしろかったかもしれません。やはり若く見えすぎると、どう考えてもそんなにいい男じゃなかったんじゃないのと思えるマーティンにこんなにもこだわっているのが不思議に見えてしまうと思いました。さっさと次にいけばいいんじゃないの?と思ってしまう、というか。そもそもはもっと老境に入りかけた女たちの話だったのかな、と思ったので。
 実年齢がどうかは知りませんが、フランシスのノンちゃんがマデリンの若村さんより老けて見えるのも気になりました。マデリンはマーティンより年上であることをことさらに言うので、フランシスはおそらくマーティンより若いのでしょう。でもそんなふうには見えづらいかな。まあフランシスは実年齢より老けて見えがちな、家庭と子育てに疲れた女…ということなのかもしれませんが、でも現在は流行作家なんだしねえ。
 ふたりともすでに男とは別れているわけですが、ふたりの間に関係性があるとすればそれは元・妻と元・愛人、ということになります。若い女と年上の女、とか専業主婦とキャリアウーマン、とか暗い女と明るい女、みたいな明確な対比はありませんでした。そういう類型的なことにはしたくなかったのでしょう。
 同様に、夫婦の暮らしとか不倫関係がどんな感じだったのかとかどう離婚に至ったのかとかについてもディテールは明確には語られません。だからそういうことにも眼目がない話なんですね。
 じゃあどこにキモがあるのだ、なんの話なんだと言われると…だからちょっと答えようがないような、そんな不思議な舞台でした。
 別にふたりの女が対立して口論する、というだけでもないし、理解し合って友情が芽生える、ということでもないし、自分たちを捨てた男をふっきって未来に向かって歩き出す…なんて話でもない。でもその全部でもあるようでもある。そんな一夜の対話の話です。
 女優はふたりともだからやりたいようにやっていて、その空気の合わなさ加減が登場人物たちの境遇にはぴったりで、そのスリリングさはおもしろかったです。ふたりともとても素敵でした。でも逆の配役でもおもしろかったかもしれない、と思わせられたりするのもまたおもしろかったです。
 でも結局のところじゃあなんだったんだろう、てかマーティンってなんかいけすかない感じしかしなくない?とか思うと、そもそも男性が書いた話だしな、こんなちゃんとしたいい女がふたりもそんな男を愛して、捨てられて時間が経ってもまだふっきれないでいるとかありえるのかな、こんなにいちいち会っていたときのころの様子とか覚えてたりするものかな、私だったらすぐ忘れ去ることにしそうだけどなとかいろいろ考え出したら、なんかちょっと作者に都合のいい話なんじゃないのかな、みたいに思えてきて、ううーむ、となってしまったりしてしまいました。
 あとタイトルがサブタイトルともどもよくわかりませんでした…
 セットは素敵で印象的でした。
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宙『NW!』脳内企画会議絶賛進行中!

2014年10月13日 | 澄輝日記
 というワケで『New Wave!-花-』『New Wave!-月-』のスカステ放送録画を観ては宙組版を想像してムヒムヒする日々を過ごしています。
 見慣れてメンタルを強化していかないとバウで倒れるかもしれませんしね(笑)。
 というか真面目に企画を考えて三木先生に進言したいくらいなのです。観たいものは観たいと言っておかないとね!

 花、月双方に共通していたのは、まずプロローグ。アレが「♪そ、そ、そ~らぐみ最高、サイコー!」になるワケですね。
 花は金の燕尾にピンクのシャツ、月は銀の燕尾にブルーのシャツだったかな? なので宙はシャツの色は組カラーの紫でいくとして、金の燕尾ならデーハーに、銀の燕尾ならシックになるかもしれませんね。
 ヘンなタイコ(オイ)とメンバー紹介の流れも同じでしょうね。
 2幕アタマにメドレーがあって、メイン格の娘役ちゃんが歌う「アメイジング・グレイス」と、ユキちゃんやはーちゃんが歌った歌、あれはタイトルはなんていうのかな?「If It’s Over」かな?このあたりも踏襲されるのかな。このときの衣装がなんのショーのものでしたっけ、グレーの変わり燕尾に刺し色が赤でこれも共通していましたね。
 フィナーレは『ロック・オン!』のものでしたっけ? メインメンバーは銀と黒、他は白と黒の(『レビュドリ』かな?)のお衣装であの主題歌、というのも共通になるかと思います。

