
昨3/18、かねて国際技術協力の見地からも成立実施が叫ばれる「能動的サイバー防御関連法」の法案審議が衆院審議に入った由。
主に非友好諸国からとみられる悪質なサイバー攻撃は、時に我国主要インフラに深刻な悪影響を及ぼす事が指摘されて久しい。最近でも 拙地元名古屋港の荷役管理システムが複数日に亘って運用支障に陥ったし、主要病院複数でも 診療などに悪影響が出た様だ。
明らかに国家社会の運営上必要な時は、警察や自衛隊などが先制的に攻撃側無力化を図るもので、欧米諸国では既に法制化されているだけに 我国だけができぬなどとの言い訳はできないはずだ。新人議員向けの高額商品券問題などで 自らの不注意とはいえ政治運営難航の石破政権だが、得意の防御面の一つではないか。是非とも早期成立を切望すべく、以下 昨日の日本経済新聞ネット記事を引用して、みて参ろうと思う。
「サイバー防御、国の情報収集や範囲を規定 法案審議入り」
サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の関連法案が 3/18、衆院本会議で審議入りした。通信空間の安全保障環境を強化する国際的な動きを踏まえ、与野党はおおむね仕組みの必要性では一致する。国が通信情報をどの程度監視し、企業活動に影響を与えるかが論点になる。
能動的サイバー防御は 今国会の重要法案の一つで、政府・与党は早期に成立させて 2027=令和 9年度中の全面的な運用開始をめざす。少数与党の 石破 茂政権は野党の賛成を得られるような法案審議が求められる。
国が平時から通信を監視し、攻撃の兆候を見つけたら 警察や自衛隊が相手のシステムに入って無害化する仕組みをつくる。水道・電気・ガスなど国民生活に密接に関わる基幹インフラのほか、国の機関や地方自治体も防御対象になる。
立憲民主党の 野田佳彦代表は 1月、法案について「基本的な方向性は必要という立場だが、内容をよく吟味(ぎんみ)したい」と述べた。「憲法上の課題をちゃんと乗り越えられるか 厳しく精査したい」と強調した。国による通信監視と憲法の「通信の秘密」との整合性を念頭に置いた発言で、主な論点の一つとなる。
平 将明デジタル相は 3/18の記者会見で「通信情報のモニタリングは不可欠だ」と必要性を訴えた。通信情報の活用に関して「国民に丁寧に説明していきたい」とも語った。
政府案は 通信の監視対象として(電子)メールの中身など「意思疎通の本質的な内容」は除外する。石破首相は「重大なサイバー攻撃による被害を防止する目的以外の利用を禁止し、国民の行動を一般的に把握する目的で利用されることはない」と言明した。
政府による恣意的な運用に歯止めをかける仕組みで 内閣府の外局に通信情報の取り扱いなどを監督する「サイバー通信情報監理委員会」を設置する。監理委を通じた国会報告の規定も盛り込んだ。
立憲民主の 山岸一生氏は 3/18の衆院本会議で運用監督を巡り「国会の関与はこれで十分か」と質問した。特定秘密保護法の運用のため設置した「情報監理審査会」を例に挙げて、(国会)関与の度合いをさらに高めるべきだと主張した。
日本維新の会、国民民主党は 法案の意義に賛成する立場から、経済活動への影響を考慮しながら実効性を高められる部分がないかを 国会審議を通じて提起する。
金融機関や病院が標的となるサイバー攻撃が頻発しており、政府は能動的サイバー防御の導入で被害を減らす効果を見込む。経済的な損失だけでなく、インフラを停止させることで 人の生命にも影響するような攻撃への対処も念頭に置く。
法案は 被害報告の提供といった対応を拒む基幹インフラ事業者の処罰規定も定めているため、その点も与野党の論点になる可能性がある。情報の秘匿性や経済活動の自由とのバランスが問われる。
国民民主の 菊池大二郎氏は「報告が 事業者の過度な負担にならないように窓口の一本化などの配慮が重要だ」と求めた。(日本)維新の 市村浩一郎氏は人材育成・確保策が急務だとの認識を示した。
ある基幹インフラ事業者は「現在もサイバー攻撃による被害発生時には 監督官庁へ報告するルールとなっているが、強制力を伴うことには懸念がある」と明かす。
鉄道大手は法整備について「事業継続を強く補助するものとして重要視している」として、法の枠内での通信監視に理解を示す。「情報管理の不備にわる漏洩(ろうえい)などには注意が必要だ」と警戒する。
(航空の)ANAホールディングスは「通信監視および能動的サイバー防御による日本への攻撃現象を 重要インフラ企業として期待する」と受け止める。「情報の活用が 民から官の片務的なものではなく、双方向であることや政府内部の連携を含めた対応を希望する」と要請する。
能動的サイバー防御は かねて必要性が主張され、2022=令和 4年末にまとめた国家安全保障戦略で導入の方向性が明記された。米欧では整備済もで、日本が(米欧)各国と機微情報を共有したり 企業が国際共同研究をしたりする場合の壁となっていた。(引用ここまで)
最早 スマート・フォン端末をメインとしたインター・ネット情報が国民多数の日常レベルにまで浸透した以上、能動を含むサイバー防御の必要を感じる国民各位が圧倒的多数だろう。デジタル省庁を先頭に 政府はその意義と必要性を、継続して平易に国民向けに説明を願いたい。基本は「自らは 自らで守る」はその通りだが、国民の命にも関わる 公立を含む主要病院や診療所を狙った攻撃は、特に重きを置いて対策を願いたいものだ。
既に欧米諸国ではほぼ法整備を終わり、主要国で法制度未整備は我国だけとの指摘も聞く。憲法との整合性も大事とされるが、かといって 我国だけが法整備ができないでは話にならない。もし果たせなければ「最早日本は後進国」の誹りを免れないだろう。時代の趨勢に沿った 国民の命と暮らしを守りながら、併せて国益の保全にも尽くさんとするのが 石破政権の目指す所ではなかったか。
勿論必要な議論は経るべきだし 法施行後の継続した国会関与も不可欠だろうが、攻撃側の「やりたい放題」だけは決して認めてはならない。衆参両院での 迅速な審議と法案成立を強く求めたい。今回画像は昨秋、拙居所西方の名古屋と清州両市境の 夕刻の庄内川橋上を西日本へ向かう、東海道・山陽新幹線試験列車「ドクター・イエロー」の様子をもう一度。