駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇月組『BLUFF』

2024年09月18日 | 観劇記/タイトルは行
 東京芸術劇場プレイハウス、2024年8月30日15時(初日)、9月1日11時、5日15時。
 宝塚バウホール、9月15日15時。

 1950年代のアメリカ。天才詐欺師ドノヴァン(風間柚乃)は、生まれ育ったスラム街の医師である恩師が殺害されたことを知る。恩人が街の再開発反対運動の先頭に立った矢先のことだった。おそらく都市計画の区画整理の利権をめぐって、甘い汁を吸おうとしたマフィアが絡んでいるに違いない。仲間とともに復讐を誓ったドノヴァンは、綿密な調査と準備のあと、この街のボス・メンデス(佳城葵)を標的にいよいよ計画を実行するが…
 昨・演出/正塚晴彦、作曲・編曲/高橋城、高橋恵、振付/謝珠栄。1990年に初演されたアドベンチャー・ロマン、待望の再演。

 私の月組は94年『風共』からなので、初演に間に合っていません。ハリーが当時のミューズ・ノンちゃんに当て書きした別箱傑作のひとつ(『WANTED』は観ています。実況CD激愛聴しています。こちらも再演希望! かりんうたちでどうよ!?)、という認識で、多分主人公像はクールなようでいてハートフルな詐欺師でときめきマックスなんだろうし、でも他にはヨシコの瓶底メガネ姿からの美しい変身っぷりくらいしか知らず、なのでずっと映像か再演を観たい、と思ってきました。記録映像程度しかないのか、スカステではこれまで放送されたことがなかったと思います。「こだセレ」なんかで一部シーンが抜粋されたくらい? なのでオチの駅のシーンのやりとりは知っていましたが、とにかく全編観てみたかったので、再演の報には小躍りしました。
ブエノスアイレスの風』もよかったけれど、おだちん、イヤおださん、イヤイヤもはやおださまにはぴったりだろうと思いましたし、そのときから相手は俺たちのまのんでおなしゃす!!と強く強く念じてきました。振り分けから絶対そうだよね、と思いつつ、配役が出るまで騒がずじっと念じて待っていましたよ…! イヤみちる待望論とかもありましたからね、わかるけどね。まのんたんも『ロマ劇』新公ヒロインで彗星のように爆誕して以降、意外にもものすごく扱いがよかったわけでもないので、組ファンでも別箱ヒロイン(かつ東上)にはちょっととまどうのかもしれない…くらいなことは私も感じていたのです。でも大丈夫だから! 可愛いししっかりしているしアニメ声だけどカマトトじゃないの深いええ声も出せるのいい子なのできる子なのよー!!とずっとひっそり主張してきたのですよ…月組は新公ヒロイン経験者におはねもりりもみかこもいて、なんならより下級生の乃々れいあちゃんまで誕生しちゃって激戦区のひとつですが(例・星組)、でもホント月には稀な(オイ)可愛い子ちゃんですし真ん中力あるんですよココいきましょうよ頼むよ劇団…!とホントずっと祈ってきました。む、報われたよ…!!! ありがとう月P、もうもうときめきマックスボンバーでした(ナニそれ?)!!!!
