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革命以来の転機迎えるイラン

2009-06-20 23:36:27 | その他社会・時事
イラン 数千人がデモ強行し治安部隊と衝突か 自爆テロも(毎日新聞)

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 【テヘラン春日孝之】イラン大統領選の開票を巡る混乱で、政府側は20日夕(日本時間同夜)、テヘラン中心部の革命広場付近に集結しようとした改革派支持者らの強制排除に乗り出した。改革派組織は当初予定した抗議デモを直前に中止したが、一部が強行しようとして当局側と衝突した模様だ。また、テヘラン南部のホメイニ廟(びょう)で自爆とみられる爆発が起き、2人が死亡、8人が負傷したとの情報もあり、事態は緊迫している。

【関連写真特集】緊張のテヘラン すべては大統領選から

 目撃者の話などによると、当局側は革命広場につながる道路などを封鎖。改革派支持者が同広場に至る道路の数カ所で治安部隊と衝突した。支持者はそれぞれ数百~数千人規模とみられる。「独裁者に死を」などと叫んで集まった改革派支持者らを催涙ガスや放水銃で排除しており、数十人が警棒で殴られるなどして病院に担ぎ込まれた模様だ。

 また、再選したアフマディネジャド大統領派と改革派の支持者が衝突し、これを止めようとした治安当局者が上空に向けて威嚇射撃したとも伝えられた。

 最高指導者ハメネイ師は19日、デモを強行すれば武力制圧も辞さないと表明していた。

 大統領選で敗れた改革派、ムサビ元首相とカルビ元国会議長は20日に抗議集会を計画。しかし、ムサビ氏を支持する改革派組織「闘う聖職者たち」は同日、デモ中止を発表した。ムサビ氏は同日、ウェブ上で選挙結果の無効を改めて訴えた。

 ロイター通信はさらに、ムサビ支持者らがアフマディネジャド支持者らが使用していたテヘランのビルに放火したことや、両派の衝突を防ぐ目的で警察が空中に発砲したことを報じた。

 ◇各所で「独裁者に死を!」

 【テヘラン春日孝之】「独裁者に死を!」「アッラー(神)は偉大なり」。目撃者によると、デモ開催予定地の目抜き通りにつながる道路の各所で、大勢の改革派支持者の叫び声が響いた。

 デモ隊は治安部隊に投石。部隊は警棒で殴りかかり、催涙弾を次々に発砲して一面、灰色の煙が立ち上った。

 一部デモ隊は道路にゴミ箱を放り投げ、ゴミに火を放つなど暴徒化。治安部隊はハンドマイクで付近の商店に「すぐに店を閉めて退去するように」と呼び掛けた。

 デモは20日午後4時、革命(エンゲラブ)広場を起点に開催予定だったが、同2時には一帯は裏道も含めて武装した警官や私服の民兵組織バシジのメンバーが埋め尽くすほど配備されていた。手首にムサビ氏支持者を示す緑のリストバンドをした約50人が近づくと、治安部隊は「帰れ!」と追い払い、支持者らは退散した。

 その約2時間後、周辺には合わせて数千人にも達する支持者が、各所に分かれて治安部隊と衝突した。

 ◇社会への不満、根強さ裏付け

 【テヘラン春日孝之】テヘラン南部のイマーム・ホメイニ廟(びょう)は、イスラム革命を成就した革命の指導者ホメイニ師の遺体を納めた体制の象徴でもある。この入り口で20日に起きた自爆テロとみられる事件では10人が死傷。体制へのあからさまな挑戦行為と言えそうだ。

 最高指導者ハメネイ師は19日の演説で、改革派勢力に対し、「極端に走れば、自ら制御できなくなる」と自制を求めた。再選挙を求める抗議行動が暴走し、体制にとって取り返しのつかない事態を招く危険がある、と諭したものだった。

 20日に決行されたデモや爆弾事件は、ハメネイ師が懸念した通り、同師の最後通告も、改革派勢力の「デモ中止」宣言も無視したものだった。治安部隊の武力行使で自らの命が危険にさらされることを顧みずに参加した、「覚悟の決起」とも言える。

 その意味で、20日のデモの規模が数千人にも達したことは、体制への怒りや不満がいかにイラン社会に根強いかを裏付けてもおり、今後、情勢は混迷を深める可能性もある。
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アフマディネジャド大統領の再選に端を発したイランの混乱は流血の事態にまで発展した。1979年のイスラム革命から今年でちょうど30年だが、イスラム革命体制は発足以来の重大な転機を迎えたといえる。

イランの政治体制最大の問題点は、国民の直接選挙で選ばれる大統領のさらに上に最高意思決定機関の聖職者評議会が存在することだ。この評議会を構成する聖職者たちが、誰によって選ばれたわけでもなく、交代させることもできない不可侵の存在になってしまっている。このことが、イラン国民に「民意が通じない」「大統領に誰を選んでも結局聖職者たちが覆してしまう」という不満を抱かせている。そしてこの不満は選挙によっては決して解消されることがないため、イスラム革命の熱狂を知らない若者層を中心に政治体制への不満が鬱積している。シーア派の聖職者が権力を独占し、スンニ派など他派が閉め出されていること、これとの関連で信教の自由などの精神的自由が抑圧されていることも、不満の背景にあると見て間違いない。

私たち日本人の常識をかの国に適用することは危険かもしれない。しかし確実にいえることは、選挙で国民が選んだ指導者の上に「不可侵の権力」が存在する限り、いくら選挙などしてもそれは茶番に過ぎないということだ。

この先、イラン情勢がどういう形で推移するかわからないし、大統領選挙に不正があったかどうかも不明だが、歴史の事実が教えていることは、選挙(における不正)はいつも独裁政権の墓場になってきたということである。1986年、フィリピンのマルコス独裁政権が倒れたのも選挙の不正がきっかけだった。イラン指導層は、選挙と民意の怖さを知らなければならない。

いずれにしても、今回の混乱はイラン・イスラム体制の限界を示している。不可侵の地位をほしいままにしてきた聖職者たちは、一度最高権力を手放すべきであり、話はそれからなのではないか。国民の不満に真摯に耳を傾けようとする姿勢が指導層にない限り、表面的に力で抑え込んだとしても、国民の不満が解消することはあり得ない。むしろ、抑え込まれた不満は後にもっと大きな形で爆発することになるだろう。

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