くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ありがとうの詩」3・11大震災復興支援企画

2013-01-30 05:15:09 | 詩歌
 恩師菊田郁朗先生の作品が、曲をつけてCDに収録されているというので、なんとか聴いてみたいと思っていたのです。授業にいったら、A先生の本棚に「ありがとうの詩」が置いてあって、お願いして借りました。教え子のおばあさん(新聞店経営)からいただいたとのこと。そう、河北新報社刊なのです。募集作品の発表も紙上で読みました。菊田先生の詩が選ばれているのも、それで知っていたんです。
 わたしがCDを聞ける環境といえば、通勤の車の中しかないので、BGMのようにかけながら聴きました。菊田先生の「この風の向こうに」は、合唱曲のような一曲に仕上がっていて、繰り返し聴いて覚えています。
 雄勝中の太鼓演奏をはじめ、バラエティに富んだ楽曲が楽しい。八曲のあとに、今回の最優秀作品五編の朗読がついています。
 本当になんとなく、運転しながら聞いていたのです。
 その詩は、いただいたものへの感謝の言葉で綴られていました。
「花のなえありがとう/お母さんとはちに植えました/花が咲くのがたのしみです」
「やきそば作ってくれてありがとう/おいしくいっぱい食べました」
「応援の言葉ありがとう/心が元気になりました」
 そのあと、朗読の渡辺祥子さんの声が詰まります。「最後に/おじいちゃん見つけてくれてありがとう/さよならすることができました」
 耳に残った声に、なんともいえない哀切。このときは全くの誤読だったのですが、わたしには海辺を、孫を探して歩くおじいさんの姿が浮かんでいたんです。
 震災で身内を亡くした方の詩は多かったのですが、この一節が頭から離れず……そのあとすぐに冒頭の歌「ふるはな」が流れ出して、ぼろぼろ泣きながら運転しました。 
 「ありがとう」。作者は菊田心。菊田先生と同じ苗字なので耳に残ってたんですね。血縁ではないと思うんですが。
 職場に着いて、ふと新聞の地域別紙を見たら、「気仙沼の菊田心くん(六年生)」がアイデア貯金箱のコンクールで表彰されたことが載っていました。偶然なんですが、なんだか不思議ですね。
 家で「ありがとうの詩」を読み直したら、心くんはおじいさんを震災で亡くし、2ヶ月後に遠くから応援にきてくれた警察の方に遺体を見つけてもらったと書いてありました。胸の奥が痛みます。
 何度も書店で見かけてはいたのですが、この本、自分の本棚に置きたいと思いました。A先生、貸してくれてありがとう。


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