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安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

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●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【本の紹介】原発災害下の福島朝鮮学校の記録

2014-04-08 22:46:39 | 書評・本の紹介
このたび、「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」が明石書店から刊行された。

郡山市の福島朝鮮初中級学校が、原発事故直後の2011年5月から2学期の終了する12月まで、新潟朝鮮初中級学校に「疎開」していたことは、福島県内でもあまり知られていない。この本は、その福島朝鮮初中級学校の学校疎開の記録として、極めて重要だ。著者の具永泰(ク・ヨンテ)氏は、福島朝鮮初中級学校の疎開当時の校長である。

この本を知るきっかけになったのは、私がたまに(月1~2回程度)ウォッチしている「日刊イオ」というブログだ。在日韓国・朝鮮人コミュニティ向けに日本語で発行されている同名の雑誌の編集部員がつづっているブログで、在日の人々を巡る問題を理解するのに役立つと同時に、在日の人たちにも私たちと同じような日常生活があるのだということも実感できる。「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」は、「日刊イオ」ブログの4月4日付の記事で紹介されている。

福島朝鮮初中級学校が学校疎開をしていた事実は、日本国内ではほぼ完全に「黙殺」された。大手メディアでこの事実を伝えたのは、2011年11月9日付「日経ビジネスオンライン」に掲載された「放射能「集団疎開」の成果と課題 福島朝鮮学校が新潟に、市民団体がネットワーク結成の動き」と題した記事がほとんど唯一と思われる(全文を読むには登録(無料)が必要)。執筆したのは、この間、被曝・健康問題や「子ども・被災者支援法」などを追ってきた環境ジャーナリスト、藍原寛子さんだ。

この日経ビジネスオンラインの記事は、福島朝鮮初中級学校の「疎開」が現在進行形の段階で書かれたものだが、「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」は、疎開終了から2年を経過し、落ち着いてその状況を振り返ることができるようになった段階で出版されたものだけに、これから移住を考えようとしている人々にとって重要な示唆を与えてくれるだろう。

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【管理人よりお知らせ】「これでも罪を問えないのですか~福島原発告訴団50人の陳述書」刊行について

2013-09-17 23:15:09 | 書評・本の紹介
管理人よりお知らせです。

福島原発告訴団に加わり、原発事故による被害を陳述した告訴人50+7人の思いをまとめた「これでも罪を問えないのですか~福島原発告訴団50人の陳述書」が、このたび、週刊金曜日出版より刊行されました。

国や東電など「加害者」33名を告訴・告発した告訴団1万5千人近い告訴人のうち、代表的な50人を選び、検察庁に提出した陳述書(自分が具体的にどのような被害を受けたかを申し立てる書類)をそのまま掲載した異色の著書です。これらの陳述書を読むだけで、原発事故がいかに有形無形の被害を日本社会の隅々にまで及ぼしているか、知ることができます。2012年5~7月にかけ、雑誌「週刊金曜日」に7回連載の形で陳述書が掲載された7名(実名・顔出し)のほか、匿名で50人の告訴人の陳述書で構成されています。当ブログ管理人の陳述書も掲載されています。

この本は、発行部数が少ないことに加え、取り次ぎ側の事情により、全国の書店に出荷されているのは2000部程度で、よほど大きな書店でない限り店頭での購入は難しいと思います。福島原発告訴団で注文を受け付けているほか、インターネットでもAmazon等で注文できます。

大手メディアでは決して報道されることがなく、それゆえに忘れ去られようとしている福島原発事故の被害に、本書を通じ、ひとりでも多くの方が接していただくよう望みます。

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書評:“What was 国鉄闘争”

2013-08-28 21:03:31 | 書評・本の紹介
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2013年9月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 「今度、”What was 国鉄闘争”という本が出ることになった。郵送するので、ぜひ読んで、できれば「地域と労働運動」誌に書評を書いてもらえないか」。そんな依頼が「ぶなの木出版」の川副詔三編集長からあったのは6月のことだったと記憶する。「でも私は国鉄闘争なんて、関わったのは四党合意以降の10年程度。25年の闘いの半分も関わっていない私が書評など書いていいんですか」と聞くと「それでもかまわない」とのお返事だった。なにしろ25年もの長い闘いである。国鉄闘争に、最初から最後まで(しかも、中抜けもせず)関わり続けられた人は多いようで意外に少ない、との話もある。それなら私でも問題ないのかもしれないと思い書評を引き受けた。

