駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇月組『Voice』

2016年03月31日 | 観劇記/タイトルあ行
 赤坂ACTシアター、2016年3月30日15時。

 月組トップスター龍真咲の大きな魅力である「声」に焦点を当てたコンサート。一幕は遠い未来、歌も踊りも失われた時代を舞台に、宝塚で歌ってきた曲をミューバカル形式で。二幕はいかにもな曲から意外な曲、新曲をコンサート形式で見せる。作・演出/小柳奈穂子。

 突然ですが、宝塚歌劇の公演開始時間がどうにもマチネ、ソワレ表記にそぐわないのがずっと気になっていて、今回から時間表記に変えることにしました。
 というわけでFC貸切の回に出かけてきました。お友達のおかげで一階席前後左右ほぼど真ん中の良席をいただき、でもまさおTシャツ着てないしマフラータオルも持ってないしペンライトも買ってないし、ノリについていけるかしらん…とか思っていたのですが、杞憂でした。
 泣きましたし、楽しみました!
 『PUCK』から始まって泣ける、というような話は事前に聞いてはいたのですが、まさかの『明日への指針』主題歌でちょっとうるっとしてしまい、ファンエナ主題歌にノリノリで手拍子してたら「サイラモナムール」で涙腺決壊、そこからずっとずーっと号泣していました。
 私はここ四、五年で生で観ていないのは『Victorian Jazz』と『フォーエバー・ガーシュイン』だけなはずなので、まさおがトップになってからは全ツだってなんだって観てきたんですよね。なんなら大劇場初日に駆けつけてきたのです。もう思い出がありすぎました…
 まさおがまた、当時よりソフトに、メロウに歌うので…聞き惚れました。
 人間役のミツキ(海乃美月)のくらげちゃんが、みやちゃんをおいて先にノリノリになっちゃうのにも、なんか妙に感動してしまいました。
 二幕は二幕でまた盛りだくさんで、「説教」が芸になるトップスターなんてホント素晴らしいなと思うし、出演者紹介の一芸披露も楽しいし、植Gに怒られないの!?ってパロディもおもろいし、みやちゃん・ゆりちゃん・からんちゃん・あーさの女装もおもしろすぎたし、知らない曲もありましたが観ていてダンスが楽しく、十分に満足できました。
 コンサートとして、ちゃんと『DRAGON NIGHT!!』と違っていたのもいいなと思いました。これならファンもリピートが楽しいでしょうし、プレサヨナラ公演としてもよくできていると思いました。
 サヨナラ公演も、いいものになるといいな。初日から参戦予定です、楽しみです!




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宝塚歌劇宙組『Shakespeare/HOT EYES!!』

2016年03月29日 | 観劇記/タイトルさ行
 宝塚大劇場、2016年1月1日(初日)、2日マチネ、ソワレ、3日マチネ、9日ソワレ、10日マチネ、17日マチネ、19日マチネ、ソワレ(新公)。
 東京宝塚劇場、2月19日ソワレ(東京初日)、20日マチネ、23日ソワレ、28日ソワレ、3月3日ソワレ(新公)、5日マチネ、10日ソワレ、15日ソワレ、17日マチネ、21日ソワレ、26日マチネ、27日ソワレ(大千秋楽)。

 時は16世紀末、ペストの流行により死と隣り合う暮らしを人々が強いられていた時代。ロンドンでは日常を忘れさせてくれる演劇が人気を博し、連日多くの市民が劇場に押し寄せていた。そんな中、新作の芝居『ロミオとジュリエット』が開幕する。脚本を手がけたのはウィリアム・シェイクスピア(朝夏まなと)、まだ無名の新人作家である。しかし彼と妻アン(実咲凜音)は、明日にはロンドン中が彼の名を知ることになるだろうと確信していた。舞台上で繰り広げられる愛の物語を見つめながら、ふたりは6年前に思いを馳せる。『ロミオとジュリエット』はふたりの物語でもあったのだ…
 スーパーバイザー/小田島雄志、作・演出/生田大和、作曲・編曲/太田健。シェイクスピア没後400年メモリアル、と銘打たれたのはたまたまだったそうですが、新生宙組本公演第二作となるオリジナル・ミュージカル。

