草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

我が母は日本の母!

2014年09月10日 | エッセイ

母は83歳まで生きてくれたわけですから、大往生の部類かも知れません。でも誰にとっても親は親です。それは僕にとっても同様です。30歳の時に夫を亡くした母は、女であると同時に男の役割も負わなくてはなりませんでした。当然の如く働いていましたが、食事の手を抜くことはありませんでした。不思議だったのは、母は子供たちの前で御飯を食べなかったことです。自分は残りものを後で整理していたのでしょう。裕福な家庭に生まれながら、予科練帰りの父と恋愛し、親の反対を押し切っての結婚でした。子供の頃に僕は目を怪我しましたが、それが痛恨事であったようです。さらに、僕の場合は何度となくデスペレートな気持ちになりました。それを乗り越えるにあたっても母の存在は大きいものがありました。極左にかぶれていた僕が、常識を重視する保守になったのも、母の血を引いていたために、最終的には憎悪の哲学とは無縁であったからです。昨日、母の亡骸は荼毘に付されました。しかし、僕は死者は生者とともにある、との土俗的信仰心を持つています。言葉では答えてくれなくても、母は僕と共にいてくれるのです。

   

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