 「国鉄闘争に、最初から最後まで、しかも、中抜けもせず関わり続けた」人物のひとり、立山学さんは、歴史的解決を見ることなく旅立ってしまった。「JRの光と影」(岩波新書)を読んで立山ファンになり、自分の同書にサインまでしてもらった私は本当はもっと立山さんの薫陶を受けたかった。

 私の国鉄闘争との関わり方は他の人とはかなり違っている。物心ついた頃から鉄道ファンとして歩んだ。私の自宅近くに国鉄小倉工場(今もJR九州小倉工場として現存)と南小倉駅があり、制服を着て通勤する国鉄職員がいつも自宅の前を通っていた。南小倉駅に遊びに行くと、いつも駅員がお茶を入れてくれたり、ホームに連れて行っては信号機の意味など教えてくれる。私と同年代か上の世代の鉄道ファンは、鉄道ファン人生への入口で大なり小なりこうした「原体験」を持っている。国鉄時代は鉄道ファンもいわば「鉄道ムラ」の一員で、ファンから見れば今とは比べものにならないくらい鉄道の現場が近かった。今の時代感覚では「馴れ合い」と言われかねないが、そうした中でも「やるときはやる」「やるべきことはやる」のが国鉄職員であり、鉄道員魂だった。

 私は、今だから懺悔しておかなければならないことがある。四党合意の存在がメディアにすっぱ抜かれた頃のことだ。“What was 国鉄闘争”でも触れられているように、「最も高い値段で自分達を売れる」時期だった1990年代後半、国労はこの最も大事な局面で被解雇者の職場復帰に失敗していた。そこで出てきた四党合意報道に、私は当初「ここで採用がなければ一生チャンスは来ない」と思い、某鉄道雑誌の読者投稿欄に「この機会に解決を」とした投稿を行ったことがある。今から考えれば「ゼロプラスアルファ」の合意に過ぎなかった四党合意を当初、解決の最後の機会と捉えたのは私の本質的過ちだった。投稿をボツにしてくれた某誌編集部に今はとても感謝している。(余談だが、被解雇者に向かって「ゼロプラスアルファ」と言い放った甘利明が、復活した自民党・安倍政権でのうのうと要職に居座り、今もTPP・原発再稼働の旗を振っているのは許し難いことだ。)

 あいまいだった私の認識はその後、「人らしく生きよう~国労冬物語」(ビデオプレス)を見て根底からひっくり返る。四党合意を吹き飛ばしたあの歴史的な「7・1臨大」の後の国労大会が行われている社会文化会館前で、四党合意反対派を支持するスピーチをしたときが、私の支援者としてのデビューだった。

 そういえば、社会文化会館も老朽化を理由に取り壊された。気がつけば国鉄闘争の「舞台」もどんどん消えつつある。急速に風化しつつあるけれども、「思い出」と呼ぶにはまだあまりに生々しすぎるこの時期に、国鉄闘争とその成果、教訓を次代に語り継いでおくことはきわめて重要なことであり、その意味からも今般の本書の刊行は時宜を得たものといえるだろう。

 当事者ではなく鉄道ファンという特殊な立場からの支援者であった私にとって、本書の中で特に興味深く読んだのは、国労高崎の縦横無尽の闘いぶりを描いた関口広行さんの「国鉄闘争から新たな闘争へ」だ。この章を読むと、当局の攻撃にさらされながらも持ちこたえ、地本ぐるみで闘う闘争団・鉄建公団訴訟原告団を最後まで支え続けた高崎地本の「パワーの源泉」とその理由がよく理解できる。 果敢に地域に打って出る機動性と柔軟さは、国鉄時代からの経験の蓄積がもたらしたものだ。

 国労高崎の闘いは、その後2000年代に入ると国鉄闘争を側面から支援する力として重要性を増す。やがてこの闘いはJR内の国労グループとの連携で「JRウォッチ」の主力となり、ついに2008年、信濃川不正取水(水泥棒)事件の発覚によってJR東日本を追い詰める力になったのである。いま、信濃川不正取水事件は、株主代表訴訟に引き継がれ、法廷で争われている。信濃川現地で、保守系の心ある人たち(根津東六・元十日町市議など)ともつながりながら、JRの企業体質を告発し、交通ユニオンとして地域の足・公共交通を守る闘いにつながっている。