 大劇場初日雑感はこちら、大劇場新公雑感はこちら、脚本つっこみはこちら
 ハードルを下げて臨もうと思い、それでも怒り暴れる気満々で、なのに「え…? これっておもしろいんじゃ…? てかすごくよくできてる…?」となった元日初日幕間のとまどいから早三か月。尻上がりに好評を博し他組ファンからもお褒めいただきたくさんチケット頼んでいただけて楽しく観ていただけて取り次ぎし甲斐がありアテンドし甲斐もあって、自身も本当に楽しく通いまくりました。夢のようです。
 よく考えたら、本当に、ごく普通の、あたりまえの出来ではあると思うのですよ。登場人物が役者の個性に合っていて好感が持てるキャラクターで、その行動や心理に無理がなく、ストーリー展開にも強引さや破綻がなく、配役が適材適所で、笑いあり涙ありロマンチックで後味が良く、差別その他ストレスとなる不快な要素がない。ある程度定期的に製作され一定の人気があり収益もあげている創作物として、ごく基本的な基準をクリアしているにすぎないのですけれど、宝塚歌劇においてはこれがとても稀で奇跡的なことであり、それだけで世紀の大傑作にすら見えかねないのだからそれはそれで困ったものです。宝塚歌劇の演目がいかに普段、出演者の魅力と技能に頼りきりの、情けない出来の脚本・演出しか作れていないか、これを機に猛省してほしいものだと思いました。
 ウェルメイド、という言葉は、「ただ良くできているだけ」というニュアンスを感じないこともなくて、なかなか使い方が難しいと思うこともあるのですが、私はもともと、「荒削りだが目新しさがある」とか「足りない点も多いが尖っているところが魅力」とかいうタイプの作品より、全方向に丸く滑らかでまず平均点をきちんとクリアしていることを買いたい派なので、この作品に関してもいい意味でも悪い意味でも堂々と「ウェルメイドな作品であった」と評価したいし、たとえばよそからも、別に賞とかがすべてではないけれど、そういうなんらかの形で評価され顕彰されるといいなと思っています(『ヘッズ・アップ!』にも同じことを思いました)。
 これは私があくまで秀才タイプの凡人であって天才ではないから、もっと言えば作家ではないから、そう考えるのでしょう。でも勉強や良識やちょっとした気遣い、工夫でできることはたくさんあって、それだけで埋められる穴がたくさんあるのに、その穴が開いたまま売り物として世に出てるもののあまりの多さにときどき絶望的な気分になることがあるので、たとえ少数派なのだとしても、こういうことはしつこく言い続けていきたいと思います。この作品は、いい、ちゃんとしている、よくできている、素晴らしい。
 そしてもちろんこの作品は、そういう、ある程度誰でも習得できる基本的な技術やノウハウだけで作られただけものなんかではなくて、ちゃんと作家の愛と情熱と萌えが詰まった、見せたいこと、伝えたいことがきちんとある作品でした。そこが何より素晴らしい。よくできていたって「で、だから?」ってなっちゃうような作品では、創作の意味がないからです。残念ながらこういうものも多いんだ世の中には!
 生田先生、ありがとうございました。この時期のこの宙組に、新作オリジナルの二本立て公演、かつ良作、本当に本当にありがたかったです。これを踏まえて『王家』再演、そしい大作『エリザベート』への挑戦と、組は羽ばたいていけます。その次の全ツも演目発表になれば今年は終わったも同然ですが(笑)、この先も楽しみしかありません!!

