くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「今日もいい天気」

2018-03-14 19:50:18 | コミック
 三冊めが出るとは!
 山本おさむ「今日もいい天気 原発訴訟編 コタと父ちゃん編」(双葉社)。 
 震災で福島を離れた山本さん夫妻は、再び被災地に戻ることにします。
 原発の裁判を取材するうちに、人々の苦悩に次々と出会います。
 蕎麦屋を営んだいた男性。社交ダンス教室を営むでいたご夫妻。酪農をされていた旦那さんと、看護師を奥さん。悩む子どもたち。
 彼らの思いをまんがという媒体で描く山本さんの情熱を感じました。
 さらに、愛犬コタが散歩中に足を引きずるようになる。専門医に見せるために埼玉まで連れていきますが、やがて……。
 犬好きには切ない展開でした。
 山本さんは、これが最終巻とおっしゃいますが、まだ読みたい!

 東日本大震災から七年。
 教科書に「いつものように新聞が届いた」という教材があるので、生徒に当時(小学二年生)の記憶を話してもらいました。
 校庭で家の人を待っていた。余震で家に入れず、車で夜明かしした。せっかく作ったプラモデルが全部壊れてしまった。家に発電機があって助かった。等々。
 石巻から転校してきた子は、川の水が溢れたと話していました。
 わたしが当時担任した生徒たちも、この春、大学卒業です。
 
 「はじまりのはる」(講談社)、福島在住の端野洋子さんのまんがです。
 農業科に通う純。同級生の玄太が一年留年していることから、ちょっとぎこちない接し方しかできません。
 二人で牛の出産に立ち合い、感激したのもつかの間、震災で生活が崩れていきます。
 餌を調達できない、放射能の営業がある、風評被害。
 そんな毎日で疲弊していく玄太に、なんとか手を差しのべたいと思った純に、教師たちは「本当に役に立ちたいの?」「解らないっていうのは戦えないことだし、簡単に恐怖に飲まれる」と語ります。
 二巻に登場する研一は、放射能の影響で家業の椎茸栽培が廃業に追い込まれたことから、逆手にとって放射能助教授きのこをつくる決意をします。
 福島に生きる彼らは、この事故のために人生まで変えられてしまう。
 震災前に描かれた「ミルクボーイ」という作品が収録されています。シリーズのプロトタイプ的作品ですが、このキャラクターが気に入って、設定を変えて描いたのだろうなと思います。
 七年は経ちましたが……復興したとは言えない現状です。新たな問題も出ているはずです。
 震災以前には戻れない。それなら、次の被害を食い止めるために考えていく必要があると思います。

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