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「ザ・テラー ‐The FortuneTeller ‐」

   

 フジとTBSのゴールデンを取っている人気番組で、毎週2本のレギュラーを持つ、今や一方のカリスマ、超人気女性占い師、細木数子さんが、数々の有名タレント達を自分の占いの俎上に載せて一刀両断に斬り、今の女の子達若者を遠慮無く叱り飛ばす姿勢に、視聴者が痛快に思い、スター達の裏側の私生活の、覗き見趣味を満足させて、高視聴率を継続して取っているようですね。時に、傲慢不遜に見えるような事もありますが、それなりに知性も教養も持ち合わせておられるようで、卒が無く、人に付け込む隙を与えません。いつだかの番組のゲストの渡哲也さんの言葉の、「ちゃんと理論武装もしてらっしゃる」という細木さんに対する一感想にもあるように。今や一方のカリスマを担う勢いに、尊大な態度も伺えますが、もともと頭が良くしっかりしていてちゃんとしている方、なのでしょう。「私を誰だと思っているの。細木数子よ」のセリフに、今現在の時代のカリスマの自信が伺えますね。

 

 細木数子さんの占い方は六星占術といい、この六星占術を名乗っている占い師を僕は細木数子さん以外に聞いた事がありませんから、多分この六星占術とは細木さん自身のオリジナルの占術なのでしょう。いや、しかしすごいですね。自分で考案した占い方法なのですから。勿論、若い頃に昔からある世界のいろいろな占術を勉強されたのだと思います。そしてその古今東西の占いをベースに、自分で新しいオリジナルの占い方を作り上げたのでしょう。何という頭脳だろう、と驚きますね。太陽系惑星の名や十二支が出て来るところを見ると、やはり西洋占星術や四柱推命等を勉強されていて、その影響がかなりあるように伺えます。

 この細木数子さんの六星占術は、人間を誕生日から六つの惑星に振り分け、なおかつそれをプラスマイナスで分けています。そしてその各惑星の人達の運気を12年周期で読んで行っています。四柱推命では10年周期の運気の流れですが、細木さんの占術は12年周期。まあ、何でもだいたいそうでしょうが、良い時悪い時がかわるがわる訪れる、それがまあだいたい十年おきくらいの周期という事なんですね。昔、僕の読んだ本で誰か作家が書いていたのが、「人生、良いも悪いも50、50」という言葉がありますが、これは要約しますと、どんな人も誰も人生なんて良い事、悪い事が半々にあるものなんだ、今悪い事が続いていると言ったって、仕方ないんだ、だって人生は半分は悪いように出来てるんだもの、というものですけど、だからこの次には良い事が来るよ、と未来の希望が窺える仕組みになった格言めいた言葉なんですけど、僕はこの言葉が好きでずっと覚えてますが、まあ、だいたいの古今東西の占いもこういった運命の周期で、人の人生を語って行く仕組みになっていますね。特に細木さんの六星占術は人生を四季に喩え、冬の時季のいわゆる悪い時期があっても、通り越せば必ず春が来る、というように運命周期を読んで行きます。そしてこのいわゆる悪い時期、冬の時季の事を、「大殺界」と呼ぶんですね。


 この「大殺界」という真冬の時季はとにかく耐えなければならない。むやみに動いても徒労に終わる。厳しい風雪の中で、ただじっと我慢して待ちなさい、と教えていますね。そうすればやがて動ける時期が来る。そして運命が開けて来るチャンスが訪れて来ると。運命とは周期的なものなのだ、誰も良い時期、悪い時期があるものなのだから、その自分の運気の周期をよく見極めて行動しなさい、と言ってるんですね。まあ、僕達素人には運気の流れなんててんで解りませんが。

