戦後73年が経過して、もはや戦争を知っている世代は一握りになってしまった。今の日本が根本から揺らいでいるのは、戦中派の多くがこの世を去ってしまったからだ。平和ボケして甘やかされた世代が世の中を牛耳っており、危機意識は微塵もない。唯一まともなのは、戦中派から見て孫の世代である▼戦争に出かけて生き残った者たちの多くは、幕末の志士であった高杉晋作の言葉を、肝に銘じていたのではないだろうか。「後れても後れてもまた君たちに誓ひしことをわれ忘れめや」。高杉自身が短い命であったにもかかわらず、品川御殿山のイギリス公使館焼き打ち、功山寺蹶起の先頭に立って戦い、先だった者たちの死を悼んだのである▼散華せし同胞の思いを背にして、戦後の日本は築かれたのだった。冷戦の時代においても、ソ連や中共に屈することがなかったのは、祖国を復興させ、自由と民主主義を守り抜く固い決意があった。憲法改正が実現できなかったのは、あの当時は戦勝国であるアメリカが許さなかったからである。死者の声を聞かないばかりか、それを無視する傾向すら一部にはある。我々が今あるのは、先人の労苦があってこそであり、それを私たちは思い起こすべきだろう。国を防衛する交戦権を容認することは、国家として最低限のことである。それすらも改正できないようでは、我が国の未来はありえない。それで本当によいと思っているのだろうか。
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