 まぁ様を主人公に若き日のシェイクスピアの愛と青春、迷いと成功を描く。企画として大成功でしたし、ウィリアムをエキセントリックな天才に描かなかったところが最大の勝因だったと私は思っています。
 まぁ様のウィルは才能と夢と希望にあふれた、まっすぐでごくまっとうな青年で、偏屈だったり変人だったりするところはまったくありませんでした。
 作家が作家を描くとき、まして天才作家を描くとき、才能あるがゆえに常識はなくて社会からははみ出していて家庭にも恵まれず栄光を得るが転落し…みたいな、悲劇的で英雄的な仕立てにすることが多いものですが、生田先生は踏みとどまりました。そこが何よりの勝因だったと思うのです。
 確かに、実際のシェイクスピアの作品に出てくる詩的な台詞の数々を、別の登場人物たちがしゃべってしまうことも多いので、ウィルの天才性とかウィルの言葉だけが持っていたはずの魔力とかが薄れてしまっていて、たとえばエセックス伯(桜木みなと)が土壇場でああまで彼を庇う理由がわかりづらくなってしまっている、とかの弊害はあったのかもしれません。でも私はここなんかも、単にウィルがいいヤツだったから庇ってやりたくなったんだ、でいいんでない?とか思っていました、すみません。それくらいまぁ様が素敵に、魅力的にウィルを演じてくれていましたし、だからそれで十分だったと思うんですよね。天才の苦悩とか、凡人の観客には興味ないし関係ないもん。でも恋する男の苦悩は大好物なワケですからネ!
 史実から悪妻だとか不仲だったとかされることも多いという妻アンも、トップ娘役でありまぁ様の相手役であるみりおんに演じさせて物語のヒロインとする以上、きちんと主人公の恋の相手に据えその恋をきちんと描き山あり谷ありでもハッピーエンド、とするべきであり、ちゃんとそうしたのも勝因のひとつでした。宝塚歌劇の観客が観たいものはトップコンビのラブでありロマンスでありハッピーなのです。ここを外してワケわからなくなっちゃってる演目のなんと多いことか。みりおんの母性や落ち着きが、アンがウィルより年上の女性であること、母となり息子を失いそれでも夫を愛している女性であることに、うまく生かされていました。
 二番手スターは物語の中で恋敵か仇役、あるいは親友みたいなポジションで活躍することが多いものですが、今回のゆりかはウィルのパトロンとして劇団を主宰(?)するジョージ・ケアリー(真風涼帆)役。芸術にも理解があるし心情的には盟友といってもいいけれど、自分の政治権力掌握のためにウィルの人気を利用しようとする面もある色濃い役で、これもハマっていました。これまた終盤のコミカルパートが唐突だ、という意見もいくつか聞きましたが、私はこれまた上手い笑いとユーモアの投入だな、と感心したんですよね。笑わせるのって難しいし、しょうもない駄洒落とからちもないドタバタに落とすんじゃなくて、これまたちょっと役者の個性を生かしたおもしろいアイディアで、真面目に一本調子に辛気臭くお涙ちょうだいにまとめるんじゃなくて気が利いているなと思いました。
 愛ちゃんにしたって、おもしろくなりすぎちゃっているということはなかったと思います。もしそうだったとしても、三番手くらいまではコメディリリーフもやっていいと思うのですよ、カッコつけるのはこれからいくらでもできるんだから。『SANCTUARY』とかちゃんと生で観てたらわかりますよ、あれができていてこその今なんじゃん、これからなんじゃん。宙組は大丈夫です、磐石です。
 エリザベス女王役の美穂圭子お姉さまがさすがで、劇団の看板役者リチャード(沙央くらま)のコマもさすがでした。酒場の場面、ベタではあるけれど、あの芝居はなかなかああはできないものです。こんな重要キャラクターなのに大劇場公演では中盤まで名前が出てきませんでしたが、東京で脚本を一部改訂してきた生田先生ホントGJ。冒頭にベン(星吹彩翔)とリチャードとポープ(澄輝さやと)の名前を出させること、は私が手を変え品を変え訴え続けてきたことなので、別にその意見が採用されたのではなく生田先生が自分で気づいて修正したんだとしても、嬉しいことに変わりはありませんでした。東京初日に席で小躍りしていましたからね私!
 一座の役者仲間であり回想場面ではウィルの親友役を演じたりくとそらもいい仕事をしていて、女形を務める少年役者役のせーこがさすがで、一座の座長かけるがさすがすぎて、ジョージの政敵たちであるりんきら、てんれー、さお、ゆいちぃもいい仕事をしていて、ウィルの両親まっぷーとあおいちゃんも手堅く、ハムネット(遥羽らら)ららたんが激キュート。りおがちゃんとしててかなこが美しくまりなは可愛い。あきももなっつも目立って見えてたなー。
 ジョージの妻ベス(伶美うらら)役のゆうりちゃんの尋常でない美貌と確かな芝居、チャーミングさが存分に発揮されて、二番手娘役格として燦然と輝いていたのも素晴らしい。女官sはみんな美しくてたまらん。『冬物語』の役者たちはみんな男性俳優の女装姿なのだと思うのもまたたまらん。
 進撃のまどかもきっちり役割を務めていたと思いました。
 最後に我らが(笑)あっきー、可愛かったよチャーミングだったよ! 明るい役を楽しそうに演じていて良かったよ!! このあたりは近々「澄輝日記」でしつこく語らせていただきますね。
 うん、宙組、充実してるな、磐石だな! 本当に本当に楽しい、いいミュージカル公演でした。