  この占いでは人は六つの星に分かれます。火、水、木、金、土と天王星、の人。僕は、これでは天王星人になります。天王星人は優柔不断ではっきりしなくて憎めない可愛げのある人。どちらかというとだらしがなく、快楽志向。大衆性を持っていて、大衆的な仕事で成功する。という事になっています。占い師細木さん自身は土星人で、なんだかこの星の人は厳しい人みたいですね。何かはっきりしている性格で現実的で強い。地に足着けて考え行動するとてもしっかりした人、という感じがする。土星人って天王星人の真逆に立つ人みたい。天王星人はおおらかな方で優しい。この天王星人というタイプが僕という性格に当たっているのかどうかよくは解りませんけど。金星人には金星人の周期、土星人には土星人の周期、僕の天王星人には天王星人の運命周期があるものなのです。だから僕にも12年に一度「大殺界」が来る。けれども僕はあんましこういうのを気に掛けていないので、いつ来て、いつ移り変わったのか、まるで知りません。だいたい僕に良い運命の時期なんて来てるのか?はっきり解りません。まあ、人は、自分は幸福そのものだ、と思いながら生きている人は少なくて、どちらかというと自分は不幸だと思いながら、日々けっこう安穏に暮らしている人の方が多いのではないでしょうか。だってちょっと考えて見ても、アジアアフリカや中南米の発展途上国の人達よりも、私達日本人はずうっと幸福でしょう?勿論、貧しい国で生きていても、自分の宗教を固く持っていて、精神的に充実していて、自分は幸せであるという人も大勢居るでしょうけど。日本人だって、昨年の自殺者は確か三万人以上居たのでしょう?先進国日本に生まれたからって、みんな幸せに生きているとは限らない。幸福感も人はそれぞれだという事でしょうが、未だに貧しさから人身売買が普通に行われている悲しい国だって、世界にはいっぱいある。やはり、今の日本人は日本という国に生まれたのは、基本的には幸せなんですよね。

 西洋占星術、四柱推命術、そしてこの六星占術のように、人の誕生日から人生を占っていく占い術は多いですね。また、手相、観相やカードで占うものもある。八卦や易というのもこういうものですね。六星占術は中国古来の四柱推命に似ていて、運命数表から自分の数字を探し出して誕生日と合わせて、自分が基本的に何星人かを割り出す。後は、火星人と出たら、十二支との関連等でいろいろと読んで行くみたいですね。ちなみに、火星人は「プライドの高いフィーリング人」、水星人は「クールな利己主義者」、木星人は「生真面目な努力家」、金星人は「せっかちな自由主義者」、土星人は「正義感あふれる頑固者」、そして我が天王星人は「優柔不断なロマンチスト」と、基本的な性格はなっているようです。何か天王星人だけ地に足着かずに浮ついて生きてるみたいで、白雪姫やシンデレラの世界で生きてるようで、何か馬鹿みたいに見えてしまい、嫌ですけども。あ、何星人と言ったって、宇宙人とは関係ありません。実際の太陽系には何々星人とかは居ません。太陽系での生命のある可能性は、地球以外では、火星かせいぜい土星の衛星タイタンくらいです。それも多分微生物。念のため。

 僕はだいたい昔から占いには興味はあったので、この細木数子さんの占い本も昔80年頃かに一冊だけ買い求めています。その頃から、多分、占い界では有名な方ではあったのでしょうけど、ここ数年の大メジャーぶり程の人気者ではありませんでした。知る人ぞ知る、の時期がだいぶ続いて、三年前くらいからのお笑いのウッチャンナンチャン司会の特番等でTVで活躍し始めて、昨年夏秋くらいからの大ブレイク。今やもう超人気タレントですね。もっとも、時に傲慢不遜ぽく見える態度には、この人の事を好きになれない視聴者もけっこう居るでしょうね。


 天王星人との相性で、恋愛や結婚運で一番良いのは、丑年生まれ、寅年生まれ、その次が申年未年となっています。こうやって相性は十二支との関係で見るみたい。でもまあ、どんな人間関係も運命の箱のシャッフルで、恋愛とかに限らず、どんな人とめぐり合うか解らないものだし、結婚生活とかだって最初良くても後は、忍耐忍耐また忍耐だっていうのもあるだろうし。西方向に凶の卦が出ても、どうしても行かなきゃならない時にはやはり行かねばならないし。人生、占いに翻弄されてもいけませんね。占いは遊び心でやる程度が一番ではないかという気がする。

