コナサン、ミンバンワ!残暑厳しい中、2012=平成24年8月も、間もなく終わろうとしている。想えば、今夏も波乱が多かったのではないだろうか。国内にては、遂に野田内閣総理大臣の問責決議が参議院にて可決され、衆院解散総選挙も日程に上る風情となって来た。何よりも、密室談合同然の自由民主、公明両党との、消費増税を初めとする所謂「三党合意」は決して民意を汲んでいる訳ではなく、むしろ霞が関官僚勢力や、経済面にて大きく物言いをする、財界に配慮した結果ではないのか。この所は、これも不評の極みの、原子力政策への姿勢とも通底するものがある様だ。一方的に増税を決めておいてから、政権公約マニュフェストに違反するとて、国民向けのお詫びメッセージを発せられても、我々としては、最早白けるだけである。更なる不信を煽る事にすらなりかねないであろう。
対外面では、シリア国の内戦に際し、日本人女流報道家が戦闘に巻き込まれ犠牲となったのが遺憾。勿論危険が伴うのは承知の上だろうが、今回は、戦闘員が報道関係者を狙撃していた疑いがあり、ここの所は糾されるべきだろう。犠牲となった報道家への弔意と共に、ここの所が明らかにされる事を願ってやまない。
さてさて、まとまりのない事共を書き綴って参った物語風特集日記も、今回にてひとまずの最後としたい。例の武者ら3名、又も馴染み処にて酒席中であります。
偽!大黒「この夏も、色々ととりとめもなく喋って来た訳やが、どうやら暑さも先が見えて来た様や。8月は、我々日本人にとり、言わば『祈りの時季』な訳やが、やはり『戦争と平和』を語る事は中々に難しい。先の、大東亜戦争こと太平洋戦争の折の、主要都市の空襲や、広島・長崎の原子爆弾攻撃に見られる様に、無辜の大衆に多くの犠牲を生じるのは事実なるも、領土、資源の問題をも含む、祖国の尊厳を踏みにじるが如き不当な攻勢とは、毅然と戦わざるを得ぬのも事実。要は、先の大戦の様な、泥沼的総力戦に陥る事なく、最低限の警察力の行使に留め得る知恵を持つ事やろうと思う。一度、そなた達の見解も聞きたいがどや?」
偽!義経「大黒様のお話を伺って、それがしも考えたんですが、やはり、昨今の離島領土を巡る周辺諸国との緊迫した状況を考えても、必要最低限の武備は必要やないかと心得ます。仰る様に、先の大戦みたいな泥沼は繰り返すべからざる事ですが、その一方で、祖国日本は海洋国。周辺諸国や大国との軋轢を緩和すべく、領土領海や自国資源の保全の為にも、必要な備えは抜かりなく行うべきでょう。勢力均衡って言うらしいですが、米合衆国との安保面にての同盟関係を維持しつつ、我国としても、一定の必要な自衛力は保持するってのが、曖昧な様ではありますが、やはり現代の我国にとっては、王道の様な気が致しますな。ってとこで、弁慶の見解も聞かせてくれや。」
偽!弁慶「はい陛下、そして殿。拙者は、皆様が仰った所の他に、やはり国民市民向けの教育が大事やないかと思うのでござります。作家 犬飼道子さんも仰った様に『初めに武備ありき』やなしに、国民的利益、即ち国益を保持して参る為には、一定の防衛活動とその装備は不可欠って事を、地道に教育啓蒙して参る事が大事な様に感じますな。この事は、普段の生活面における、安全保持への姿勢にも通底する様にも心得まする。」
偽!大黒「そなた達の見解、どちらもその通りや思うぞ。特に、政策面でのバランスと、教育はその真髄やろうな。それらを高い次元にて実現してこそ、戦争の犠牲となった方々への供養にもなるってもんやろう。まあこれは、永遠のテーマとなるかもやが。それと同時に、戦後のあり様が本当に妥当やったかも、これから検証せなあかんやろうな。」
偽!義経「それも大事でしょうね。もう戦後60余年になるけど、その間日本及び日本人は、ただ物の豊かさを追って、突っ走って来た様に思うんです。その背景にあったのが、日本国憲法を背後にした戦後レジームやったのはご存知でしょう。高度成長の頃はそれでも良かったが、時は移ろい平成の世となり、更に21世紀に入るに及んで、環境やリサイクル、それに人心の大切さを顧みなかった戦後レジームは綻び始め、今や『死に体』の有様です。もう役目を終えた以上、我々国民市民の蛮勇を以て解体され、葬り去られねばなりません。当てにならない既成政党の問題をどうするかと共に、我々の、その勇気が今こそ試されていると思いますね。」