 ダイナミック・ショーは作・演出/藤井大介、作曲・編曲/青木朝子、手島恭子。
 全場大階段出しっ放しの効果は正直そんなになかったと思うし、マジでダイスケお休みもらった方がええんちゃうかとか思うし、ホントはB先生とかダーイシとかスミオちゃんとかのショーが宙組で観たいとかの要望はあるし、それでもやっぱり楽しく観ました。宙組にショーがあるだけで嬉しいし、ダンサーでありショースターであるまぁ様がロケット以外の全場面に出て踊りまくるなんて、ファンとして楽しくないわけがないのです。
 すっしぃ、あおいちゃん、きゃのんにてんれーという濃い(特にてんれーが)4人の魔法使いに導かれ、まずは娘役ちゃん全員の銀橋ダッシュ! 先頭のエビちゃん超イイ笑顔! 東京では銀橋が長くなってタイヘンだったそうですが、ゴージャスで観ていてとにかく高まるプロローグでした。
 そこからの大階段に板つくまぁ様のシルエットの美しいこと! 打ち鳴らす手の音がよく響くこと! そしてまずゆりかが下手から、愛ちゃんが上手から現れて。ホントはそれぞれ拍手を入れたいところだけれど、まぁ様が歌っている途中だから遠慮して、ひそやかに始まっていくのも美しい。さらに下手からあっきーが出てきたらもう私は他が見られないので全貌がよくわかっておりません…今回ホントにまぁ様のすぐ右手とか右奥とかにいることが多く、見やすくて嬉しかったです。
 一度引っ込んだあとはあきゆうりという美の暴力カップルで再登場、ニコリともせず踊るタンゴがまたカッコいい! 男女のホールドがときどき正式なものと逆になるのは、ソシアルダンス・ビギナーとして見ていて気持ち悪いけれど、まあ目をつぶろう。
 そしてガラリと空気が変わって主題歌突入! 最初のうちは覚えづらいと思ったものでしたが、慣れると歌詞がいかにもまぁ様っぽくて明るくて楽しくて、すぐ歌えるようになりました。客席下りもホント楽しかった!
 銀橋に愛ちゃんと娘役ちゃん4人が残って、ありさの指差しがビシバシ決まって、ここも楽しかったです。
 ダービー帽にフォッシー・スタイルの「Jumping EYES」場面はまたまた大階段板つきのまぁ様がカッコよくて、まゆたん譲りの「フッ」の掛け声も凜々しくて、またまた上手でニコニコバリバリ踊るあっきーが可愛くて至福。ここはあきエビ。ロケットの蹴りも美しい。どピンクのシャツも可愛かったなー。ラストにまぁ様に寄っていくときにすっごいいい笑顔でまぁ様を見るので、下手で観劇のときはよくおこぼれをいただいていました。
 「Dark EYES」場面は、ゆりかの銀橋の歌がうまく聞こえないタイプのもので残念でした。あと「♪ガラスの夜」とかを鼻濁音で発音しなくてもよかったのではなかろうか…ゆうりちゃんのセリ上がりには拍手入れたかったなー。金髪と黒髪の鬘を交互にチェンジしているさおとかなこ、美しかったなー。まぁ様はエクステがある方が人外感が出ていて好きでした。全然すべてのパートが見きれないうちに終わってしまいました、さすがはヤンさん振り付けの場面であったことよ…
 中詰め突入、三組のヤングカップルではららたんガン見でした。顔とスタイル、踊りはまいあちゃんが好きなんだけど、ららの「可愛い芸」(同じタイプのものに愛ちゃんの「イケメン芸」というものがある)に惹きつけられざるをえませんでした。ゆりかの「Eye of the Tiger」ではゆいちゃん、しーちゃん、ふみなガン見。
 続いてコマの「め組のひと」と、今や女子ダンスリーダーのエビちゃん。でもすぐオラオラザカザカ階段下りてくる人がいるのでそちらをガン見。ウィンク、指差し、開眼、ホント毎回ひどかったごちそうさまでした…
 圭子さまの貫禄が素晴らしく、みりおんの「天使のウィンク」ではりくのアイドルっぷりとりんきらのサラサラ前髪にやられ、まぁ様の「ダイヤモンドアイズ」ではかけるのダンスの上手さは知っていたけどさおもホントすごくて、見惚れていました。そのあとのまぁ様の客席下りがまたよくてねー! 全ツ『シト風Ⅲ』のときみたいなメロウでマイルドなのもいいけれど、こういう元気でアグレッシブなのもホントいい。本舞台からもみんなオラオラ視線くれるし、前方席だと大変でした。
 コスミっコ7は…「Baby」の数を数えて精神統一を図るしかありませんでしたよね…萌えすぎてつらかった、ありがとうございました…
 「Mysterious EYES」では闇のゆみちゃんしーちゃんガン見。ジャガーたちのあまりのトンチキ衣装に、ここのメンバーに入らなくてよかったと心底思っていましたが、ダンス自体は素敵でずんちゃんやかける、ゆいちゃんをガン見。そして現れる光の男の神聖さたるや…! 演奏が盛大にトチる回に遭遇したことがありましたが、動じずつないだみんな、すごかったなあ。
 そこからのまぁ様ノクターンも素晴らしい。当初はもっとシンプルなお衣装でもいいのでは…とも思いましたが、照明ともあいまって本当に美しい。一度、男性の声で「まなと!」と掛け声が飛んで空気がぶち壊しになった回がありましたが、まぁ様はさすがの集中力ですぐさま世界を引き戻して見せてくれました。
 フィナーレはコマの「満点の瞳」での銀橋渡りがあって、そらのロケットボーイが颯爽と現われ、懐かしい『ファンキー・サンシャイン』ひまわりのお衣装で下級生たちが踊ります。ここもららまどかガン見。
 「Exotic EYES」はゆいちゃんガン見。本当に理想的なスタイルと切れ味のいいダンスをする娘役ちゃんです。この場面のラスト近くは大階段をオラオラザカザカ下りてくる人を見るのに忙しくて展開がよくわかっていません…ハラリ前髪シケとニヤリ笑いはホントにギルティ。そのあとの三組デュエダンはゆうりちゃんガン見でした。誰と組んでも本当に美しく、愛らしい。
 新調のお衣装でのパレードも豪華できらびやかで、嬉しかったです。ああ、楽しかったなあぁ。千秋楽のカーテンコールで、シャンシャンを持っていないので手を上げる振りがガッツポーズみたいになっているのもツボでした。まぁ様の「がんばりましょうネッ!」みたいな声に「ハイッ!!」ってみんなでお行儀良く応える感じとかもすごーく可愛かった。いい組になりました、これからも楽しみです。
 甘々モードですみません…





