安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【本の紹介】原発災害下の福島朝鮮学校の記録

2014-04-08 22:46:39 | 書評・本の紹介
このたび、「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」が明石書店から刊行された。

郡山市の福島朝鮮初中級学校が、原発事故直後の2011年5月から2学期の終了する12月まで、新潟朝鮮初中級学校に「疎開」していたことは、福島県内でもあまり知られていない。この本は、その福島朝鮮初中級学校の学校疎開の記録として、極めて重要だ。著者の具永泰(ク・ヨンテ)氏は、福島朝鮮初中級学校の疎開当時の校長である。

この本を知るきっかけになったのは、私がたまに(月1~2回程度)ウォッチしている「日刊イオ」というブログだ。在日韓国・朝鮮人コミュニティ向けに日本語で発行されている同名の雑誌の編集部員がつづっているブログで、在日の人々を巡る問題を理解するのに役立つと同時に、在日の人たちにも私たちと同じような日常生活があるのだということも実感できる。「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」は、「日刊イオ」ブログの4月4日付の記事で紹介されている。

福島朝鮮初中級学校が学校疎開をしていた事実は、日本国内ではほぼ完全に「黙殺」された。大手メディアでこの事実を伝えたのは、2011年11月9日付「日経ビジネスオンライン」に掲載された「放射能「集団疎開」の成果と課題 福島朝鮮学校が新潟に、市民団体がネットワーク結成の動き」と題した記事がほとんど唯一と思われる(全文を読むには登録(無料)が必要)。執筆したのは、この間、被曝・健康問題や「子ども・被災者支援法」などを追ってきた環境ジャーナリスト、藍原寛子さんだ。

この日経ビジネスオンラインの記事は、福島朝鮮初中級学校の「疎開」が現在進行形の段階で書かれたものだが、「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」は、疎開終了から2年を経過し、落ち着いてその状況を振り返ることができるようになった段階で出版されたものだけに、これから移住を考えようとしている人々にとって重要な示唆を与えてくれるだろう。
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