くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「失敗屋ファザー」樋口卓治

2014-01-18 10:56:52 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 父、細野一郎。職業は「失敗屋」。
 娘、清江。高校生。クラリネット奏者になりたいらしい。亡くなったお母さんの聡美は、やはりプロのクラリネット奏者でした。
 失敗屋って、なに? しかも冒頭はこうですよ。
「俺、お父さん検定を受けることにしたんだ」
 そんな検定あるの? でも、世の中には「お好み焼き検定」や「妖怪検定」「くらげ検定」もあるらしいし……。
 いつも見返しにはその本の帯を貼ってくれるI図書館なのに、今回はそれもなし。ただ新着図書コーナーに置いてあるだけなのです。
 樋口卓治「失敗屋ファザー」(講談社)。筆者はバラエティー番組中心に活動する放送作家の方のようです。
 そのためか、非常にテレビ的です。様々なエピソードを重ねて、一郎の能力を際だたせている。
 どんな能力か。そう、失敗の能力、なのです。
 パートさんと店長が合わない。有名パティシエの支店なのに、売れ行きはさっぱり。敏腕編集長の後任を決めてほしい。
 こんな依頼を鮮やかな失敗(!)で解決してしまうのです。
 もともと一郎は仕事上の失敗が多かったのですが、そのミスの穴を埋めようと社員たちが一致団結することに気づいた社長が、人材派遣の失敗屋を思いついたのだとか。
 敏腕編集長というのは、亡くなった妻の母親なんです。その頃、清江がクラリネットを学ぶために留学したいと言い出し、一緒に海外に行くつもりで仕事を引退するのかと気がかりになる一郎なのでした。
 そして、とうとう「お父さん検定」の当日。
 実はこの検定を思いついたのは……。
 まあ、序盤から想像はついていたので、筋としてはスタンダードですね。この作品がおもしろいのは、「豆知識」です。
 おいしいロールキャベツ。挽き肉だけでなく、煮込んだ肉も混ぜる。鶏がベースのトマトソースで、隠し味に味噌。
 内臓脂肪は夜食べるものが原因。空腹は、内臓脂肪が燃えている証拠。カラダが欲している栄養なら食べても大丈夫。
 こまめな水分補給で血液の流通を。炭水化物と油物を一緒にとると太る。食器洗いで落ちない油は、カラダにも蓄積しやすい。
 バターを、横に三等分、側面を三等分、縦に五等分すると十グラムずつに分けられる。
 インクに粘土が入ると、消しゴムで消せる。
 ホットプレートで餃子の皮を使ったピザが作れる。わたしはオーブントースターでやっていましたが、たしかにこの方が一気に作れますね。
 実はそのあとにもうひとつ、秘密が明らかになります。 
 読者としてはいいお父さんの側面しか見ていないので、それ以前がどうだったのか気になります。
 

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