梅田芸術劇場、2016年3月19日15時半(初日)、20日12時。
オーバードホール、4月2日14時。
金沢歌劇場、4月3日14時。
市川市文化会館、4月9日14時。
福岡市民会館、4月17日11時、15時(千秋楽)。
19世紀。フランスの作家プロスペル・メリメ(凪七瑠海)はスペインのアンダルシアを旅行中にひとりの男と出会い、彼をモデルに小説を書く。男の名はドン・ホセ(珠城りょう)。ホセはセビリアの春の祭りで、情熱的な瞳を持つジプシーの踊り子カルメン(愛希れいか)と出会う。この出会いがのちに自らを破滅に導くなどとは思いもよらず…
原作/プロスペル・メリメ、脚本/柴田侑宏、演出・振付/謝珠栄、作曲・編曲/高橋城。1999年に宙組で初演、2010年に星組全国ツアー公演で再演された名作の三演。
初日雑感は
こちら。
まず、このたびの熊本を中心とする大地震の被害に遭われました方々に心よりお見舞い申し上げます。
すぐに自分に何かできることといってもなかなかないもので、むしろ自分の身の周りを改めて確認しました。寝室やリビングにおいてある懐中電灯の電池が切れていないか、玄関に置いてある避難リュックの中身が古くなっていないか、などなど。
支援物資を送ったりボランティアに出かけたり募金したり、といったことももちろん大事だと思うのですが、きちんとやらないと意外と現地の邪魔になるだけだったりしますよね。だとしたらこの災難を他山と石とせず、次に自分が被災したときに身を守りスムーズに避難し周りに迷惑をかけずにがんばれるようにしておくこと、その準備を怠らないこと、がせめてまず一番にできることかな、と思ったりしたのです。
この火山列島に住んでいる限り、地震と一生無縁ではいられませんものね。断水する前にお風呂などに水を張っておくこと、避難するときにはブレーカーを落としていくことなどなど、今回また改めて心に留めた注意事項もありました。地震からは逃げられなくても、身の安全は図れるよう、被害を少なく留めるよう、改めて準備したいと思います。
余震が続く中の福岡公演開催決定、私は嬉しかったです。日帰り予定でしたが、万が一スムーズに帰れないことになってもしばらくは大丈夫なように支度して、行ってきました。結果的には地震は関係なく、むしろ関東の強風のせいで帰りの飛行機が遅れただけで、無事に帰宅できました。
生徒さんたちも不安な中の公演となったかもしれませんが、観客に夢と希望を与えるべくがんばってくれたことに感謝したいです。お疲れさまでした、ありがとうございました。
そして本当にいい公演になりましたよね。休演者も出ましたし、代役はもちろん主演の珠城さん以下みなさん本当に大変でしたでしょうが、元気に全国を回ってファンを増やしてきてくれたことと思います。得るものも多かったことでしょう。次の本公演も楽しみです!
思えば会社の後輩たちとセブ島に女子旅バカンスなんぞに出かけていて、ホテルのエステからのんびり戻ってWiーFi環境に出たらLINEの未読数が大変なことになっていて、これは何かニュースがあったのだなとまず公式サイトをチェックして、「ほほう、月の全ツは『激情』と『アパショ』の再演か、いいねいいね! で裏は何? え? まさおのコンサート? じゃ全ツは誰がやるの? え!? たまちゃぴ!? え!?!? え!?!?!?」みたいな順番の認識でした。
で、慌ててLINEトークに加わって…後輩たちをほっぽり出してホテルの庭で延々スマホいじって、あらぶったなあ(笑)。
そこから友会入力時にはお友達に頼みまくってチケット当ててもらいまくって、被り分を譲ったり交換に出したりして調整して、宿や電車を手配して、富山や金沢ではお花見もお散歩もできたし、あちこちでひとりで呑んだりみんなで呑んだり全国の宝塚友達とバッタリ会ったり、楽しい全国行脚でした。
花全ツは宙『エリザ』東京公演とダダ被りなのでおとなしくしておくことにして、宙全ツは振り分けにかかわらずまたあちこち行きたいと思っています。楽しいですよね、全ツ。そしてこうやって懲りずに経済を回すのも、被災地以外在住の人間の仕事かとも思っています。自粛しないぞ、不謹慎とか言われても耳貸さないぞ!
