ようやく日本を取り戻す動きが活発化してきているが、大事な物を忘れているような気がする。それは日本人の宗教的な心である。国家として身構えるのは、政治的な次元のレベルだけではないのだ。ロシア共産主義の圧政下で、ポーランド国民が耐えてきたのは、彼らのなかにカトリックの信仰があったからだ。ワレサに指導された国民が暴発することなく自由を取り戻せたのも、根強い信仰心があったためだ。葦津珍彦は『昭和史を生きてー神国の民の心』のなかでそのことを取り上げている。カトリックの神父たちは「諸君に必要なことは、第一に祈ることである。キリストの宗教と教会の教えた道徳とをいかなる苦難のときにも、決して節義を変えることなく、忠誠を守りつづけることである。そのとき、やがて神は、必ずやポーランドの民に、自由と独立とを授けたまうにちがいない。神と教会に忠誠であれ」と呼びかけたのである。葦津は日本人もそこから学ぶべきことを説いた。「もっとも必要にして大切なことは、国民の大多数をしめる土着大衆のなかに、いまもなお、脈々として生きつづけている『神国』の意識を浄め高めて、その意識との深い結びつきの上に、すべてを築き上げることである」。大東亜戦争の敗北の後は、日本人の信仰心に空洞になってしまった。とくに知識人はそれを奨励したのである。ようやく私たち土着大衆の決起によって状況は変わりつつあるが、もっとも大事なのは「神国」意識なのである。
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