くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「同級生」その3

2012-02-10 05:43:18 | ミステリ・サスペンス・ホラー
灰藤先生、そんなにひどい人なんでしょうか……。
後半に明かされる、御崎への態度やヒロ子にたいする行動、西原を陥れるための画策は、たしかに姑息です。
でも、地学の授業をしながら、彼が生徒に語る言葉(「灰藤節」と書かれています)は、特別げんなりするような内容ではないと感じるのは、わたしが教員だからでしょうか。きちんと授業の内容を理解するように聞け、と。
地学は選択ですよね。灰藤が嫌なら、生物なり化学なり物理をとればいいのでは。高三なら古典も必修ではないと思うんですが、御崎の教科も選んでいる。
受験に必要な科目選択とは思えません。古典をとるなら、文系かと思うけど、そういう人は生物・化学を選びそう。国立志望でしょうか。
ミステリに社会派的な真実を盛り込むことや、ヒロ子の献身に感激する人が多いでしょうし、読後感もいいと思います。
この作品、勧善懲悪なんですよね。西原にとって。
ただ、もっと大きな悪に、彼は迎合することになるのでしょう。社会派の側面を加えながら、結局ヒロ子の父親の会社には太刀打ちできない。
生徒指導と公害問題、どちらが糾弾されるべきかといわれれば、わたしは西原の選択は訝しいと感じるのですが。
ミステリなんだから謎の鮮やかさに着眼するべきだと感じる方も多いのでしょうが、わたしにはどうも違和感が残るのです。
もしも由希子が事故にあわなかったら、どうする気だったのでしょうね。