というワケでまずは珠城さん、ホントに素敵なホセでした。
私は、実際におつきあいするのはけっこう大変そうでご勘弁とか思ってしまいますが、物語のキャラクターとしてはこういう男性、大好きなんですね。真面目で誠実でまっすぐで朴訥で不器用で、一生懸命突き進んでいるだけなのにいろいろ面倒なことになっていってしまうというタイプの人…実にドラマチックですよね。
珠城さん自身にも、真面目すぎていらない苦労をしているようなところがあるようなので、それもあってピッタリだったのではないでしょうか。若く青いホセ、という感じになったのもいいと思います。
また、
『Bandito』でもそうでしたが、結果的に祭り上げられちゃって、でもそれなりに役割をこなしちゃう、みたいな役回りが本当に似合うし、それもリアルなのかもしれません。ドラマはそれがのちに崩壊する方が盛り上がるからたいていそう展開するけれど、現実はきっと大丈夫ですからね。次期トップスター就任決定、本当におめでとうございます。ナイアガラつきの大羽根を待っています、応援しています!
ところで
「不屈の面魂の中に、深い孤独の影を宿している」
というような冒頭の台詞がありますが、ホセが故郷を出ざるをえなくなった「友達を傷つけた」事件とは、はたしてどんなものだったのでしょうね? 原作には設定や描写があるのかな? それがたまたま偶然に、不幸にして起きたようなものだったとしても、傷害というよりは殺傷レベルの事件だったのでしょうね。
それから考えるとホセは、光の中を歩いて来たと言われているけれど、ただの純朴な田舎の好青年ではなく、そういう事件を起こす可能性もある、どこか危なっかしげなところもある若者だったのでしょうか。ニンでないこともあって珠城さんにそこまでのギラギラさや狂気やなんらかの欠落の色は出せていない気もしますが、まあでもそれはそれでいいやね、台詞でうまくフォローされているんだからね!(甘くてすみません)
でも例えばみりおなら、まさおなら、たとえばそんな危なっかしいホセを演じてくれたのでしょうか? ちぎちゃんなら? 私は
『コルドバ』のエリオも
『琥珀』のクロードも同タイプのキャラクターだと思っているのですが(すべて柴田ロマンの主人公ですね、好きです…!)、でも『コルドバ』再演のちぎちゃんにはあまり感心しなかったからなあ…まぁ様も上手いかもしれないな、みっちゃんはニンじゃないかもね。そういえば同じ「昭和感」でも珠城さんとみっちゃんは違うよな、なんなんでしょうね…
でもとにかくホセの中のそういうある種の揺らぎ、危なげをカルメンは目ざとく見つけて、それでコナかけてきたはずなんですよね。そりゃ単純に見目のいい兵隊さん、ってのもあったんだろうけれどさ。ホセの方はその前に街の女の子におそらく「あの子はジプシーよ、いやぁね」みたいなことを言われているはずなのに、そしてそれに生返事しているのに、カルメンから目が離せなくなっちゃってますよね。そらカルメンにはいいカモに見えたことでしょう。お金はなさそうでも、火遊びにからかうのにはちょっとおもしろそう、みたいな、ね。
そうして出会ってしまったふたりなのでした…
ちゃぴのカルメンは本当に本当に素晴らしい。
「高慢そうなところが気にくわない」
初演のスカステ放送を録画しておいて初日のあとに見てみたのですが、このあたりちょっと台詞が変更されていますね。再演からかな?
今見るとズンコのホセってけっこう冷たく思えて、びっくりしました。でも確かにメリメの言うとおリ、こういう引っかかり方をしているというのは、すでに惹かれているということなのです…
「何か食べにいく?」
ホセのこのときの優しい物言いが本当に好き!
ミカエラ(早乙女わかば)は、配役発表時にはわかばのニンではないのではないかと個人的には心配していたのですが、今回すっごく良かったと思いました。私はわかばは稀代の姫役者ながら演技は棒だと思っているんですけれど(すんません)、今回はそれがいい方に出たというか…あまり地味で辛気臭くてしんねりウェットなミカエラになると、ホセの男も下がるしカルメンとの対比としてもつらいしストーリーとしても盛り上がらなくなると思うので、わかばの華が添えられた、でもとてもがんばってしとやかにしているふうのミカエラですごく正解だったと思うのです。珠城さんと同期、というのももちろん強みですよね。時ちゃんとかでなくてよかったよ…(私は時ちゃんをあまり買っていないのです、すんません)
これまた久々に見たらズンコのホセがけっこうミカエラにつっけんどんに見えて残念だったので、たまわかばのあたたかさがいいなと余計に思いました。ついつい母親のことばかり先に気にしがちだけど、ホセはちゃんとミカエラのことを想っていたはずなんですよ。てかそうあってほしいし、珠城さんのホセはそうなっていたと思う。よかったです。そらミカエラもこのときおなかすいてなかったかもしれないけど嬉しくてうなずくよな!ってのがまた可愛いんだ!!
