くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「鬼神の岩戸」郷内心瞳

2018-08-21 05:26:04 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 なんとっ、「拝み屋怪談」が映像化だそうですよ!
 書店の新刊文庫コーナーで、郷内さんの本があったので手に取ったら、「怪談始末」の新装版でした。確かに、メディアファクトリー文庫見つけにくいもんね。
 主演のイケメン俳優さんの入った帯が、既刊に巻かれていました。
 ん? 
 カバー後ろの文庫紹介に、まだわたしの持っていない本が……。「鬼神の岩戸」? いつ出たのっ?
 と、思って探したのですが、近隣の本屋さんにはありませんでした。
 翌日、無事発見して買ったものの、旅行で怪談を読むのもなんなので、帰ってのお楽しみで。

 「鬼神の岩戸」は、郷内さんが本当は語るのをはばかりたい物語を披露している一冊だそうです。
 特に重要なモチーフは、タルパ。
 心の中で作り上げる親しい人。郷内さんにとっては桐島加奈江ですね。
 わたしは桐島加奈江の話が好きではないので、前作「来たるべき災禍」は読んでいないのです。(本は持ってます)
 加奈江を消してしまった後悔から飲んだくれる郷内さんが、ちょっとどうかなぁ、という感じ。ジェイソンのお面などは、ふざけすぎかなー。
 怪異を体験したいと考える井口の話を読んで、その怪談スポットはもしやあの場所?(涌谷から車で一時間ですよね) とか、考えてしまうわたし。
 ふと思ったのですが、ドラマのロケーションは宮城が使われているのでしょうか? 撮影するの手間がかかるかな。ただ、「花嫁の家」の舞台を考えると、震災被災地から遠すぎるとエンディングが決まらないと思うので。

 今回、最も怖いのは、「覗かなければ」でした。
 繰り返し見る夢に現れる女の、おぞましいスケッチが夫の引き出しに入っている。
 背景を考えるとたまらなく嫌です。
 それから、新興宗教に入って不幸になった事例が二つあったのも。
 今度は「千草」の続きになるようですが、郷内さんは自分主人公の長いシリーズを計画しているのかなと思いました。
 ただ、読者の中には短い怪談の集大成(「新耳袋」みたいな。怪談実話に多いスタイル)を読みたい人もいるでしょう。
 とりあえず、飲んだくれの場面は不要かと思います。
 
 この本の前に「逃がし屋トナカイ」を読んだのですが、引きこもりの子どもと両親の関係が余りにも似通っていて驚きました。
 新入社員としてなじめずに引きこもり、親には高圧的になってくる。そして、悲劇につながっていく。
 現代社会での自立、問題を抱えているなぁと思います。

「金曜日の本屋さん」名取佐和子

2018-08-20 05:25:25 | 文芸・エンターテイメント
 この本屋に行けば、自分の読みたい本が必ず見つかると言われる北関東の小さな駅ナカ書店金曜堂。
 大型チェーン店の社長である父親が入院しており、読みたいという本を探している「僕」(倉井史弥)。その本を差し入れても、今一つ反応がよくないことで悩んでいましたが……。
 金曜堂の店長南槇乃は、膨大な本の知識をもつ女性。同じエリアで喫茶を担当している栖川と、オーナーであるヤス。この三人は、近くにある高校で同級生だったといいます。
 彼らの会話や、喫茶コーナーに置かれた蔵書などから、もう一人、今はいない誰かが存在していたことを、アルバイトをはじめた倉井は感じるようになります。
 金曜堂の地下には、計画の後半で頓挫した地下鉄の駅があり、その構内を使って書庫があるのです。
 今では流通していない本もそこにはあります。
 倉井の父が読みたがっていた本などは、まさにこういう場所でないと見つかりませんよね。(「金魚屋古書店」みたい!)
 わたしだったら何がほしいかなー……と妄想してしまいます。(三浦哲郎「お袋の妙薬」でしょうか)

 文庫は四冊で完結します。昨年二冊読んで、三冊めをどこかに置いたまま中断していました。
 でも、四冊めを買ったことだし、ここは図書館で借りてでも読んでしまいたい。
 最近、名取さんの本を続けて読んだので、気持ちが抑えられません。