  という事で今回は占いがテーマです。僕の大好きな占い師漫画があります。僕は全巻読んでいないので非常に残念なのですが、もう絶版状態で、多分文庫化再版もされないのでは。そのタイトルは「ザ・テラー」。作者は作画が村野守美さんで、原作が雁屋哲さん。86、87年頃にサンケイ出版からコミックスで出ていますが、連載が何という雑誌にされていたのかは知りません。月影仁という名の超能力者的な占い師が、悩める人達の人生模様を読み当て、また、その人の悩みの事柄の実際の現状に乗り出して行き、執事兼ボディーガードのような存在の相棒、松岡と共に悩みの元そのものの解決まで活躍する。占いプラスの人間模様サスペンスからの活劇もありで、なかなか読ませる、面白い作品でした。

  当時、このタイトルの「ザ・テラー」の意味がよく解らず、tellは言うだから、まあ言う人は人の運命を言う人とかで、tellerとはそういう意味合いからだろうと漠然と思っていました。英字の副題のFortuneTellerも、当時のヒット洋画「BackToTheFuture」からfutuerとfortuneは何だか似てるようだから、fortuneもまあ未来の事なんだろうくらいにいい加減に思っていました。そうしたら、この間英和辞典を開いたら、ずばりとFortunnTellerがあり、もうその二語続きそのもので、意味は占い師でした。副題の「TheFortuneTeller」とは、ずばり占い師の事だったのです。だから「ザ・テラー」とはミスター占い師みたいな意味合いのズバリタイトルですね。(単語fortuneの意味は運命とか運勢)。


 本当にこんな占い師が居たら、すごい!の一語に尽きる、もう超能力系占い師です。まるでヒーロー漫画です。当たり前、漫画なんだもの。この占いは、生年月日で占うものではありません。カード占いで人の過去未来を読む。確実に読んで当ててしまう。もう、超カッコイイです。いわゆる、タロットカード占いで、何十枚かの絵柄カードから五枚くらいを無作為に引いて、その数枚から過去現在未来を読み当てる。全部、当たっていて、困惑困窮する人達に、救いのアドバイスや実際に行動して手助けしてあげる。その行動面で力を発揮するのが、執事兼ボディーガード役の、ガタイの大きな屈強マン、松岡。超能力者的占い師月影の腕力面の右腕。後にこれに参加して来るヒロインが、月影が、相当な占い能力を持つと見た、美貌のやよいさん。やよいは自殺を月影に救われ、徐々に自分の能力やさだめに目覚めて行きます。まあ、この三人の活躍劇が各エピソードごとに短編連作形で続き、その中に、主人公月影がいかにして占い師となったのか、師ジョンシルバーとの出会いや関係等のエピソードを含みながら、物語が進んで行きます。

  タロットカードは普通一般にタロットと呼び、ここでもタロットと呼んでいますが、昔何かの本で、ヨーロッパでは本当はタロウカードと呼ぶのが正しい、というのを読んだ記憶がありますが、多分この占いは昔のヨーロッパのジプシー達の中で発展していった占いだろうと思います。でも、この占い方の、何十枚かの各絵柄のカードから無作為に抜いた五枚くらいの分カードから、占い相手の人生を読み解く、という事は常人には不可能なワザであると思います。この方法の占い師はやはり、霊感等の何らかの超能力的なものを持っていないと、人の人生をピタリ当てるなんて芸当は無理ですね。誕生日からの占い等は、詳しく書かれたマニュアル本があれば、誕生日から計算して本から読み出せば、ある程度の占いは誰でも出来る。そのまあ、こういったマニュアル本とかは、例えば四柱推命であれば中国4千年の歴史の中でのデータ収集から、確率として取捨選択されたものが残って、それを分類編集して行って、作り上げたものなのではないのでしょうか、とか思います。こういう完璧本があれば、誕生日の計算だけで、そこから出た記号だけでその本から読めばいいんですから、超能力的なワザはいらない。霊感なんか無くとも、普通人で占える。世の凡百の占い師とは、これでしょうね。だから最も重要なのは、積年のデータから確立計算され抽出されたこのような先人達の残してくれた、宝物の如きマニュアル本ですね。