「女の人がいるのね」もよかったし、「祈ることだけね」のあと顔を覆って走り去るのもとてもよかった…!
「恋人は?」「…うん」
「ジプシーは嫌?」「…ううん」
もうこの短い応答だけでごはん三杯いけますね!!!
というかこのロープ場面は本当に秀逸ですよね、神演出ですよね。「故郷」と書いて「くに」と読む感じから、同郷だなんてわかりやすい嘘にうっかりだまされちゃうホセとか、「ならあたいと同じじゃない」にうっかり「…そうだな」って笑っちゃうホセとか、「もうしゃべってはいけない!」みたいな全然実効のない禁止の仕方とか、「きみなら売れっ子だろうな」「そんな高級なところへは…」みたいな馬鹿正直さ加減とか、もう本当にたまりません。「♪きらめく星はふたりのため」のあたりのちゃぴの振りも可愛い。
突き飛ばす直前にキスするようになったのは再演からなのかな? 変更GJですよね。そのあとのホントに「ペタン」って描き文字が見えそうなホセの尻餅のつき方と、呆然とする顔がまたたまらん!
「甘酸っぱい香りに包まれて、私はとろけてしまった」
営倉での独り言ということを別にしても、臆面もなくこんなことを言っちゃうホセがホントに可愛いよ。というかホセをこういう男だとしてこういう台詞を書く柴田先生を本当に尊敬します。
このあと出てくる情念の精が私はけっこうツボで、これって結局、若い男が閉じ込められてイロイロできなくなる(オイ)からそういう欲求が願望として現れて、カルメンの姿になったりミカエラの姿になったりするのかなーとか思えて、ミカエラともそもそもどの程度の関係なのかわかりませんが(カトリックだろうからプラトニックなのかな?)せっかくこっちで会えたんだしやっときゃよかったよなーとか思ってるってことなのかなーとか、ついつい考えちゃってニマニマしてしまいました。すみれコードですかすんません。
でも母親の声が回想されると浄化されて情念の精が消え去るってはそういうことなんだと思うし、とにかくツボなのです。
あと大の字になって「私はもう伍長ではなーい」とか言ってる珠城おじさんがホント好きです(^^)。
「気をつけて帰るんだぞ」
囚われてるのは自分の方なのに、あくまでカルメンのことを気遣うホセ…なんて優しいの、なんて甘ちゃんなの、そらカルメンも惚れるわな。
しかし柵越しのキスなるものは何故ああまで萌えるのか。ふっと伸びてぐっと止まる珠城さんの左手がヤラしくてたまらん。そのあと輝くばかりの笑顔で恋に落ちた喜びを歌っちゃうのとか可愛すぎてほとんど反則。というかこの歌詞ホントに素晴らしい。
気持ち音程が不安定なのも私は許すよ!(甘い)
「生きてる甲斐があるのか!?」
この台詞、「意味があるのか」かな? それとも自分たちが「生きてる価値があるんだ!」と言っているのかな?
ジプシーみんなで言ってるからってのもあるけれど、聞き取りづらくてとても残念でした。でも白やパステルカラーのお衣装の街の男女と、黒やどぎつい原色のジプシーの男女との対立と対比の場面は鮮やかすぎて素晴らしすぎました。当時の西欧社会での憎悪と反目はものすごかったんでしょうね…もしかしたら今現在もなお。
れんこんの実業家(蓮つかさ)がよかったなあぁ。後半ぐっと痩せて、シャープになってすごーくよかったです。としちゃん、まんちゃん、ひかちゃんにやすのもよかったわ。あとまゆぽんの色気ね! すーちゃんなっちゃんちゅーちゃんはーちゃんも濃いよね。
終盤で、ジプシーたちの「♪ライラライラ…」が街の女たちの「♪ライラライラ…」にスライドしていくところとかも本当に秀逸だと思いました。
ところで「ジプシー」という言葉は欧米ではニグロとかジャップとかよりもひどい差別用語とされているそうですが、日本ではなかなかそこまでの認識にはなっていませんよね。まあカタカナで書かれている限りは、つまり日本語で表記されている限りは、当該の方々に読まれ傷つける恐れは低いということでご容赦いただくしかないのでしょう。本当に特殊な極東の島国ですよね…その特殊な文化圏の中での特殊な、ヘンにロマンティックに解釈された、あくまでファンタジーとしてのものなのだ…という意識は持っていたいと、個人的には思っています。
「♪勝負、オレは好きさ」
今のありちゃんにエスカミリオ(暁千星)役は、やや高いハードルでしたかね。でも珠城さんはそういうのをずっと越えてきたんですよ。がんばれるはずだし、がんばっていこう! 歌は上手くなってきていたのに今回はどれもキーが合っていないのか、全体に苦しそうでちょっと残念でした。これまた後半は顔がけっこう痩せて、野心ギラギラのイケイケの時の人に見えてきたのはよかったです。
あと、闘牛士仲のあちくん、いいよね…!