 槇乃の恋人だったジンの人生は、わたしも以前から報道について考えていたニュースを下敷きにしてあり、何度もうなずきながら読みました。
 作中にはたくさんの書名が登場し、本を愛する人にはたまらない構成です。その本、わたしも持ってますー! と叫びたくなる。
 名取さんの取り上げる本は、わたしの好きな傾向とは結構違います。例えば、三冊め。太宰、「ノルウェイの森」、茨木のり子、「ハルさん」。
 食わず嫌いで村上春樹をほとんど読んでいないわたしですが、この本を取り上げた「書店の森」が胸に迫りました。
 倉井の父の店で働く二茅さんの思い出話です。彼女の実家の書店に、どうしても「ノルウェイの森」の初版がほしいと現れた男性がいました。
 ベストセラーですから、店頭にはあるけれど、初版ではない。この時期に見つかるはずがないと、その男性も思っていたのでしょう。
 でも、そこに、お父さんが本を持ってきた。「ノルウェイの森」初版……。
 もう、じわっときてしまいます。

 さて、本日本棚を整理していましたところ、「金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス」がありました。
 ……ん?
 わたしの手元には、読んだばかりのその本(四冊め)が、あるのです。
 三冊めを買ったつもりで、四冊めを二冊買っていたようです……。なんというオチ……。

 あと、「逃がし屋トナカイ」(実業之日本社文庫)も買いましたよー。
 ハードボイルドでびっくりしました。
 子どもの頃特定のコロニーで育ったために「常識」を知らない娘に、つらいものを感じます。

「学校図書館で役立つレファレンス・テクニック」

2018-08-19 07:21:16 | 総記・図書館学
 少年写真新聞社の、シリーズ学校図書館。
 「学校図書館で役立つレファレンス・テクニック 調べる面白さ・楽しさを伝えるために」。著者の齊藤誠一さんは、公民館勤務から千葉経済大学に移られて司書課程を担当されているそうです。
 レファレンスは、普段から棚をどのくらい見ているか、調査依頼からどんな分野(NDC)を思い浮かべることができるか。
 本を差し出すよりも、一緒に調べ方を教えてその人に活用できる力をつけるようにするというのは、大切ですよね。
 しっかりレポートとして記録を残すことも大事だと考えさせられました。いざ自分の事例を思い出そうとしても、なんだか曖昧になってしまうのですよね。
 「三尺のヴィーナス」には、笑っちゃいました。

「五日市憲法」

2018-08-18 04:51:39 | 歴史・地理・伝記
 栗原市とあきる野市の中学生は、五日市憲法草案の千葉卓三郎の縁で交流しています。夏休みに隔年で行ったり来たりするのですが、それにちなんで「五日市憲法」(岩波新書)を読みました。
 しかも、ずっと読んでみたかった新井勝紘先生の著作!(これが新刊とは意外でした)
 深沢家の閉ざされた蔵から見つかった五日市憲法。それまでのテーマを捨てて卒論に書くように教授(色川武大)にすすめられて、他の憲法草案と比較するなどの作業を行います。
 その中で、草案を書いたと思われる「陸陽仙台 千葉卓三郎」とは何者なのかという謎を解きあかしていく部分がすごくおもしろい。
 わたしにとっては地元のことなので、イメージしやすかったです。
 中でも、新井先生が卓三郎の履歴書を裏付けていくのがおもしろくて。
 彼は大槻磐渓、石川櫻所や鍋島一郎など次々に師についていますし、宗教遍歴もあります。
 ハリストス正教会で卓三郎の伝導の様子をつかむ辺り、特にすごい。自宅の玉串や位牌をまとめて棄て、僧侶や神主に失礼だったので投獄されるんですが、同房の男に伝導して、死刑直前には自ら洗礼を行います。
 そのくらい熱心だったのに、数年後にはあっさり信者をやめてしまう。
 新井先生は卓三郎の自由な気風を肯定的に書いてくださいますが、同棲していた女から姿を隠していたこともあり、な、なんか感情の起伏が激しいタイプ?
 そういえば、ハリストス正教会、金成にあります! ニコライが最初に洗礼を授けたのが、金成の酒井篤礼なんだそうです。
 

