Blog~続・トイレの雑記帳

鉄道画像メインの「ゆる鉄写真ブログ」のつもりでしたが、
政治社会の事共について記したくなり、現在に至ります。

下方硬直性という事

2019-03-27 20:42:49 | 社会・経済

今日の日中、九州の東で 気になる地震が生じた。日向灘を震源とするそれが、分かっているだけで午前午後各一回。特に午後のは宮崎県下で 最大深度 4を記録した様だ。周辺各地への目立つ被害がなかったのは良いが、日向灘周辺で続く地震は 近い将来可能性が見込まれる東海地震や南海トラフ大地震の発生とも関連有りとの指摘も聞いた事があり、現状は不明な以上 徒に不安を煽るデマレベルの記述をすべきでないは分かるが、一定の備えをした上で 注意して見守る位はした方が良いかも知れない。

もう一つ、これは残念だが 当地愛知と北隣岐阜の両県で流行する家畜伝染病 豚コレラの感染域が、これまで見られなかった瀬戸市内にも飛び火してしまった様だ。既に名古屋・守山地区に駐屯の陸自に災害出動要請が出され、当該地区の豚の多くが殺処分される様だ。大変遺憾だが、これ以上の感染を抑えなければならないのも事実。有力な感染源とされる野生猪向けに 餌に仕込んだワクチンを投与する試みも実施され、それぞれの地元猟友会の各位にも 対応が要請されているという。大変な折だが、どうか少しでも早い事態の収拾の為に力添えをお願いしたいものだ。心なしか、店先に並ぶ豚肉各部も 微妙な値上がりを感じるこの頃だ。

前置きが長くなったが本題です。TVなどの報道に接していると 気になる言葉の一つに「下方硬直性」がある。主に賃金の問題を取り上げる時に使われる様で、賃金即ち労働市場における「価格」の立場であり役割を持つ。需要に当たる求人が減ったり 供給に当たる働き手が増えれば賃金は下落、逆に求人が増えたり働き手が減る様な場合は上昇する。あくまで 市場任せにした場合だが。

尤も賃金の場合「最低賃金制度」によって 一定水準より下がらない様に定められている。だから不況で求人が減って賃金が低下し続けても、一定水準に達すると雇用側はそれ以下の賃金では雇えない。「労働者の最低限の権利」を守る措置だ。又 正社員など既に職に就いている労働者の賃金を引き下げる事も容易でない。賃金の下方硬直性がある事で、労働側が雇用側に過分に搾取されるのを防ぐ効果を期しているのだ。まぁ、左派勢力にとっては「絶対の正義」と言えようか。

しかし一方で、この性向は 失業者を増やす一因でもあるとの指摘も聞いた。不景気時 雇用側は「労働市場の需要と供給で決まる水準」より高い賃金を支払う事になる為、雇う労働者の数を減らさざるを得なくなる。この結果「低賃金でも良いから働きたい」という層が職に就けず失業者となる。価格維持の為 もったいなくも産地廃棄される野菜みたく、賃金の下方硬直性は働き手を事実上放置するのマイナス面もある訳だ。

功罪両面ある賃金の下方硬直性。近年の我国では、それが崩れているとの指摘もあるらしい。長らくの不況下 新規採用の雇用形態を正社員から非正規社員に切り替える企業が続出する。これは実質賃下げであり、下方硬直性が弱められる事で、デフレーションを悪化させた。不景気下で労働力の供給過剰が続いた場合でも、賃金の下方硬直性がある事で 一定の賃金水準は保たれてきた。いわばデフレ拡大を抑えて阻止する「防波堤」として機能した訳だ。ところが雇用形態の変化などで 下方硬直性が弱体化すると、所得減少がデフレを加速させ、それにより正社員が更に減少する事で 賃金の下落が拡大する「負のスパイラル」をもたらしてしまったのである。

と ここまで見て来ると、長引く平成不況の原因が 安倍政権の不足な所だけではないという所が、おぼろ気ながら分かる様な気もする所だ。もういい加減に「景気回復」の強弁を見直したらどうかの気もする所だが、我国の賃金水準は世界レベルからしても下降気味との声も聞く。平成初期 まだ実績もない新規学卒者の初任給を安易に上げ過ぎた失態も顧みつつ、賃金については健全な下方硬直性を模索するのが各方面が納得する所か。

この事に関し、単純な例えは適切でないかもだが、拙的にはどうしても触れずにはいられない事共がある。学歴の事だ。既に後半生の 我々世代の少し前からそうだったが「何が何でも大学へ」の風潮に追われる様に、学生達の多くが大学を目指し、入学する様になった。戦後の高度成長と前後した私大の激増は、それを裏付けるものだろう。これとて、親達の世代が中卒、高卒メインで「大卒なら自分より有利に世に出られる」魂胆から 追い立てる様に大学に行かせる風潮が強まったのだろう。

しかし待て。大学とは、高校までと異なり、理系にせよ文系にせよ それぞれの志す専門を深める為の 学びの場であるはずだ。全部が全部とは申さぬが、特に私大に入った勢力には、そうした己にとっての専門さえ見極める事なく「ただ大卒の肩書」欲しさに親達に追われ 仕方なく入学した「でもしか組」も多かったのではないだろうか。かく申す拙者も 実はその口だったので大口は利けないのだが。とまれこうして 大卒が大半になってしまった人口構成では、もしも子供がいる様になったとしても 結局は大学に入らせる訳で、決して実効があるとは言い難い巨額の教育投資を伴う「学歴の下方硬直性」を招いてしまっている様に見えて仕方がないのだ。

この「学歴の下方硬直性」は、前述の学卒者達のその後に 決して芳しくない影を落とす印象もある。子供が一人だったとしても、公立でも大学に上げるのには相当な投資を伴う。為に結婚を躊躇い 生涯独身を選ぶ男達の多くは大卒者の可能性が高そうだ。最近一部で不祥事が伝えられる AKB48に代表される 美貌の若手芸能アイドル集団の隆盛も、背後で盛り立てているのは幅広い年代の独身男達の様だ。この生涯未婚率は女性でも 15%に迫り、男に至っては 軽く 20%を超えているとか。

支持者の結婚式に来賓出席した与党議員が「是非子供を」との失言は 広い層から揶揄されるのを知っているが、その大きな一元凶は「学歴の下方硬直化」だと拙者は思う。何かといえば「自由と平和」などとの戯言が聴かれるが、この問題の呪縛から抜け出られなければ そんな言葉は語れないと思うのだが。今は稀だが「少数派の擁護を!」と声高に言うなら「親は大卒だが子は高卒→それでいいじゃないか」の見方がもっと一般化したって良い。それが我国の固有文化他を劣化させる事にはならないからだ。今回画像は、もうすぐ見頃の 岐阜・滋賀両県境近くを行く JR東海道線沿いの 昨春の桜の様子を。


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