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珠城日記&愛希日記2~月全ツ『激アパ』初日雑感

2016年03月21日 | 日記
 珠城日記の1はこちら、愛希日記の1はこちら
 星全ツ『激情』の記事はこちら、月『アパショ』初演はこちら、宙博多座はこちら、宙中日はこちら

 月組全国ツアー公演『激情/Apasionado!!Ⅲ』初日と二日目マチネを梅田芸術劇場で観てきました。
 こういう言い方をすると眉をひそめる方も多いかもしれませんが、それでもここでは言わせてください。珠城さん、プレプレお披露目おめでとうございます!
 『舞ゴル』my楽時点での人事に関する懸念は以前記事にしたとおりですが、次期トップスターと発表されたからにはやるしかないのです。そして絶対に大丈夫。信じていたけど、知っていたけど、改めて確信しました。
 というかまずなんといっても作品がいい。『月雲』といい『Bandito』といい、珠城さんの作品運の素晴らしさは特筆したいものがあります。単なる運や巡り会わせなのかもしれないけれど、そういうものも本人の生来の真摯さ、誠実さやたゆまぬ努力が呼び寄せるものなのだろうな、とも思うのです。
 たまちゃぴプレお披露目となる『アーサー王伝説』も楽しみです。そして、なんのかんのいっても本公演でないと観ないという人も多いと思うので、来年のお正月公演の演目発表が今から楽しみです。
 未だ、そしてこれからもしばらくは、もしかしたらずっと、あれこれ言われるのでしょうけれど、観てもらってわかってもらうしかありません。納得してもらい、ファンになってもらい、いいねと思ってもらえるようになっていくしかないのです。がんばっていただきたいです。でもきっと絶対大丈夫。私は本当に楽しい二日間を過ごしました。
 柴田スキーの私にとって『激情』は大好きな作品で、『アパショ』は初演も観ていますが前贔屓の大空さんのプレお披露目でありプレサヨナラとなったショーでした。想い、思い出がありすぎましたが、本当に楽しかったです。楽しすぎて初日は全然泣けなくて、二回目は芝居に入り込んでしまって号泣しました。いい公演になると思います。富山、石川、千葉、福岡でも観ますので、楽しみです!

