くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「たったひとつの『真実』なんてない」森達也

2015-02-24 20:40:45 | 社会科学・教育
 メディアの授業の前には関連書籍を読むことにしています。
 今年はこれ。森達也「たったひとつの『真実』なんてない メディアは何を伝えているのか?」(ちくまプリマー新書)。
 メディアは「事実と嘘の境界線の上にある」。そのリテラシーを身につけてほしいと語ります。森さんが若い人たちに向けて書き下ろした一冊。
 まずは、森さんが北朝鮮を訪れたときのこと。テレビが伝えるイメージと、実際に町を歩いて感じたことにはかなり差異がある。
 同じように、日中関係が悪化したとき、旅行中だった学生さんは、親から帰国するように言われたけれど、反日デモなんて見たことがなかったといいます。
 デモが行われたとき、近くを通りかかった人は、カメラを通した映像が自分の見た状況とかなり違っていたことに気づいたそうです。
 これはフレーミングのためですね。どういう場面をどう切り取るか。デモを冷めた目で見ている人の姿が映ったりしたら、また違う。
 「何かを撮る」のは、「何かを隠す」行為と同じだと森さんは言います。袴田事件、松本サリン事件などの冤罪を具体例としながら、メディアが伝えてきたことの間違いも紹介します。
 メディアが映し出すのは、現実の一部にすぎないと意識するだけでも、ものの見方は変わるはずです。
 わたしも、中学生たちにそれを知らせていくことが必要だと思っています。何もかもを鵜呑みにしていてはいけない。
 森さんはふとしたエッセイからもものの見方を考えさせてくれる方ですが、こういった若い人向けの本を皆さんに読んでいただきたいと思うわけです。
 実は途中までちょこちょこ読んで完読してない本も何冊かあるのです。読まないと、ね……。

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