「カルメンってそんなにいい女かな」「エスカミリオってそんなにいい男か」
という対比も好きです。わざとだと思う。
そもそも恋愛の理由なんて当人たち以外にはなかなかわからないものだけれど、わけてもカルメンとエスカミリオの恋はそれぞれ手練れの火遊びめいたところがあるだけに、余計に外からはこういう言葉で冷やかしたくなるものなのでしょう。まあホセの方は冷やかすなんて軽いノリじゃないんだけどさ。揶揄、難詰ですよね。つらい、せつない。
「♪ふたりがひとつになるとき」
ここの振り付けも本当に素晴らしいですよね。ザッツ・前戯っつーかなんつーか(すみれコードですかすんません)。ダンスとしても素晴らしい、リフトも美しい。
というかカルメンがひとりで鼻歌歌っていて、そこにホセがやってきて…からのくだりは本当に流れるようで素晴らしい。枯れて色が落ちた薔薇を嬉しげに差し出すホセのいじらしいこと! カルメンの腿を撫で上げ、下腹部に頬を寄せて、そのあと上目遣いにカルメンを見上げるホセの切羽詰まった瞳とかね!
前楽では、スニーガ(飛鳥裕)が現れたときホセが制服の上着を上手く着られなくて(左袖が裏返っていて腕が通らなかったのかな?)、結局そのまま場面の残りを黒シャツのままで通したのも目撃できました。それもまたいい。
「女の息吹」
自由に羽ばたくカルメンが、それでも最後に帰るのは自分のところだと信じたい、というのはホセの、というか男の甘さなんだけれど、それも可愛いからいいです許します。
というかこの台詞、いい意味でざらりと引っかかって私には印象的でした。抽象的なようで肉感的で、ホント柴田先生ってこういう言葉をぶっこんできますよね。
実際の社会ではまだまだ女性は生きづらくて、その女性性を自ら抑圧したり忌避したり否定したりした方が楽だったりすることも多々あるのだけれど、宝塚歌劇では女性キャラクターの女性性というものが至極当然に扱われ肯定され崇められているのではないか、そこが女性観客の(そして心の柔らかい男性の)支持を得ているのではないか、と最近私は考えるのでした。
「仕方ないだろ? 向こうと先に出会ったんだから」「暇ができたら会ってやるって? 俺は嫌だ!」
カルメンのこの男っぽいざっくりした言い方と、ホセの女々しい物言いが、もうおかしいやらせつないやらわかるやら苦いやらで、ねえ…!