 メドレーは、花月ともいわゆる『ベルばら』四強以降のトップスター7,8人の代表曲を歌い継いでいたかと思いますが、宙組は何しろ今のテルがやっと六代目なので、ひとり一曲だと寂しいので少し考えたいところですね。
 やはりまずはズンコの『エクスカリバー』から「未来へ」かなあ。「明日へのエナジー」は中日『シトⅡ』で再現しちゃったばかりだからねえ。
 『ミレニアム・チャレンジャー』の主題歌は盛り上がると思うなあ。あと『満天星大夜總会』のHANACHANGね。アリサとかがはっちゃけてやってくれそうだけどなー。
 『ファントム』はタカハナが初演なのでやってほしいですね。「僕の悲劇を聴いてくれ」をあっきーに歌われたら泣きます私が。あとは「Home」なんかもゼヒ。
 『NEVER SAY GOODBYE』は権利関係的にはどうなんでしょうか、でも大作だったので扱ってほしい気もします。
 かしるい時代なら『ザ・クラシック』から主題歌、かなー。竜馬はやはりミキちゃんなイメージな気がします。
 タニウメなら『宙 FANTASISTA!』のすっとんきょうさはやはり捨てがたい(笑)。
 『カサブランカ』からは何をやられても泣く自信がありますよ私は。あっきーに酔っ払い演技つきで「カサブランカの夜霧に」を歌ってほしいなあ。『ファンキー・サンシャイン』や『NICE GUY!!』のプロローグはもちろん盛り上がると思います。
 そして『銀英伝』フィナーレの「フレイヤの星」再現でシメ、なんてどうかしら。『ベルばら』『風共』は宙組ならではって感じではないのでスルーで。
 もちろん『Amour de 99!!』のパイナップルの女王をあっきーがやってくれても喜びます私が。

 あとは花ではあきるな、月ではたまちなでやったような、男役が女役に回る場面も必須ですね。ずんちゃんかな、かなこかな、まりなかな。使っていこう!

 月で『ジャズマニア』を再現したのは私は世代だということもありますがとても感動したんですよね。なのでああいう一場面も欲しい。
 宙で三木先生のショーというと『ザ・ショー・ストッパー』、『ネオ・ヴォヤージュ』そして『クライマックス』なんですよね。
 『クライマックス』は近すぎる気がするし、どうも先生が気に入っていたっぽいあのグサグサ殺し合う薔薇の場面の再現とかは勘弁してください、って感じなのですが…
 でもあとの2本でこれぞ名場面! 再現してほしい!! という場面が思いつきません…
 組にこだわらず三木ショーといえば、私が観始めた平成4年以降ならたとえば『ミリオン・ドリームズ』…ユリちゃんとマミちゃんのなんかお耽美な場面がありましたね…
 『メガ・ヴィジョン』、これはリンダ・ヘーパーマン振り付けのヤンさんがスーツで踊る場面が絶品だったけれど、いろいろな意味で再現が難しい気がします。
 『パッション・ブルー』は当時の星組らしい大人っぽいゴージャスな場面が多くて楽しかった記憶があります。星『NW!』のために取っておく、とかがなければやってもいいかも。
 『ゴールデン・デイズ』も金と黒が素敵だった場面があった気がするなあ。
 『ル・ボレロ・ルージュ』、これも名作、大好き。でも「情熱の翼」を月『NW!』で歌っちゃったし、ないかな。
 『グレート・センチュリー』…あんまり記憶がナイ…『美麗猫』これは楽しかった。でも花『NW!』で主題歌でロケットをやっちゃったからこれもないか。
 『VIVA!』は花組イメージが強いかなあ。『レ・コラージュ』…記憶ナシ。『ファンシー・ダンス』は大好きだった、でも月組イメージすぎるかな?
 『Heat On Beat!』は月『NW!』でやったし、『ロック・オン!』も『カノン』もやや近すぎるかな? あのダブル・デュエダンはちょっと素敵だったけどな。
 スカステで放送があったら、捕まえて研究したいです。

