コナサン、ミンバンワ!北日本は荒れ模様、当地中部は一頃程ではないにせよ、しつこい残暑、南西日本は未曾有の大雨、と「何かがおかしい」空模様の今秋。明日午後よりは、当地も降雨が予想され、これを境に朝晩は冷える晩秋の風情へと変わって行く様だ。お互い、くれぐれも健康留意にて参りたいものであります。
さて現在、当地名古屋にては、国際連合による環境国際会議 第10回生物多様性条約締約国会議 COP10が開会中。10/29(金)までの会期にて、世界的に問題視される、色んな生物の多様な生態系の保全に向けた決議が持たれる事となる様だが、生態系保全の為の環境保全を志向する先進国と、経済成長を優先させ、国民生活の底上げを図りたい新興国との利害対立は中々に根深く、妥協点を探るのが難しい所がある様だ。
希少動植物を保護し、みだりに取引や移動などを禁止規制する国際法規としては、動物取引に関するワシントン条約や、生息環境についてのラムサール条約などが良く知られるが、そうした取り決めのみでは、これからの生態系保全には不十分であるとして、1992=平成4年5月に生物多様性条約が採択され、翌年暮に施行に至ったもの。以下、同条約の目的趣旨を記させて頂こう。
一、地球上の多様な生物を、その生息環境とともに保全すること
一、生物資源を、持続可能であるように利用すること
一、遺伝資源の利用から生ずる利益を、公正かつ衡平に配分すること
今、生物多様性条約は、昨年末時点にて193の国及び地域が締結を終え、各国にその気さえあれば、必要な会合を行う事により、生態系保全への意思疎通や必要な行動を可能とする素地が整えられている。要は、主に先進国と新興国、それに各国の経済的利害の不一致が最大の障害と言う事になろう。かく申す我国も、高度経済成長期の開発モデルが必ずしも適切ではなかった為に、今、全国の生態系が大きく損なわれる事態と向き合わざるを得なくなっているのはご存じの通り。今秋本州にて特に目立つ、ツキノワグマの住宅地への出没も、その一例であろう。乱開発、そして深刻な林業の後継者難が熊の居所たる山間の荒廃を招き、主食たる木の実の不作が慢性化した事が、この様な事態を招いていると言われる。人手による開発は、方法を誤ると環境を破壊してしまうのは歴史の示す通りだが、反面、必要最低限の関与をしなければ生態系を守れぬ程廃れてしまう一面も併せ持つ事が我なりに分りかけて来た所。この会議でも、その存在が世界に注目された、我国の里山を守る事も、生態系の保全には有益な事ではないのか。
もう一つ、特に滋賀の琵琶湖にて深刻と言われる、水の生態系の悪化。悪食で繁殖力旺盛な外来魚が、国内種を食害しているのが原因とされている。COP10にては、この外来魚の代表格、ブラックバスを用いたハンバーガーも振る舞われた由だが、参加の各位には意外に好評だったとか。世界的なハンバーガー店、M社やL社の新メニューに加えて販売を進める事はできないか。街中をも巻き込んだ、そうした取り組みも、俺には必要に感じられる。
「食」で思い出したが、洋の東西にて食文化が異なる事も、少しでも固有の経緯を主張し、相互理解に留意する必要があろう。例えば今春、和歌山県下のイルカ漁(正確には鯨漁とも言われる)を西洋的視点より批判的に取り上げた米映画を巡っては、賛否両論入り乱れ、上映中止を求める動きもあった様だが、我々としても、欧米の多くが、鯨やイルカを知性を持ったペットの様に見る文化がある事に一定の理解をする必要はあろう。それを踏まえつつ、我国やアジア諸国には、鯨類を食する伝統文化が厳に存在する事を、息長く粘り強く訴え続けて参る責務があるとも思うのだ。そうでなければ、我国の「食」を巡り、孫子の代に禍根を残す事にもなりかねないではないか。この事は、決して世界の生物多様性を大きく損ねる所業には当たらない。勿論、映画自体は「とりあえず、上映はさせるべき」と言うのが拙見解である。
来週よりは、国際的な新たな取決めへ向け、いよいよ各国閣僚級によるトップ会合も持たれる様だ。経済への負荷を低く抑えつつ、必要な生態系保全への取組みは、世界の叡知を以てすれば、不可能ではないだろう。拙速が良くないのは事実だが、放置すれば確実に悪くなる生態系の為の環境。その望ましい保全へ向け、我々も知恵を絞るべき時が来ているのかも知れない。下記アドレスは、同会議の公式サイトであります。
http://www.cop10.go.jp/