やっぱりこのふたりはねじれているというか、ずれているということが、どんどん露わになっていく…「♪ジェラシー」って歌われちゃうのはベタすぎるんだけど、わかりやすいダイレクトさのインパクトがまたたまりません。
「好きよ、愛してる。でも縛られるのは嫌」
カルメンがこういう考え方をするに至ったのは、逆にそれだけ、若いころ、というか幼いころに、縛られ抑圧され蹂躙され踏みにじられた経験があったからなのだろうな…と思わないではいられません。そういう過酷な育ちをしてしまったから、たとえ心底愛した相手に出会っても自分をすべて預けるなんてことができない、悲しい人間になってしまったんですよね。愛がすべてを変えられることもあるけれど、愛をもってしても変えられないこともまたあるのです。ホセにはそれが最後までわからなかったのでしょう。あるいはわかったとしても、どうしようもなかったのでしょう。だから殺して縛るしか、そして自分も死ぬしかなかったのです…
「♪愛すること、生きることはどうしてせつないのか」
こんなものすごい修辞疑問、あるかいな…この四重唱は本当に美しく、たいていダダ泣きしてました。
「そうは言っていない。おまえの心はもう俺から離れてしまったのかと聞いてるんだ」「そうかもしれない。そうでないかもしれない」
千秋楽は、ちゃぴがここでもう大粒の涙をボロボロこぼしていました。それまでわりと無表情に言うことも多かった台詞だったと思うのだけれど、そのときは本当に苦しそうに悲しそうに言っていて。だからカルメンもつらいんだけど、こんなふうに言いたくないんだけれど、でも言わないではいられないし、だから立ち去るしかないんだなってのが伝わって、こちらも爆泣きでした。
カルメンだって、ホセを愛していた。でもホセが望むようには生きられない。それをホセにわかってもらえないこともわかっている。だから言い捨てて立ち去るしかない。そうしたらホセにはもうナイフを取り出して止めることしかできないのです。
ラストシーンは幻想であって、カルメンが待っていて、笑っていて、ホセに手をさしのべてくれているなんていうのはホセの願望でしかないのかもしれません。でもカルメンの願望でもあったのではないでしょうか。そんなふうに相手にすべてをゆだねて生きてみたかったはずなのです、カルメンだって。
ありえたかもしれない、けれど現実には得られなかった、幸福な世界。なんの飾りもない舞台に、ただ美しく立っているだけのちゃぴカルメン。まぶしそうに、いかにもおっくうそうに起き上がる珠城さんホセ。珠城さんからはちゃぴが見えないのに、ちゃぴが笑いかけるタイミングと珠城さんが笑顔になるタイミングとが毎回本当に絶妙で、珠城さんが振り返ってからはその表情はちゃぴにしか見えないワケで、その絆にもう毎回号泣でした…!
「♪生まれてきた真実求め」
カチャは健闘していたのだと思います。でもやはり弱いというか、持ち味としてちょっと微妙だったのかなー。私は過不足は特に感じなかったけれど、それでもやっぱりもう少しパンチがあってもよかったかなとは思ったかな…
人が生まれてくる理由、生きる理由なんて本当のところなくて、ただ生きることがあるのみなのかもしれません。でも愛する人に出会うこと、愛に生きることができれば、それがどんな形で終わろうと幸福であり、真実なのかもしれません…
ファナティック・ショーは作・演出/藤井大介。2008年月組で初演、2009年の宙組博多座公演、2012年宙組中日公演で再演されたショーの三演。
中日に通いまくった身としては、もう拍手も手拍子のタイミングもバッチリなので楽しすぎました。大空さんとは全然違って、そのことがまた新鮮でおもしろかったです。
大空さん担友達と話して、比べると本当に大空さんって「陰」タイプだったんだね、ということにも妙に納得しました。大空さんだって100%陰ではないんだけれど、どちらかと言えば明らかに陰であり、そして珠城さんも100%陽ではないタイプだけれどどちらかと言えば明らかに陽であり、だから同じことをするとその差、持ち味の違いがものすごく出るんですよね。おもしろかったなあ。
いくら若いとはいえ出番の多い、タイヘンなショーだったと思いますけれど、ちゃんとやれていました。真ん中力は問題ないし、バリバリのダンサーって訳でもないけど当人比で上手くなっているし見せ方も良くなっていました。もちろんみんなが盛り立ててくれていますしね。
額に輝くクリスタルな汗は…美しく出るのもスターの仕事だと思うので、お化粧が流れるほどの汗はなんとかしていただきたいと思いますけれど、今は仕方ないだろう!(甘い)
ダイスケがまだ元気なころのショーでもあり、変更部分も含めてよくできていたと思いました。
まず、会場が静まりきらない中、レイナのちゃぴが上手奥から走り出てくるところに拍手を入れることが始まります。でないとお客さんたちが静まらないからね。さすが全ツ。
そして開演アナウンス、みんながアパショナードを呼ばわると、いわゆる小林幸子登場! 全ツの階段は数段しかないショボさですが、さすがにどよめきます、さすが全ツ!
詠唱(笑)のあと「オーレ」で拍手、マントが取れてライトが当たってすぐ手拍子ですよ、楽しすぎる!!
みんなが半円になって珠城さんを囲んでくれるのに、毎回ウルウルしそうになりました…プロローグの客席下りもテンション上がりますよねー!
