くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「子育てはもう卒業します」垣谷美雨

2014-01-24 21:19:37 | 文芸・エンターテイメント
 病院の待合室で二時間。読み終わってしまいましたよ、垣谷美雨「子育てはもう卒業します」(祥伝社)。
 大学の同級生だった淳子、紫、明美。就職に悩み、家庭生活に悩み、そして、子育てで悩む三人の姿を、様々な時代のカットバックによって綴ります。
 淳子は学生のとき、から付き合っていた男と結婚。息子を二人育てていますが、兄は期待よりも勉強ができない。弟はとことんマイペースで自分の興味を満たしてしまえば、飽きてすぐ他のことをはじめてしまう。多分、コミュニケーション不全なんでしょう。
 二人を大学附属の中学校に入れるために、淳子は家賃を浮かせようと夫の実家に同居します。休日ごとに押しかけてくる義両親や二人の義姉に辟易したからでもありますが。
 リフォームされた離れは、思ったよりもいい環境でしたが、義家族はさらにうるさく、近所の目があるからと格好にも口を出してくる。パートに出たいといえば反対され、PTAでは同居は下町ママより格下と判断され。そんな中で奮闘していく姿が、非常に共感できるのです。
 紫はフランス語教室で講師をしていた外国人と結婚したため、実家から勘当されています。娘は幼いころから芸能界で活躍し、そのおかげで一等地に家を建てられるまでに。しかし、マンガを読みフィギュアを集めるのを至上の喜びとする夫が不甲斐なく、毎日ぴりぴりしています。
 明美は一人娘が(自分のように)就職で困らないようにと、看護学校への進学をすすめますが、言うことを聞こうとしないのでがっかり。バブル崩壊直前に買ったマンションは使い勝手が悪いし……。
 彼女たちの学生時代も描かれますが、就職の条件は「実家」に住んでいること。地方から上京した女子は、選考対象ですらないことに愕然とします。
 その後、「23歳以下」なんてのもあったそうです。わたしは教員採用試験しか受けていないのですが、確かに似たような条件を聞いたことはありました。主人公たちとはだいたいひとまわり違う年代ですが、なんだか隔世の感がありますね。現実年齢を考えると、彼女たちは五十代でもう、子どもは二十代なんです。子どもたちがビデオを見て、親は自分たちの歳には子育てをしていたと気づく場面がありますが。
 今、晩婚化がすすんでいるんだなーと思いました。わたしの世代は三十くらいで結婚するのは遅い方でしたが、教え子たちは三十ではまだまだという人も結構いますよね。もちろん個人差はありますが。
 うちの子がこの作品の子どもたちと同じ歳になるとき、わたしは定年を迎えていますね。変な感じ。
 女性であることを会社で(社会で)強要されることに憤りとやるせなさを感じている人物も結構出てきました。
 わたしも学生時代の友人のことを、しみじみと考えてしまいました。懐かしい。ついこの間のような気がするのに。
 巻き戻せるなら、あの時代にはちょっと戻ってみたいようにも思います。
 でも、若い頃には「女子会」という言葉はなかったと思うんですが。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