 公共交通を守る闘いで言えば、今、JR北海道が未曾有の危機を迎えている。数年前から始まったディーゼル特急車両の炎上事故は今年に入りますます加速、炎上事故だけで年間10件の大台に乗ることが確実な情勢だ。地元紙「北海道新聞」は国鉄分割民営化によって主力の40代が10%しかいない歪な社員の年齢構成、技術の伝承の失敗などを背景として指摘している。同紙読者投稿欄には、国鉄分割民営化と国労潰しが最近の安全崩壊の原因だとする鋭い読者投稿が臆することなく掲載されている。国鉄「改革」の際最も恐れられていたことが、最も恐れられていた形で表面化したといえる。このことだけでも国鉄「改革」は検証される必要があるし、公共交通(特に地方路線)切り捨てと安全問題は全く解決していない。これら「終わっていない諸問題」にも私はこれまで同様取り組んでいきたいと思う。

 最後に、本書は、私たちの世代にとっては初めからあるのが当たり前のように感じられる東京総行動がどのようにして作られてきたかなど、歴史的なことが数多く書かれている。25年の闘いの中で、国鉄闘争は、今、あらゆる労働組合と労働運動が通過しようとしている道をすでに経験してきた。当時と今では時代背景が異なるため、彼らのノウハウをそのまま現在の闘いに適用できないとしても、少し修正を加えればすぐに役立つ示唆に富んでいる。

 1047名首切りの張本人、中曽根元首相が「国労を潰せば総評が潰れる」「意識的にやった」と公言してから四半世紀。ブラック企業でこき使われ、ボロ雑巾になって死ぬ第1の道と、奴隷化を拒否する代わりに孤高に飢えて死ぬ第2の道とどちらがよいか、という資本からの無慈悲な問いかけが正規、非正規問わず全労働者に突きつけられている。本書は、そのどちらでもない第3の道を照らし出す――労働者がみずから事業を興し、労働しながら経営にも携わる第3の道。ぜいたくはできなくても心豊かに、助け合いながらすべての人々が尊重され、人として生きることができる新たな道。1000人を超える被解雇者が四半世紀もの間、自活し続けた体験を目にすれば、それが「空想的ユートピア」でなく実現可能な目標であることが理解できるだろう。

 正規と非正規、公務員と民間、女性と男性、高齢者と若者問わず、すべての「働く人たち」に対し、国家権力・国鉄、JRと闘ってきた闘争団・原告団から贈られた輝かしいプレゼントである。ひとりでも多くの労働者が本書を手にすることを希望している。

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(管理人よりお知らせ)

このたび、四半世紀もの長きにわたったJR不採用問題(国鉄闘争)を総括した上記の本が出ました。申込用紙は、サムネイル画像をクリックするとダウンロードできます。どちらかといえば、労働運動に携わってきた人向けの書籍ですが、「一生懸命働いても、なぜ自分の暮らしはよくならないんだろう」と疑問を持っている一般の人にとっても、大変役に立つものです。ぜひお買い求めください。

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【書評】高速ツアーバス乗務員は語る 家族は乗せたくない!~規制緩和と過酷な労働実態

2013-06-28 21:39:47 | 書評・本の紹介
本の紹介

高速バスで行われた破滅的な規制緩和の実態を告発した本として、ぜひ皆さんに読んでいただきたい1冊である。編者は自交総連大阪地連。運転手でつくる労働組合だ。

「現場からの告発」だけにその実態はすさまじい。特に、バス会社にとって「顧客」である旅行会社からの、違法行為なくしてはこなしきれないような無理な注文を受け、走らせられる運転手の労働実態を本書で見ると、格安ツアーバスには怖くて乗れなくなる。

運転手の仕事はただ運転することだけではない。最近は旅行者の添乗員がツアーに同行しないことも珍しくなく、出庫前点検から出庫、運転、入庫後の点検に加え、乗客への案内や観光地での雑用さえこなさなければならないという。運転士の睡眠時間は4~5時間ということも珍しくないそうだ。

昨年4月の関越道バス事故を受けて、国交省が設置し、規制強化への提言をとりまとめた「バス事業のあり方検討会」に対しても、自交総連は「安全に関することは何も審議されていない」と一刀両断だ。当ブログはそこまで主張するつもりはないが、先日のエントリで書いたとおり、2000年の極端な規制緩和に対し反省もせず、素知らぬ顔で政策を転換する国交省には率直に怒りを感じる。