主題歌のあとは珠城さんが残って、お姉さま方をひとりずつ相手していきます。侍らせていてもチャラくない、つねに誠意を持ってひとりひとりに相対する若きツバメ…という感じがたまらん。たらちゃんとかえつ姉とか好きだったなー、という思い出の幻想もまた楽しい。
しかしチカは時ちゃんじゃなくて舞雛かのんちゃんか、辞めちゃうんでもったいないというなら姫咲美礼ちゃんとかで見たかったよ…ここは美少女枠でしょう! 時ちゃん、最近妙に役付きいいけど、個人的には不思議だわ…
吸血鬼場面では歌手のまゆぽんはーちゃんの美声に聞き惚れます。はーちゃんがまた一段下に立つもんだからまゆぽんの超絶スタイルと長身が引き立ってたまらん。ここでバリバリ踊るとしちゃんもたまらん。れんこんもよく見てたなー。カチャにあまり興味がなくてすみません…
ヴァレンチノに憧れる三青年はお芝居の闘牛士仲。さっきも言ったけどあちくんが好きー! そしてナターシャのちゃぴが台詞がどんどん良くなって、ショーの中のお芝居仕立てのシーンにちゃんとキャラクターとして存在しているのがよくわかりました。
珠城さんヴァレンチノはタキシードでなく黒スーツになっていましたね。素敵! ヴィオレッタはちゅーちゃん、ドンニャ・ソルはわかば、ヤスミンははーちゃん。みんな素敵でした。しかし三人の歌手は最初はともかくあとのふたりが千秋楽までつらかった…もっと歌える人はいないの???
そして中詰め、お花ちゃんたちは元気ハツラツありちゃんから。ひかちゃんもれんこんもフツーに可愛いよ、組長オチ枠(オイ)のまゆぽん愛しいよ、るねっこもほのかに漂うオカマ感が愛しいよ、まんちゃんも代役のあちも素敵だったよ、そしてとしちゃんの圧倒的な存在感ね…! 鬘も何種類か用意してましたよねノリノリでしたよね!?
オルキデアはカチャ、さすがスレンダーでスタイルよくてたまらん! 年上の女感がよかったです。でもグァバロサのちゃぴが主題歌を歌うのにスキャットを重ねるのはつらかったのでは…
ここの客席下りもヒートアップしましたねー!
ちゃぴはそのまま残ってすーちゃんなっちゃんとドリームガールズ。女子いいよね女子!
かつてともちんがやったジャングル・チャンピオンはライオン珠城さんマチョが客席登場! これまた鬘がふたつあったようでしたが、私は初日の
『太陽王』みたいなのが好きだったなー。千秋楽は違う方で出てきたので、DVDはあっちかな、残念。
雌豹たちもセクシーでしたがシマウマちゃぴの色っぽさたまらん! 後ろ向きで両脚がっと開いてお尻突き出して立つところとかホント、すみれコードってナニ!?って感じでした。
片手でライフル扱うとしちゃんハンターの悪い笑みがまたたまらん! そこからのキングギドラ復活もたまらん!! 周りのお衣装は変わっていましたね。ここのカチャとありちゃんの歌はまろやかでよかったなあ。
それからとしちゃんまゆぽんれんこんのスパニッシュの新場面があって、ハーモニーが素晴らしく、耳福でした。
ロケットのセンターはるねっこ、脚の付け根ばっかガン見してましたすみません。ロケットのお衣装は前回ママでもよかったのになー。ちょっと貧相に見えてしょんぼりしました。
そこからの珠城さんフィナーレ三曲ぶっ通しがたまらん。まずまたまたお姉さんたちをひとりずつお相手し、黒燕尾で男役たちを従え、汗もいい感じに流れてきたところにちゃぴとのデュエットダンスです。
タイヘンですよ、でも尺がたっぷりあってリフトもきちんとあるこのデュエダンの振り付けが、今のたまちゃぴにぴったりで、観ていて本当に気持ちがよかったです。珠城さんがちゃぴの体重をきちんと支えてあげてるから、ちゃぴが安心して心ゆくまま反れている! 脚上げている! アイ・コンタクトばっちり! がっつり手をつなぎ合っている! 微笑み合っている! 珠城さんが先にハケるちゃぴを愛おしそうに最後まで見送っている! 泣けました…
エトワールはとしちゃん、歌声たっぷり聴かせてくれました。
来週の集合日から、また激動があるのかもしれません。でもきっと大丈夫。ファンは信じて、愛して、ついていきます。
次の本公演も、いい演目になりますように。大劇場は珍しく(笑)あまり通えないかもしれませんが(お茶会も都合悪くて行けないのです、しょぼん…)、初日は行く予定です。期待しています!!!