星空を見上げると、なぜか自分が帰っていく場所があるような気がして、無性に懐かしさがこみあげてくる。死ねば人間は宇宙の塵になるのだから、そう考えても不思議でも何でもない。人生たかだか数十年のサイクルで、人間は生まれ、そして死ぬのである。壮大な宇宙にとっては、ほんのささやかな出来事でしかない。この世での役を振り当てられて、必要がなくなると闇に没するはかない身としては、小惑星に自分の住む土地や、故郷の名前が付けられれば、顔見知りでもなった気がして、親近感がわいてくる。会津出身の渡部潤一国立天文台教授が実行委員長の「小惑星・彗星・流星2012」が、5月16日から20日まで新潟市で開催されるのに先立ち、新たに承認された惑星の名前を国際天文学連合が公表した。渡部教授らの尽力もあって、東日本大震災で被害を受けた県名や会津、中通り、浜通りなどの方部名が含まれている。「復興へのバックアップになれば」との思いが込められているのだという。哲学者の山崎正一氏が私に向かって、「星を好きになれば、星だって微笑んでくれるんだよ」と語ってくれたことがある。星がはるか彼方の遠い存在だと思っていると間違いで、こちらの気持次第では、優しい恋人にもなるのだ。小惑星とは岩石質の小天体を指すといわれるが、私たち福島県人も、うつむいてばかりいないで、星空を見上げて、自分たちのゆかりの土地の名前を持つ小惑星に、そっと語りかけるのはどうだろう。
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