偽!弁慶「陛下、殿。恐れながら申しますと、その『戦後レジーム』の矛盾と悪弊を放置した事が、昨今の我国の国民的不幸に繋がっている気が致しますな。昭和後期の『北』による日本人拉致とか、平成に入ってからの、山口県下の母子惨殺や、愛知県下の女性会社員拉致惨殺などの各事件、それに先の震災に伴う、福島県下の原子力発電所事故への不十分な対応などは、皆そうした悪弊が背景となっている様に感じますな。」
偽!大黒「そこなんだよな!やはり戦後のあり様は、全てが善ではなかったと言う事や。その所を見直す事に、既成政党はどこも及び腰、ここは所謂『第三極』に頑張ってもらわなあかんとこやが、その力量は未知数。ただ、確実に言える事は、有権者たる国民市民の意思次第で、変えられる所も大きいと言う事や。その事に留意しながら、我々も、続く秋へと繋げなあかんな。さて弁慶、この会談の結びを宜しく願いたいんやが、そなたは『名画』と言われる画像にも親しんどるそうやな。」
偽!義経「そうですか。まあ弁慶のイメージよりすると、所謂『ポルノ』と呼ばれる18禁画像のイメージが付き纏いますが、それがしの思い過ごしですかな。笑 なあ供の衆、この事、どう感じられるかな?」
供の衆、これに応えるべく「弁慶殿にとっての名画は『エマニエル夫人』ではないかと、専らの話でござりまするが」の声に、一同大爆笑!
偽!弁慶「嫌ですなあ、皆々様まで。苦笑 拙者、これでも『世界の名画』の範疇も何本か拝見しておりまする。今回は、まだ不見ではありますが、イタリー国の名画『ひまわり』のあらすじをご紹介して、締め括りにしたいんですが、如何でしょうか?」
偽!大黒+偽!義経「ああ、それも良いなあ。その話、先の大戦中、戦火に巻き込まれて引き裂かれた愛情を描いた名作らしいな。そう言う結びも良いやんけ。読者各位には、心より感謝です。では弁慶、後を宜しく。」
偽!弁慶「かしこまってござります。読者の皆様にはお読み下さった事、陛下と殿には、話の進行上色々とご見解を賜った事、心よりお礼申し上げます。まだ残暑の折、皆様のご健勝を、一言お祈りする次第。それでは・・・
映画『ひまわり』より。
貧しい裁縫工ジョバンナと、電気技師アントニオは、イタリー国のベスビアス火山を仰ぐ、美しいナポリの海岸で出会い、恋に落ちた。だが、2人の上に、第2次大戦の暗雲がさし始めた。ナポリにて挙式をした2人は、新婚旅行の計画を立てるも、アントニオの徴兵日まで14日しか残されていなかった。彼は思い余った末、精神病を装い徴兵を逃れようとしたが、夢破られ、その為に、酷寒のソ連戦線に送られてしまった。前線にては、ソ連の厳寒の中で、伊軍兵士が次々と倒れて行った。
アントニオも、死の一歩手前まで行ったが、若きソ連女性マーシャに助けられた。年月は過ぎ、1人イタリーに残され、アントニオの母と淋しく暮らしていたジョバンナのもとへ、夫の行方不明と言う通知が届いた。これを信じきれない彼女は、最後にアントニオに会ったと言う復員兵の話を聞き、ソ連へ出かける決意を固めたのだった。異国の地 モスクワに降り立った彼女は、襲って来る不安にもめげず、アントニオを探し続けた。そして何日目かに、彼女は、モスクワ郊外の住宅地にて、1人の清楚な女性に声をかけた。この女性こそ、今はアントニオと結婚し、子供までもうけたマーシャだった。全てを察したジョバンナは、引き裂かれる様な衝撃を受け、よろめく足取りのまま、1人駅へ向かった。逃げるように列車に飛び乗った彼女だったが、それを勤めから戻ったアントニオが見てしまった。
ミラノに戻ったジョバンナは、傷心の幾月かを過ごしたが、ある嵐の夜、アントニオより電話を受けた。彼もあの日以後、落ち着きを失った生活の中で苦しみ抜き、今、マーシャの計らいでイタリーにやって来たとの事だった。迷った揚句、2人は遂に再会した。しかし、2人の感情のすれ違いはどうしようもなかった。そして、ジョバンナに、現在の夫エトレの話と、2人の間の子を見せられたアントニオは、別離の時が来た事を悟るのだった。翌日、モスクワ行の列車に乗るアントニオを、ジョバンナは見送った。万感の思いを胸に去って行く彼を見送るプラット・フォームは、何年か前、やはり彼女が戦地へ赴く若き夫を見送った、その同じ場所であった。(1970=昭和45年度作品)」