黒人差別に抗議する暴動は分裂するアメリカを象徴している。エリック・ホッファーの皮肉な見方が的を射ているように思えてならない。「不正を正しても社会の協調度が増すわけではない。女性解放、人種間の平等、貧困に対する闘いは、さらなる国民の結束をもたらしはしなかった。それどころか、社会正義は不満を倍増させ、不和に油を注いだ。完全な自由のように、完全な正義も社会分裂の原因になるもかもしれない」(『安息日の前に』中本義彦訳)▼ホッファーがもっとも恐れるのは社会的連帯感の喪失である。その点を考慮するならば、「完全な正義」はセーブされねばならないのである。ホッファーが依拠するのは、教会や家族といった伝統的な権威の見直しである。それに取って代わるものを見い出せないでいる欧米社会を、「進歩の行進によって破壊された共同体のゴミ捨て場と化している」とまで書いたのだった▼そうした危機を克服した国家として、ホッファーは日本を高く評価した。「強固なアイデンティティと連帯感をもつ日本は、他国が経験した近代化に伴う社会分裂を回避し得た」との見方を示したのだ。欧米の悲劇は「社会分裂」によって引き起こされたものであり、彼らが学ぶべきは共同体を大切にし「中庸」に徹する日本人の生き方だというのである。
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ジジイだから、何かにつけて、昔を思い出す。戦後まもない頃、すき焼きをした。野兎の肉だった。骨まで出刃包丁の背でミンチにして食べた。精肉店からタダで分けてもらったハムのクズを炒めて食べていた時代もあった。今は、トレーに入った冷凍食品とはいえ、牛カルビ焼である。贅沢な時代になったものである。
鼻歌も出たのである。「俺ら岬の 灯台守は 妻と二人で 沖行く船の 無事を祈って 灯をかざす 灯をかざす 星を数えて 波の音きいて 共に過ごした 幾歳月の よろこび 悲しみ 目に浮かぶ 目に浮かぶ」(♪ 「喜びも悲しみも幾年月」)。
この曲が主題歌だった「喜びも悲しみも幾年月」という映画は、「海上保安庁灯台部の前身である通信省灯台局の『一灯台守』夫婦の手記をもとにして造られた物語で、映画の中では標識技手、有沢四郎(佐田啓二)と妻きよ子(高峰秀子)の演ずる灯台守夫婦が、岬屋島の存在を判断するのに灯台以外なにもなかった昭和初期~戦中の時代に、暗夜を航海する船舶の安全のため365日間休むことなく、人生の喜びと悲しみも犠牲にして只一筋の光に全てを捧げて全国各地の灯台の灯を守った、25年間にわたる感動の年代記」(新潟県・佐渡の旅行情報ブログ)を映画化したものだった。映画館は大入りで、立ち見だった記憶がある。
生きていくことの大変さ、人知れず社会を支えることの大切さをしみじみと(子供だったのに 笑)感じたのである。
海上保安庁といえば、世界がコロナ禍の最中にあるにもかかわらず(最中だから?)、中国公船の尖閣諸島領海侵入(最近は日本漁船に妨害行為をしているらしい)が継続し、日々対応に追われている。
海上保安庁ホームページには、「領海侵入事案が発生した際には、その都度現場において退去要求を行うとともに、外交ルートを通じて中国政府に対して直ちに厳重に抗議し、即時の退去及び再発防止を強く求めている。なお、2018年7月1日には、中国海警局が人民武装警察部隊に編入されており、こうした中国の動向も引き続き注視していく必要がある」とある。わたしたちも注視すべきである。