日生劇場、2025年2月5日18時半。
前回観たときの感想はこちら。
直近で四季の『オペラ座の怪人』を観たときの感想はこちら。
この日はファントム/橋本さとし、クリスティーヌ/真彩希帆、ラウル/田代万里生、メグ・ジリー/星風まどか、マダム・ジリー/香寿たつき、グスタフ/後藤海喜哉。
前回観たときに、楽曲はともかく話がなんだかなー、な印象があったので、上演の報にも沸き立たなかったのですが、やはりきぃちゃんとまどかは観たい…とチケットを探して、無事におけぴでお譲りいただきました、ありがたや。
1階後方下手、視界や音響は特に問題なし。こんなに装置がぐわんぐわん動くんだっけ?と驚き、楽しみました。ずっと歌っていて話が全然進まない、まさしくオペラなので、のんびり美術を眺める暇もあろうというものです。
そして、十年後の話であること、ラウルがギャンブルで借金を作っていること、その返済に当てる小金を稼ぎにクリスティーヌがパリからアメリカまで歌いに来たこと(しかしアメリカ人はなんでこんなにコニー・アイランドを愛しているのか…としまえんとかとは何かが違うのか…?)、可愛いグスタフという息子が生まれていること…は覚えていたので、わりとすんなり話に入っていけました。
何度も語っていますが、クリスティーヌとファントムとの間にあったものがなんなのか、というのは議論の余地があるというか、人によって解釈ないし好みが違うというか…な問題だと思います。音楽の師として尊敬していた、亡き父を重ねて慕っていた…から、異形の者への同情や憐憫、そして異性としての肉欲も含めた恋情…なのかどうか、という問題です。で、この話では、月のない夜にふたりは一夜の過ちを犯し(とクリスティーヌは解釈しているように私には思えました)、グスタフが生まれた…ということになっています。前回はまっさらで観たので「えええぇそれはちょっと…」となってその後もなかなかノリきれないままに終わった気がするのですが、今回はそれは大丈夫でした。ただ、きぃちゃんクリスティーヌが、荒れるラウルとの結婚生活に疲れ、ファントムとの再会にも驚き怯え後悔しているように見えて、要するに基本的にずっと不幸せそうでずっと暗くしょんもりした表情をしているので、それが寂しくて残念だったなー、と思ったりしました。やっぱきぃちゃんは大きな口開けてぱあーっと笑っていてなんぼでしょう!
クリスティーヌにとってファントムは、音楽、芸術に関してはベスト・パートナーなんだろうし、再会の驚きがおちついたら、そりゃ生きていてくれたことは嬉しいし再会できたことも嬉しい。けれどやはりラウルとなんとかやりくりして過ごしてきた十年間の結婚生活というものはあるわけで、いくら息子の実の父親だろうとそれはそれこれはこれ…となるのは自然なことでしょう。このクリスティーヌは、私にはファントムを愛しているようには見えなかったし、なのでなおさらファントムの執着、怨念が恐ろしく、醜く、哀れに感じられるのでした。もっと言えばしょうもないな、と思いますよね。十年かけて何ひとつ成長も変化もしていない男…フツーに嫌でしょう!
ラウルにしても、本当のところ芸術のこととかよくわからないし、クリスティーヌを十全に幸せにできていない、というような負い目やコンプレックスがあって、ギャンブルや酒や女に逃げているわけですんが、これまた情けなくしょうもないことではあります。別に人は自分で勝手に幸せになるもので、配偶者に何もかもしてもらおうなんて考えませんよ大人なんだから。彼はくだらない男のプライドにとらわれて、勝手に自縄自縛、自暴自棄になっているだけなのです。
でも、こっちの方が立て直す余地があるんだと思うんですよね。仮にも十年続けてきた結婚生活というものは、それくらいの重みを持つんだと思います。たとえ息子が痔分の子供でないと知っても、十年間親子として暮らしてきたし情愛はあって、ラウルはそのショックを乗り越えてグスタフをきちんと養育していくことでしょう。
つまり何が言いたいかというと、やはり前回の感想と同じで、誰か死ななきゃケリがつかないならファントムおまえが死ね、って話だし、いやヒロインが死ぬ方が盛り上がるんですよそれが物語の常套ってもんでしょうというなら、ファントムにも後追い自殺させるべきだったと思います。命は命でしか購えないのではないでしょうか…
だってさんざん大騒ぎして男が息子を手に入れる話、って考えると、ものっすごい醜悪だな、と思うんですよ。女をなんだと思ってるんだ、と言いたい。