いずれにせよ、関越道バス事故の背景に何があるのか、運転手たちが今、どれほど過酷な状況に置かれているのかを知る上で本書は欠かせない1冊である。当ブログ・安全問題研究会の「推薦図書」に指定するので、公共交通に興味のある方はぜひお手に取っていただきたいと思う。

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【管理人よりお知らせ】『100人の母たち~“原発”のない世界へ 私は子どもを守りたい』が刊行

2012-11-26 20:11:51 | 書評・本の紹介
管理人よりお知らせです。

このたび、『100人の母たち~“原発”のない世界へ 私は子どもを守りたい。』が刊行されました。出版元の「南方出版」は聞き慣れない名前ですが、九州を拠点とする地域出版社です。

我が夫婦には子どもがいないので、残念ながらこの本には「出場資格」がありませんでしたが、福島から九州に避難して活動する知人が母親の立場から登場しています。

内容は、お買い求めの上お読みいただきたいと思います。子どもと触れ合う母親100人の写真を中心に、それぞれの母親たちが自分の言葉で脱原発への思いを綴った好著となっています。

「こうした綺麗な形でいのちを脅かすものを告発するのは見たことがない。いい仕事だ」という報道写真家・福島菊次郎さんの短いコメントがこの本を紹介し尽くしていると思います。それぞれの母親と子どもとの日常の中から、強い決意が伝わってきます。元気な子どもと一緒にいられる幸せの他にいったい何が必要なのか、そしてその極上の幸せを奪われかけた母親たちが、いかに必死にこの間子どもを守ってきたか、その思いに本書を通じてぜひ触れていただきたいと思います。

当ブログ管理人は、これまで、アフガニスタンやイラクなどの写真展を開催してきた経験があります。そこで展示される写真には、戦火の中で傷ついた子どもを抱える母親、戦争への悲しみをたたえた母親たちが数多く登場し、来場者を引きつけました。

当ブログ管理人のそうした経験から言えば、命を産み育てる象徴的存在である「母」が大きくクローズアップされるときは、その社会にとって「生命の危機」と言えます。日本で次々とこのような写真集が生まれ、無名の母親が大きくクローズアップされている社会状況が、日本にとって何を意味するかはこれ以上説明の必要はないでしょう。

当ブログがこのような本を紹介しなくてすむ日が来ることを願っています。

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【管理人よりお知らせ】「福島原発事故と女たち~出会いをつなぐ」が発行されました

2012-10-23 21:44:50 | 書評・本の紹介
管理人よりお知らせです。

福島原発事故と女たち 出会いをつなぐ」(近藤和子・大橋由香子/編)が、梨の木舎から発行されました。本書は、福島原発事故後、避難した人、福島に残った人それぞれの立場から、14人の女性たちの思いを綴った本です。

当事者でありながら知られているようで意外と表に出ることの少ない福島の女性たちが、いま何を考え、思いながら暮らしているのかを、ぜひ見ていただきたいと思います。

私の妻のほか、当ブログのリンク先サイトである「やいちゃんの毎日」管理人・人見やよいさん(フリーライター)などが登場する前半は、福島の今がわかり、大変興味深い内容になっています。

フェミニズム運動の立場から福島原発問題が語られている後半部分については、当ブログが詳細な論評をすることは控えますが、反原発デモに来るのが母親ばかりとか、政治性のない「母親」という安心感から彼女たちにマスコミが飛びついたのではないか、あるいは、結局、女は母でないと1人前ではないと言われているような気がする、等の主張には、いかにも昔のフェミニズム運動的な「古さ」も感じ、違和感も覚えます。

実際のところ、フェミニズム運動が提起したそうした問題は今に至っても何も解決していないのかもしれません。しかし、そうした運動スタイルが問題を解決しなかったことは事実だし、若い女性(おおむね30代まで)にとってはそうした運動的次元を超えたところで意識が形成され、動いて行っているのではないか、という気がします。

要するに何が言いたいのかというと、男か女かという対立軸ではなく、もっと柔軟な「自分らしさと社会的協調性の両立」という中で、自己実現をしながら女性の社会的地位を確立していこう、と考えている(ように見える)若い女性に、そうした昔のフェミニズム運動的な主義主張が受け入れられるかというと、やや疑問な気がするのです。