 当初の予定より一回だけ追加できましたが、なんならもっと本気で予定空けておいてチケット探して芸劇全通したかった、それくらい意気込んで準備しておいてもよかった…と思えたくらい、好きな作品でした。何度観ても飽きなかったし、毎回ラストにシャロン(花妃舞音)が「♪流れる時は~」と歌い出すと泣いていたし、脚本の過不足もほぼなく(メンデスの「うちのシマから出て」云々は「模造ダイヤが/偽ダイヤが」と主語を足してもいいかもな、と思ったくらい?)、とにかくよくできていると思っています。
 まあ、地味かな、とか、あまり宝塚歌劇らしくない、とか、もっと違うタイプの作品の方が好み…という意見もあるだろうとは思いますし、私も別にこれこそが最高傑作!と言いつのる気はないのですが、とにかく私は大・大・大好きです。私がそもそもハリー・ファンだってのもありますけれどね。ハリーは革命とか紛争とかを描くパターンと、詐欺やコン・ゲームを描くパターンがありますよね。その後者の傑作のひとつでしょう(例・『メラジゴ』。駅でトランクのオチとか、好きなんだねハリー…)。
 史実などがもとになっている、とかもない、正真正銘のオリジナル作品だってこともホント素晴らしく、誇らしいです。数々の掛け合いソング含めて、城先生の楽曲がまたいいんですしね…! 合掌。ああ、だから宝塚歌劇は見限れない、と思ってしまったのでした…

 さて、おださんですが、てか「おだちん」のイントネーションが普通思うのと違うよね…まあご本名由来の愛称だし昔からそう呼ばれているんだろうからそれが正しいんだけど、私はもう脳内では「織田さん」「小田さん」みたいなイントネーションで呼んでいます。それはともかく、なんせ前主演作がアレすぎたと私は考えているので、いいお役、いい演目がめぐってきてホントーによかったです!
 また、なんせできすぎる嫌いがあるくらいなので、本公演だとどうしてもおもしろくなっちゃう役をやらされがちな気もしなくもないのですが(これからはバリッとした悪役なんかがたくさん観られるとまたおもしろいと思うなー!)、基本的にずっとカッコいい役、というのがやっと来てホントよかったと思います。本人もテレやさんなのかついおちゃらけがちなんだろうけれど、いいのよアナタはカッコいいんだからもっとカッコつけていいのよスターとしてもうそっちに振りきっていくべきポジションよ…!とかも思うのです。
 でもドノヴァンはカッコいいけれど、別にクールでスカしたタイプのキャラじゃないところがまたいいんですよね。天才詐欺師で、能力は高いんだけれど、人間としてはフツーというか、ちゃんと仲間意識とかの情もある。むしろクールになりきれない熱さや優しさを持っているキャラクターです。非情になりきれないし、諦観しちゃったりもしていない、すごく人間くさい主役像を、見目はバリッとしたスーツ姿でカッコよくキメてくれる…これが実に爽快なのでした。
 初日はほとんどノー情報で観たので、正直ハニトラの女衒ってどんな天才詐欺師だよ…と困惑したことは告白しておきます。シャロンをナンパしたのは、一目惚れ…ではないし、同情したのか、磨けば光ると踏んだのか、ジュリアに似ていると見抜いたのか…メンデスを引っかけるためにもうひとつ強いものが欲しい、と考えていたのは事実で、そこに彼女と偶然出会って、これだ!とひらめいたのかもしれません。
 そのあとも、結局彼自身も自分の恋心には無自覚だったのでしょうか…あえて「住む世界が違う」と身を退いている感じでもないですしね。スラムで育った少年時代から、モテなかったはずはないけれど、本人は意外と唐変木属性だったのかしらん…幼なじみなのだろうレディ・ディ(羽音みか)だって結局彼に行かず、マローイ(高翔みず希)とくっついてるんですもんね。浮世のアレコレを早くにたくさん見過ぎて、ちょっと早く大人になってしまった青年で、もしかしたら初恋もまだ、何もかも投げ出せるような恋もまだしたことがない…ような青年なのかもしれません。シャロンとは多少歳の差があるのかな?とも思いますが(人生経験の差はもちろん)、それもまたいいですよね。
 ブティックで変身したシャロンにちょっと「おっ」となって、レッスンが進んで、ナイトクラブで守備よくメンデスと会って…(この一連の流れの演劇的な素晴らしさは出色)奥で驚いてあわあわしているロジャー(彩海せら)もいるけれど、ただ背中を見せて待機しているだけのおださんドノヴァンだってココ、めっちゃなんか漂うものが出ていましたよね…! それがあの「尾行の方が多いネ」につながる。もちろん計画の推移への心配もあるしシャロンが上手くやれるかの心配もある、でもそれ以上にシャロンが傷つけられないかを案じているんです。身の安全と、それ以上の…それはもう、気遣いとか思いやりを超えて、ちょっとは恋でしょう。でもとりあえず復讐のシナリオを進めることに邁進してしまう、そんな唐変木ドノヴァン…エモ!