グスタフは母親から音楽の才を受け継いでいるかもしれないし、今はそのボーイソプラノは天使の歌声かもしれないけれど、やがて失われます。ファントムの作曲した至上の名曲を歌ってくれる歌姫はもういない。ならフアントムにだって生きている意味はないでしょう、死ねばいい、ってトートでなくても言いたくなりますよ…
ホント、「ケッ」って話だぜ、というのが今回の私の感想の結論です。また惹かれるキャストでやってももう観ない、もう十分です。音楽はいいと思うけれど、私はそこまで芸術の素養がないので…というか音楽よりお話が好きなタイプなんです、すみません。
純粋な台詞がほとんどない、ホントにオペラばりのミュージカルで、不安定な音程も多い楽曲で、けれどキャストはさすがの上手さでした。それは本当に楽しませていただきました。
そして『ニュージーズ』もピカピカでよかったけれど、今回もよかったよまどかにゃん! やっぱりこの役はもうちょっと年上の、「おばさんが水着着てそれも脱ぐようなショーやっちゃって痛々しい」と見える女優がやるべきだとは思いますが、それはそれとしてまどかのメグは、そこまでは痛々しくないけれどやはり芸より色気を売っているのだ、というのがちゃんと出せていたと思うし、だけど当人はそのことに気づかないフリをして日々楽しくショーをやっているつもりでいて、少しずつでも上手くなっている、いつかファントムが自分を認め愛してくれると思い込むようにしている、実は危ないところを綱渡りしているダメな少女のような女性…って感じが出ていて、とてもよかったです。
クリスティーヌとの再会を喜ぶくだりなんかも、キャッキャウフフしていて可愛いんだけど、どこか不穏さが漂う…みたいな塩梅がとてもいいと思いました。だからキーッとなったときにグスタフを連れ出しちゃう残酷さがあるのにも納得です。このあと、遠いどこかで、今度こそ母娘ともにファントムの呪縛から逃れて、幸せになってくれ…と願わないではいられません。てかいるよもっと他にいい男が! ちゃんと周り見て!! 私はまどかの胸ばっか観てました、すみません…
前回あまりなかったグッズが今回はいろいろ作られているようで、私もまどかのアクスタは買いましたが、人気があるならそれはそれで何よりです。役替わりの味わいの違いなんかもあるのでしょうが、私はこれで打ち止めです。千秋楽まで、どうぞご安全に…!
前回観たときの感想はこちら。
直近で四季の『オペラ座の怪人』を観たときの感想はこちら。
この日はファントム/橋本さとし、クリスティーヌ/真彩希帆、ラウル/田代万里生、メグ・ジリー/星風まどか、マダム・ジリー/香寿たつき、グスタフ/後藤海喜哉。
前回観たときに、楽曲はともかく話がなんだかなー、な印象があったので、上演の報にも沸き立たなかったのですが、やはりきぃちゃんとまどかは観たい…とチケットを探して、無事におけぴでお譲りいただきました、ありがたや。
1階後方下手、視界や音響は特に問題なし。こんなに装置がぐわんぐわん動くんだっけ?と驚き、楽しみました。ずっと歌っていて話が全然進まない、まさしくオペラなので、のんびり美術を眺める暇もあろうというものです。
そして、十年後の話であること、ラウルがギャンブルで借金を作っていること、その返済に当てる小金を稼ぎにクリスティーヌがパリからアメリカまで歌いに来たこと(しかしアメリカ人はなんでこんなにコニー・アイランドを愛しているのか…としまえんとかとは何かが違うのか…?)、可愛いグスタフという息子が生まれていること…は覚えていたので、わりとすんなり話に入っていけました。
何度も語っていますが、クリスティーヌとファントムとの間にあったものがなんなのか、というのは議論の余地があるというか、人によって解釈ないし好みが違うというか…な問題だと思います。音楽の師として尊敬していた、亡き父を重ねて慕っていた…から、異形の者への同情や憐憫、そして異性としての肉欲も含めた恋情…なのかどうか、という問題です。で、この話では、月のない夜にふたりは一夜の過ちを犯し(とクリスティーヌは解釈しているように私には思えました)、グスタフが生まれた…ということになっています。前回はまっさらで観たので「えええぇそれはちょっと…」となってその後もなかなかノリきれないままに終わった気がするのですが、今回はそれは大丈夫でした。ただ、きぃちゃんクリスティーヌが、荒れるラウルとの結婚生活に疲れ、ファントムとの再会にも驚き怯え後悔しているように見えて、要するに基本的にずっと不幸せそうでずっと暗くしょんもりした表情をしているので、それが寂しくて残念だったなー、と思ったりしました。やっぱきぃちゃんは大きな口開けてぱあーっと笑っていてなんぼでしょう!
