くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「龍-RON-」二十七巻まで

2012-02-20 20:21:12 | コミック
二十七巻まで読みました。ただ、龍とていの再会を描いたと思われる二十五巻がない! 消化不良です。
ていと所帯をもつと決めた龍ですが、紆余曲折あってなかなかうまくいかないのです。大道芸をしたり砂金探しをしたり飛行機の会社に関わったり。
ていはていで人気女優さんになってしまう。そのなかでスキャンダラスなことを新聞に書き立てられたことが原因で、出演の機会が閉ざされることになります。
誰か一人だけを愛する訳ではなく、同じようにほかの人に心を引かれることもある。龍は幼なじみの小鈴、ていは映画関係者に慕わしい気持ちを抱く場面があるのですが、二人の心は深くつながっている感じがします。
それが顕著なのは、龍が記憶を失い、中国をさまようところでしょうか。混沌とした靄の向こうに、ていの姿が浮かぶことがある。このとき龍は自らを「ロン」と名乗り、中国語で話しています。なにしろ母親は中国人ですし外見的にも支障ないのでしょう。
それでも、ていの名や、必死に父に呼びかける声が耳に残っているのですね。
また、ていはニュース映画で龍の姿を見て、生きている希望をつなぎます。しかし、それは一方では苦しみでもある。彼がもう生存していないなら、自分も命を絶つことを選ぶのに、と独白する部分、とても胸が痛い。
鳳花の正体はある程度予想がついたのですが、その生い立ちはやはり酷でしたね。でも、わたしはツァオくんが好きなの……。
紅龍の組織は、非情なんだと感じます。それはこの二人だけではなく、紅子にしてもそう。
紅子と一磨との関係は、恋愛というより「同士」的な意味合いを強く感じます。一磨も紅子も、お互いの素性を知っていて隠していた。秘宝は公開されるべきでないという考えは、たしかにその通り。
さて、幾度も繰り返し描かれるていの演出力。映画監督として活動することになるのでせうか。わたしは演劇ものが好きなんですよね。ドラマに情熱を傾ける人々の姿が素敵です。
村上さん自身も、演出を大切にされているように思いました。ドラマチックなコマ割り。見開きで印象的なのは、ある公園での龍とていのすれ違い。鯉を見るていの側を、通り過ぎる龍。気配を感じて振り返るてい。すごいなあ。
残りの巻をどこで入手するべきなのか。古本屋のあてがない……。
記憶喪失の龍が、高級な家をあてがわれた場面も印象に残ります。連れの少年は気後れしてか床でしか眠れないのに、彼は非常に堂々としている。そういう生活が身についているように。
うーむ、一泊十二万円するロイヤルスイートの部屋を見学する機会があったのですが、そんな豪勢なところに泊まれるのは彼のようなブルジョアジーなのかしら。