 第二幕S10は芝居としてホント白眉ですよね。ここはシャロンとロジャーが住む家ではなく、ドノヴァンたちが借りた部屋かなんかなのでしょう。そのあとの公園でのロジャーのリプライズ(笑)まで、完璧な流れだと思います。こんなホンが書けるだなんて、すごいよハリー…!(知ってた、それはそう)
 ここでシャロンはもう恋する女の視線をしっかりドノヴァンに向けているけれど、ドノヴァンはまだ自覚できていない。でもこのウザがり方とかはポーズだもん、てかおださんの演技がそうなっているんですよね。この解釈は正しいと思う。最後にドレスの試着に誘う姿の、なんと甘く紳士的なことよ…! それはもう立派に恋なのに…!! だってそのドレス、めっちゃウキウキ真剣に選んだんだと思うんですよねドノヴァン! どれがシャロンに似合うかな、どの色がどのデザインが…ってさ。そのときはマレーネとしての役作りなんて考えてなかったんじゃない? エモ…!
 事がなって、さあ撤収、解散!ってなったときに、シャロンと目も合わさずに去って行くのは、早く離れて自分と一緒にいない方がシャロンは安全だ、と判断した…というのももちろんあるだろうけれど、怖かったからでしょう。自分が彼女に引き寄せられるのが、恋で自分が変わることが…そりゃシャロンは幼く見えても危なっかしそうでも立派な大人だし、メンデスの脅威がなくなればこの先もひとりでも問題なく生きてはいけることでしょう。でもド近眼なんですよ、それっぽいスーツの男をドノヴァンと間違えてすり寄ってっちゃうんですよ…(笑)それで、見かねて声をかける。それはもう、降参なのです。「一緒に持ってくぞ!」は脅しにもなんにもなっていないのです。はー、好き!!!
 ハグだけでキスもない、好きだとも結婚しようとも言っていない。でも「風に揺れたたずむ木々たちのように」、いつか永遠に還る日までをともに過ごそうと歌う…それは極上の愛の誓いなのでした。いやー、ハリーってホントーにロマンチストですよねえぇ…!
 でも大楽のフィナーレのラストは、ニコニコあおのくまのんシャロンのおでこにチューくらいしてもいいぞ! 許す!! ただカテコもあるからアイリーン(彩みちる)がメンデスにしたみたいにべっちょり口紅つけるのはナシで!(笑) 楽アドリブなんて要らないくらいにウェルメイドな作品だとは思いますが、それくらい、それくらいはしてくれてもいいのよ…! てか、して…!!(そしてニュースでノーカットで放送して…!) 

 さて、まのんさんです(あっ、「さん」付けはヤバいヤツ…!)。愛蘭みこたんがご卒業してしまい、あとは雪組の愛空みなみ、星組の詩ちづるや瑠璃花夏、鳳花るりな、乙華菜乃あたりの顔が好みで観劇時にはついつい探して観ているのですが、やはり素敵な作品、素敵な役に当たると愛が増大するのでアタマひとつ抜けました…! はー、好き!! 本公演のショーではまだ二列目端っことかにいるけど、これでもう少し扱いが良くなると私が喜びます!
