私は本人より年上なので…そして一応認識はしていなかったものの組配属あたりから舞台を観ているので…どうしても呼び捨てにしてしまうのですが。
しかし他人様が気軽に呼び捨てで語っているのを聞くのは、やはり意外に乱暴に聞こえて、ちょっとドキドキしてしまいますね。
とくに若いファンがそれをやっているとね…
年輩のファンの方が
「祐飛ちゃん」
と呼んでいたりするのは、可愛らしくて微笑ましいですけれどね。
普通に素直に
「祐飛さん」
と呼べるようなファンでいたかったなー…なんかその方が気楽だったかなー…
…ま、それはともかく。
これは前置きで。
以下、カタカナ名前はまあ、仮名みたいなものだと思ってください。
あくまで、個人の、思ったことです。
私はぶっちゃけタニウメが苦手だったので、近年の宙組をほとんど観ていませんでした。
だからアリスのこともきちんと認識できていなかったと思います。
把握してからも、私の好みからすると、ちょっとだけ細すぎて、ちょっとだけ顔がきつすぎて見えました。だからものすごく肩入れすることができないでいたし、正当な評価を下せていなかったかもしれません。
でも、普通に見守ってきたファンからしたら、タニウメの次は順当にマユアリになるものだと、まあ誰でも思うよね…
そこへ、おそらくはみんなにとって降ってわいた、落下傘トップ人事だったと思うのですが…
当時はあまりそういうことを考えなかったけれど、どう見ても歌劇団のトップ人事はまず男役トップありきだから、ユウヒを宙のトップに立てる、という決定がまずあったとして、相手役についてはもしかしたら、いろいろな選択肢がありえたのでしょうか。
つまり、花組の『銀ちゃんの恋』でユウヒの相手役を務めたスミカを一緒に連れていってトップコンビになる、という選択肢以外に、たとえばユウヒひとりで行って、そこですでに新人公演ヒロイン経験もある立派な新進二番手娘役とトップコンビを組む、という選択肢もあったのだろうか、という問題です。
そしてそれは誰が決断・決定したのだろうか、ぶっちゃけそこにユウヒの意志が反映されるということはあったのかなかったのかありえたのかどうなのか、ってことです。
結論としては、スミカだった。
そしてスミカがトップ娘役になった時点で、それより上級生の娘役陣は、やはり自分のこれからを考えないではいられなくなったと思うのですよね。
過去には下級生トップ娘役から上級生トップ娘役へのリレー例がいくらでもあるのですが(抜擢人事のあとには特に。えてしてそういうトップは短命で退団することが多いので)、しかしやはり、普通に考えるとそれはなかなか…と考えてしまうであろうことは止められないでしょう。
というわけでアリスです。
もちろんトップになることがすべてではないし、彼女が本当のところいつごろ、何故、卒業を決意したのかは誰にもわかりません。
前後の状況からして、たとえば花組へ異動してアヤネの後任に…というのも考えられなくはなかったと今なら思うのです。
でも、事態はそうならなかった。
そして彼女は退団を発表しました。
彼女の元には退団を惜しむ声が多く寄せられ、彼女自身もびっくりするくらい、自分はこんなにも愛されていたのかと痛感したそうです。
逆に言えば、それくらい、もう自分の役目は終わった、居場所はもうない、みたいに思ってしまって卒業を決めてしまったとも言えるでしょう。
それを今さらもったいないとか早まったとか言っても仕方がないし、言いたいのはそういうことではなくて…
いわゆる卒業オーラというものとは別にして、そのころからやっと私にも彼女の美しさ、魅力がわかってきて、確かに釣り合いとしてもユウヒといい感じに映るし、何故このコンビでは駄目だったんだろう、スミカの方が下級生なんだから、アリスにトップを2年くらいやらせたあとにスミカをトップにしても遅くはなかったんじゃないの?とか、いろいろ考えるようになってしまっていたのです。
同じように思っていた人は多いと思う。
どちらが好みだとか、そういうこととは別にして。
今だってスミカは十分トップ娘役としてがんばっていると思うけれど、そういうこととも別にして。
特に退団公演の千秋楽なんかは、アリスが卒業生の長だったこともあり、千秋楽アドリブも彼女メインのものが多かったし、アリスへの惜別一色になってしまっていたと思うんですよね。スミカバッシングとまでは言わないにしても。