 というワケで『激情』の「ル・サンク」が今すぐ欲しいです…が、全ツって出ないんでしたっけ? 脚本が読みたい。知ってはいたつもりだったけれど、素敵だったなあ。謝先生の演出と振付がまたぴたりとハマっていました。
 珠城さんのホセは、稽古場映像を見たときには痩せて絞れて見えたせいもあってすごくギラギラした野性味があって、実はちょっと心配していたのですけれど、まずスチールのちょっと茫洋とした目つきがすごーく「まだカルメンに出会う前の、真の人生に踏み出す前の田舎の純朴な青年」チックですごーく良くて、そしてお芝居でも前半はちゃんと朴訥な青年でギラギラではなくキラキラしていて、一安心しました。
 真面目で、誠実で、事情があって離れている故郷を大切に想っていて、残してきた母親のことをいつも案じていて、幼馴染のように共に育ち自然と結婚を考えるに至ったミカエラのことも優しく温かく愛していて、神を信じ、真面目に勤め、小さな昇進を喜んでいる、言うなればごく普通の青年。珠城さんのぴったりのキャラクターだし、それをちゃんと演じてくれていました。
 それが、カルメンと出会い、惹かれ、惑わされ、迫られ、困惑し、幻惑され、利用されて…そして、恋に落ちる。ローププレイ(笑)場面でのホセの心の動揺が手に取るように伝わる繊細な演技ときたら! 突然キスされて驚いて、そのまま突き飛ばされてぺたんと尻餅ついちゃう愛しさときたら!
 営倉に忍び込んできたカルメンにまたキスされて、再会を約束して別れたあとの、恋のときめきに輝く笑顔ときたら! 情念の精に翻弄される危うさ、赤い薔薇の香りを嗅ぐ色っぽさときたら!
 釈放されたその足で約束どおりカルメンが働くクラブに行って、カルメンを抱きしめて、その身体を撫で上げて…性急な高まりを表すリフトの見事なこと! 制服の上着をもどかしそうに脱ぎ捨てる勢いにときめきまくりました。初日のこととて、ちゃんと脱げるのかハラハラしたというのももちろんある(^^;)。勢い余ってシャツまで脱げちゃうんじゃないかとかね(><)。いやあ、でも、いいラブシーンでした…! 段取りがわかっていてもコーフンしました(*^o^*)。
 カルメンに引き止められて一夜を明かしてしまうところまでは浮かれていただけとも言えるけれど、スニーガに咎められて乱闘になって…からの急転直下の転落振りは大変なことですよね。でもそこでもある程度仕事できちゃう有能さがまた珠城さんっぽくていいの。ボスの留守に仲間を束ねているのであろうダンカイレも、人を見る目があるよね!
 そしてそのボス、「そしてあたいの亭主さ」のガルシアが戻ってくる…「俺は嫌だ!」ホセはカルメンのように器用に、気ままには生きられないの。きちんとしたい人なんだよね。原作小説の根底にある白人とジプシーの対立や人生観の違いなんかはこの作品でもナンバーとしてきちんと描かれていて、ホセとカルメンの間の溝も深くえぐっていってます。芝居として実に良くできている。
 母親が死に、カルメンの心が離れ始めるのを感じ、自分の手は血に染まり、ミカエラの顔もまっすぐ見られなくなっていくホセ。初日は母親を思って歌う歌で珠城さんがボロボロ泣いていて、その視線がちょうど来る席で、もうお母さんになり代わって許してあげたいくらいでした。二日目は四重唱の暗転直前のホセのあまりにも寂しそうな顔に号泣しました。大型犬だけど、捨てられた子犬みたいな目でした。
 エスカミリオはなんというか単なる事象に過ぎず、カルメンの恋は相手が死ねば終わるものにすぎないのだけれど、ではホセの腕の中にきちんと戻ってくるかといえば「そうかもしれない、そうでないかもしれない」。カルメンはこういう生き方しかできない女で、ホセはこういう愛し方しかできない男で。ふたりの愛は確かにそこにあるのに、ねじれて行き止まりなのが手に取るようにわかる。運命のカードが出ようと出まいと、死によってしか解放されない運命というものがあることが確かにわかる。そしてそのとおりの悲劇的な結末が来る。
 エピローグが美しい。モダンな装置がすべて取り払われ、青空のようにも天国のようにも見えるホリゾントだけになり、でもスモークなんかもいらなくて、ただそこにカルメンがいて微笑んでいる。ホセに手を差し伸べている。
 メリメがホセに「おまえの人生を生きろ」みたいなことを言うのもカチャが珠城さんに言っているようでじーんとするし、ここでもちゃぴが珠城さんを待っていてくれて引き上げようとしてくれているようでじーんとしました。そういういろんなこともあいまった、素晴らしいタイミングでの素晴らしい配役での再演になったかと思います。全ツ主演なんて大変なことをするのに、この作品で本当によかった…!
 どのお衣装もまた素敵でさー! 回し蹴りとか! ナバーラ式の構えとか! 寝っころがる姿もうなだれて座り込む様も愛しい。ああ、これからは舞台写真とかもたくさん出ちゃうんだよね。大変だわ…!
 そして何よりちゃぴカルメンが素晴らしかったです。野性的でセクシーで、でも決して下品じゃなくて。奔放で、かたくなで。ホセのことは好き、愛してる。でも束縛されたくない、指図されたくない、所有されたくない。観客の多くにはそれでも、どこかに帰属して安心感を得たいという気持ちが多かれ少なかれあるであろうと私は思いますが、それでもこういう生き方をしているヒロイン像を納得させ、共感させる力がちゃぴにはありました。よくわからないワガママ女、とかになっちゃっていなかった。すごいことです。
 ホセは珠城さんの当たり役のひとつになるだろうと思うけれど、ちゃぴにとってのカルメンもまたそうなるのではないかしらん。さらなる進化が楽しみです。