 シャロンというヒロインは、いわゆる「ドジでノロマなカメ」キャラなんでしょう。両親はもういないのか何故いないのか…は語られていませんが、ロジャーと姉弟ふたりでずっと貧乏暮らしをしてきたようです。成人していても学歴がないのか、はたまたミスばかりでしょっちゅうクビになって底辺の仕事にしか就けなくなっているのか…ロジャーもグレていつしかいっぱしのギャンブラーを気取るようになって、働くどころかいかさま賭博に引っかかって監獄に行く始末です。
 瓶底メガネを外したら美人、とか磨いたら綺麗に、とかはまあベタではありますし、本当はそこからが人生の勝負なワケですが、シャロンにはそこで一歩踏み出す勇気、そして怖くてもやり遂げる根性があったんですよね。そこがいい。そしてまのんはそんなシャロンの人間性をちゃんと理解して、丁寧に演じていたと思いました。演じる人自身が役を貶めて考えない、大事なことです。
 最初に歌うのが「時間が早すぎて追いつけない」みたいなのもすごく可愛いし、わかる。別に愚鈍なわけじゃなくて、ただちょっと世間の方が急ぎ足すぎるんですよね。今まではつらすぎた、これからも同じなんて耐えられない、でもどうしたらいいのかわからない、でも変わりたい…だからドノヴァンの手を取ってみる。途中、やっぱり怪しいのでは?とアジトに話をしに行き、怖くなってしゃがみ込んで泣き出しちゃうけど、でも立ち上がる。奪われたこと、失くしたことがないはずはない、怒りがないわけはない。戦ってみる勇気、踏み出す勇気、つかみ取ろうとしてみる勇気…真面目で、素直で、わからないことは聞く。聞いてもわからないことも多いけれど、考えてみようとする。そのひたむきさに、百戦錬磨の天才詐欺師ドノヴァンもいつしかほだされたのかもしれません。復讐の念に凝り固まった…というほどではないにしても、まずはそれを第一に考えていた彼にとって、思わぬ出会いとなったことでしょう。
 ナイトクラブでのおださんドノヴァンとのダンス、楽しそうでホント可愛かったなー! このボルドー色のドレスは新調かしらん? そしてメンデスと対峙してマレーネになったときの、声音のになんと艶やかなことよ…!(てかここのメッセンジャーの粋さよ…! こんなの古の高級ホテルのラウンジとかでしかやっていないものだと思っていました。ハリー…!)
 あとモノクロ千鳥格子のワンピース姿、ボディスがみっちりでお若い娘さんらしくていいな、娘役ちゃんはこのあとくらいからガンガン痩せていってペラッペラになっちゃうからな…とか思ってうっとり愛で眺めていたのですが、バウではもうみっちみち具合が薄まっていたようで、ちょっと寂しいくらいでした。イヤ綺麗になろうと絞っているのか、体力的に大変で痩せちゃってるのかは謎ですが…後者なら心配ですが。ともあれこれから娘役さんとしてさらに綺麗に磨かれていくんだろうなー、と思うともうワクテカです!
 この先は、マローイとレディ・ディがやるという店にいれば、ドノヴァンが来るかもしれない…となって「じゃそうしよっかな」と言うときの口調、ホントたまらんです! マレーネのときの芝居がかった女言葉もたまらん。ラストにメガネを外されたときの「嫌…」とか可愛すぎて血ヘド吐きそうでした…でもカマトトじゃないんだよー!!
 デュエダンもホントお似合いでした。おださんがずっと笑って目を合わせてくれていて、まのんもめっちゃ嬉しそうで幸せそうで…ラスト、舞台奥に向かって並んで歩いて行くところで、最後にドノヴァンの肩にこてんと頭を倒すシャロン、ぎゃわゆいぃ…!
 初日は、フィナーレは別の新しいお衣装でも…とも思ったのですが、最終的にはほぼ役として終える感じなので、やはりこれで正解なのかな、と考え直しました。フィナーレの構成は初演と同じなのかなあ? 男役、娘役とも何グループかに分かれて順々に出てきて、組んで…みたいな流れが素敵でした。お約束化した拍手がむしろ入れづらい流れになっているのも、とてもいいなと思いました。あと男役×椅子は正義!
 最後、センターの椅子にまのんシャロンが座って、傍らにおださんドノヴァンが立って、椅子の背に置いていた手をシャロンの肩に移したりして、まのんがニコニコあおのいて、客席に微笑んでいたおださんが最後の最後、緞帳が下りるのと同時にまのんの方にうつむいて笑いかける…エモ!
