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「グラップラー刃牙 -バキ- 」

 映画「宇宙戦争」が大人気公開中ですね。先週末あたりから「スターウォーズ ~ エピソード3」も先行上映されてるみたいだし、いよいよ映画興行の宇宙戦争突入ですが、タイトル「宇宙戦争」ったって、原作では何も宇宙空間で戦闘がある訳ではない。世界物語史上初めて侵略宇宙人が地球に攻めて来たんですね。今回の新作映画がどんな内容のストーリーになっているのか詳しくは知りませんけど。何でも、90年代末の米映画「インディペンデンスディ」のお話によく似ているとか、「宇宙戦争」の監督スピルバーグは以前から「宇宙戦争」の映画化の考えは持っていたが、異性人侵略物は「インディペンディンスディ」に先越されたから当時は映画化製作は止めていたんだとか、メディアで話を聞きますが。何はともあれ、面白そうで僕も見たい映画です。トムクルーズとスピルバーグが組んだというのも良いし。「インディペンディンスディ」の方はだいたい地球の上空の大空での空中戦が多いけれど、少しは宇宙空間も出て来ますね。

 僕が原作の「宇宙戦争」の小説の和訳版を読んだのは、小六か中一くらいの時で、読んだものは少年少女向けの冒険小説全集のようなものの一冊で、学校の図書館で借りたものでした。当時の僕は、漫画こそめちゃめちゃな量を読んでいましたが、活字の本はほとんど読まない少年で、この借りた「宇宙戦争」も全部読まずに図書館に返してます。物語の内容をよく知っているのは、それはこれが有名な小説だからです。後年あらすじをいろんなメディアでよく目にしたからでしょう。


 原作では、侵略宇宙人はそれ以降、宇宙人や火星人の定番パターンになる、タコのハッちゃん型のぐにゃっとした頭に幾本もの足がついてるヤツ。地球を攻めまくり、圧倒的優位にたってから地上に降りた円盤から、まるで戦車のハッチのようにパカンと開けて、外に顔出す、タコ型宇宙人。宇宙服や防護服は何も身に着けずに。これで、侵略宇宙人は負けてしまうんですよね。原作では、宇宙人は地球の風邪か何かの細菌に感染して自滅する。こういう終わり方の話って、以後いっぱいあるような気がする。


 昔、オーソンウエルズがラジオ放送でこのお話を読んで、ラジオを聴いた人々が真に受けて話を信じ、一時的に街がパニックになったという有名なエピソードがありますが。60年代くらいまでは、火星に知的生命体が居る、と言われたら、そうかも知れないなと半分は信じる風潮でした。今の時代に、火星人が攻めてくるとか言ったって、おまえアホか、と馬鹿にされるだけでしょう。もうNASAの火星探査機の着陸調査で、火星の大部分の表面には生物なんて棲めないって解りました。ただ火星の極地方では昔、水があっただろうと思われる痕跡があるかも知れず、氷の堆積があるかも知れない、そこに微生物のようなごく簡単なつくりの生物が居る可能性はあるかも、らしい。無論、知的生命なんて棲むはずがない。原作「宇宙戦争」が書かれたのは1898年ですよ。19世紀末。作者は、SFの開祖と呼んでいい人で、イギリスの作家で当時の間違いなく天才ですね。以前、小松左京さんも書いていましたが、H・G・ウエルズはその後のSFのパターンを一人でほとんど考え出していると。僕は、「タイムマシン」という映画を新旧作二度見ていますし、「宇宙戦争」「透明人間」は子供の頃小説でパラパラと半分近くは読んだし、また「モロー博士の島」も映画化を見ました。確かにそうですね、地球侵略、遺伝子操作による怪物創造、時間旅行etc...。

 H・G・ウエルズというと、僕が思い出すのは、同時代の同イギリスの作家、サマセットモームが、不思議とモテモテの中年男ウエルズの事を当時のウエルズの取り巻きの女の子達に訊ねて、「君達はどうしてまた、あんなハゲでデブのウエルズが好きなんだい?」と問うたところ、彼女達がモームに答えたのは、「それはね、あの人の裸の傍らに居ると、蜂蜜のような良い匂いがするからなの」と言ったとか。そういうエピソードがあるとか、何かの本で読んだ記憶があります。多分、それがモテモテ男の出しているフェロモンであろうと。その蜂蜜香が。もう十年以上昔の記憶だから違うかも知れない。ウエルズとモームのエピソードじゃなかったかも。でもやっぱりウエルズとモームの話だという気がする。間違いないような‥。