 こう考えると、誰でも占い師になれそうで、はしょって言えば、占い師なんて接客業みたいなもの。占い相手の悩み等の話や態度から、いろいろと読んで行く力は必要ですけど、特に霊感なんて特異な力は無くとも出来る。

 
 僕は若い頃から占いには興味がありましたが、特にこの劇画「ザ・テラー」を読んで、占い師に憧れました。で、それまで四柱推命の本を一冊だけ買っていて、その他の西洋占星術の本とかと一緒に興味を持って蔵書していたのですが、漫画「ザ・テラー」の主人公のカッコ良さにしびれて、自分も占い師を目指して勉強してみるのもいいんじゃないか、とか思ったりして、タロット占いなんてちょっと出来そうにないから、昔から占いの帝王と呼ばれていると書かれている、四柱推命術を極めようと、それから何冊も四柱推命の本を買い求めては読んで行きました。けっこう難しくて、「ザ・テラー」の月影のように邸宅に住んで、そこに客を迎える占い師なんて、絶対になれっこなさそうだから、せめて60歳くらいになってから街角に座る辻占い師くらいにはなろう、なんてその頃は思っていました。


 四柱推命も計算がややこしいし、計算してもそこに出た沢山のものから運命や運勢を読んで行く事はとても難しい事です。それでも、何冊も読んだおかげで自分の命式は作り出せました。当たってるなあ、と思うものもあるけれど当たっていない事もある。その内、僕も四柱推命の事は忘れて行きました。

  
 四柱推命という占いは、甲乙丙丁…という十干と十二支から計算して、年月日時の四柱を割り出して、各柱に出た宿命星から意味を読んで行く占いです。この占いで一番重要なのがやはり十干ですね。四柱推命の一部を取って、十干だけで読む大雑把ですがコンパクトな占い方もあります。これは簡単ですが完璧な占いとは言えないでしょうね。ちなみに僕の日柱の十干は丁ですが、これだけで読むコンパクト版。四柱推命そのものは難しい。宿命星、吉凶星、十二運を割り出す。勿論マスターしてしまえば後は割りとラクに出来るものかも知れませんけど。でも、僕はとうとう、80年頃のTVで話題になった天沖殺と呼ばれるものは解らずじまいでした。これは空亡とも呼ばれるもので、多分、大殺界みたいな運の悪い時期のような意味のものと、思うのですが‥。今は僕も四柱推命もあんまし興味ないですねえ。ていうか、占いそのものに。


 劇画「ザ・テラー」の作画担当の村野守美さんは70年代後半頃現れた抒情漫画家ではないかな。何だかいつも、あすなひろしさんとか真崎守さんとかと混同しそうになる。あすなさんと同時期頃の漫画家で、真崎さんはもうちょっと早い。「漫画家残酷物語」や「柔道一直線」の永島慎二さんの絵柄にちょっと似ている。弟子すじか?村野さんの他の作品というと、僕には思い当たりません。ただ、優しい感じの抒情漫画を描いていたようなイメージはある。原作者、雁屋哲さんの方は、言わずと知れたあの国民的漫画「美味しんぼ」が代表作の、東大出身の劇画原作者ですね。
 村野守美さんの、この「ザ・テラー」は、僕は2巻4巻6巻しか持たない。いったい何巻まで続いたんだろ?全部読んでみたいな。

※(2013-11/13)お千代さん恐怖の黒歴史

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