私ですら、気分はちょっとそうだった。
でも。
でもでも。
同時期に放送された、『ブリリアント・ドリーム』のスミカが、本当に素敵だったんですよ。
京都出身なのに、近く接したことがないということで、ネタは舞妓さん。
舞妓姿に扮するところまでは、コスプレというか、いずれ舞台でもやるじゃん、すでに舞台で似たようなことはやってるじゃん、の域でした。
でも後半、お座敷に実際に舞妓さんに入ってもらったときの、舞妓さんの話を聞く様子、踊りを見る姿が、もうもう本当にプロでした。
特に踊りに見入る横顔の美しさったらなかった。
本当に真剣で、芸事をまっすぐ見つめるまなざしで、なおかつ絶対に自分がやるときはこう見えるんだ、こう見えるようにこうやろう…とか考えながら見ている目でした。
ただ見とれているとかではなかった。そこまで深く貪欲に考えている目だった。
それが、すばらしいと思ったのです。
もちろんすべてのタカラジェンヌが本当に努力家で、学年やポジションにかかわらず、常に自分を磨き続けているとは思っています。
上級生になったから、トップになったからといって慢心し、安心し、手を抜いてしまう生徒さんなんていないとわかっている。
けれどこのときのスミカの真剣さには、本当に本当に私は心打たれたのです。
ああ、この人は立派なトップ娘役だ、この人こそが私たちの(!)トップ娘役だ…!とか思ってしまったのですよ。
だから、スミカにお手紙を書きたいと思いました。
アリスですら、卒業を発表するまでは、こんなにたくさんのファンレターをもらったことがなかったわけです。
そう、いることが当たり前だと、人はついつい甘えてしまって、改めて愛情表現をしなかったりする。
いなくなるとなって初めてあわてて動き出す。
でもそれでは本当は遅いんです。
今! 今言わなければ。今の想いは今伝えなければ。
伝わらないままに終わってしまう。そんなのは悲しいと思ったのです。
アリスの卒業に関して、もしもスミカが肩身の狭いような思いをしているのだとしたら。
そんなふうに考えることはないよ、と言ってあげたい。
だってスミカのせいじゃないし。彼女には如何ともしがたいことだったんだろうし。
もしも相手役の決定にユウヒの意志が関わっていたのなら、ユウヒはユウヒで思うところがあったかもしれないけれど、なんにせよ選ばれる側のスミカには何の否もない。
そして、もしも同条件で並べられたとしても、やっぱり選ばれていたかもしれないと言ってもいいくらい、あなたは素敵だよ、と言ってあげたい。
僭越ですが。
でも伝わっていないようなら、嫌なので。
遅きに失した、と思うのはもう嫌なので…
で、ホントのところ、どうなのかなあ?
ひとりで行く? ひとりは不安だから、慣れた相手を連れていく?とか聞かれたのかなあ?
行く先ですでに実績を作っている子がいるから、組んだことがまったくなくてもその子を相手に迎えるか、それとも…
なんて、もし提示されていたとしても、選べるもんじゃないよねえ…
ユウヒの選択があったのだとしても、だからといってユウヒがなにがしかの責を追うべきである、と言いたいわけでもまたないのだけれど。
アリスも
「素敵なユウヒさん率いる宙組を、私と一緒に応援してください」
と、なんとも感動的な挨拶をしてくれたのだけれど。
どうなのかな。
どうだったのかな。
悲しいな、しんどいな。
でも、応援し続けていくしかないな…
雪組のトップ娘役を固定しない問題にも通じるものがあるけれど、やっぱりひまわりバカップルみたいなトップコンビを見て、みんなニヤニヤニマニマしたいんだと思うんだけどな。
そして東宝千秋楽のあのアドリブは、大劇場でのひまわり娘全員を巻き込んだものと違って、ふたりだけで閉じていたのが良くない、という見方もあるそうだけれど、私は純粋にニコニコしてしまったし、すごくきゅんとしたんですよね。
あとから、風当たりが強いかもしれないスミカをかばったものだったのだろうか、だとしたら逆に逆効果という面もあったのだろうか、でもホントに素直な気持ちだったのではなかろうか…とか考えてしまって、またぐるぐるしてしまったのですが。
でも、ふたりのいちゃいちゃアドリブに嬉しくて楽しくてニヤニヤしてしまった自分の感覚を、信じたい。
ごめんね、アリス。私が謝ることじゃないけれど。
ご卒業おめでとう。残された者はただがんばっていくことしかできない。それを応援していくことだけしか、私たちにはできない。
