橋下徹大阪市長が石原慎太郎前東京都知事に向かって「都知事選で東国原英夫前宮崎県知事を支援したい」と語ったのが本当であれば、その一言で橋本神話は潰えたのではないか。テレビに出てくるだけで、有名人となって選挙に勝てる。青島幸男と横山ノックが東京都と大阪府の知事になった時代があった。テレビが面白がって宣伝したために、二人とも当選してしまったのだ。東国原が都知事になるというのは、それこそブラックユーモアではないか。日本維新の会の代表である橋下が、臆面もなくその言葉を吐いたとすれば、素人の極みではないだろうか。自民党の方がまだましである。戦後レジームを打倒するために、憲法を改正し、国家として身構えることを政策の目玉にしているからだ。「大いなる過度期の論理・行動する作家の思弁と責任」をテーマにした高橋和己との対談(『潮』昭和44年11月号)で三島由紀夫は「変革といった瞬間にすぐ偽善に陥る、モラルといった瞬間にすぐ偽善が押し寄せてくる、それはほんとに怖いよねえ」と語っていた。橋下はその怖さを知らないから、いい加減なことが言えるのだろう。ケンカの強さを自負しているが、政治はやくざと違って、相手を殴っていくらなのではなく、そこで命を捨てられるかどうかなのだ。維新回転の志士にその気概があったからこそ、草莽として朽ち果てることを厭わなかったのである。さらに、やっていることが攘夷ではなく新自由主義なのに、どうして維新なのだろう。きちんと説明してもらいたいものだ。
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しかし、安保闘争の失敗によって、その後の日本は自由と繁栄があった。