 レビュー本でも語っていましたが、『エタボ』新公エイデンとかもすごく良かったし、これからさらにいろいろなお役に恵まれるといいな、と思います。そしてトップ娘役になってくれ、会を立ててくれ、入りたい、しゃがんで応援したいよ…!とまで、私の愛はつのっているのでした。

 ロジャーのあみちゃんは、絶品です。うん、みんな知ってた。この人も前主演作がそんなには…だった気がするので(悪くなかったけど、あみちゃんの良さや持ち味を生かしていない気が私はしました)、次はいい作品に恵まれますように、と念じています。あとは、ここはおだぱるあみと一期違いダンゴなのがこの先けっこうしんどくなると思うので、劇団はちゃんと考えてください、とも念じています。
 ロジャーは初演のバウと青年観では配役が変わっていますが、思うにそもそも二番手格というほどの役でもないくらいだったんじゃないのかしらん…でもあみちゃんが上手いんで目立つし、いいアクセントになっているキャラクターなんだと思います。
 タイトルのブラフ、というのはそもそも彼の通り名ですしね(自称だけど)。クライマックスで彼が観客と一緒にだまされる、それが肝の作品ではあり、そういう意味では大きなキーパーソンです。あみちゃんはホント上手い、何もかも上手い。滑舌も間も歌も素晴らしい。最後にキティ(乃々れいあ)とダッチ(彩路ゆりか)を見送るぽかん顔で笑いが取れるのも素晴らしい…!
 でもホント、最初にドノヴァンに突っかかっていくところのチンピラぶりってひどいと思うんですよ。姉の心配なんか全然していなくて、儲け話があるなら自分も乗りたいってだけなの。それか、脅して強請って取れる金は取りたいってだけの、ホント下種。ハリーの台詞が上手いしあみちゃんの芝居もホント上手い。なのである意味ラストにキティにフラれるのは当然だし、今度こそ本当に姉は家に帰ってこないので、そこで性根を入れ替えて新しい人生を始められるかが彼にとっては肝なのです。がんばれよー! このしょーもなさと愛嬌とを絶妙にバランスで演じるあみちゃんはホント素晴らしいです。口笛の下手さはそれこそご愛敬(笑)。本公演のショーではもっと歌手枠で起用されていくといいんじゃないのかなー、などと思ったりもしています…余計なお世話かも、ですが。

 さて、物語にはいいセカンドカップルが必要なものですが、裏主役というかMVPというか…は間違いなくメンデスのヤスちゃんとアイリーンみちる夫婦でしょう。イヤ上手い、ホント上手い、ここにこのふたりがいてよかった。再演はおだまのんを待ってのものだったかもしれないけれど、ヤスみちるも待ってのものだったのだろう、とも言えると思います。
 あんなにギャンギャンしてても台詞がクリアだし、喉に負担をかけている感じもしないのがプロの技だし、あの痴話喧嘩からの真顔のタンゴとか素晴らしすぎますよ…!
 そしてアイリーンの、使えない部下をあっさり毒殺しちゃう非情っぷり…チャーミングなようでいてやっぱりきっちり悪役、ということを見せる意味でも素晴らしいエピソードでした。一方で、キティに対してなんの疑いも持たずにただ可愛がっていたのも本当のことなんでしょうしね。人間の多面性を描く、いいホンです。靴は…まあ、どうだろう(^^;)。
 アイリーンの人生のモットーは太く短く、なワケですが、ところで主題歌の歌詞の「♪一度きりの人生を委ねるシナリオはロングバージョン」って、どういう意味なんでしょうね…プランBとかCとかがあらかじめあるもの、ってこと? それとも細く長い人生を想定しているってこと…?(^^;)
 ゴッドファーザーの姪に惚れて、入り婿みたいな形でボスをやっているメンデスですが、これまたへっぽこだったりチャーミングに見えてもやっぱりマフィアはマフィアなのでしょう。ただ、ドノヴァンたちは殺しはしない、裁く権利は自分たちにはない、ただお宝を取り上げて目にもの見せてやりたい、恩人の敵討ちをしたい…とだけ考えています。自分たちがやっていることは詐欺であり、立派な犯罪で、そういう意味ではメンデスと五十歩百歩だとわかっている。正義のヒーローではない、敵討ちをしても恩人は帰らない。それでもやる…という意思のもとに団結しているチームなのでした。そのすがすがしさと、メンデスのしょーもないへっぽこさとのバランスもまた秀逸でした。
 イヤしかしマレーネとの逢瀬を思って口髭を撫でつけてニヤけるだけで笑いが取れるんですよ、ヤスちゃんはマジで月組の至宝…! なるべく長くいてね…!!
