事実上の内戦ともいえる政情不安下のアフリカ・スーダン国在留邦人中、希望の各位全員が無事隣国ジブチへの退避がかなったのは喜ばしく 迎えた自衛隊各位にも一言の労いを申したい。退避邦人中の帰国希望各位は 我国政府が用意の航空チャーター便で帰国の途中とかで、こちらも無事帰着を祈念したいもの。
今回の退避劇を担ったのは 主に陸上・航空の両隊だが、海上自衛隊にも勿論大きな動きがあるのはご存じだろう。我国周辺海域の有事に備える為の、海上保安庁との連携。今日は その連携の為の閣議決定も持たれた様で、近年難度を増す我国周辺域への正しい対応の為にも 理解を深めたいものだ。まずはその背景につき、今日の読売新聞ネット記事を引用して みて参ろうと思う。
「政府、海洋基本計画を閣議決定・・『総合的な海洋の安全保障』に加え『持続可能な海洋の構築』も」
政府は 4/28午前の閣議で、2023=令和 5年度から 5年間の海洋政策の指針となる海洋基本計画を決定した。これまでの計画の柱である「総合的な海洋の安全保障」に加え、脱炭素社会の実現に向けた「持続可能な海洋の構築」を新たな柱に据えた。領海警備に関し、海上保安庁と自衛隊の連携・協力の強化を盛り込んだ。
岸田首相は同日午前、首相官邸で開かれた 総合海洋政策本部(本部長・首相) で「産・官・学の英知を結集し、海洋政策の変革を推進すべき時だ」と強調した。
計画では、中国(大陸) 海警局の船舶が 日本の領海侵入を繰り返していることに触れ「我国の海洋に関する国益は これまでになく深刻な脅威・リスクに直面している」と明記した。日本近海の メタン・ハイドレートやレア・アース(希土類)などを「貴重な国産資源」だとし、産・学の最新技術を取り入れ、資源開発を促した。
脱炭素化に関しては、排他的経済水域(EEZ) での洋上風力発電の導入に必要な法整備を進める方針を盛り込み、海に浮かべる「浮体式」の導入目標の設定も促した。水素やアンモニウムを大量に輸入・貯蔵できる港湾「カーボンニュートラル・ポート」の計画的な整備を進める考えなども示した。(前半引用ここまで)
次いで 今回表題の海自・海保連携につき、今日の時事通信ネット記事を引用して みて参ろうと思う。
「防衛相が海保長官を指揮=有事で連携、初の共同訓練へ・・統制要領」
政府は 4/28、日本が外国から攻撃を受けた武力攻撃事態の際に、防衛相が海上保安庁を統制下に入れる手順や役割分担をまとめた「統制要領」を決定した。防衛相が指揮するのは 海上保安庁長官に限定。自衛隊が 戦闘地域での防衛を、海保が避難住民輸送など 後方支援をそれぞれ担う。指揮下に置く場合、事前の閣議決定を必要とする。
自衛隊法 80条は 有事に当たり「海上保安庁を防衛相の統制下に入れることができる」と規定しているが、これまで具体的な手続きを定めた文書はなかった。統制要領は、海保の具体的な任務として (1)住民の避難・救援 (2)船舶への情報提供・避難支援 (3)捜索救難・人命救助 (4)港湾施設等のテロ警戒 (5)大量避難民への対応措置ーの 5分野を例示した。
要領決定を受け、自衛隊と海保が有事を想定した共同訓練を始める。5月に机上訓練、6月に実動訓練を実施する。海保がこうした訓練を行うのは初めて。中国(大陸) による沖縄・尖閣諸島周辺での領海侵入が継続的に発生する中で連携を強化する。(後半引用ここまで)
前出の連携は、主に海自と海保の間で進められる事になるかと思われる。ここで 海上保安庁法 10条 2項をチラ見すると、海保トップは海上保安庁長官としながらも「海上保安庁長官は 国土交通相の指揮監督を受け、庁務を統監し、所部の職員を指揮監督する。ただし 国土交通相以外の大臣の所管に属する事務については、各々の大臣の指揮監督を受ける」とある。自衛隊法 80条は、この規定との整合を取ったものと理解する。
勿論それは、有事の際のやむなき場合の必要最低限とするのも事実だろう。その上での防衛相による海保長官指揮と海自海保の連携、及び共同訓練は 昨今の我国周辺海洋情勢を考えれば概ね妥当と心得る。左派野党やそのシンパらから 連携反対を装った妨害活動の挙に出る可能性もあるが、どうか不屈の意思で 健全な連携の確立へと進んで頂きたいものだ。
我国が目指すべき海洋政策の大きな一つは「自由で開かれたインド太平洋地域」実現為の 強い信念ある動きだろう。何故ならそこに、我国の命運を左右する 液化天然ガス LNGを含む石油エネルギーの輸送路「シーレーン」の問題を抱えているからだ。シーレーン防衛には 引き続いての努力を要するが、それに向けての日・米・豪・印の 4カ国による連携「クァッド」も始動している。
海自と海保の連携は、そのクァッドを更に深める為の一助にもなり得よう。こうした動きに左派野党勢力は すぐ批判を名目に攻撃的揶揄を向けようが、動じる事はない。有事と冷静に向き合う慎重思考を重んじつつ、健全な連携深化に努めて頂きたい。今回画像も振り返り恐縮。先年訪れた 三重・和歌山両県境に近い、熊野市内の海岸の様子。通る線路は JR紀勢本線。