そんなことを、考えてしまったのでした。
しかし他人様が気軽に呼び捨てで語っているのを聞くのは、やはり意外に乱暴に聞こえて、ちょっとドキドキしてしまいますね。
とくに若いファンがそれをやっているとね…
年輩のファンの方が
「祐飛ちゃん」
と呼んでいたりするのは、可愛らしくて微笑ましいですけれどね。
普通に素直に
「祐飛さん」
と呼べるようなファンでいたかったなー…なんかその方が気楽だったかなー…
…ま、それはともかく。
これは前置きで。
以下、カタカナ名前はまあ、仮名みたいなものだと思ってください。
あくまで、個人の、思ったことです。
私はぶっちゃけタニウメが苦手だったので、近年の宙組をほとんど観ていませんでした。
だからアリスのこともきちんと認識できていなかったと思います。
把握してからも、私の好みからすると、ちょっとだけ細すぎて、ちょっとだけ顔がきつすぎて見えました。だからものすごく肩入れすることができないでいたし、正当な評価を下せていなかったかもしれません。
でも、普通に見守ってきたファンからしたら、タニウメの次は順当にマユアリになるものだと、まあ誰でも思うよね…
そこへ、おそらくはみんなにとって降ってわいた、落下傘トップ人事だったと思うのですが…
当時はあまりそういうことを考えなかったけれど、どう見ても歌劇団のトップ人事はまず男役トップありきだから、ユウヒを宙のトップに立てる、という決定がまずあったとして、相手役についてはもしかしたら、いろいろな選択肢がありえたのでしょうか。
つまり、花組の『銀ちゃんの恋』でユウヒの相手役を務めたスミカを一緒に連れていってトップコンビになる、という選択肢以外に、たとえばユウヒひとりで行って、そこですでに新人公演ヒロイン経験もある立派な新進二番手娘役とトップコンビを組む、という選択肢もあったのだろうか、という問題です。
そしてそれは誰が決断・決定したのだろうか、ぶっちゃけそこにユウヒの意志が反映されるということはあったのかなかったのかありえたのかどうなのか、ってことです。
結論としては、スミカだった。
そしてスミカがトップ娘役になった時点で、それより上級生の娘役陣は、やはり自分のこれからを考えないではいられなくなったと思うのですよね。
過去には下級生トップ娘役から上級生トップ娘役へのリレー例がいくらでもあるのですが(抜擢人事のあとには特に。えてしてそういうトップは短命で退団することが多いので)、しかしやはり、普通に考えるとそれはなかなか…と考えてしまうであろうことは止められないでしょう。
というわけでアリスです。
もちろんトップになることがすべてではないし、彼女が本当のところいつごろ、何故、卒業を決意したのかは誰にもわかりません。
前後の状況からして、たとえば花組へ異動してアヤネの後任に…というのも考えられなくはなかったと今なら思うのです。
でも、事態はそうならなかった。
そして彼女は退団を発表しました。
彼女の元には退団を惜しむ声が多く寄せられ、彼女自身もびっくりするくらい、自分はこんなにも愛されていたのかと痛感したそうです。
逆に言えば、それくらい、もう自分の役目は終わった、居場所はもうない、みたいに思ってしまって卒業を決めてしまったとも言えるでしょう。
それを今さらもったいないとか早まったとか言っても仕方がないし、言いたいのはそういうことではなくて…
いわゆる卒業オーラというものとは別にして、そのころからやっと私にも彼女の美しさ、魅力がわかってきて、確かに釣り合いとしてもユウヒといい感じに映るし、何故このコンビでは駄目だったんだろう、スミカの方が下級生なんだから、アリスにトップを2年くらいやらせたあとにスミカをトップにしても遅くはなかったんじゃないの?とか、いろいろ考えるようになってしまっていたのです。
同じように思っていた人は多いと思う。
どちらが好みだとか、そういうこととは別にして。
今だってスミカは十分トップ娘役としてがんばっていると思うけれど、そういうこととも別にして。
特に退団公演の千秋楽なんかは、アリスが卒業生の長だったこともあり、千秋楽アドリブも彼女メインのものが多かったし、アリスへの惜別一色になってしまっていたと思うんですよね。スミカバッシングとまでは言わないにしても。
私ですら、気分はちょっとそうだった。
でも。
でもでも。