 あとは何が観たいかなあ…
 やはり自分が観始めたころの記憶は鮮明なので、花『NW!』でだいもんが着ちゃったけれど、『ダンディズム!』の白黒ストライプスーツの男同士のタンゴ!とかね。
 『ラ・カンタータ!』の「熱愛のボレロ」も、これはシメさんの場面だったけれど確か何かでタカハナが再現しませんでしたっけ? だからいいんじゃないかな? あのホルターネックの白いドレス、素晴らしいですよね。『プレスティージュ』にもあったけれど、白い衣装で踊る南国を思わせる場面はやはり情熱的で印象的です。
 あとはソフト帽にチャイナ服みたいなヤツ! 丈の長い、派手な龍の刺繍が入っているような。戦前の香港とか上海とかの暗黒街っぽいヤツ。『シャングリラ』のレストラン場面で雹と霙が変装(?)していたようなアレ。昔の女が今は夜の女になっていて偶然再会して…みたいなお芝居仕立てのシーン、よくあるじゃないですか。
 それからターバンの海賊みたいなの! 昔ミキちゃんがやった、最近なら『CONGA!!』でまゆたんがやったような。
 ギリシァ神話ふうのコスプレは私はわりと苦手なんだけれど、長髪の鬘にマント、みたいな耽美なものならみんな着こなすかな?
 定番だけれどシャンソン・メドレーのトリコロール衣装の小粋なパリっぽい場面とかもあってもいいかも。『クライマックス』中詰めと似ちゃうかな? それでいうと藤色の軍服の群舞とかも本当にノーブルに決まりそうですよね。
 夢が広がるなあ、早く振り分けとその他の「主な出演者」が知りたいな。そこからまた広がる妄想(笑)もありますよね。
 三木先生はもう準備は始めていらっしゃるのでしょうか…ショーってどうやって作っていくものなんでしょうね。本当に楽しみにしています!



 
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『ブックショップ』

2014年10月12日 | 観劇記/タイトルは行
 赤坂区民センター、2014年10月12日マチネ。
 ある古い本屋のオープンの日、新しいオーナーのジェーン(麻乃佳世)は子供の頃からの夢がかなって希望にあふれていた。しかしそこは怖い噂で評判の本屋だった。真夜中、突如ジェーンの前に現れたのは、この本屋のかつてのオーナーだと名乗る幽霊のヴィクター(あぜち守)だった…
 脚本/マリー=ジョゼ・バスティアン、翻訳/長谷川仰子、演出/フレデリック・デュボワ。2005年にカナダでフランス語版を初演、2006年英語版初演。日本では四演目。

 久々のヨシコ目当てで出かけたのですが…発売開始からかなりたってからネットで買ったチケットが何故か最前列で…さすがにそんなに近くで観るとちょっと歳月を感じて残念でした。引いて見たらもっと可愛かったと思うなあ、芝居はキラキラしていたので。
 ただ、脚本に若干の不備があるとは感じました。ジェーンが本が大好きな少女でそのまま成人したような子だというのはわかる。でも本屋の経営が夢だとか内気で人見知りだとかの情報は何もなかったので、ここが普通の書店なのか古本屋なのかもよくわからなかったし、本に囲まれていれば満足なのかお客に本を届ける仕事をしたいのかさっぱりわからなかったし、隣のチョコレート屋のサミュエル(溝呂木賢)ともどこでどう出会ってどこにどう惹かれたのか全然描かれないし、だから彼が本屋を訪ねてきたときにジェーンがなんだってあんなに大騒ぎをするのか皆目わかりませんでした。エキセントリックな女に見えちゃいましたよ。それじゃダメでしょ?
 夢を追って本屋を持って、でも内気すぎて人づきあいも商売も下手な女性のところにゴーストが現われて、ゴーストの後悔を癒しながらジェーンの成長と恋を見守る…これはそんなハートウォーミングな小品になるはずの話なんでしょ? だから前提をもっとていねいに演出して欲しかったです。
 でも四人のキャストで回す舞台はとてもチャーミングでした。ヴィクターの上手くいかなかった恋の相手ペトラを演じた旺なつきが絶品でした。こういう、過去・幻想・夢の女を演じさせたらOGの右に出る者はいません。ゴージャスで美しく、ゆめゆめしい、現実離れした女性っぷりが素晴らしかったです。ほぼ着たきり雀のジェーと違ってお衣装替えも何度かあるしね(^^;)。
 ただ芝居の仕事としてはあぜちさんが一番大変だったろうし肝だったろうと思います。初めて拝見する役者さんでしたが、ユーモラスで味があって声が良くて感心しました。
 せっかく何度も再演されているウェルメイドな舞台なんだから、ぜひあと少しだけ脚本に手を入れて、愛されていってほしいなと思います。


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