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駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇宙組『宝塚110年の恋のうた/Razzle Dazzle』

2025年04月23日 | 観劇記/タイトルた行
 宝塚大劇場、2025年1月5日11時、23日18時(新公)。
 東京宝塚劇場、4月16時18時。

 1950年代のロサンゼルス。ハリウッドにほど近いサンセット・ストリップ沿いのナイトクラブ「ラズルダズル」では、今夜も享楽的なセレブが乱痴気騒ぎを繰り広げている。彼らを出迎えるのはこの店の新たなオーナー、レイモンド・ブルー(芹香斗亜)。幼いころに資産家の両親を亡くし、莫大な財産を相続した彼は「ハリウッド一裕福な孤児」の異名を持つが、その全財産を手にするには条件があった。それは、彼の後見人である縁戚の実業家リチャード・ウィンターズ(松風輝)のひとり娘アビゲイル(天彩峰里)と結婚し、いずれは彼の後継者となること。だがレイモンドは物質主義的なこのフィアンセを毛嫌いし、彼女との結婚を断固拒否。自ら商売を始め活路を見出そうと、行きつけだったこのクラブを買い取ったのだ。だが映画のような「真実の愛」を夢見るレイモンドに、アビーは「財産のない彼を愛する女性などこの世にひとりもいない」と豪語する。口論はヒートアップして…
 作・演出/田渕大輔、作曲・編曲/青木朝子、多田里紗、作曲・編曲・稽古ピアノ/植田浩德。

 初日雑感はこちら
 その後は結局、大劇場新公と東京公演一回しか観なかったので、印象はさほど変わっていません。
 日本物のショー(宝塚歌劇百十周年記念奉舞、作・演出/大野拓史)は、例えば「誘われれば観る」程度の特にファンでもなんでもない観客が観たときに、この作品の構造や構成の意味がわかるのかな…とかが私には案じられたのですが、まあ宝塚歌劇なんてファンのファンによるファンのためのもの、みたいな部分が大きいのだろうし、一口に日本物と言ってもいろんな時代のいろんな様式美があってバラエティがあって楽しいな、何より美しくていいな…程度のことは感じてもらえるだろうと思うので、これはこれでいい企画だったのかな、と思うようになりました。
 ジャズ・スラップスティックの方も、レイモンドの遺産(の信託基金?)の受け取り条件ってアビーとの賭けに勝ったからといって法的に変えられるものなのかなとか、所詮はリチャードの胸先三寸ってことなのかなとか、細かいところが私はやっぱり引っかかったままだったのですが、まあ田渕先生のわりには(オイ)ウェルメイドなラブコメディに仕上がっていていいのでは、という印象でまとまりました。
 しかしほぼ裏主役と言っていいもえこシャーリーン(瑠風輝)が素晴らしかったですよね…! 撮影場面はショーアップ場面でもありバックステージものとして嫌いな観客いないでしょ場面でもあり、作品にとって鍵となる重要場面でしたが、その中心に、女王どころか王として燦然と輝き君臨していてとても良きでした。これはずんちゃんトニー(桜木みなと)がどうこうではなくてね。トニーがシャーリーンほどこの仕事やこの映画を愛していない、ということではなくて、ただ愛し方やその表し方が違うのであって、彼はもっと飄々と生きている人なのでしょう、ということです。
 ところでとっぱしのキキちゃん銀橋登場場面といいフィナーレの大階段板付きといい、そこに歓声が上がるようになったのはいつからなんでしょうか…マイ初日にはなかったような。正直、鼻白みました。コンサートなどの特殊なケースを除き、宝塚歌劇では出演者への掛け声は禁止なのでは? 思わず漏れるジワとかじゃないじゃん、やっていいってことにしたからやってるって感じじゃん…そりゃ退団公演だしいろいろあったのもわかってるので、いろいろ肩入れしたくなるのも過剰に盛り上がるのもわかりますが…でもこれじゃ宙組は観ない、とか宝塚歌劇はもう観ない、と言う一部ファンがいるのもわかるよな、と私は感じてしまいました。何も解決されていないのに、というか失われた命は決して戻らないので解決することなど決してないのだけれど、ちょこちょこ発表されている改革案が本当に改善につながっているのか謎だし、そもそもこれまでの経緯が本当に駄目すぎてここから何をしてもとても払拭できるものではないと思っているところにさらに公演がこのありさまでは…と、私は暗澹たる気持ちになってしまったのでした。ずんちゃんトップ体制になれば刷新できる、というものでもないと思うしなあ…それが気になる人は、やはり自ら少しずつ、退いていくしかない、のかな…など、思ったのでした。
 あとホント組子の数が少なくて不安…
 あとホント組んだ相手の目を見ないのが不安…手を取り合ってもその手元、抱き合ってもその肩先とかしか見ていない。あとは中空か客席に向かって観音像のような笑みを浮かべているだけで、相手と目が合ってにっこり笑みが弾けるなんてことは皆無。悲しくなりましたね…誰の目も見られないようになってしまっているのかもしれないけれど、そんな彼女のことは心配だけれど、でもじゃあ私たちは何を見て幸せになればいいのかしらん、と虚しくなってしまうのでした。
 すみません、ごく個人的な所感です。大千秋楽まで、どうぞご安全に。その後の芸能活動もあるなら、そこではのびのびがんばっていただければ、とは思っています。ファンもみんな幸せでありますよう、祈っています。それはきいちゃんのファンも、あるいはご家族も、もう二度と何にも幸せを感じられなくなる、ということはないはずだと思うので…みんなに、幸せでいてください、と祈らないではいられません。