とはいえ、前半部分だけでもかなりお勧めの1冊ですので、ぜひ、お買い求めください。

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【管理人よりお知らせ】別冊宝島「原発を止める55の方法」が出版されました

2012-10-01 21:10:55 | 書評・本の紹介
管理人よりお知らせです。

別冊宝島ムック「原発を止める55の方法」が宝島社から出版されました。(詳細

この著書は、各界著名人を中心に27人の人たちが、「どうしたら原発が止まるか」について、自分の意見を寄稿したものです。当ブログ管理人も、「加害者に責任を取らせる」立場から、告訴・告発運動の重要性について寄稿しました。

当ブログ管理人の寄稿内容は、宝島社より掲載許可を受けており、すぐ下のエントリで読めますが、こればかりでなく、参考になる意見があらゆる角度から提唱されています。600円という価格には十分な内容となっています。

27人の著者の方は、当ブログ管理人以外は全員が著名人です。正直、私ごときがこの人たちと一緒に並んでいいのかと思うほどの人々です。

原発問題に関心のある皆さまは、是非お買い求めの上、お読みいただくようお願いします。近隣の書店でお買い求めいただけるほか、アマゾン他のネットでも注文できます。

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【本の紹介】「福島からあなたへ」

2012-01-31 22:53:29 | 書評・本の紹介
「福島からあなたへ」(著・武藤類子、写真・森住卓)

著者の武藤類子さんは、「ハイロアクション・福島原発40年」のメンバー。当ブログでも紹介した昨年9月19日、東京・明治公園での6万人脱原発集会で感動的なスピーチをした人である。本書にはそのスピーチも収められている。

写真提供者の森住さんは、反戦写真家の大家ともいえる人で、アフガニスタン・イラクなどで戦争の被害を受けた住民の写真を撮り、その犯罪性を問い続けてきた。

著者の武藤さんには何回かお会いした。うまく感情をコントロールしながら、自分の主張を最大限、押し出していける人。電気に頼らない暮らしを福島県三春町で実践しながら、私たちの豊かな生活を支えている電気の背後に何があるのかを今も鋭く洞察し続ける。その行動力と人望とで、個性派揃いの「原発いらない福島の女たち」をまとめてきた。

原発をなくすために何をすればよいか、理論ではなく実体験から導き出されたエッセンスにあふれるこの本は、また武藤さんの生きざま、人生が詰まった本でもある。彼女のようなライフスタイルを送る人が多数になれば、戦争・貧困・原発をはじめとするあらゆる困難は、新たに生まれる共生と共助を基本とした社会の中で解消されるだろう。

文字数が少ない本なので、早い人なら30分程度で読破できる。この本は、大量生産・大量消費・大量廃棄の資本主義物質文明から循環・再生産・共生の社会への転換を迫られている人類にとって道しるべとなるに違いない。

この本がぜひ各国語に翻訳され、世界中の人に読まれることを願っている。

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【お知らせ】本日発売の週刊「AERA」誌にご注目下さい!

2011-12-12 23:15:34 | 書評・本の紹介
本日発売の週刊「AERA」誌(12月19日号)に、「ママから始まる日本の”革命”」と題する記事が掲載されています。福島原発事故以降、子どもを守ろうと各地で母親たちが動き回り、現実に政治や行政を動かしつつある実態を、4ページも割いて特集してくれています。

詳細は記事をお読みいただきたいと思いますが、母親たちがしなやかに繋がりながら、自分のアイデアを持ち寄り具体化していく様子が生き生きと伝わってくる記事です。

母親たちの動きを「持ち寄り民主主義」「ママ・レボリューション」と称した記者の慧眼に改めて感謝したいと思います。

この記事の最後に、経産省前で10~11月にかけて行われた女たちの100人座り込みのことが取り上げられています。この記事に関しては、私と連れ合いがAERA誌の取材を受けました。

私たちを取材した記者はフリーの方で、みずからも母親としてこの問題に強い関心を持っている人です。第一印象は、とてもかわいらしい中にも強い意思を秘めている人で、ある意味、私の理想の女性像に近いとても魅力的な方でした。

