山本太郎が参議院議員選挙の東京選挙区で当選した。中核派が機関紙「前進」で大々的に支持を表明したこともあって、東京都民の品性が疑われることになった。中核派の理論は、疎外からの解放を説く梅本克巳をベースにしていた。梅本は科学を掲げる客観主義を批判し、「歴史はそれが先行のものからでてくるものでありながら、しかも先行のものを超えるものを含むことによって成り立つ。歴史は無からの創造を前提とする」(『唯物論と主体性』)と主張したのである。「偶然を必然に転化する」ためには、人間の自由が大事であることを問題にしたのだ。それが1956年からの反スターリン主義の流れのなかで、一時的に脚光を浴びたのだった。しかし、70年安保騒動や内ゲバの抗争を経て、中核派は衰退の一途を辿ってきた。そこで活路を見い出そうとしたのが反原発であった。福島第一原発の事故のおかげで、福島市などでも一定の勢力を誇るようになった。おっちょこちょいの山本は、中核派を利用したつもりでいるのだろうが、彼らはそこまでお人好しではない。拠点校の法政大学では、まだまだ動員力がある。選挙戦の最終日に渋谷に集まった若者たちの多くは、中核派に指導されていたのである。そうでなくても、杉並区では区議会議員を連続当選させてきた実績がある。中核派は「偶然を必然に転化する」ために暴力革命を目指しており、山本は相手を見て付き合うべきだったのである。後でジタバタしても、それは許されないのだから。
←情緒的サヨクは極左の走狗と化すと思う方はクリックを