 サマセットモームは確かウエルズと同時期のイギリスの文学作家で、代表作に「月と六ペンス」があり、この作品は、40歳半ばくらいの中年になってから地位も富みも家庭も全て投げ捨てて、単身タヒチ島に渡り画家となったゴーギャンの伝記だったと思う。僕は20歳の頃、この小説を読んでます。細部はもう忘れたが、けっこう面白かったと記憶している、画家ポールゴーギャンのモデル小説です。読みやすくて面白かったですよ。ったって、二十数年前の記憶ですが。H・G・ウエルズはもう何てったって、世界SFの開祖と呼んでいい人です。ただウエルズは確か経済学者だったと思う。手元に資料がないからはっきりしないけど、そうだったと思う。多才なイギリス人で、やはりこの時代の天才ですよね。でも、ハゲでデブの中年でモテモテだったんですね、羨ましいな。このフェロモンのエピソードはコナンドイルじゃないよなあ、やっぱウエルズだよなあ。同じイギリスの作家であるドイルは同じ頃じゃないよなあ、もうちょっと後かなあ。作家ドイルの作品にも有名な「ロストワールド」というSFがあります。


 映画「宇宙戦争」の方の時代設定はどうなっているのだろう?見てみたい特撮SF映画ではあります。

 今年の女子バレーは強いですねえ。昨年のアテネ五輪メンバーからだいぶ変わってるみたい。残ってる人達も居ますが、昨年目玉のメグカナコンビとか居ない。長身の、登場当時は18歳だったか19歳だったかのアイドルコンビ。特に栗原恵は大きいが可愛いルックスで、人気があった。今回では、遅咲きの新鋭、菅山かおる。新鋭って、TVに出るのが初めてぽいだけで、26歳、キャリアはあるんだろうけど、色白美形で今回の目玉アイドルですね。ワールドグランプリがフジテレビ独占放送でアジアラウンドが続いていますが、一昨年や去年よりも何かぐんと強くなってるみたい、柳本ジャパン。大幅メンバーチェンジで活性化したか。菅山かおるさんて身長が169センチなのに活躍してますねえ、攻守に輝くかおる姫。諸外国チームに比べて身長差がもろある背の低いチームながら大躍進中です。がんばれ!にっぽん。

 また、話が唐突に変わりますが、この間、新聞に「匠の流失」とかいうような題の記事が載っていましたが、現在の日本にとっての脅威、隣の大国、中国関連の記事ですけど、日本が世界に誇る技術、それは町工場の熟練工の技術ですが、今のI T関連の電子機器、パソコンやケイタイ等の内部に使われている部品の一部に、日本の町工場でしか作れないものが使われている。極小の金型等ですが、欧米の最新の電子機器もこの日本の町工場の技術が無ければ出来上がらない。そんな大切な素晴らしいものが日本の中小企業の町工場から世界に送り出されている。熟練工の腕、ですね。日本の大企業は上から順番に請け負う下の企業の費用を買い叩く。末端にある中小企業の町工場の人達も金銭的に決してラクではない。今、日の出の勢いで躍進する大国、中国も電子機器に力を入れていますが、この製品内部のごく一部の部品を作る、その技術が自国にはない。日本の町工場の作る力に頼らざるを得ないのですね。だからこの中国の企業が日本の熟練工のスカウトに乗り出している。日本の町工場で働く、暮らし向きは決してラクな訳ではない熟練工の人達に、年収数千万の中国行きの誘いが掛かる。当然、その誘いに乗る、日本の熟練工の人達も多い。つまり、匠の流失ですね。で、この中国に渡った匠の人達はどうなるか、といいますと、何年か働いてその内、現地の中国人にその技術を持つ者が育ったら、もう放り出されてしまう。中国が自分とこのウチワで調達出来るようになればもう日本人になんか頼らなくていい。


 70年代とか80年代とかに、日本の頭脳の流失と、よく言われましたが、これは目先の事にしか金を出さない日本の学術研究や企業の体質からですが、研究費用が出ない日本にあいそをつかす、というより、自分の研究等を続ける為にはやむをえず、欧米に渡る日本の優秀な頭脳が多かった、という事なのですが、この匠の流失も、隣の、あらゆる意味において脅威となりうる大国、中国に日本独自の技術が流れて行き、しかもワザは盗まれて行く。これは僕は何だかとても由々しき問題に取れてしまうんですけど。韓国の企業等も、この匠の技術を狙っているそうなのですけど。

