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●漫画・・ 「ナショナルキッド」

Photo  松下電器産業といえば日本人なら知らない人は誰も居ないという、言わずと知れたナショナルですが、その松下電器産業=ナショナルが、企業名をPanasonic(パナソニック)に統一するという。これからの国際企業競争を戦い抜いて行くにあたって、松下=ナショナルは、国外国内を問わず、Panasonicになってしまうんだそうです。アメリカではナショナルは使えないですしね。そもそもパナソニックの名前を考案した理由が、60年代初め、松下電器がアメリカに輸出する時に、アメリカから「ナショナル」の名前を断られたから、仕方なく別名をつけて輸出した訳で、その時の新たな名前がPanasonicなんですね(正確には、1955年に海外輸出用スピーカーに初めてPanasonic名を使用。アメリカ向けには61年から輸出開始。アメリカではNationalが既に登録商標されており、意味が国家主義と取られることを懸念した為。Pan=汎プラスSonic=音響の造語)。経営の神様、日本経済史の歴史的カリスマ、故・松下幸之助氏が1918年に設立・創業した松下電器具製作所→松下電器産業は、創業90年目の節目の08年10月に、松下の名前を捨てる。松下幸之助が考案して付けた企業ブランド名、ナショナルも捨てる。時代は変わる。そもそも、Panasonicは松下のグローバルブランドネームだったから、統一の機会を見ていたのかも知れない。

Photo_2  ナショナルと聞いて、僕が真っ先に思い浮かべるのは、長らく松下電器がスポンサーをやっている、国民的長寿番組「水戸黄門」ではなくて、僕が幼児期にものごころつくかつかないかで、一番古く記憶にあるTVドラマ、「ナショナルキッド」です。TV放送黎明期の国産ヒーローもの第1号は川内康範さんの「月光仮面」ですが、TVでのSFものとしてのヒーローもの第1号は「ナショナルキッド」でした。主人公の超人ヒーロー、ナショナルキッドはアンドロメダから来た宇宙人で、戦う敵も金星人や海底人、地底人たちです。UFO(円盤)や宇宙怪獣も登場します。勿論、タイトルの通り、ナショナル(松下電器産業)がスポンサーです。ヒーロー、ナショナルキッドの必殺武器のエロルヤ光線銃とは、ナショナルの拳銃型の懐中電灯でした。僕は、このナショナルキッドの光線銃の懐中電灯を、子供の頃、親戚の家がナショナル家電の専門取り扱い販売店で、そこで、もう古くて傷んでテープで補強したものを扱っていました。単1電池2個入れるものでけっこう重かったのを憶えています。(余談ではありますが、ドラマ中、ナショナルキッド自身が、自分は3万光年離れたアンドロメダからやって来た、と正体を明かしますが、実際のアンドロメダ星雲は地球から230万光年も離れた別銀河のことです。)

Photo  「ナショナルキッド」のオープニングでは、タイトルバックで飛行するキッドの後ろに、ビルの上の大きなナショナルロゴの電光看板が見えます。ナショナルキッドのタイトルロゴ文字も松下電器のナショナルそのものです。もう、あの時代から、「♪あかるーいなしょなーる、らじおてれび、なーんでもなしょーなあーるう‥」という、おなじみのナショナルスポンサー番組の冠に付く宣伝歌もあったのですが、子供向けヒーロー番組、「ナショナルキッド」には、あの歌はありませんでした。昔は大企業は、一つのTV番組を一企業単独でスポンサーをやってましたが、今はゴールデン枠も全部、一つの番組に幾つもの企業のCMが入ってますよね。「水戸黄門」というのは、まだ「ナショナル劇場」として、松下が単独でスポンサーやってんのかな?そうなら、今時、本当に珍しいですよね。でもナショナルも08年10月からはなくなり、Panasonicで統一される。「水戸黄門」もパナソニック劇場にはしないだろうなあ‥。今は昔懐かしい「ナショナルキッド」の映像を、断片的ですが、You Tubeで見れる。嬉しい限りです。本当に懐かしい。断片的に憶えているシーンやバックの音楽。やはり記憶とは少しづつ違っている。ちなみに、You Tubeで見れる映像の中には、ブラジルで放送された断片動画も多い。これは面白いことに、説明文や吹き替えがポルトガル語ですね。ナショナルキッドを、アクセントをつけてナショナルキディーと呼んでいるのが印象的。こんな古いフィルムを、ブラジルでいったい、いつ頃放映したんだろう?「ナショナルキッド」というヒーロードラマは、僕の最幼少時の記憶に残るTV番組です。ちょっとね、設定がはっきりしないんですが、ナショナルキッドの地球での仮の人間としての姿は、実験室を持つ科学者でありながら孤児施設の先生の旗龍作で、孤児施設の先生になるのかな、子供たちの面倒を見る若いお姉さんの小畑尚子が、あの、後の大女優、太地喜和子のデビュー当時のハイティーンの頃(高2だったそうです)。勿論、「ナショナルキッド」の孤児院のお姉さん役が、太地喜和子の若い頃だとは、僕は、大人になってから知るんだけど。

