「沖縄振興」批判





「1961年2月から64年7月までの3年5カ月にわたり文字通り『沖縄の帝王』として君臨したことで知られる。」と紹介される琉球列島米国民政府の高等弁務官がいる。沖縄人にもっとも嫌われたその名前はキャラウェイである。

琉球政府が発足してから6年経過した頃に沖縄の金融界は腐敗が蔓延していた。キャラエイ高等弁務官は金融界を改善するように琉球政府に命じるが、金融界と癒着していた琉球政府は無視した。監督業務を履行しない琉球政府および、司法機関にキャラエイ高等弁務官は警告したが、その頃にはすでに琉球政府と金融界の双方に癒着による不正が横行しており自浄の努力が全く見られなかった。放任すれば沖縄社会を瓦礫させる恐れがあった。

大田元琉球政府主席の回顧録によれば「昭和34年暮、某村の村長が歳末の挨拶にと来られ、小切手を差し出した」額面は10ドルとされるが当時の実勢価格は今の10万円に相当する。

キャラウェイ(弁護士資格保持)はついに、金融検査部の独立制をを保つため、人事権を高等弁務官のものとした。
そして金融検査部長に、当時琉球大学で教鞭をとっていた公認会計士の外間完和を任命し、各金融機関の一斉捜査を開始した。
この結果、沖縄銀行の頭取を含む三行の役員数名を背任行為で逮捕琉球農林中央金庫などの公的機関を含む、沖縄14金融機関65人を退任させた。

それ以外にも沖縄人が嫌がることを強権発動した。ただ、アメリカ民政府が統括していた復帰前は金融界の不正や賄賂などはなかっただろう。

沖縄の戦後史を考えるとき、戦前までの沖縄は古い体質の社会であったことを忘れてはならない、琉球王朝から軍国主義までの沖縄の社会では、賄賂や献金は当然であったし、その思想は戦後もあったということだ。それは日本本土も同じであった。

だから米民政府時代には押さえられていた賄賂、裏献金、談合の精神は祖国復帰してから再び復活したのだ。「沖縄振興」に書かれているように、自民党の実力者の力で高額な援助が実現するようになると、業者からの沖縄や本土の政治家への献金は当たり前になっていった。公共工事関係会社のほとんどは談合をしていたことが公正取引委員会に9Zw明らかになったことからもそれがわかる。

沖縄の政治家は政治家というより一国一城の主の気持ちが強く、経済発展よりも立派な役所、会館、グランド造りを優先させた。

「沖縄振興」は過去の振興の実態を追求している。しかし、「沖縄振興」で取り上げているのは過去の実態であり、建物と道路はかなりつくられているし、自民党政権から民主党政権に変わり政治状況も変わった。いまさら、自民党派閥時代の沖縄振興の裏側をあばいても、効果はない。

現在はどのよう問題があるだろうか。以前のような賄賂や談合はなくなったかも知れないが。別の問題が浮上している。

「市中心市街地活性化事業」として政府から沖縄市に180億円が交付された。事業はNPO法人コザまち社中が行う。コザまち社中は、2009年にも中心市街地活性化の事業費として137億円の予算をもらっている。合計317億円という莫大な予算だ。これだけの大金の事業をやるのだから責任は重大であるし、確実に実績をあげないといけない。その気持ちがコザまち社中にあるだろうか。

廃れた一番街を復活させるというのは大変なことだ。お金をかければ成功するというものではない。専門家による徹底した環境の調査をやるべきであり、同時に復活に成功した商店街を研究し、復活するためのしっかりした企画を立てなくてはならない。本土には商店街復活を仕事にしているプロもいるから、そういう人をブレーンとして参加させるのも大切だ。

合計180億円は投資であり180億円の投資が終わったときには180億円の投資に匹敵する売り上げをする一番街になっていなければならない。
そのためにも、コザまち社中の事業を厳しくチェックしなければならない。一年一年目標を達成しているかをチェックし、目標に達していなければ事業者のトップを代えるべきである。沖縄市にはコザまち社中の事業を厳しくチェックする部署を設けているだろうか。疑問である。

「コザゲートアパートメント」の事業は10年くらい前に本土で登場した。だからその事業には先駆者がいる。事業を成功させるにはアイデアだけでは駄目だ。予想しない失敗が多い。だから、体験者から運営の仕方を学んだり、事業経験者を招聘するというのはとても大切である。コザまち社中は本土に渡り小規模スペースの店舗について研究しただろうか。研究もしないで行き会ったりばったりにやると成功するのも成功しない。

空き店舗事業は失敗している。手先を変えたくらいのアイデアで成功するのだろうか。

NPO組織は予算を消化するだけで、新たなお金を生み出さない。パルミラ通りや一番街にはNPOの店舗が増えている。金の無駄遣いになっていないかチェックすべきである。

180億円は一番街に商店が増え、客が集まり、一番街t@儲けるようになるための投資のお金であって、商売に繋がらないNPOや様々な催し物や生活支援のための金ではない。

180億円・137億円という大金の甘い汁を吸う人間たちが群がり、甘い汁を吸い尽くした5年後には、一番街は元の廃墟に戻るかもしれない。

新聞が復活に成功した商店街を取り上げ、成功理由を明確にしながら、沖縄市の商店街復活事業と比較して、180億円と137億円が有効に使われているを厳しいチェックする役目をしてほしいものだ。

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