くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「モンスターマザー」福田ますみ

2018-09-03 05:49:10 | 社会科学・教育
 福田ますみさんの本とあって、すごく読みたかったのです! 「モンスターマザー」(新潮社)。あの「でっちあげ」と装丁も似ている!
 副題「長野・丸子実業『いじめ自殺事件』教師たちの闘い」。
 丸子実業の事件と言われても、ぴんとこない人が多いのではないでしょうか。
 2005年12月、不登校の高一男子裕太くんが自殺しました。母親のさおりさんは、原因はいじめを容認したバレー部と、担任の心ない言葉、周囲が執拗に登校を促したこと、ひいては校長の責任だとして、メディアも巻き込み、学校関係者を訴えます。
 バレー部員たちや教師の家には連日の電話、ファクシミリ。しかも、聞くにたえない暴言ばかり。
 彼らは名誉毀損で母親を訴え、裕太くんの死の真実を知りたいと考えます。
 わたしが感激したのは、バレー部監督上野先生の奥さんの京子さんが証拠を集めようと奔走するところ。母親と同じ町内の出身なので、ママさんバレーチームなどに質問を重ねていくと、彼女の異常ともいえる行動や、前夫との離婚時の暴力と虚言がわかっていくのです。
 それにしても、この時期にネットで知り合った人と三度めの結婚をして、またすぐ離婚したというバイタリティー(?)には驚きます。
 弟のまなぶくんは、母親と兄の間に挟まれないような処世術だったのでしょうか。
 
 まんがですが、夾竹桃ジン「ちいさいひと 青葉児童相談所物語」(少年サンデーコミックス)も読んだので、裕太くんがもうじき保護されるはずだったのに自死の道を選んでしまったのは、悔やまれます。
(「ちいさいひと」は、東日本大震災の石巻を舞台にしたストーリーもありました)

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