 みちるも『エタボ』に続いてちょっとエキセントリックな役が来ちゃったけれど、もっといろいろできることも知っているし、娘役人生なんて下級生がトップになってからが華ですよ。期待していますから…! 長くいてね。

 チーム・ドノヴァンはまずマローイのさおたさん。初演は再下級生で出ていたというんだからエモですね…! つい出るイタリア語、という台詞はあるんだから、イタリア訛りを表しているのだろう変な語尾はなくしても…と思わなくもなかったのですが、これまた絶妙な愛嬌になっているからなあ…チームの中では年長者なのに、ステディなパートナーなのだろうレディ・ディの尻に敷かれ気味なのもとても良きでした。
 みかこも、私は本質的にはショースターだと思っていて演技はこれまでちょっと物足りなく感じることが多かったのだけれど、こういうお姉さんポジションのキャラはニンだろうし、ハマっていてとても素敵でした。一幕ラスト、レディ・ディがいてシャロンはホント安心したと思うんですよね。あそこで強面のおっさんお兄さんばっかだったら飛んで逃げ帰っていたことでしょう…
 でもバニーガールのところは、耳か尻尾をつけてもよかったと思うぞ!とだけは言っておこう…だってバニーじゃなかったじゃん! プログラムで見てめっちゃ期待していたのに!!(笑)
 まひろんはいつでも上手いし、この中だとコステロ(真弘蓮)はちょっと背が低くてひときわ強面で、先輩格のキャラとして立っていたと思いました。逆にシドー(瑠皇りあ)とアヴェリー(雅耀)はもうちょっと差異というかキャラ立てが見えるとよかったかな。どっちも二枚目枠だから…運送会社云々のくだりは、ちょっと萌えました(笑)。
 あと私あやっツィー大好きなんですよ、声も顔も好き。スタイルもいいよね! なのでカジノのダンスで端っこにいて、学年順ならセンターでは!?といきり立ったんですけれど、これはこのお役の設定のためだったんですよね…! イヤよかったわーーー!! 途中、ドノヴァンが電話していたのは彼にかな?と思いました。ところでハリー、バーテンダーのことはバーテンと略さずちゃんとバーテンダーと書くように!
 娘役陣ではみうみんとほたるちゃんが好き。ブティックのハウスマヌカンとか、二幕のパウダールームの場面とかウハウハでした。でも陰のMVPは天愛るりあちゃんだったと思う…! バニーガールのお歌といい不二子ちゃんワンピといい、爪痕を残しまくっていたと思いました。ちょいちょいシドーといちゃいちゃしてるのもよかった(笑)。華やかな美貌で、イイですよね! 使っていこう!!
 新進の乃々れいあちゃんもホント達者です。声が野太いのは役作りなのか、もともとなのか? でもこのお役は変に可愛くやらない方がいいと思うので、大正解だったと思います。シガーガール衣装の花屋姿もなんてご褒美かと…!
 和真くんや翔くんは、もう少しいい声だと個人的には刺さるなー、と思ったり…でもしっかり芝居していましたよね、さすが月組。スカステで見て可愛いなと思った八重ひめかちゃんを識別したかったのですが。目が足りませんでした。無念!

 あーん配信見たかったなー、映像だとどんななのかなー。ほのかちゃんの先日の主演作も円盤化されるんだし、これもされますよね? 持っていたい、何度でも見たい。ナウオンもいい雰囲気でニマニマ見ました。
 良き大楽を迎えられますよう、お祈りしています。全休になっちゃっただい亜、しっかり治して帰っておいでね…!










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