取材の動機は、当ブログ11月6日付の記事「女たちの経産省前座り込み」を終えて(感想)を読んで、この記者の方がとりわけ「手作り」「多様性」といったキーワードに象徴されるこの運動の「創られ方」に関心を持ったことがきっかけでした。

この記事の冒頭に使われている「女たちの100人座り込み」閉会集会(10月29日)の写真も、私が撮影したものを提供しました(サムネイル写真)。この写真は、10月29日、3日間にわたる座り込みを終えた福島の女性たちが、経産省を取り囲む「人間の鎖」行動のために自分たちの手で編んだ毛糸を、30日から座り込みを始める全国の女性たちに引き継いでいるシーンです。3日間にわたった座り込みと「人間の鎖」行動の成功を象徴するシーンであり、会心の1枚です。私自身、どこかに出したいと思いながら、そのままになっていたもので、結果的には、AERA記者から大変喜ばれました。

この行動を振り返り、改めて思うことがあります。「組織を作って大きくし、拳を振り上げて大きな声を出す」という男性主導の運動が半世紀かかっても変えられなかったこの国を、母親を中心とする女性たちはわずか半年で変えようとしています。こうした運動は、2011年の年明け早々に起きた「アラブの春」にも共通するものです。

余談ですが、AERA誌の取材中、私は記者の方に、「コミュニケーションの重要性ばかりが叫ばれながら、実際には日本社会がますます分断と分裂を強め、違う階層同士の間には対話すら成立しないという状況が起こりつつあるのではないか」という懸念を伝えました(11月28日付記事参照)。この懸念に対し、記者の方は、「それでもお互いが摩擦し、神経をすり減らしながらでも対話していく以外にないと思います」と対話の重要性を強調していました。

「あいつは考えが違うから」と投げ出してしまうのでなく、違う考え方を持つ相手だからこそ対話を続け、変えていく。女性たちの運動が短期間できわめて大きな成果を上げている背景にはこのような粘り強く柔軟な姿勢もあると思っています。

当ブログ管理人にとって、むしろ記者の方から今後を生きる上で重要な示唆を与えていただいたと思っています。その意味では、単なる記者と取材対象者という関係性を越えた有意義な取材であり、受けてよかったと思っています。

原発事故以降、高濃度汚染された福島在住という状況の中で、当ブログ管理人は何度も絶望しかけました。しかし、一方で日本社会にこうした素晴らしい女性が大勢いて、民主主義の新たな担い手として登場しているとわかったことで、まだ希望を捨ててはいけないという気持ちも持つことができました。今後はこうした女性たちがこの社会の新しい未来を作っていくことを信じたいと思います。

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【別冊宝島 食品の放射能汚染完全対策マニュアル】発売されました! ぜひご覧ください

2011-09-16 22:12:18 | 書評・本の紹介
宣伝になってしまいますが、別冊宝島1807 食品の放射能汚染完全対策マニュアル~「0ベクレル」の食卓を目指すためのバイブル(水口憲哉・明石昇二郎 編著)が9月16日に発売されました。

「本邦初! 一般家庭の献立と外食メニューを実際に測ってみました」コーナーに、我が家の食材を提供しました。結果は、このコーナーに記載されているとおり、放射性物質は検出されず、いずれも0ベクレルとの結果が得られました。

検査を依頼してみて思うのは、産地にこだわりさえすれば内部被曝をゼロに近づけることは可能だということです。ただし、2011年産食材が出回り始めるこの秋以降は、いつまで持つかという不安もありますが…。実際、汚染地域産しか売られていないため、我が家の食卓から消えた食材もあります(ほうれん草・牛乳はその最たる例)。重要なのは、3.11以降の日本はそれまでと違うという認識を持てるかどうかだと思います。食べたいものを我慢してでも内部被曝は減らすべきだと考えます。米に関しても、あってもなくても同じような「暫定基準値」以下でございますとの証明しかないものを主食として毎日食べるのはやめた方がいいと思います。

いずれにせよ、私のやり方が間違っていなかったとの証明が得られた意味は大きいものがあります。食品からの内部被曝を避けたいと思っていらっしゃる皆さま、内部被曝をゼロに近づけられる食材・産地選びの参考に是非ご覧いただきたいと思います。

「風評被害」のほとんどは実害です。生産者と消費者の闘いに持ち込み、反原発運動の分断を図る政府の策動に与せず、今後も当ブログは生産者・消費者双方が納得できる食品測定を要求していきます。

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