 ショーは本当に本当に楽しすぎました!
 私は何度か言っていますがショーの見方が下手で、知らない曲が多かったり積極的に好きなスターさんがいないようなショーを一、二度ぼーっと観ても楽しみ方がよくわからないうちに終わっちゃったりすることがあるくらいなのですが、『アパショ』はそれはそれは通ったわけで、どこが見どころでどこが拍手のタイミングでどこから手拍子かとか全部身に染みついている。そしてそれを今好きな人たちがやってくれている。もう楽しくないわけがないのでした。
 感動して泣いちゃうかしらん、とか思っていたりもしたのですが、それどころじゃないくらい楽しすぎました。
 カチャ、としちゃんやまんちゃん、まゆぽんやありちゃんがガッシリ支えてくれている、というのもありますが、珠城さんの真ん中力はまた上がっていたと思いましたし、すっごいダンサーとかってワケではないと思うんだけれど、見せ方がまたひとつ上手くなったと思いました。開き直ってスイッチ入れた、テレとか遠慮とか吹っ切った、全力でやる!みたいな。それが熱くて強くて清々しくてカッコよくて、もう嬉しすぎました。
 額の汗がクリスタルすぎたのも、初日フィナーレ出ずっぱりでついに右の付けまつげが取れたのも、パレードが出遅れ気味だったのもご愛嬌。いいんです、大事なことはちゃんと全部できていました。
 ここでも何よりデュエダンが良かったなー。カチャのオルキデアに対するホールド、サポートの手厚さも素晴らしかったけれど、ちゃぴとがっつり見詰め合ってしっかり手を取り合って、対等な雰囲気のカッコいい振り付けで、珠城さんがちゃんと体重支えてちゃぴが安心して反るだけ反っていて。そうよ、ふたりで踊るってこういうことよ!と感動しました。力強いリフトも素晴らしく、降ろし方がやや危なっかしいのは今後がんばっていただくにしてもちゃぴがさすがのリカバリーをするし、そうやってカバーし合いフォローし合い支え合い高め合っていけばいいと思うのです。見ていて本当に気持ちよかったです。
 そしてご挨拶のしっかりしていたことよ…! 本当に頼もしく、誇らしかったです。
 元気に、楽しく、全国を回ってきてくれますように。そして次の本公演でしっかりバトンタッチができますように。新しくなっていく組に幸せがあふれますように。心から祈りつつ、次の観劇を待ちます。




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ハンブルク・バレエ団『真夏の夜の夢』

2016年03月15日 | 観劇記/タイトルま行
 東京文化会館、2016年3月12日マチネ。

 英国の文豪の名高い戯曲を当時35歳の振付家が溢れる創意と瑞々しい感性をもって創り上げた、美しく輝くばかりの祝祭的なバレエ。同名の作品にはアシュトンやバランシンなどバレエ界の偉大な先達の作品があるが、ノイマイヤー版はシェイクピアが言葉で描き出した世界観をより忠実に表出する仕掛けを施している。原典に登場する写実的な人間たち、喜劇的な職人たち、神秘的な妖精たちという三つの世界の住人たちが、ここではまったく異なる音楽とダンスで表現される。婚礼を控えたアテネの貴族シーシアス(この回はカーカテン・ユング)とヒッポリータ(アリーナ・コジョカル)、および二組のカップルには晴れやかなメンデルスゾーンの音楽と堂々たるクラシック・ダンス。その婚礼で劇を上演しようとしているボトム(ダリオ・フランコーニ)以下のゆかいな職人たちには、素朴な手回しオルガンの演奏とコントを交えたコミカルな演技。そして森の住人である妖精の王と女王、そのしもべたちには、リゲティのミステリアスな電子音楽と跳躍やダイナミックなリフトを駆使したダンス。最後の婚礼の場は、廷臣たちのダンスや職人たちの笑劇につづいて、シーシアスとヒッポリータの晴れやかなパ・ド・ドゥで締めくくられ、あたかも古典バレエの大団円を見るよう。しかしその後のエピローグは、その晴れやかな現実が“夢”の力で支えられていることを如実に語る。異なる劇形式を合わせて一つの夢幻的なタペストリーを織りなすシェイクスピアの世界が、みごとにバレエによって展開する傑作。
 原作/ウィリアム・シェイクスピア、音楽/フェリックス・メンデルスゾーン、リゲティ・ジェルジュ、及び伝承音楽、振付・演出/ジョン・ノイマイヤー、装置・衣裳/ユルゲン・ローゼ。全2幕。

