くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「謎のギャラリー」北村薫

2011-03-24 20:37:44 | 書評・ブックガイド
北村さんの本の中で、これがいちばん好きですね。たまに読み返したくなります。今回で四回めかな。
「謎のギャラリー」(新潮文庫)。名作博本館。
北村さんがどのような角度から作品を読み解くかが示されていて、心躍ります。
でも、不思議なことに、作品自体を読むよりも、北村さんの語りそのものの方がわくわくするんですよね。わたしがぽんとその本だけ預けられて、おもしろく感じられるかどうかはまた別問題といいますか。
アンソロジーにあたる「謎の部屋」「こわい部屋」「愛の部屋」も文庫を持ってはいるのですが……。
今回読み返してみて、わたしが翻訳の表現の違いに目を向けるのは、もしかしてこの本の影響なのかもと思いました。具体的に例をあげて紹介されるのはポオの作品と「大きな木」ですね。
チェーホフや阪田寛夫、怪談、リドルストーリー。北村さんの話題は豊富で、自由自在です。
後年、宮部さんがこの本を読み、どうして自分を対談相手に呼んでくれなかったのかと文句を言ったと聞きました。編集者との掛け合いの形式で描かれるこの本、実は北村さんが一人で書いている。架空対談ですね。
それを知ってからの読み直しなので、いろいろと楽屋裏を考えさせられました。
うーん、実際に読むとまた肩透かしを食うかも知れませんが、坂口安吾の「アンゴウ」とマーク・トウェイン「アダムとイヴの日記」大久保博訳を読みたいですね。
宮部さんとの共著「名短編」シリーズも、解説対談のところだけ集めて文庫にしてくれないかしら。

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