Photo_3  あの時代、僕の幼少期、TV黎明期の実写ヒーローものはたくさんあったけれど、ヒーローもの大好き子供だった僕は、「月光仮面」「七色仮面」「アラーの使者」「まぼろし探偵」「変幻三日月丸」「鉄人28号」‥といくつもの、面白かった昭和30年代の子供向け番組の、ヒーローものの断片シーンを記憶しているけれど、やはり、あの頃、ワクワクして、いてもたってもいられないくらいの踊るよーな気分で楽しみにして見てた、一番印象に残る、正義の味方ヒーロー番組は、「ナショナルキッド」ですね。コスチュームも大好きだった。あの頃の超人ヒーローの中では一番好きだった。あの当時、敵が人間のギャング団ではなくて、宇宙人だったり、海底人だったり、空飛ぶ円盤や巨大魚型潜水艦や光線銃が出て来るのが画期的でしたよねえ。「ナショナルキッド」のTVドラマ初放映は、1960年8月から61年4月までですね。その後、何度も再放送されている。僕は多分、この再放送で記憶に焼き付けたんじゃないかな。時代は、TVでモノクロアニメが放送され始める、3年くらい前になるのかな。「ナショナルキッド」の第1部は「インカ族の来襲」編なんですけど、僕はこのシリーズが一番印象に残ってるんですけど、子供の時からずうーっと疑問に思っていたのは、インカ族って、インカ金星人というんですよ。円盤に乗って宇宙から襲来する金星人が、どうしてインカ族なんて、地球人の古代民族の一族なんだろうか?って。そうしたら最近、何処かのサイトを覗いていて知りました。3000年前に地球から金星に移住したインカ族、ということなんですね。成程。あの、戦後15年くらいしか経っていない時代に、すごい設定のドラマだ。う~む、SF。第2部「海底魔王ネルコン」編では、真っ黒い巨大アンコウ型で、大きな目玉が異様に光り、大きく広い口が出入り口の不気味な、海底人の潜水艦だけが特に印象に残っています。第3部の地底人編はあんまり記憶がない方で、山の斜面の地底人の要塞への入り口から円盤が出入りするシーンだけしか憶えていません。第4部があったそうですが、これは僕の育った地方で放送されたのかどうかと疑う程、全くといっていい程、記憶にありません。でも多分、全編、放送されたのでしょう。

Photo_4  漫画版の「ナショナルキッド」は、1960年の講談社の月刊少年漫画誌「ぼくら」7月号から連載が開始されました。TV放映の始まりは同年8月からです。作画は一峰大二さんです。この当時のヒーロー活劇漫画は絵柄も単純ですが、ストーリーも単純なものです。だいたい、この当時の、こういうTV映画のコミカライズ作品は、TVの放送ストーリーを単純に追った漫画ばかりです。漫画版「ナショナルキッド」も、「インカ族襲来の巻」「海底魔王ネルコンの巻」「地底人の巻」と、TV放映のストーリーと同じ話で、TVを追っていますが、61年4月でTV放送分が終了しても、漫画作品の人気があったので、漫画作者の一峰大二さんオリジナルのストーリーで、「昆虫博士の巻」「ターザン博士の巻」が続けて連載がされています。漫画版「ナショナルキッド」の単行本は、「インカ族襲来」「海底魔王ネルコン」の2話だけが、3巻にまとめられて刊行されました。後に大人になった僕は復刻コミックス版で、この分の1巻だけを読んでいます。多分、70年代末頃ですね。「ぼくら」連載リアルタイムでは、僕は幼過ぎて、読んだことはありません。そういえば、僕が小1の終わりか小2頃、TV放映の「七色仮面」の再放送を見て、番組開始のタイトルバックに「ぼくら連載」とあったので、慌てて本屋さんに走り、月刊誌「ぼくら」を買って来たのですが、「七色仮面」が掲載されてはいなくて(当たり前ですが)、当時、落胆したことを思い出しました。「七色仮面」も作画が一峰大二さんですが、月刊誌「ぼくら」連載は「ナショナルキッド」の前作品で、連載期間は1959年から60年です。初回TV放映も59年6月から60年6月までとなっています。僕が「七色仮面」の再放送を見ていたのは、初放映から4年後なんですね。

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