 日本人て、古来器用ですからねえ。お城を作った、昔からの大工さんの建築技術に見るように。同じ日本人の僕は残念な事に、その遺伝子を持っていないようで、不器用そのものですけど。日本人のそういった器用さが築き上げてきた独自の技術の伝統って残していって欲しいものですね。日本人独自の、器用さ繊細さていねいさ我慢強さという、性格が作り上げた、日本人職人達の持つ伝統。その伝統が残す、超繊細な、モノ。熟練工の作る金型等の部品も、勿論その伝統の成せるワザのひとつですから。それにしても僕などの素人がこう見るのも何ですが、何か中国って不気味ですね。ちょっと怖い気がするくらい。中国の弾道弾のいくつかは、やはり日本の方に向けてあるんだろうしなあ。

 と、いう事で漫画です。ってここから何を持ってくりゃあいいんだ?いったい何につないだらいいのか。う~ん、そうですね、このだらだら文章群の文頭、「宇宙戦争」から始まり、原作者ウエルズのこと書いて、それからちょこっとコナンドイルの事に触れましたが、ドイルが出たので、ドイルという名前の登場人物が出る、格闘漫画「バキ」。これにします。この漫画に出て来るドイルという人のフルネームは解りませんが、イギリス人で最凶死刑囚です。このドイルは凶悪殺人鬼で、大量に人を殺していて、正に電気椅子で死刑にされた筈のところ生きていて、死刑執行場から逃げ出して、日本に来て、他の世界各地からの逃亡最凶死刑囚達と共に、主人公バキ等、真の格闘技の世界最高峰アスリートメンバー達と死闘を繰り広げる。まあ、こういうお話の中の敵役の一人、ドイル。

 元々、「グラップラーバキ」として、少年漫画週刊誌「少年チャンピオン」に長く連載され続けている格闘漫画で、第二部からは「バキ」のみのタイトルで、今度は敵を世界の凶悪殺人鬼に移し変えてお話が進行してきました。今はまたお話は武道家や格闘技者同志の超人的技の応酬のしのぎ合い、優劣着け合いに戻りましたけど。「グラップラーバキ」でコミックス44巻だったっけか?もっとか。「バキ」でももうコミックス30巻は行ったか?まだか。もう大長編ですね。多分、漫画史では格闘技漫画史に残る大作でしょうね。もっとも少年向け娯楽で、もう話といったら、唯戦いだけ、みたいなものですけど。大袈裟に誇張された超人的格闘技者や武道家が超人的ワザを使って、相手を入れ替えながら延々、たいてい無手どうしの戦いがひたすら続く。娯楽誇張格闘技漫画にして、これもひとつのヒーロー漫画ですね。

  

 「グラップラーバキ」の頃は、少年チャンピオンの看板を背負って大人気作品でしたが、あまりに大長編なために、その作品世界がマンネリになって来てますね。これは、もうずっと、いろいろな武道武術や格闘技の世界中の一番の猛者達の、各々の誇張された技術を見せながら進む、トーナメントが延々続いている世界です。作者、板橋けいすけさんの、あらゆる武道武術、格闘技に関する知識が生きる、娯楽格闘漫画ですね。少年漫画なので、格闘トーナメント以外のエピソードは極力省かれております。ほんのちょこっとだけ、主人公バキの恋愛が話の中に入っている。また、主人公バキが死を賭してでも延々格闘をやり続ける理由が、超人怪物である父親との確執の為であり、地上最強の生物である父親を倒す、というのが延々続くトーナメントの果てにある、ひとつのテーマですね。


 
 まあ、馬鹿馬鹿しいといったらそうですけど、少年向けの娯楽だし、よく考えたらゲーム的世界ですね。トーナメント漫画だから、非常にゲーム的な進行の漫画。今の少年物にはこういうゲーム性が受けやすいのかも。僕は格闘ゲームも滅多にはしませんが、この漫画はけっこう好きでずっと読んでます。単純な作品世界ですけどけっこう熱いですからね、面白く読んでます。最近はやっぱちょっとマンネリかなあ。

※(2011-2/23)

 引用『----(前略)古本屋でマンガ『バキ』を買った。地下闘技場戦士が五人の死刑囚と闘う話の箇所を選んで買った。自分も捕まったら死刑囚になる。強くならないといけない。強い死刑囚を見て、自分を励ますためだった。(p94)』

 07年の、英国人英語教師・リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人、市橋達也が裁判前に拘置所内で書き綴った、本人の2年7ヶ月の逃亡手記が2011年1月、刊行発売され、その本の中の一箇所に、上に記した文章があった。

◆(2005-07/04)「グラップラー刃牙 -バキ- 」
◆(2007-07/28)漫画・・ 「疵面 -スカーフェイス-」 

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