 大劇場新公の感想を以下、簡単に。
 担当は菅谷元先生でした。新公では何度か見かけるお名前なので、そろそろバウデビューも近いのかな? 楽しみですね。大きな演出変更はありませんでしたが、フィナーレがないのでラスト場面には全員いて、みんなで盛り上がれたのかな。それはよかったと思いましたし、でも飛んだ新公の回数を思うと、この先のこの組がなお心配になりました。
 レイモンドはなるくん、飛んだ新公主演がちゃんとまわってきてよかったです。ただのっけから、とにかく小さいなーという印象で…あと口紅の色が悪くて、なんか死人か幽霊みたいじゃないか?と思っちゃいました。それなりに上手いし、キキちゃんとは違うレイモンド像を作り上げていて、それは好感が持てたのですが…やはりこの組でこのタッパだとこの先未来があるのかな?と私はつい案じてしまったのでした。
 ドロシーは花恋こまちちゃん、こちらも初ヒロイン。ブッキーのウェンディのところをやっていた梨恋あやめちゃんと恋恋コンビとして売り出し中(組ファン的には)ですが、そつなくこなせている印象で、よかったです。こういう舞台度胸は貴重でしょう。容貌はあやめちゃんの方が美女タイプかな…私は正直どちらにもあまりピピピと来ませんでした、すみません。
 トニーは奈央麗斗くん、これは華やかで甘くインパクトがあって、キタコレ感がありました! ナオレートのこの華は組の良き戦力になっていくのでは? 歌もしっかりしていましたね。
 アビーは風羽咲季ちゃん、これも上手かった! 今まで役付きがあまり良くなかった印象ですが、娘役はもう全然いないのでそんなことも言ってられなくなったんでしょう、そして起用すればバッチリ上手いんだコレが! 学年いくつだっけ、新公ヒロインのチャンスはまだあるのか? 真ん中タイプじゃないかもしれませんが、もったいないので起用していきましょう! 実力派も大事にしていかないとヤバいってホント…
 シャーリーンはりせくん、こちらもでっかくて圧があってとても良きでした。
 あとはりずちゃんエヴァのところをやったちっちが良くて、こういう芝居も上手いんだなーと惚れ直しました。というかちっちは華が出てきて全編よく目立っていたと思う…! 可愛いしちっさいのも貴重よ、もっと使ってー!!
 おさよちゃんのところをやったブッキーもさすがでした。
 ハワードのあんくんの上手さも鉄板。あと聖くんもいつも上手いよね。エキストラ3カップルは嵐之くんと楓姫るるちゃんばかり観ていました。
 あとは…やはり組子の数が書くなくて心配、という印象でしたかね。
 主役のパンチが弱いのと、こういう大人のお伽話的ロマンチック・コメディみたいなのの洒脱さは、下級生がやるにはやはりハードルが高いんだな、というのが主な感想でした。もちろん生徒には良き勉強、良き場数になっていたと思います。まずは東西ともやれてよかったよねホント…


 しかしここにおはねが来ても焼け石になんとやらの層の薄さな気がします…私は次期はブッキーで盤石とは思えなくて、他組で仕上がっていてもっとカードを揃えている娘役の組替えもまだあるのでは、と思っていますが、どうなんでしょうねえぇ…ずんさくは合うと思っているので、それは純粋に楽しみなのですが。
 プリレジェのことは何ひとつ知りませんが、ソレジャナイ感は持ってしまっているので…未来に期待したく思っています。
 とりあえず、繰り返しますが大千秋楽までどうぞご安全に、みんなが幸せな日々を過ごせますようお祈りしています。








 
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