「後宮の烏」白川紺子

2018-08-17 05:57:37 | YA・児童書
 オリエンタルファンタジーが好きです。
 白川紺子「後宮の烏」(集英社オレンジ文庫)、すごく好みでした。
 後宮の奥深く、夜明宮に住む「烏妃」。妃でありながら夜伽をしない巫女のような妃です。
 皇帝の高峻は、烏妃のもとを訪ねて翡翠の耳飾りを落とした人物を知りたいと語ります。
 このことを皮切りに、高峻と烏妃の寿雪は後宮に現れる幽鬼の事件を調べることになります。
 鴛鴦妃の花娘がつけている花笛。悲遇のうちに亡くなった雲雀公女、柳絮の季節にのみ現れる幽霊、前王室のしがらみなどもありながら、寿雪は人々の愁いを解いていきます。
 烏妃が望めば、全てを得られる。その言葉の意味は?
 烏漣娘娘とか銀髪の一族とか、オリジナルの世界が存在感をもって構築されていて、すごくよかった。
 このまま完結していいような、続きがもっと読みたいような、そんな物語です。

「探偵ファミリーズ」天祢涼

2018-08-16 05:58:45 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 これは……っ!
 遠藤淑子さんの絵で漫画が浮かぶんですけど!
 天祢涼「探偵ファミリーズ」(実業之日本社文庫)。シェアハウスに住むことになった元人気子役の五月女リオ。大家の「大家さん」から、ときにはレンタル家族の仕事をしてほしいと頼まれ、格安家賃と彼の料理につられて引き受けます。
 あるときは、人気漫画家「漫月先生」の妹役。あるときは、再婚相手の家族に慣れるために美少女(?)の姉役。あるときは、外交官の娘役。たまには男子の役までやってしまいます。
 当然、スムーズにいくわけはなく……。
 依頼人がその後どんどんシェアハウスに住み着き、擬似家族みたいになっていくのがおもしろい。
 個人的には漫月先生が好きです。

「ツバキ文具店」小川糸

2018-08-15 04:57:57 | 文芸・エンターテイメント
 鎌倉に行くと決めてから、ご当地ものの本を探してみました。
 「ビブリア古書店」とか「とめはねっ!」とか「海街diary」とかは既読なので、ネットで検索。トップに出ていたのが「ツバキ文具店」(幻冬舎)だったのでした。 
 うーむ……、わたし、小川糸は敬遠してきたのですが……とりあえず、借りてきました。

 鎌倉に住む雨宮鳩子は、祖母の店「ツバキ文具店」を継ぎ、代書屋の仕事も復活させます。
 お見舞いの手紙、借金を断る、親しかった友人への絶縁状、年賀状。祖母が文通相手に出した手紙や、カフェの娘のQPちゃんの書く鏡文字の入る手紙。
 「三島由紀夫レター教室」を思い出しました。
 隣家のバーバラ婦人や小学校教師の帆子、絶縁状を依頼してきた男爵など、登場人物も個性的です。
 鎌倉の町の名刹や人気スポット、おいしいお店も描写されています。(文庫化と同時発売でガイドみたいな本も出ましたね)
 鎌倉駅のホームから、飲食店の窓も見えました。
 カレーは食べなかったなー。レンバイと、近くのあんパンも気になっていたんですが。
 おはらいさんがかかっているお家も見かけましたよ。
 鎌倉ハムのウインナーがすごいおいしいので、買ってくればよかった……。

「つくも神探偵はじめました」三萩せんや

2018-08-14 05:33:39 | YA・児童書
 鎌倉本三冊め。島森書店さんで購入しました。
 三萩せんや「鎌倉やおろず骨董店 つくも神探偵はじめました」(双葉文庫) 。
 付喪神の声を聞くことができる大学生の琴子 。小さい頃から、人 には見えないものと会話をしてきたので、周囲になじむのは苦手です。
 中学生のとき、道に迷って入った骨董店で、自分も付喪神と話せるという店主からもらったブローチについている「蛍」(外国のブローチですが、日本語でしゃべる)とはいつも一緒です。
 過保護過ぎる両親が海外に赴任することになり、一人暮らしをする決意をした琴子は、またあの骨董店を訪れますが、店主は亡くなっていて孫の星史郎と知り合います。
 また、自称名探偵「真暮警部」が登場し、琴子は否応なしに警察に協力することに……。
 付喪神たちが教えてくれるので、事件の真相は琴子にはすぐ分かります。でも、そうは言えないから四苦八苦。
 苦手だと思っていた真暮警部にも気に入られて、というスラプスティックなコメディなんですが。

