2021.11.12放送
世の光の時間です。いかがお過ごしですか? 山本陽一郎です。
イサクの妻リベカは双子を身ごもりました。お腹の中で激しくぶつかり合うようになり、やがて長男エサウのかかとを次男ヤコブが手でつかんで生まれてきました。大人になると、エサウは優れた狩人、野の人に。一方、弟のヤコブは穏やかな人で、天幕に住む羊飼いになりました。
興味深いことに、聖書は「イサクはエサウを愛していた。……しかし、リベカはヤコブを愛していた」と記すのです。この家庭の問題は親の偏った愛でした。それが後の兄弟の争いに絡んでいってしまうのです。
ある時、ヤコブが煮物を作っていると、猟で疲れたエサウが腹ぺこで帰ってきました。「どうか、その赤いのを、そこの赤いのを食べさせてくれ」ここまではどこでもありそうな会話です。でも、ここでヤコブが何と返事をしたか。「今すぐ私に、あなたの長子の権利を売ってください」と言ったのです。
「長子の権利」それは、長男が父の身分を継いで種族の代表となる様々な特権です。長男は、家族の中で祭司としての務めを受け継ぎ、財産も弟に比べて2倍の分け前を受けていました。
スープを求めたエサウにヤコブはその長子の権利を求めたのです。当然、まったく釣り合いません。しかし、エサウは言いました。「見てくれ。私は死にそうだ。長子の権利など私にとって何になろう」。ほかの訳では、「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などどうでもいい」。ヤコブの方法も褒められたものではありませんが、エサウの手放し方もひどいものです。聖書は「エサウは長子の権利を侮った」と述べています。ここに神の祝福に対する二人の意識の違いがはっきりと表れています。
何を基準にして生きているのか、それが問われているのは私たちも同じです。確かに今必要なものはあります。でも、多くの人が目に見えるものだけを追い求めています。その結果、大切なものを見失ってしまっているのです。「神の愛なんか、どうでもいい」。いいえ、どうでも良くないのです。雑に考えてほしくないのです。永遠の価値があることに、あなたも私も心の目を向けなくてはいけません。
( PBA制作「世の光」2021.11.12放送でのお話しより )
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