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さようなら原発首都圏集会報告

2021-03-28 19:30:44 | 原発問題/一般
3月27日、東京・日比谷野外音楽堂で開催された「福島原発事故10年 さようなら原発首都圏集会」に参加してきた。報告記事をレイバーネット日本に書いたのでぜひご覧いただきたい。

なお、当日、福島原発刑事訴訟支援団事務局長が行った報告全文は以下のとおり。

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 おととい福島県Jビレッジから、オリンピックの聖火リレーが強行されました。東京電力福島第一原発の事故は未だ収束しておらず、原子力緊急事態宣言が今も発令中です。放射性汚染物は、今も環境中に放出されています。「福島はオリンピックどごでねぇ」、そして世界中もそれどころではない状況です。先日起きた東北地方の地震で、1号機、3号機の格納容器の水位が下がっている、注水を増やしたと報道がありました。大きな地震や台風の度に、全国各地の原発を心配しなければいけない状況は、いつまで続くのでしょうか? 10年たっても、事故の実態解明も十分にできていないのに、各地で原発を再稼働しようとしています。事故後もかわらぬ安全管理に対する悪質さも浮き彫りになっています。

 日本はもともと、放射性物質を総量規制する法律はなく、薄めればいくらでも環境中に放出することができるシステムになっています。そして核燃料デブリにふれた汚染水についても、性能が不十分な処理施設で処理し、薄めて海に流そうとしています。海洋放出に反対する多くの声は無視されています。原発事故後、様々な規制値や基準値は、命と環境を守る最低限の役目を奪われ、恣意的に変更されました。厳重に管理することが当然であった核廃棄物の規制基準が80倍に引き上げられました。また、汚染土を再生資源と呼び、全国に拡散しようとしています。原発を推進するため、情報は隠し、過小評価し、ウソをつき、お金をばらまき、調べない、教えない、助けないという体質は、事故後もかわっていません。

 次に、原発事故を巡る裁判についてお話します。福島原発刑事訴訟は、2019年9月に旧経営陣全員無罪という不当な判決が出ました。事故前は「原発事故は絶対に起こらない。五重の壁に守られている。安全だ、心配する方がおかしい」と、さんざんいわれていました。しかし裁判では、東電の社員が危機感を持ち津波対策の必要性が指摘されていたにもかかわらず、元経営陣らが多額の費用がかかることなどを理由に、ほとんどなんの対策もしないまま原発事故に至った過程など、これまで隠されていた驚くべき事実が次々と明らかになりました。ところが、原子力行政に忖度した判決は、「原発には絶対的安全性は求められていなかった」として、双葉病院の患者遺族や被害者を踏みにじり、再び傷つけました。そこには悲惨な原発事故は二度と起こしてはならないという反省はなく、誰の責任も問わず、原発の安全性を切り下げる不当な判決でした。

 民事裁判は、集団訴訟だけでも約30件、原告は1万人を超えています。仙台高裁と東京高裁で、国の責任も厳しく認める判決が出ましたが、損害賠償額は低く、被害の甚大さに対して十分ではありません。特に避難者の方々はこの10年、ご自身の必死の努力によって生活の再建を目指してきましたが、中には避難先の公営住宅の提供が終了しても、経済的、精神的な理由などから新しい住まいを探すことができない方々もいます。その人たちに対して、福島県は退去を促すために2倍の家賃を請求したり、裁判に訴えようとしたりしています。親族の住所を調べあげ、通知を出し、訪問して、暗に圧力をかけるという事件もありました。また3月1日には「子ども脱被ばく裁判」の判決が福島地裁で出ましたが、被ばくにさらされた子どもたちを守るのではなく、国や福島県に忖度した不当な判決でした。

 先日、「3・11甲状腺がん子ども基金」のシンポジウムがありました。当事者アンケートの結果報告や、甲状腺がんを経験した若者たちの話がありました。体調不良や将来への不安のほか、県民健康調査検討委員会などで過剰診断論やスクリーニング効果と言われていることについての批判や反発も率直に語られていました。そして検査の縮小ではなく、検査と支援制度の拡充を望んでいる方や、自分の経験を伝え、周囲の人に検査を勧めている方もいました。また、他の当事者を思いやり、患者を支援する職業につくことをめざし、勉強している方もいました。

 原発事故の被害の上に次々と人権侵害が起きます。被害者抜きに、加害者である国や東電が、一方的に様々なことを決めています。被害は見えなくさせられ、重要な情報ほど、報道がなくなります。負の連鎖を断ち切り、あきらめではなく、希望を積み重ね、子どもの目をまっすぐに見て、未来を語れるように、今一歩、力を尽くしていきましょう。

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 集会の動画は、以下のところにアップされている。

〔手話付〕「福島原発事故10年 3.27さようなら原発首都圏集会」2021.3.27 @日比谷野音


銀座サイレントデモ「福島原発事故10年 3.27さようなら原発首都圏集会」2021.3.27 @銀座数寄屋橋交差点

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