同時期に放送された、『ブリリアント・ドリーム』のスミカが、本当に素敵だったんですよ。
京都出身なのに、近く接したことがないということで、ネタは舞妓さん。
舞妓姿に扮するところまでは、コスプレというか、いずれ舞台でもやるじゃん、すでに舞台で似たようなことはやってるじゃん、の域でした。
でも後半、お座敷に実際に舞妓さんに入ってもらったときの、舞妓さんの話を聞く様子、踊りを見る姿が、もうもう本当にプロでした。
特に踊りに見入る横顔の美しさったらなかった。
本当に真剣で、芸事をまっすぐ見つめるまなざしで、なおかつ絶対に自分がやるときはこう見えるんだ、こう見えるようにこうやろう…とか考えながら見ている目でした。
ただ見とれているとかではなかった。そこまで深く貪欲に考えている目だった。
それが、すばらしいと思ったのです。
もちろんすべてのタカラジェンヌが本当に努力家で、学年やポジションにかかわらず、常に自分を磨き続けているとは思っています。
上級生になったから、トップになったからといって慢心し、安心し、手を抜いてしまう生徒さんなんていないとわかっている。
けれどこのときのスミカの真剣さには、本当に本当に私は心打たれたのです。
ああ、この人は立派なトップ娘役だ、この人こそが私たちの(!)トップ娘役だ…!とか思ってしまったのですよ。
だから、スミカにお手紙を書きたいと思いました。
アリスですら、卒業を発表するまでは、こんなにたくさんのファンレターをもらったことがなかったわけです。
そう、いることが当たり前だと、人はついつい甘えてしまって、改めて愛情表現をしなかったりする。
いなくなるとなって初めてあわてて動き出す。
でもそれでは本当は遅いんです。
今! 今言わなければ。今の想いは今伝えなければ。
伝わらないままに終わってしまう。そんなのは悲しいと思ったのです。
アリスの卒業に関して、もしもスミカが肩身の狭いような思いをしているのだとしたら。
そんなふうに考えることはないよ、と言ってあげたい。
だってスミカのせいじゃないし。彼女には如何ともしがたいことだったんだろうし。
もしも相手役の決定にユウヒの意志が関わっていたのなら、ユウヒはユウヒで思うところがあったかもしれないけれど、なんにせよ選ばれる側のスミカには何の否もない。
そして、もしも同条件で並べられたとしても、やっぱり選ばれていたかもしれないと言ってもいいくらい、あなたは素敵だよ、と言ってあげたい。
僭越ですが。
でも伝わっていないようなら、嫌なので。
遅きに失した、と思うのはもう嫌なので…
で、ホントのところ、どうなのかなあ?
ひとりで行く? ひとりは不安だから、慣れた相手を連れていく?とか聞かれたのかなあ?
行く先ですでに実績を作っている子がいるから、組んだことがまったくなくてもその子を相手に迎えるか、それとも…
なんて、もし提示されていたとしても、選べるもんじゃないよねえ…
ユウヒの選択があったのだとしても、だからといってユウヒがなにがしかの責を追うべきである、と言いたいわけでもまたないのだけれど。
アリスも
「素敵なユウヒさん率いる宙組を、私と一緒に応援してください」
と、なんとも感動的な挨拶をしてくれたのだけれど。
どうなのかな。
どうだったのかな。
悲しいな、しんどいな。
でも、応援し続けていくしかないな…
雪組のトップ娘役を固定しない問題にも通じるものがあるけれど、やっぱりひまわりバカップルみたいなトップコンビを見て、みんなニヤニヤニマニマしたいんだと思うんだけどな。
そして東宝千秋楽のあのアドリブは、大劇場でのひまわり娘全員を巻き込んだものと違って、ふたりだけで閉じていたのが良くない、という見方もあるそうだけれど、私は純粋にニコニコしてしまったし、すごくきゅんとしたんですよね。
あとから、風当たりが強いかもしれないスミカをかばったものだったのだろうか、だとしたら逆に逆効果という面もあったのだろうか、でもホントに素直な気持ちだったのではなかろうか…とか考えてしまって、またぐるぐるしてしまったのですが。
でも、ふたりのいちゃいちゃアドリブに嬉しくて楽しくてニヤニヤしてしまった自分の感覚を、信じたい。
ごめんね、アリス。私が謝ることじゃないけれど。
ご卒業おめでとう。残された者はただがんばっていくことしかできない。それを応援していくことだけしか、私たちにはできない。
そんなことを、考えてしまったのでした。