 なんか、星史郎さんいなくともストーリーすすむような……。
 最初はなんてダメな男だろうと思っていた真暮が、なんか後半どんどん魅力的になるんですよ。わたしは竹内涼真をイメージして読んでいました……。
 さらに、カバー裏のあらすじ、蛍の名前がないのはなぜ? 「モルフォ蝶」「白猫」と書いてあるけど、掛軸のおじいさんの方が目立ってたような……。

 双葉文庫のキャラクターシリーズ、ご当地ものを狙ってるんですかね? 「京都寺町三条のホームズ」とか「出雲のあやかしホテル」とか。
 鶴岡八幡宮は行ったばかりなので臨場感がありました。小町通りはもっとゆっくり見たいものです。
 
 最終日は、横浜中華街とアニメイトに行きましたが……。
 わたしの買いたいと思うような本がまるでなくて愕然。とりあえず角川文庫のシリーズもの二冊購入。
 その後、そごうの紀伊国屋書店さんで、反動なのか「山口晃作品集」「カミングアウト」「流鏑馬ガール!」など買ってしまいました。地元でも売っているであろうに……。

「江ノ島ねこもり食堂」名取佐知子

2018-08-13 04:31:42 | YA・児童書
 江ノ島では1dayパスが便利です。エスカー、洞窟、植物園、灯台の入場料がまとめて千円。さらに、水族館と食事が割引になります。
 でも、知らなかったので、水族館は正規の料金で入りました。時間がなかったので、灯台も上らなかったけど、かなりお得なチケットです。

 江ノ島に行くんだから、と購入した「江ノ島ねこもり食堂」(ポプラ社)。ねこもりというのは、島で野良猫たちの面倒を見てきた女のこと。食堂「半分亭」を切り盛りしています。この佐宗家には、娘しか生まれず、代々島の猫に餌を与えたり出産を見守ったりしています。
 麻布は、両親・祖父と島に住んでいる高校生。しかし、借金のために夜逃げをすると告げられ……。
 物語は、佐宗家の女たち、すみゑ、筆、溶子、そして麻布の視点で歴史を振り返っていきます。
 なぜ松前の借金を肩代わりするのか、貝簪、茶色のトラ……。
 
 弁天橋を渡りながら、松前さん、この橋一人で毎朝掃除してたのかー、とか、山ふたつから洞窟までやたら階段上下するけど、麻布体力あるなーとか思ってました。
 わたし、階段上りきったあと、自分の体にこんなに水分があるんだと驚き、ペットボトルのお茶を飲み干し、ロンカフェで30分待ちしてやっと体力が回復したのですよー。
 フレンチトーストは、いちじくとクリームチーズ。
 その後、娘がどうしても小町通りの柴犬カフェに行きたいというので移動。四時過ぎなのに六時のチケット(これが最終)で、それまでコメダコーヒーで時間をつぶしました。
 犬は可愛かったけど……。
 その後、雪乃下 でローストビーフと鎌倉野菜のサラダピザを食べました。

「すずちゃんの鎌倉さんぽ」

2018-08-12 06:42:42 | コミック
 鎌倉に来ています!
 新幹線の中で読んでいたのが、「すずちゃんの鎌倉さんぽ」(小学舘)。
 吉田秋生監修&海街オクトパス。「海街diary」と「ラバーズキス」の舞台を歩こう、という主旨のガイド本です。
 鎌倉に行くと決めたところ、どうしても寺しか浮かばない。
 この本を読んでいると、まんがのこともいろいろ思い出して、また読みたくなりました。
 
 小町通りを歩いて、コクリコでクレープ。鶴岡八幡宮に参拝し、駅前の和彩八倉で食事しました。向かいの島森書店にて本を買ってから、鎌倉いとこできんつば購入。
 江ノ電で長谷に移動して大仏を見ました。胎内に入ると、どんな作りになっているかもイメージできておもしろいです。ふと触れた内部は結構熱い。
 一休みしてから長谷寺へ。
 弁天窟が興味深い! 目が慣れなくてよく見えないんですが、土壁に彫られた仏像とかかがんで入る通路とか、じっくり見たかった!(ちょっと具合よくなくて……)
 明日は江ノ島に行きます!