クリスティーヌにとってファントムは、音楽、芸術に関してはベスト・パートナーなんだろうし、再会の驚きがおちついたら、そりゃ生きていてくれたことは嬉しいし再会できたことも嬉しい。けれどやはりラウルとなんとかやりくりして過ごしてきた十年間の結婚生活というものはあるわけで、いくら息子の実の父親だろうとそれはそれこれはこれ…となるのは自然なことでしょう。このクリスティーヌは、私にはファントムを愛しているようには見えなかったし、なのでなおさらファントムの執着、怨念が恐ろしく、醜く、哀れに感じられるのでした。もっと言えばしょうもないな、と思いますよね。十年かけて何ひとつ成長も変化もしていない男…フツーに嫌でしょう!
ラウルにしても、本当のところ芸術のこととかよくわからないし、クリスティーヌを十全に幸せにできていない、というような負い目やコンプレックスがあって、ギャンブルや酒や女に逃げているわけですんが、これまた情けなくしょうもないことではあります。別に人は自分で勝手に幸せになるもので、配偶者に何もかもしてもらおうなんて考えませんよ大人なんだから。彼はくだらない男のプライドにとらわれて、勝手に自縄自縛、自暴自棄になっているだけなのです。
でも、こっちの方が立て直す余地があるんだと思うんですよね。仮にも十年続けてきた結婚生活というものは、それくらいの重みを持つんだと思います。たとえ息子が痔分の子供でないと知っても、十年間親子として暮らしてきたし情愛はあって、ラウルはそのショックを乗り越えてグスタフをきちんと養育していくことでしょう。
つまり何が言いたいかというと、やはり前回の感想と同じで、誰か死ななきゃケリがつかないならファントムおまえが死ね、って話だし、いやヒロインが死ぬ方が盛り上がるんですよそれが物語の常套ってもんでしょうというなら、ファントムにも後追い自殺させるべきだったと思います。命は命でしか購えないのではないでしょうか…
だってさんざん大騒ぎして男が息子を手に入れる話、って考えると、ものっすごい醜悪だな、と思うんですよ。女をなんだと思ってるんだ、と言いたい。
グスタフは母親から音楽の才を受け継いでいるかもしれないし、今はそのボーイソプラノは天使の歌声かもしれないけれど、やがて失われます。ファントムの作曲した至上の名曲を歌ってくれる歌姫はもういない。ならフアントムにだって生きている意味はないでしょう、死ねばいい、ってトートでなくても言いたくなりますよ…
ホント、「ケッ」って話だぜ、というのが今回の私の感想の結論です。また惹かれるキャストでやってももう観ない、もう十分です。音楽はいいと思うけれど、私はそこまで芸術の素養がないので…というか音楽よりお話が好きなタイプなんです、すみません。
純粋な台詞がほとんどない、ホントにオペラばりのミュージカルで、不安定な音程も多い楽曲で、けれどキャストはさすがの上手さでした。それは本当に楽しませていただきました。
そして『ニュージーズ』もピカピカでよかったけれど、今回もよかったよまどかにゃん! やっぱりこの役はもうちょっと年上の、「おばさんが水着着てそれも脱ぐようなショーやっちゃって痛々しい」と見える女優がやるべきだとは思いますが、それはそれとしてまどかのメグは、そこまでは痛々しくないけれどやはり芸より色気を売っているのだ、というのがちゃんと出せていたと思うし、だけど当人はそのことに気づかないフリをして日々楽しくショーをやっているつもりでいて、少しずつでも上手くなっている、いつかファントムが自分を認め愛してくれると思い込むようにしている、実は危ないところを綱渡りしているダメな少女のような女性…って感じが出ていて、とてもよかったです。
クリスティーヌとの再会を喜ぶくだりなんかも、キャッキャウフフしていて可愛いんだけど、どこか不穏さが漂う…みたいな塩梅がとてもいいと思いました。だからキーッとなったときにグスタフを連れ出しちゃう残酷さがあるのにも納得です。このあと、遠いどこかで、今度こそ母娘ともにファントムの呪縛から逃れて、幸せになってくれ…と願わないではいられません。てかいるよもっと他にいい男が! ちゃんと周り見て!! 私はまどかの胸ばっか観てました、すみません…
前回あまりなかったグッズが今回はいろいろ作られているようで、私もまどかのアクスタは買いましたが、人気があるならそれはそれで何よりです。役替わりの味わいの違いなんかもあるのでしょうが、私はこれで打ち止めです。千秋楽まで、どうぞご安全に…!
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