 戯曲自体は以前読んだことがありましたが、『PUCK』を別にすればストレート・プレイやバレエで『真夏の夜の夢』を観るのは初めてでした。
 聞いてはいましたが、銀と緑に光る全身タイツみたいな妖精たちが電子音の現代音楽で幽玄にかつ超アクロバティックに踊る様子はなかなか不思議で、幻惑させられました。ヒッポリタとタイターニアが、シーシアスとオベロンが同じキャストなのは定番なのかな? この趣向もおもしろかったです。そしてハーミア(フロレンシア・チネラート)よりヘレナ(カロリーナ・アグエロ)がコミカルで可愛かった。職人たちのコミカルな演技も実はけっこう難しいんだと思うんですよね。しっヵりしたテクニックに裏付けられた「お芝居」なバレエを堪能しました。
 結婚式の場面は本当にクラシカルで、そこまでがそこまでなだけに古典バレエのパロディみたいにも見えるのですが、やはり圧巻はごく短いエピローグでしたね。オベロンが恋の三色スミレ(赤い花だったけど)をタイターニアのまぶたに塗って彼女を起こし、目覚めて再び夫に恋をした彼女と絡み合って踊るくだりに、訳もなく感動しました。妖精は人間と違って夫婦なんかではない、と『PUCK』ですーちゃんタイテーニアは言っていたけれど、そしてスミレの魔法を使って恋をさせたんじゃホントはダメなんだけれど、でもそういうことを吹っ飛ばして、古いSFの宇宙人みたいな未来人みたいな男女ともつかないふたりというか二体が絡み合う美しさに、震えて泣けたのです。一夜の夢かもしれないけれど、すべてはここから生まれるのだ…と思えました。
 こういう、なんとも言葉にしがたい感慨を表現するために、踊りや音楽というものはあるのだろうな、と思うのでした。





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ハンブルク・バレエ団『ジョン・ノイマイヤーの世界』

2016年03月10日 | 観劇記/タイトルさ行
 東京文化会館、2016年3月9日ソワレ。

 緻密な演出と劇的な仕掛けによって人間を描き出し、あるいは鋭い美意識と解釈をもって音楽の中に豊かな感情世界を見出してみせるジョン・ノイマイヤー。このプログラムは単なる抜粋上演ではなく、ノイマイヤーがバレエに身を捧げた自らの人生を、その豊穣な作品群の断片と重ねてゆく、というコンセプト。振付家自身の語りで始まる本編には、互いが必死に自己と向き合う青春の愛を描いて人気の『椿姫』や、伝説の天才ダンサーの壮絶な魂に寄り添った『ニジンスキー』、バレエへの愛をつづった『くるみ割り人形』などの物語バレエから、独自のアプローチで大作曲家たちの音楽の世界を表出して見せた『マーラー交響曲第3番』『マタイ受難曲』などシンフォニック・バレエまで多彩。特別出演のアリーナ・コジョカル、そしてノイマイヤーの薫陶を受け、高い表現力を誇るハンブルク・バレエ団のダンサーたちが総出演。
 振付・演出・ナレーション/ジョン・ノイマイヤー。全2幕。

 場面としては、第一部がキャンディード序曲、アイ・ガット・リズム、くるみ割り人形、ヴェニスに死す、ペール・ギュント、マタイ受難曲、クリスマス・オラトリオⅠ~Ⅵ。第二部がニジンスキー、ハムレット、椿姫、作品100―モーリスのために、マーラー交響曲第3番、でした。
 私は幕の内弁当的なガラ公演はあまり好きではなくて、だったら一本ものというか全幕ものを観たいタイプなのですが、これはノイマイヤー縛りというコンセプトがあったので、楽しく観られました。
 最近バレエはどうせ全体を観るんだからとケチって三階席、四階席にしていますが、今回はそれで正解。群舞の美しいフォーメーションが存分に堪能できました。
 オケピットをふさいだ部分も舞台として広々と使っていて、観ていて気持ちがよかったです。
 でもやっぱりクラシックなもの、ストーリーがあるものは前後を観たくなりますね。『ハムレット』はバレエでは観たことがないから観てみたいなあ。久しぶりに『椿姫』のパ・ド・ドゥ祭りも観たい気がしました。
 そうそう、モーリス・ベジャールにインスピレーションを受けて作ったという『作品100』は「明日にかける橋」で踊る男性同士のパ・ド・ドゥで、思わずちなマイ変換しましたよね…
 そんな邪心もいろいろ入りましたが(^^;)、美しいものを観て心洗われました。






コメント
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