くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「わたしが正義について語るなら」やなせたかし

2014-01-28 20:40:12 | 哲学・人生相談
 2月のカレンダー、一日だけがどうしても埋まりません。
 それは、やなせたかしさんの誕生日。そこに、どうしてもこの本のことを入れたかった。でも、図書館ではずっと貸出中。
 一応、本校図書室、やなせさんの本はあります。作曲家の伝記シリーズ、「バッハ」を執筆されているのを発見しました。(このシリーズ、池田理代子や、松本零二の本もあります)
 でも、これは別の日に紹介してしまった。
 というより、わたしはこの本が読みたかったのです。「わたしが正義について語るなら」(ポプラ社)。最近新書化しましたが。
 正義って、なんでしょう。わたしの好きなザ・ブームに「信じてきたものは正しかったが、過ちとしてたものも正義だった」という歌詞の歌があって、折に触れて考えてしまうのです。
 立場が異なれば、ものの見方も違う。テレビのヒーローものは一元的だけど、それに留まるわけではないのですよね。
 やなせさんは、アンパンマンをどういう気持ちで描いてきたのか。それを知りたいと思ったのです。 
 やなせさんは、お母さんの再婚のために、叔父さん宅の養子になったそうです。先に養子にいった弟さんは、叔父さんたちと同じ部屋で寝るのに、自分は書生部屋で、というように、つらい思いもあったとか。
 宮城まり子や手塚治虫に声をかけられて、舞台や映画の仕事をするなど、様々な出会いによって仕事の幅が広がっていったのだそう。
 最初、「あんぱんまん」の絵本は、みすぼらしい主人公(マントはぼろぼろだし、なにしろ顔がないまま飛んでいきますからね)に非難の声があがったのですが、やがて子どもたちから圧倒的な人気で受け入れられるようになった。
 わたしや友人も、アニメになる前からもちろん知っていましたよ。
 アンパンマンだけでなく、敵対するキャラクターを、と考えてばいきんまんが登場するのですが、舞台で生の声を聞いたことにより、あの「はひふへほー」なども定着していったそうです。キャラクター作りには「風と共に去りぬ」が底辺にあったともおっしゃる。ちなみに、「フランケンシュタイン」の影響もあるようです。
 正義は、きれいごとだけではない。痛みが伴うものだ、という考えも、納得。おもしろく読みました。
 やなせさんは、舞台の仕事も好きだったそうで、岩手・宮城内陸地震のあとにこちらで公演もされました。抽選で夫だけ当たったため、わたしは行けませんでしたが、子どもたちは喜んでいましたよ。お土産にお菓子もいただきました。
 震災後は、「詩とメルヘン」を被災地の学校に寄贈もしていただきました。亡くなられて、残念です。合掌。